最前線医師が激白「オミクロン第6波」の異変 「重点措置」16都県に拡大も重症患者は大幅減、懸念は「職員クラスター」による医療混乱

新型コロナウイルスのオミクロン株は過去にないペースで拡大し、蔓延(まんえん)防止等重点措置の適用対象は首都圏を含む16都県となった。「感染第6波」の重症化率や致死率は、第5波までに比べて低いというデータもあるが、医療の現場でも異変が生じているようだ。コロナ患者の治療にあたる医師が最前線の状況を語った。

神奈川県では19日、2288人の新規感染者が確認されたが、累計の重症者は6人だった。第5波まで多くの重症患者を受け入れてきた東海大学医学部付属病院高度救命救急センター(神奈川県伊勢原市)では18日時点で、オミクロン株による中等症と軽症の患者が各1人と、重症患者1人が入院中だ。
同センターの守田誠司所長は「人工心肺(エクモ)を使用している重症患者は、オミクロン株ではなくデルタ株の感染だ。第5波で同程度の感染状況のときは、病棟も重症患者でパンクし、崩壊レベルだった」と語る。
東京大の仲田泰祐准教授らの研究チームは、東京都の感染第6波の重症化率を試算している。それによると19日時点の推定値は0・04~0・06%だった。第5波の昨年6月15日~9月14日の重症化率は0・66%で、現状では差は歴然だ。
重症化率が下がっているものの、現行の医療体制で困難も生じているという。前出の守田氏は「オミクロン株で職員の感染がパラパラ出現している。職員感染によるクラスター(感染者集団)とその濃厚接触者で通常医療の運用が難しくなる心配がある」という。
厚生労働省は医師や看護師がオミクロン株の濃厚接触者になった場合でも、毎日の検査で陰性が確認されれば勤務できると自治体に通知した。
海外では、より踏みこんだ施策もみられる。米カリフォルニア州では検査結果が陽性でも無症状の病院スタッフは勤務できるようになった。他の一部の州の医療従事者も、無症状か軽症の場合、勤務が継続できるという。
国内では感染症法上の位置付けを、季節性インフルエンザ相当の「5類」に引き下げるよう求める声も強くなってきたが、現場はどう受け止めているのか。
前出の守田氏は「5類への引き下げの検討も必要かもしれないが、強制隔離や入院ができないことで、今後強い変異株が出た場合に対応しづらくなる恐れもある。医療費も公費負担にならず、ワクチン接種率や受診率も下がるといった問題点も出てくるのではないか」と指摘した。