参院選の最終盤、各党のトップの訴えには第一声から変化が見られました。
与党・自民党は、かつてない大逆風にさらされています。
自民党 石破総裁
「今度の選挙は、日本国中極めて厳しい。私たちは、その場限りのいいかげんなことは申しません。次の時代に責任を持つ。そして地域から新しい日本をつくる」
石破総裁は、選挙戦の初日には「物価高・経済」を最も訴えていました。終盤の情勢分析では与党の過半数の議席維持が厳しい情勢となっていて、この終盤戦、最も訴えたのは政党や候補者のアピールでした。
第一声で「コメ政策」におよそ半分を費やした、立憲民主党の野田代表は…
立憲民主党 野田代表
「(今)どんどん、どんどん値上げラッシュ(の状態)。食料品では消費税8%かかっている、それを8→0にしようと。ガソリン税の暫定税率の廃止。物価高の折だからこそ、決断すべき時じゃありませんか」
半分近くを割いて訴えたのは食料品の消費税0パーセントなどの「物価高・経済」でした。
日本維新の会の吉村代表は地元・関西で演説しました。
日本維新の会 吉村代表
「身を切る改革をやり、改革で財源を生み出す。赤字を黒字に変え、そして未来に投資をする。これをやってきました。何をやったか、ぜひ見てもらいたい」
公示日と同じく「身を切る改革」など、これまでの実績をアピールしました。
目標の16議席を上回る可能性がある国民民主党は…
国民民主党 玉木代表
「日本に生まれた子供たちに『日本にようこそ』と言ってあげたい。偉そうに『困ってるんだったら2万円配ってやる』そうじゃなくて、取って配って無駄が生じるんだったら最初から取らない。取らないで残す、皆さんの懐に」
玉木代表は「物価高・経済」を最も訴えつつ、「教育・子育て」など他の政策に触れる変化もありました。
公明党は「改選14議席」の確保が厳しい情勢のなか…
公明党 斉藤代表
「今の状況は9回裏2アウト。皆様がバッターです。私もバッターです。どうか一緒に逆転ホームランを打とうじゃありませんか」
訴えに大きな変化がありました。「物価高・経済」について触れず、演説の7割が政党や候補者アピールでした。
堅調な戦いぶりのれいわ新選組は、一貫して…
れいわ新選組 山本代表
「れいわ新選組が1丁目1番地で、皆さんにぜひこれをやらせてくださいというのは、消費税の廃止です。消費税の廃止は可能です」
変わらず「消費税廃止」を掲げて、主に2つのテーマに絞って支持を訴えました。
不振が続く共産党の田村委員長は…
共産党 田村委員長
「まさに宝の議席です。今、追いついてきた。あと1歩、あと2歩、あと3歩、あと10歩どんどん広げて、この選挙、自民党に打ち勝っていこうではありませんか」
消費税の減税・廃止など「物価高・経済」が減り、現職候補のアピールなどに力を入れました。
支持を急速に拡大し、今回の参院選の“台風の目”となった参政党は…
参政党 神谷代表
「日本人なめるなよ。日本を愛する日本人をなめるなよ。日本を強くする。今までの戦後のやり方を全部変える、教育を変える」
「日本人ファースト」などの政党アピールが最も多く、また他の党の批判がおよそ2割にのぼるという特徴も見られました。
保守的な政策を掲げる日本保守党の百田代表。
日本保守党 百田代表
「日本人はね、世界最高の民族だと思いますよ。この日本人がね、これだけ一生懸命働いてるのに、その日本が30年間全く国民の所得は平均所得が上がらない」
「物価高・経済」や「外国人政策」が多い傾向は変わりませんでした。
そして、政党として後がない社民党…
社民党 福島党首
「社民党、崖っぷちの選挙です。2%比例区で取れないと、実は政党要件を失います。なんとしても国会に残り、憲法を守り、いかして生活を応援する」
福島党首は初日と変わることなく、「党の生き残り」などを強く訴えました。
このほか、「NHK党」「再生の道」「チームみらい」などが、選挙区と比例代表に候補者を擁立。参院選の投開票は、20日(日)に行われます。
※7月19日(土)午前0時05分(金曜深夜)放送『news zero』より
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
福岡市の自宅にて今年1月、医療的ケアが必要な長女・心菜さん(当時7歳)の人工呼吸器を外し殺害したとして、殺人の疑いで起訴された母親・福崎純子被告(45)。福岡地裁で今月11日、福崎被告の裁判員裁判が始まり、18日に懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の判決がくだされた。検察側の求刑は懲役5年だった。
心菜さんは「脊髄性筋萎縮症」と診断され、24時間態勢で介護が必要な「医療的ケア児」だった。弁護側は、母親がこれまで努力を重ね、命をつないできたことを考慮するよう求めており、猶予付きの判決はその要求が考慮された結果だと言える。
7月14日の公判で行われた被告人質問で、被告人は我が子の命を奪ってしまった苦しい胸のうちを明かしていた。その内容は、介護現場で起きている問題点の根深さを感じさせるに十分な内容であった。ライターの普通氏がレポートする。【全3回の第1回】
静寂に包まれた分娩室
7月14日の公判で、被告人はゆっくりとした足取りで証言台に立った。そして弁護人からの質問に対して、一言ずつ噛みしめるように答えていった。
31歳で結婚した後、子を授かりたいというのは夫婦の願いだった。しかし、初めての妊娠では胎児に異常が見つかり、中絶の判断をした。2度目の妊娠でも、胎児に同様の異常が見つかったが、紹介された病院でさらに検査をした結果、「中絶する理由はない」と言われたこともあり、正常期に通常分娩で出産した。
しかし出産直後、被告人はすぐに異常に気付いた。赤ちゃんの泣き声は聞こえず、医師も看護師も言葉を発さず、分別室は静寂に包まれたと、被告人はそのときの様子を伝える。心菜さんはすぐに別の部屋に連れて行かれた。
医師から、心菜さんは脊髄性筋萎縮症(以後、SMA)0型と診断された。身体を自身で動かすことはできない、呼吸器がないと生きられない、残された命は長くて2~3年などと聞かされ、夫婦で泣き崩れたという。
「心菜のためならできることはなんでもしてあげたい」
その後、心菜さんは生命の危険もあった肺炎を2度経験。そこで夫婦は、呼吸器のチューブを、ケアが容易となる喉からの挿入とする切開手術を決断する。出産当初は予後が厳しいという意見から、「手術で娘を傷つけたくない」とためらっていたが、心菜さんの「生命力の強さを感じた」ことから手術に踏み切った。
出産から2年ほど経ったころ、それまで1時間に数度鳴っていた呼吸器のアラームが、機器を変えたことにより半減し、自宅で看られると感じるようになった。その後、被告人は約10か月病院に寝泊まりして、機器の使い方、急変時の対応などを学んだ。
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も
7泊8日のモンゴル滞在から7月13日に帰国された天皇皇后両陛下。18年越しのモンゴルご訪問を成功させた雅子さまの表情は生き生きとしているように見受けられたが、年明け以来の激務で、疲れの色は隠せない。戦後80年にあたる今年、硫黄島、沖縄、広島、そしてモンゴルと、慰霊の旅を続けてこられ、帰国後は、つかの間のご静養の予定が組まれている。
「かつてないほどの公務の連続で、ご体調は“極限”に近かったと思われます。だからこそお休みもしっかりとっていただきたいというのが国民の思い。両陛下はこの夏、短いながら3度にわたってご静養をされる予定です。7月中に栃木県の那須で静養され、その後、8月に静岡県の須崎を経て、再び那須でのご静養が検討されているそうです。
実は、5月の連休中に一度、両陛下にご静養をしていただくというプランもあったのですが、結果的には見送りになりました。この先も8月の全国戦没者追悼式、秋の行幸啓と、雅子さまには重要な公務が待ち受けています。“後半戦”に備え、雅子さまにはゆっくりと体を休めてほしいと考えています」(宮内庁関係者)
そんな雅子さまにとって心強いことに、この夏の3度にわたるご静養には、すべて愛子さまも同行されるそうだ。
「8月は、愛子さまが勤務される日本赤十字社の青少年ボランティア課にとっては繁忙期です。実際、愛子さまは昨年8月下旬のご静養には同行されず、9月になってからようやくご静養に同行されました。
ただ、今年はご静養のタイミングを繁忙期から少し早めることで、愛子さまのお仕事も調整でき、夏季休暇を取得できるそうです。愛子さまも、年明けから国母としての重要な役割を完遂されてきた雅子さまをいたわって差し上げたいとお考えだったのでしょう。
3度のご静養にはすべて同行して、そばにいてあげたいという断固たる思いがおありだったようです。雅子さまにとっても、陛下や愛子さまとゆっくり過ごすことができれば、いいリフレッシュになるのは間違いありません」(前出・宮内庁関係者)
さらに、今回のご静養のスケジュールは、美智子さまへの配慮も行き届いているという。
「上皇ご夫妻も、7月と8月にご静養を予定されていますが、天皇ご一家が先んじることで、『ご一家よりも先に休まれるなんて』といった、美智子さまへの心無い批判を避けることができます。雅子さまと愛子さまはこうした点にまで、配慮を重ねていらっしゃるのです」(前出・宮内庁関係者)
那須は、今年6月に16才で天国へと旅立った愛犬・由莉の思い出が詰まった地でもある。2009年の夏、那須塩原駅到着後に、愛子さまが由莉を両手でしっかりと抱き上げられたお姿も印象的だった。
「その後も由莉はご一家のご静養にお供していますが、重量制限などの事情から、車での移動が基本となりました。普段は新幹線で那須に向かわれるご一家ですが、7月のご静養は、由莉と同じく車で移動されるそうです。車内では愛犬との思い出話に花が咲くのではないでしょうか」(皇室ジャーナリスト)
9月以降も長崎など地方へのお出ましが続く雅子さま。モンゴルからも思いをはせた愛子さまとのつかの間の休息で、ご公務への英気を養われる。
※女性セブン2025年7月31日・8月7日号
「顔色が悪い、教室で休みなさい」と女児を促し…不同意わいせつなど容疑で広島市立小教諭を再逮捕
小学校の教室で女児にわいせつ行為をしたなどとして、広島県警は18日、広島市立小教諭の男(39)(広島市)を、不同意わいせつや性的姿態撮影処罰法違反(撮影)などの疑いで再逮捕した。調べに「性的欲求を満たすためだった」と話しているという。
発表によると、男は5月30日、広島市内の小学校で、10歳未満の女児に「顔色が悪い。教室で休みなさい」とうそを言って無人の教室に誘い、椅子に座らせ、手で目を覆った上で、自身の下半身を露出するなどのわいせつ行為をし、その様子をカメラで動画撮影して保存した疑い。
男は6月、別の女児を椅子に座らせ、下半身を露出したなどとして、不同意わいせつ未遂などの疑いで逮捕された。広島地検はこの日、処分保留とした。
再逮捕を受け、同市教育委員会は「警察と連携をはかりながら事実関係を確認し、厳正に対処する」とのコメントを出した。
順天堂医院で胆管の内視鏡検査後に女性死亡、6300万円の賠償命令…「リスク説明なく」
順天堂大付属順天堂医院(東京都文京区)で2021年、胆管の内視鏡検査を受けた女性(当時72歳)が急死し、遺族が同院側と検査を担当した男性教授に約2億2000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は18日、計約6300万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。一場康宏裁判長は「検査の死亡リスクを教授から事前に説明されておらず、女性は緊急性が高くない検査を受けて死亡した」と述べた。
判決などによると、女性は20年12月、肝臓や胆管の状態を示す数値に変化が見られたため同院で診察を受けた。21年2月、教授による内視鏡検査を受けた直後に容体が急変し、2日後に死亡。死因は検査で引き起こされた「急性膵炎(すいえん)」とされた。
訴訟で教授側は「死亡するリスクは事前に説明していた」と主張したが、判決は教授と女性の面会時の録音記録などを基に、そうした説明はなかったと認定。教授が「検査は胃カメラのようなもの」と発言して女性や家族に検査の危険性を誤って理解させたとした上で、「リスクが適切に説明されていれば女性は検査を見送り、死亡という結果も招かなかった」と医院側の責任を認めた。
判決後、記者会見した女性の三女(50)は「医院側の対応を否定した判決に感謝している。医師の責任について社会全体で改めて問い直していただきたい」と話し、医院側に控訴しないよう求めた。同院は「主張が認められず残念だが、亡くなった患者様には心より哀悼の意を表する」などとするコメントを出した。
問題の検査を巡っては、国の医療事故調査制度に基づく指定機関「医療事故調査・支援センター」が昨年7月、「適切とは言い難い」とする報告書を同院と遺族に提示。遺族側は教授について業務上過失致死容疑での告訴状を警視庁に提出し、同12月に受理されている。
中毒死も…欧米で汚染が広がる合成麻薬「フェンタニル」 名古屋に原料密輸の拠点が存在したという疑惑の実態は?日本の病院では厳重管理
今アメリカやヨーロッパで問題となっている合成麻薬「フェンタニル」。
モルヒネの100倍とも言われる強力な麻薬で薬物汚染が広がっているんですが、なぜか名古屋が関係していると言われているんです。その実態を追いました。
持ち運ぶだけでもジュラルミンのケースで厳重に管理される物質、合成麻薬「フェンタニル」。
(大石邦彦アンカーマン) 「これは一体どんな患者に使うんですか?」 (名古屋市立大学病院 日比陽子 薬剤部長) 「手術の後で痛みが強いのを和らげるために薄めてゆっくりと投与します」
医療では鎮痛剤として、よく使われているフェンタニルですが致死量はたったの2ミリグラムと鉛筆の先端に載る微量で死にいたる「劇薬」。 今、世界で中毒や過剰摂取による死亡が深刻な社会問題となっています。
病院では厳重な管理が法律で義務付けられているフェンタニル。
(日比薬剤部長) 「こちらが麻薬管理室です」
その扉の前には常時監視するカメラも設置。その部屋の中に入ると…
(大石)「大きな金庫がありますが、この中にフェンタニルが?」 (日比薬剤部長)「そうです。厳重に管理ということで(金庫は)持ち出せない大きさになっている。床にくぎ付けになって動かせないようになっています」 (大石)「本当に微動だにしないですね」
フェンタニルの作用はモルヒネの約100倍
暗証番号を入力し、重厚な扉を開けると…
(日比薬剤部長) 「こちらに医療用麻薬が管理されています。フェンタニルは注射薬です。0.5ミリグラムと0.1ミリグラムの2種類があります」
フェンタニルは医療用麻薬の中でも特に作用が強く、モルヒネの約100倍とも言われています。
(日比薬剤部長) 「痛みがある患者さんが痛みを取るのに、適切な量を使っている限り依存にはならない。アメリカで問題になっているのは錠剤タイプ。一気に飲んでしまうと一気に吸収されて、一気に濃い濃度で体全体に広がってしまう。副作用が出やすくなると思う」
そして海外での乱用問題を受け、こんな懸念も…
(名古屋市立大学病院 日比陽子 薬剤部長) 「不安に思っている患者もいると思う。薬剤師として非常に気がかりでして。患者が痛みをとっていただくために、安心して使えるように願っています」
アメリカ・ペンシルベニア州の都市フィラデルフィア。フェンタニルの中毒者が特に多く、その路上は前かがみになって左右に揺れる人や、動かなくなった人であふれています。 その様子から、ここは「ゾンビタウン」とも呼ばれています。
全米に広がるフェンタニル汚染
また、反対側の西海岸、オレゴン州では去年、フェンタニルのまん延による非常事態が宣言されました。いまやフェンタニル汚染は全米に広がっています。
(フェンタニル中毒の女性) 「毎日使うよ。10ドル(約1500円)くらい。(Q.どうやって入手?)フェンタニルを持っている人なんて、どこにでもいる。誰にでも簡単に手に入るのが最悪だよ」
女性はフェンタニルを使用しないと、禁断症状で吐いてしまうほど依存しているといいます。
(フェンタニル中毒の女性) 「これ以上やりたくない、大嫌いだ。こうなると知っていたら絶対やらなかったのに」
こうした事態を受け、日本でも厚労省が都道府県などに対しフェンタニルの原料を扱う事業者への指導を通知。
愛知県は今月、26の事業所に立ち入り調査を行いました。
(愛知県 大村秀章知事) 「26全ての事業所で、違法な麻薬等の取り扱いが疑われる取引や海外の取引はありませんでした」
しかし、中国の犯罪組織がフェンタニルの原料をアメリカに不正輸出する拠点を名古屋に作っていたという一部報道があり、フェンタニル問題と日本との関わりに注目が。
関係先としてあがる名古屋市内の中国系企業は…
アメリカの駐日大使もSNSで、こう指摘しています。
(アメリカ ジョージ・グラス駐日大使の書き込み内容) 「中国からのフェンタニルやその前駆体化学物質の密輸には中国共産党が関与しており、我々はパートナーである日本と協力することで、こうした化学物質の日本経由での積み替えや流通を防ぎ、両国の地域社会と家族を守ることができます」
合成麻薬フェンタニルと名古屋に果たして関係があるのか。フェンタニルは原材料も厳しい規制対象になっていて、名古屋税関によると輸入品は中身を確認するため密輸のリスクは低いということですが…
(大石アンカーマン) 「港に船が立ち寄る程度、中継地点として利用される際は中身のチェックまでは行わないということです」
さらに、関係先として上がっている名古屋市内の中国系企業は、法人登記によると去年7月に解散手続きを完了し現在は閉鎖されています。一体ここで何が行われていたのか。 翻訳、通訳業など16ある事業目的の中には「化学品に関する輸出入」という記載も。
(近所の人) Q.どういう人が出入りしていた? 「付き合いはないけれど中国人かなと、この辺りの人は思っていた。4人くらいは見かけた。女性も1人いて中年くらいの人がゴミ出していた。(男性は)若い人もいたし中年くらいの人もいた」
日本でフェンタニルまん延の危険は…
日本にもフェンタニルまん延の危機が迫っているのか、専門家は…
(朝日大学 法学部・大野正博教授) 「現時点で(まん延の危険は)低いと思う。日本では海外からフェンタニルや原材料が入ってきても、税関だけでなく、海外に比べて医療従事者や薬剤師のチェックが非常に厳しいので、おそらく直ちに拡大する危険性は低いと思っている。絶対にないということではありませんので、これからも十分注意を払っていく必要はある」
医療には不可欠の麻薬「フェンタニル」。日本でも乱用の汚染が広がるのか。水際で食い止める取り組みが続いています。
万博で来日したベッセント氏との会談、石破首相は遊説減らして準備したが…関税の話題ほとんどなし
[ドキュメント 25参院選]
選挙戦が残り2日間となった18日、石破首相(自民党総裁)はこの日の遠方での遊説を滋賀県での1か所にとどめ、首相官邸にとんぼ返りした。来日した米国のベッセント財務長官と向き合うと、冒頭、にこやかに「いらっしゃいませ」と呼びかけ、友好ムードを演出した。
日本政府はこの日の会談を停滞する関税交渉の打開の糸口にしたいともくろんだ。日米の関税交渉で米側を統括するベッセント氏は会談終了後、記者団を目にすると、親指を立てながら、満足げな表情で官邸を後にした。会談は予定より10分長い約30分間に及んだ。
ベッセント氏の来日が固まると、政府は選挙最終盤の日程にもかかわらず、首相との会談の調整に入った。首相は17日も遊説先の長崎県から官邸に戻り、急きょ関係省庁の幹部と勉強会を開いて準備する念の入れようだった。首相周辺は「万が一、関税交渉がその場で動く時に備えてやるべき事前準備はした」と説明する。ただ、関税交渉の進展を参院選での追い風にしたいと期待した日本側と米側では会談に臨む温度差も垣間見られた。
ベッセント氏の来日は大阪・関西万博で開かれる米国の「ナショナルデー」への参加が目的で、面会への米側参加者は15人にも上り、ほとんどが関税交渉と無関係の政府関係者が占めた。出席者によると、関税に関するやりとりは少なく、安全保障協力の強化やウクライナや中東の情勢に関する話題に多くの時間を割いたという。
大阪の万博会場では19日、赤沢経済再生相がベッセント氏を案内する。関税措置の見直しに向けた働きかけのタイミングも探るが、具体的な打開策は見通せていない。政府関係者は「最大限のおもてなしをして、今後に期待するしかない」と語った。
参院選「“推し活化”する有権者たち」。ネットで調べる人ほど騙される?情報リテラシーのカギを握る“意外な存在”とは
来たる7月20日の投開票日を控え、後半戦に突入した参院選の選挙戦が白熱している。ただ、選挙の姿はかつてのそれとは大きく変化している――。 昨年、東京都知事選で前安芸高田市長の石丸伸二氏が下馬評を覆し、得票数2位に食い込む善戦を見せ、職員へのパワハラ問題で出直し選挙となった兵庫県知事選では、斎藤元彦前知事が大方の予想を裏切り再選されたように、今や選挙の趨勢を決するのはSNSだ。 読売新聞が6月27~29日に実施した世論調査によれば、「投票する候補者や政党を決めるときにSNSの情報を重視する」人は、全体の33%と、実に3分の1に上る。世代別では、18~39歳は66%にも達している。 だが、SNSには大量のデマやニセ情報が氾濫しているのも事実だ。さらに、AIの急速な進化によって、ディープフェイク画像や動画はより巧妙化し、一般人が判別することは難しい……。 ◆情報の受け取り手にあるべき姿勢 「情報の真偽をどう判断するべきか。最終的には身体性に委ねられる」――。 情報モラルやリテラシー教育に詳しい社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会専務理事の久保田裕氏は、意外な言葉を口にした。 「技術の発展によりデジタル化が進み、ビデオテープや紙の出版物などのアナログな物理メディアでは難しかった加工・改変が容易にできるようになった。一方で、情報の送り手・受け手である人間の脳は一昔前と変わっていない。つまり、ある情報がどう作られ、それをどう受け止めるかは、送り手と受け手の身体性によるところが大きいのです。 SNSなどデジタルメディアを使わなければニセ情報に翻弄されることはないが、そうもいかないでしょう。ただ、情報に接したときに人間がもともと持っている五感やシックス・センスまで総動員して、身体性をもって情報の送り手を判断すれば、十分なリテラシーを備えていなくても現在のような混乱を招かなかったのではないか」 SNSに潜むリスクは、莫大な量の真偽不明の情報だけに留まらない。 「膨大な情報を発信する巨大プラットフォーマーは、アルゴリズムによって受け手に最適化した情報ばかりが表示されるようになっている。例えば、右寄りの人は保守的なイデオロギーの情報ばかりに触れるようになり、思想はより右傾化していく。同時にリベラルな情報は表示されず、視野が狭まっていく。ネットやSNSでは、本人が知らないうちにこうした情報偏向を引き起こすフィルター・バブルが常に発生しています。 さらに、こうした状況下では同じ意見を持つ人々が集まるコミュニティが形成され、仮にそれが誤った意見でも強化されるエコーチェンバー現象も生まれてしまう」
深夜の路上で21歳女性に性的暴行を加えけがをさせた32歳無職の男「性的暴行行為の態様は悪質で重大」懲役6年6か月【判決詳報】
2024年9月、福岡市西区の住宅街で帰宅途中だった21歳の女性を暴行を加えて拒絶できない状態にして性的暴行を加えたうえ、けがをさせた32歳の無職の男に対し、福岡地裁は7月17日、「行為の態様は悪質で結果は重大」として懲役6年6か月の判決を言い渡した。
未明の路上での犯行、32歳男が女性に声をかけて犯行に及ぶ
事件は2024年9月26日の午前1時ごろに発生した。
無職の岩永凌被告(32)はコンビニエンスストアでの買い物を終え、自宅に向かって歩いていたところ、飲み会を終えて帰宅途中だった女性(当時21)を発見。
「大丈夫ですか」などと声をかけた。
女性は「大丈夫です」と答えて歩き始めたが、岩永被告は、女性の背後からその着衣の中に手を差し入れて胸をもみ、地面に転倒した女性の身体に覆いかぶさる暴行を加えた。
そして、拒絶できない状態にさせて、女性の唇にキスをし、性的暴行を加えた。
一連の暴行により、女性は加療約2週間を要する左肩打撲傷の傷害を負った。
被害後、女性は直ちにスマートフォンを使って友人に連絡して助けを求め、友人が呼んだタクシーで帰宅した。
翌日以降、女性は複数の友人に被害を打ち明け、約1週間後の10月3日に警察署を訪れて事件が発覚した。
検察側「被害者の証言は信用性が高い」7年の求刑
検察側は岩永被告に対し懲役7年を求刑した。
検察側は被害女性の証言には高い信用性があり、岩永被告が犯行に及んだ事実は明らかだと主張した。
検察官は被害女性の証言の信用性が高い理由として次の5つの要素を挙げた。
(1)被害状況についての証言が具体的かつ合理的であること
(2)被害女性は飲酒していたものの、酩酊の程度は低く、自己に起きた状況について十分に認識記憶できる状況にあったこと
(3)女性が複数の友人に打ち明けた被害内容はいずれも同じ被害内容であって一貫していること
(4)全く見ず知らずの人物である被告人に対して虚偽内容の被害状況を証言する理由が全くないこと、
(5)警察に被害を申告した経緯に不自然な点がないこと
弁護側「不同意わいせつ傷害罪成立」執行猶予付き判決を求める
これに対し弁護側は、岩永被告は一連の性交等行為をしておらず、不同意わいせつ傷害罪が成立すると主張し、執行猶予付きの判決を求めた。
弁護側は、被害女性が当時疲労と酔いのため通常と異なる状態だったことを指摘し、性被害を受けたにもかかわらず、事件後に入浴もせずに就寝したことから、女性の供述が思い込みや勘違いに基づくものであると主張した。
また、岩永被告自身が自分に不利な事実も供述しているのに対し、被害女性がそれらの事実を供述していないことを指摘し、岩永被告の供述の方が信用できると主張した。
弁護側は、被害女性の足が閉じられていた状況で短時間で性的暴行を加えることは困難であったにもかかわらず、女性の下半身に痛みやけががなかったことも不自然だと主張した。
裁判所「被害者の証言は信用できる」不同意性交等傷害罪を認定
福岡地裁(今泉裕登裁判長)は、被害女性の証言は十分に信用することができると判断。
岩永被告の性的暴行を認定した。
判決で福岡地裁は被害女性の証言が具体的かつ明確で、他の証拠と整合しており、思い込みや勘違いをしたり、殊更に嘘をついたりしているとは考え難いと指摘。
被害を受けた女性が事件直後から友人らに一貫して性的暴行被害を訴えていたこと、女性にとって岩永被告は見ず知らずの他人であり、不利な嘘の供述をする理由が想定し難いことなどを挙げ、女性の証言の信用性を認定した。
一方、岩永被告の供述については、内容が不自然、不合理であったり、合理的な理由がなく供述内容が変わっていたりする面があって、直ちに信用することができないと指摘した。
そのうえで福岡地裁は「岩永被告が被害女性を強引に付近の暗がりに連れ込んで抵抗を排除して犯行に及んでおり、わいせつ行為や性的暴行行為の態様は悪質である」「被害女性は見知らぬ男性に突如襲われて被害に遭い、プライベートな箇所を侵害され、けがも負っており、現在も怖くて夜一人で外を歩けないなどの支障が生じている。結果は重大」として岩永被告に懲役6年6か月の判決を言い渡した。
サウナ脱衣場で次々と盗まれる「高級ドライヤー」 ケーブル切られて20万円被害の店舗も
サウナやスーパー銭湯、スポーツクラブなどで備品の高級ドライヤーが盗まれる被害が発生している。持ち去り防止の対策をしていたにもかかわらず、電源ケーブルが切られて約20万円分が盗まれる事例も発生。ドライヤーの設置場所となる脱衣場には防犯カメラを設置しづらいことから、経営者は対策に苦慮している。
「ショックで言葉もありません」
6月5日、サウナ横綱本川越店(埼玉県川越市)が交流サイト(SNS)でドライヤーの窃盗被害にあったことを報告した。無残に切断された電源ケーブルの写真も添付されており、投稿を見た人からは「信じられない」と驚きの声が上がった。
同店によると、盗まれたのは海外メーカーのダイソン製ドライヤー3台で、1台6万円相当という。盗難防止のためにコンセントから抜けない仕掛けが施されていたが、ケーブルを切断して持ち去られた。さらに4日後のレディースデーには、営業開始からわずか1時間半ほどの間に2万円相当のヘアアイロン1台が盗まれた。被害額は計約20万円に上る。
オーナーの竹内太一さんは「高級ドライヤーはお客さまの満足のためにと思って設置したのに、盗まれてしまい残念。今は見回りを増やしているが、従業員の負担もあり限界がある」と苦しい胸の内を明かす。
近年、ドライヤーの高級化が進んでおり、昨年9月にはパナソニックが1台8万円を超える最上位機種を発売。シャープやダイソンなども競うように高価格帯のドライヤーを展開している。利用者サービスの一環として、サウナやスーパー銭湯、スポーツクラブの脱衣場のほか、ホテルなどにも設置されるようになったことで、窃盗被害が増えたとみられる。
住宅リフォームなどを請け負う「山喜住まいるホーム」(神奈川県厚木市)の吉田盛一社長は「2、3年前からドライヤーの窃盗対策の依頼が急に来るようになった」と明かす。
複数の銭湯やスポーツクラブから被害が発生しているとの相談を受け、ねじ止めした南京錠の掛け金部分に電源ケーブルを通すことで持ち去られないようにする対策を実施した。ただ、「翌日にねじを外してドライヤーが盗まれてしまった」(吉田氏)例もあったことから、現在は鍵付きコンセントカバーを設置するようにしている。
施工費は1カ所1万円程度だが、何カ所も行うことになれば施設側の負担は軽くない。また、ケーブルを切断されてしまえば持ち去りを防ぐのは難しくなる。
サウナ横綱の竹内さんは「プライバシーの観点から防犯カメラの設置は難しく、どうすればいいか悩んでいる。疲れを癒してリフレッシュしてもらうために頑張っているのに悔しい」と話した。(桑島浩任)