ハンセン病資料館で特別展 隔離政策、家族ばらばらに

国立ハンセン病資料館(東京都東村山市)は、国の隔離政策で深刻な差別を受けたハンセン病の元患者家族の証言を紹介する特別展を開催中だ。元患者家族らが2016年に熊本地裁に集団提訴してから今年で10年。訴訟に匿名原告として参加した70代の女性が、特別展で講演し「国の誤った政策により家族がばらばらにされた」と訴えた。
女性が2歳の時、母親がハンセン病を発症し熊本県の療養所に収容された。当時、国は官民で強制隔離を推進する「無らい県運動」を展開しており、「患者を見つけたら密告することが奨励され、家族や親戚は忌み嫌われた」と解説した。
母親は療養所で本名を捨てて園名を名乗り、高齢者の世話を強いられていた。ある時、母のきょうだいらが療養所を訪れ、母に「死んでくれ」と迫ったとも明かした。
やがて1歳上の兄もハンセン病を発症して療養所に入所した。国内で特効薬の使用が始まっていた時期で、長期収容は不要なはずだった。「家族だんらんの時間をなぜ奪ったのか。時間を返せと国や世間に言いたい」と力を込めた。

「大きなけがはしていないと思い…」 重傷ひき逃げ事件で77歳の男を逮捕・送検 札幌市東区

【速報】「大きなけがはしていないと思い立ち去った」53歳男性を車ではね逃走 77歳男を逮捕 札幌
札幌市東区で先月(2026年2月)、男性が車にはねられ、けがをしたひき逃げ事件で、77歳の男が逮捕・送検されました。
男は、「大きなけがはしていないと思い立ち去った」と供述しています。
ひき逃げなどの疑いで逮捕・送検されたのは、札幌市白石区の神内一広容疑者77歳です。
神内容疑者は先月(2月)26日、ワンボックスカーを運転中、札幌市東区の交差点を右折した際、 横断中の53歳の男性をはねてけがをさせたのにも関わらず、 その場から立ち去った疑いが持たれています。
男性は病院に搬送され左腕の骨折などの重傷です。
調べに対し、神内容疑者は、「ぶつかったのが人だと分かりました。大きなけがはしていないと思い、立ち去りました」と容疑を認めているということです。

自衛官の男がタクシー運転手殴打か「殴った相手が誰なのかわからない」支払方法めぐりトラブル 北海道

北海道・千歳警察署は2026年3月8日、傷害の疑いで、千歳市に住む自衛官の男(39)を逮捕しました。
男は8日午前5時50分ごろ、千歳市花園2丁目の道の駅で、タクシー運転手の80代男性の顔を複数回殴打する暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれています。
男性は顔から出血する軽いけがをしました。
警察によりますと、男はタクシーに乗車していて、目的地である道の駅で降車しようとしたところ、料金の支払い方法でトラブルになったということです。
当時、男は飲酒していて、調べに対し「正当防衛で人を殴ったが、殴った相手が誰なのかはわからない」と容疑を否認しています。

「NHK党『休眠』舞台裏」を元公設秘書が暴露…引き金となった「11.14会見」と勾留中の立花孝志が下した合理的判断

「NHKをぶっ壊す」――。永田町の異端児として旋風を巻き起こした「NHKから国民を守る党(NHK党)」が、失意の終焉を迎えたとして話題になっている。2026年3月3日、勾留中の立花孝志党首が下した「休眠」宣言が党の公式アプリや公式サイトなどで告知された。元NHK党の公設秘書でコラムニストの村上ゆかり氏がかつての仲間たちを取材し、裏側を暴く。
【画像】驚異の脱走能力をもつ立花孝志氏の愛犬・サスケ
引き金は「11.14定例会見」暴露された役員会の紛糾
多くの人にとってこの発表は「NHK党の終焉」と映っただろう。しかし、その実態は「解体」ではなく、立花氏という唯一の司令塔が戻る日を待つための、極めて現実的な「スリープモード」への移行であった。
本格的な引き金は、2025年11月14日の定例記者会見だった。
立花氏が逮捕された当時、党内は「立花氏の意思を引き継ぎ、党運営を進める」という明確なコンセンサスの下で結束していた。党規約に基づき代表代行に就いた齊藤健一郎氏は、本来、立花氏の意向を忠実に実行する役割を期待されていた。
だが、実務を代表代行として抱えていた齊藤氏は、独自の判断で立花党首の解任という組織改編を模索し始める。これにつき、同党の政調会長兼幹事長である浜田聡氏が、11月の定例会見において齊藤氏との役員会での組織改編の議論の一部を公にしたのである。
修復不能な亀裂の正体
この「暴露」に対し、齊藤氏側は猛烈な拒絶反応を示した。役員会での議論を合意なく一方的に外部へ漏らされたことは、齊藤氏にとって「共に党を守る戦友」からの致命的な裏切りに映った。「信頼関係が壊れた相手とは、もはや一歩も共に歩めない」という、人としての限界がそこにはあった。
一方で浜田氏には、「公党としての誠実さ」として貫く大義があった。NHK党は、情報の徹底した透明性と、立花孝志という象徴の下に集う有権者の熱量で成り立ってきている。
浜田氏からすれば、立花氏という軸を外す議論を公にせずに進めることは、NHK党の「自己否定」に等しいと考えたのではないか。
「信頼なき協力は不可能だ」と決断した齊藤氏と、「透明性こそが党の命」と信じた浜田氏。組織を維持するための「規律」と、党の定義を守るための「情報公開」という「正義の衝突」こそが、修復不能な亀裂の正体であった。
立花氏が逮捕される以前から、NHK党の財務体質は綱渡りの状態が続いていた。立花氏による「党費や寄付を一切募らず、必要なお金は借入金として集める」という方針に加え、政党の代表権争い(立花氏側と大津綾香氏側の対立)によって、国政政党であれば国から得られるはずの最大の収入源「政党交付金」が受け取れない状態に陥っていたからだ。
代表権騒動の影響から生まれた齊藤事務所への依存体質
独自の事務局を構える資金も、職員を雇う余裕もない。そんな極限状態の中で、党の中枢を実質的に一人で引き受けていたのが齊藤健一郎氏だった。
代表権騒動が起きてからは、齊藤氏が国から受ける「公設秘書」という人的リソースや「月100万円の調査研究広報滞在費(旧文通費)」こそが、NHK党の実務を回すための命綱だった。党の運営実態は、齊藤事務所に全面的に依存する状態が続いた。
この依存の実態こそが、齊藤氏の離党という事態において致命的な牙をむいた。齊藤氏が、崩れ去った人間関係の果てに選ばざるを得なかった「苦渋の決断」として離党を表明した瞬間、代わりの資金も実務部隊も持たない党は、一瞬にして活動不能な状況へと転落してしまったのである。
立花孝志という政治家の最大の特徴は、常人離れした圧倒的な行動力にある。
その手法は、とにかく手数を打ち、失敗の中から正解を見つけ出す「超・試行錯誤型」で、これはNHK党が国政政党になる以前から一貫している。その過程では、当然ながら明らかな失策や強引すぎる判断も多分に交ざるが、組織はそれを止める術を持たなかった。立花氏の直感と行動力を全面に活かす独裁構造は、立花氏の強みを最大化する一方で、暴走を食い止める「ブレーキ」を排除する側面も同時に持つ。
「ブレーキなき加速」が招いた必然の衝突
立花氏にブレーキをかけない。その危うさこそが、既得権益をなぎ倒すほどの「爆発力」を生んでいた。だが、かつて浜田聡事務所の公設秘書としてその熱狂の渦中にいた筆者は、今改めてその大きなリスクを痛感している。
結局のところ、この組織は立花氏という強烈な「中心点」に、それぞれが個別の「点」として繋がっていたに過ぎなかった。横の連携を持たず、中心一点の重力にのみ依存した構造は、極めて脆かった。目的を達成するための加速が、いつしか様々なリスクを置き去りにしてしまった。
事態をさらに深刻化させたのは、前述した「党費も寄付も募らない」といういびつな資金調達の方針だ。代表権騒動による政党交付金の停止という逆風下で、借入金に頼り、実務や人的リソースのすべてを齊藤事務所に全面的に依存する形である。この方針も立花氏のこだわりの一つだ。
立花氏は「たとえ自分が不在でも、組織は設計図通りに自律して回転し続けるはずだ」と主張していた。
「未契約者・不払い者」への対策を強めるNHK
しかし、それは致命的な誤算だった。立花氏が「組織を動かす歯車」だと思っていた人々は、実際には立花孝志という強烈な「重力」一点によってのみ繋ぎ止められていた、独立した個々の集まりに過ぎなかったのである。重力が消えた瞬間、自律するはずだった党の運営は一瞬にしてその形を失った。
立花氏という絶対的な存在がいなければ消えてなくなる、極めて属人的な仕組み――それが、NHK党という組織の正体である。
NHK党が内紛という泥沼の中で「休眠」という深い眠りにつこうとしている間、対峙していたはずの巨大組織・NHKは決して手を止めてはいない。むしろ、立花氏の逮捕後にその動きは加速し、受信料の「未契約者・不払い者」への対策を強めている。
その象徴が、裁判所を介した「支払督促」の強化だ。NHKが公表しているデータによれば、2025年10月以降、NHKは受信料特別対策センターを設置するなどの強化を行い、2026年度の支払督促申立件数は過去最多2000件超の見通しと発表している。
全国的に見れば未だ件数は少ないとはいえ、突然届く裁判所からの「特別送達」の封書は、一般市民にとって大変な心理的圧迫となる。
勾留中の立花氏による合理的な判断
このような中で、今回の党の休眠に伴い、党の公式アプリはその姿を消した。しかし、これは実は大した出来事ではない。実態として、これまでも党のアプリはほとんど利用されておらず、維持コストに見合う価値を失っていたからだ。
不必要な枝葉を落とし、限られたリソースでコールセンターという「根幹」の維持に集中させる。このスリム化こそが、立花氏不在という異常事態を乗り切るための、勾留中の立花氏による合理的な判断だ。
現在、そのコールセンターの運営を支えているのは齊藤事務所だ。党が休眠状態にあっても、受話器の向こう側で支持者を支える秘書たちの奮闘は続いている。また齊藤氏は離党後も「立花党首から預かった議席」としてNHKのスクランブル化(受信料を支払った契約者のみが視聴できるようにする)を目指すと述べている。立花氏から預かったバトンを、形を変えてでも繋ぎ止めておく。その「待機姿勢」こそが、現在のNHK党の真の姿である。
NHK党が国政政党になった2019年当時、「NHKをぶっ壊す」という叫びは、既存の政治に閉塞感を感じていた多くの人々に、ある種の「希望」と「カタルシス」を与えた。 齊藤氏も、浜田氏らも、立花孝志という唯一無二の存在を軸にした、お互いの正義や価値観による「すれ違い」の中にいた。だが、このいびつな組織構造こそが、立花孝志という政治家の本質そのものでもあったのではないか。
「休眠」という名の復活宣言
圧倒的なカリスマで人を惹きつけながら、自分がいなければ1日も維持できないほどに属人化された組織。ブレーキのない加速を続け、曲がれなくなれば自分ごと激突する。その圧倒的な力があったからこそ、NHK党という国政政党を築き上げた。
その反面、脆さも、強引さも、そして土壇場で放り出されたような形になってしまったこの結末も、すべては「立花孝志」という人間が持つ磁力の裏返しなのである。
「休眠」とは、いつか目覚めることを前提とした言葉でもある。
齊藤氏と浜田氏ら役員間の正義は激突し、信頼は砕け散ったかもしれない。しかし、その視線の先にあるのは、常に「立花孝志の帰還」という一点であることは変わらない。
最も疲弊しているのは、日々、NHK受信料について切実な不安を抱える人たちからの電話に応対し続けている現場のスタッフたちだろう。立花氏が逮捕され、党の看板が揺らぎ、責任の所在が曖昧な中で、彼らは今も矢面に立ち続けている。そして、NHK党が休眠したことで党の支持者たちは、立花氏の帰りを待ちながら、不安な日々を送っている。
勾留中の立花氏と接見した弁護士によれば、現在の立花氏は勾留生活においてパワーを溜めている状況だという。誰にも真似できない派手な打ち上げ花火を上げた男は、今、静かに再始動の時を待っている。
自らが生み出したこの「景色」を見て、勾留中の立花氏は一体、何を思うのか。そして、彼が再び外の空気を吸い、党を再起動させた時、NHK党はどのような姿で私たちの前に現れるのか。その答え合わせができる日は、まだわからない。
文/村上ゆかり

いじめ被害記した卒業文集、中学校長が書き直し要求「一つぐらいは」

福島県郡山市立中学校に通う中学3年の女子生徒が卒業文集に寄せる作文に自身が受けたいじめの被害について書いたところ、校長が書き直しを命じたことが関係者への取材で判明した。
生徒は2025年10月から不登校になっているが、学校はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」とみなさず、調査もしていない。
生徒側は「いじめをなかったことにしたかったのではないか」と憤っている。
関係者によると、生徒は25年12月、担任から作文の執筆を依頼され、2年生に進級した時に始まったいじめについて記した。
<皆さんのせいで、私の時間と心は確実に傷つきました>と心情をつづった。
後日、学校に呼び出され、校長に「一つぐらいは楽しかったことがあるはずだ」と作文の書き直しを求められた。
生徒は泣きながら「うそは書いていない。これが、私の頑張ってきたことです」と拒否したという。
保護者が抗議したことで、作文はほぼそのまま掲載されることが決まった。
生徒は母親に「校長先生はいじめをなかったことにしたいのかと感じた」と話したという。
中学校側は毎日新聞の取材に、作文を書き直させようとした理由を「大人になって読み返してから後悔しないよう」にという教育的配慮だったと説明した。【根本太一】

《東日本大震災、被災地の現在過去未来》老舗の食堂、桜の名所、大きな海…「震災前の記憶といまの風景を縫い合わせてくれるものがあるからがんばれる」地域活動家が考える復興のカギ #知り続ける

国内観測史上最大規模のマグニチュード9.0。15年前の2011年3月11日、14時46分、東日本を襲った大地震による死者・不明者は約2万2000人におよぶ(2024年3月時点)。失われたのは大切な命だけではない。豊かな海、実りをもたらす田畑、何気ない日常が広がっていた町──ふるさとの景色は一変した。15年という年月は、果たして長かったのか、短かったのか。たとえどれだけ復興が進んでも、戻らないものは多い。報道の数は減ったが、私たちが思いをはせ続けること、忘れないこと、それが未来への教訓をつなぐ。
震災前の記憶といまの風景を縫い合わせる「カギ」
「愛する地元の港が壊れてしまった1度目の喪失感の後に、復興が進んで見慣れないふるさとが完成したことで、2度目の喪失感がありました」
こう語るのは、福島県いわき市出身の小松理虔さん。テレビ局の報道記者などを経て、15年前のあの日は地元の木材会社で働いていた。
「海から500mほどの場所にある自宅は浸水をまぬがれたものの、隣にあった祖母の家は半壊。幸い家族はみな無事でしたが、原発(福島第一原子力発電所)がどうなるかは不透明。自宅待機命令が出されている間は、もう世界が終わるような絶望感が充満していました。
港のそばにはぐちゃぐちゃになった車が大量に丘に上がっていて、浸水した町全体が臭かったのを覚えています。普段はにぎわう道路には人も車もほとんどいないゴーストタウン状態。誰もがどうなってしまうのかという不安でいっぱいだったと思います」(小松さん・以下同)
震災から、1日、1か月、1年、どんなにつらくても前を向くしかない、徐々に立ち上がろうとあがくも、原発事故の風評被害は想像を超えていた。外からの視線は冷たかったという。2012年から働き始めたかまぼこメーカーのPRで上京した際にも、風当たりの強さを感じる一幕があった。
「『食べて応援する』と言ってくれたかたはたくさんいて本当に救われました。でも、面と向かって『放射能を浴びた福島のものなんか絶対食べない』と言われることもあれば『毒をばらまくな』というメールもあった。漁業と観光業は特に厳しい状態が長く続きました。修学旅行でも親が”放射能を浴びせたくない”と反対すると、学校は対応せざるを得ない。
岩手や宮城に比べると死者や行方不明者の数は多くありませんが、福島は原発事故の影響で問題が長期化してしまったのです」

収賄罪の小田原市部長、茶封筒の中身を問われ“甘~い”返答…剣道七段が脇の甘さ露呈【裁判傍聴記】

市役所の部長が建設会社関係者から商品券20万円分を受け取ったという、古典的で単純な収賄事件だ。収賄罪に問われた神奈川県小田原市の環境部長(当時)、H被告(59)に対する被告人質問が、横浜地裁で開かれた。1989年に入庁し、約37年となるH被告。秘書室長などを経て2024年7月から環境部長の任にあった。贈賄側にあたるM建設の営業部長(当時)、E氏(62)=贈賄罪で起訴=とは約10年前に職務を通じて知り合った。H被告は、剣道七段という“凄腕”でもある。H被告が指導する道場にE氏の妻が通っていた縁で、E氏ともプライベートで親交を深めていったようだ。「『剣道』というキーワードが、僕の人生の大半を占めてきた」。剣道の最高段位は八段で、七段はそれに次ぐものだ。段位について弁護人に問われたH被告は、「七段の取得は最速でも38歳くらいですが、それは警察官とか専門的に剣道に取り組んでいる人たち。(被告が)42歳で取得したのは、そうした方々を除けば早い方だと思います」。剣道に対する自信と誇りがうかがえる。ただ、法廷にたたずむ被告の姿からは、「剣道」でイメージできるような気迫や剛健さはみられない。やつれて、疲れたような表情はやはり事件で“一本取られた”影響だろうか。H被告は2度にわたり商品券を受け取ったとして起訴された。1度目は24年8月。市役所の執務室でE氏から1000円の商品券100枚が入った茶封筒を受け取った。2度目は25年2月。この時も同様に1000円100枚で、ともに後日、換金して自宅の修繕費などに費消した。1度目はM建設が請け負った住宅新築工事に絡む下水道の延伸、2度目はM建設社長の息子が取得予定の土地近くにあるゴミ集積場の移動について、E氏がH被告に相談。H被告が担当部局に働きかけて延伸や移動を実現させたことへの謝礼の趣旨だとされる。「封筒を差し出されて、何度か断ったのですが、執ように受け取りを懇願されて、『個人的にお世話になっているから』と言われて、受け取ってしまいました」。H被告は1度目の受け渡し状況について、こう説明した。「忙しくもあり、その週末に剣道の八段審査もあって追い詰められて」いたため、すぐには封筒の中身を確認することなく机の引き出しにしまった。昇段審査を終えて中身を確認したら商品券だったため「まずいな、と感じて」返却しようと思ったものの、「日が経ってしまっていて、今から(返すの)では申し訳ない。Eさんを裏切るような形になってもいけない」と考えて、商品券は約1か月後に金券ショップで換金した――というのが法廷でのH被告の言い分だ。
市役所の部長が建設会社関係者から商品券20万円分を受け取ったという、古典的で単純な収賄事件だ。収賄罪に問われた神奈川県小田原市の環境部長(当時)、H被告(59)に対する被告人質問が、横浜地裁で開かれた。
1989年に入庁し、約37年となるH被告。秘書室長などを経て2024年7月から環境部長の任にあった。贈賄側にあたるM建設の営業部長(当時)、E氏(62)=贈賄罪で起訴=とは約10年前に職務を通じて知り合った。H被告は、剣道七段という“凄腕”でもある。H被告が指導する道場にE氏の妻が通っていた縁で、E氏ともプライベートで親交を深めていったようだ。
「『剣道』というキーワードが、僕の人生の大半を占めてきた」。剣道の最高段位は八段で、七段はそれに次ぐものだ。段位について弁護人に問われたH被告は、「七段の取得は最速でも38歳くらいですが、それは警察官とか専門的に剣道に取り組んでいる人たち。(被告が)42歳で取得したのは、そうした方々を除けば早い方だと思います」。剣道に対する自信と誇りがうかがえる。
ただ、法廷にたたずむ被告の姿からは、「剣道」でイメージできるような気迫や剛健さはみられない。やつれて、疲れたような表情はやはり事件で“一本取られた”影響だろうか。
H被告は2度にわたり商品券を受け取ったとして起訴された。1度目は24年8月。市役所の執務室でE氏から1000円の商品券100枚が入った茶封筒を受け取った。2度目は25年2月。この時も同様に1000円100枚で、ともに後日、換金して自宅の修繕費などに費消した。
1度目はM建設が請け負った住宅新築工事に絡む下水道の延伸、2度目はM建設社長の息子が取得予定の土地近くにあるゴミ集積場の移動について、E氏がH被告に相談。H被告が担当部局に働きかけて延伸や移動を実現させたことへの謝礼の趣旨だとされる。
「封筒を差し出されて、何度か断ったのですが、執ように受け取りを懇願されて、『個人的にお世話になっているから』と言われて、受け取ってしまいました」。H被告は1度目の受け渡し状況について、こう説明した。
「忙しくもあり、その週末に剣道の八段審査もあって追い詰められて」いたため、すぐには封筒の中身を確認することなく机の引き出しにしまった。昇段審査を終えて中身を確認したら商品券だったため「まずいな、と感じて」返却しようと思ったものの、「日が経ってしまっていて、今から(返すの)では申し訳ない。Eさんを裏切るような形になってもいけない」と考えて、商品券は約1か月後に金券ショップで換金した――というのが法廷でのH被告の言い分だ。

やっぱり高市首相の「外国人政策」はおかしい…「人手不足」とウソをつき「安い移民」受け入れを進める黒幕の正体

外国人労働者がいないと社会が崩壊する――。
こんな言説が支配的だが、経産省が1月26日に発表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」は、この大前提を真っ向から覆すものだった。同レポートによれば、現場人材や生産工場従事者、AI・ロボットなどの利活用人材は大きく不足するものの、合理化や事務職における437万人の余剰分などの雇用流動を加味すれば、2040年時点でも「大きな人手不足は生じない」と結論付けている。
しかし、高市早苗政権の方針は真逆の対応だった。レポート発表のわずか3日前の1月23日の衆議院解散直前の閣議決定では、特定技能の対象分野に「リネンサプライ」など3分野を新たに追加。外国人労働力の供給をさらに拡大する決定を下した。これは、同分野で働く日本人労働者の賃上げを抑制する要因ともなる。
しかも、28年度末までの育成就労と特定技能1号における123万人の上限値は、1号から移行可能な「特定技能2号」への“移行組”は除外される数字であり、上限と言えるかは微妙だ。
この「2号」は更新回数に上限がなく、養子を含む家族帯同や永住権、帰化申請も可能な在留資格だ。23年に対象業種が2→11分野に拡大された結果、本格的に増え始め、25年11月末時点で6744人(24年11月末で673人)となった。特に飲食料品製造業や外食業という“参入障壁”が低いとみられる2分野だけで全体の41%を占める。試験の対策も進み、高い合格率を宣伝する支援組織もある。
入管庁の調査では在留外国人の永住志向は61.8%であり、「留学→技人国・高度専門職→永住者」ルートが金銭的に難しい移民希望者は外食など、「2号」の容易な分野を目指すことになるだろう。政府がいかに移民政策であることを否定しても、制度は事実上の移民目的での在留を可能にしている。
特定技能や技能実習(27年から育成就労)の在留資格で働く外国人の月収は、20万~24万円程度と低い。原則として、外国人労働者は同じ職場の日本人と同等以上の待遇が求められるが、受け入れ先の63%は利益率が3%程度と低い小規模事業者であり、賃上げの原資が乏しいのが実情だ。
本来、人手不足に直面すれば、企業は価格転嫁による賃上げや合理化を行い、余剰傾向にある事務職などから人材を集めざるを得ない。しかし、政策的に安価な労働力(外国人労働者)が供給されると、こうした市場原理による賃上げの必要性がなくなってしまう。つまり、日本人目線では、外国人労働者が働く職場では「外国人並の賃金水準」となりうるのだ。
その結果、日本人労働者の離職が加速する。やがて外国人労働者ばかりの職場になってしまい、彼らへの依存状態ができあがってしまう。これが、いわゆる「外国人がいないと回らない職場」の正体だ。また、例えば同地域にある介護事業所で、過半数が外国人の事業所と日本人ばかりの事業所が存在すれば、“経営合理性”のもと、「日本人排除」すら進みかねない。実際、SNS上ではこうした事例が報告される。
問題は「本当に労働力の不足分野の解消手段が外国人以外にないのか」だ。かつて高度経済成長期の有効求人倍率は1.6超と25年の1.22を大きく上回る水準であったにも関わらず、外国人受け入れ政策に頼らず、機械化や、労働市場メカニズムに従った賃上げで労働力不足を補い、現在のようにコンビニやチェーン店がない不便な面もあったが、国民の実感が伴う経済全体の強さと豊かさが実感されていた。
それを考慮すると、現在の人手不足の解消に、国民に受け入れ負担をもたらし、賃上げ要因が政策的に阻害される「外国人の受け入れ」以外に手段がないという「非代替性」の証明は一切ないのだ。あるのは、労働力供給の一部を人質に取ったかのような「外国人がいないと回らない」という一種の“脅迫”だけだ。
もちろん、外国人が異国の日本で懸命に働く姿は立派だ。しかし、その光景の本質は、「外国人が日本を支えている」という美談ではなく、本当に支えているのは企業が日本人への賃上げを回避することで得られる利ザヤだ。
実際、過去10年で、実質賃金は右肩下がりの一方、国内企業の「稼ぎ」、すなわち営業利益率の上昇幅は、およそ1.5倍に拡大している。その一部に外国人労働者の受け入れ政策が寄与している可能性が考えられる。
当たり前だが、企業活動はボランティアではなく、利益を得ることが目的だ。日経新聞が昨年11月に行った社長アンケートで、実に9割超が外国人労働者受け入れに賛成だったのも頷ける。
昨年10月時点で、外国人労働者は257万人と、過去最高となった。一方で日本の労働力人口も増加し7004万人と、初めて大台を突破した。外国人労働者の比率は3.6%であり、これには日本の人手不足業種だけでなく、インバウンド関連など単純に外国人経済圏を支える労働力も含まれる。彼らがいないと国民生活が立ち行かなくなるというのは、オーバーな見立てではないか。
ちなみに総人口がほぼピークの2008年の労働力人口は、6675万人で、外国人労働者は48万人だった。近年は高齢化を背景に、女性や高齢者の医療や介護分野での就労が増えたのが増加要因とされる。
少なくとも現時点では、労働力不足というより、「賃金不足」による雇用流動性の阻害がその原因と考えるのが自然だ。たしかに、賃金上昇が著しい建設分野など、若者の労働力が必要な業種は、外国人労働者の受け入れを正当化できる。しかし、平均賃金を大きく下回るような職場での受け入れ政策は、「日本を支えている」のではなく、人件費(賃上げ)の抑制という企業の収益性を助けているようなものだ。
しかも、そこには大きな不均衡がある。外国人を〈労働者として〉受け入れる企業側は、賃金上昇が限定的な彼らが増えれば増えるほど「利益」につながり、その受け入れコストに対してすら、税金から助成金まで出る手厚さがある。しかし、彼らを〈地域住民として〉受け入れる国民にとって、外国人住民の増加に比例して膨れ上がるのは利益ではなく「負担」だ。
賃金水準が低い外国人労働者は公的負担も必然的に低くなるが、公的サービスの利用条件は国民と変わらない。
例えば、外国人の子どもが保育園に行けば、日本人と同様に相当な公費が使われる。東京都江戸川区のHPによれば、0歳児では一人当たり月42万円、2歳児でも月21万円の経費がかかるといい、その大部分は公費負担だ。小学校では外国人児童の増加に伴う多言語対応の負担で、日本人児童の教育の機会に悪影響が及んでいると指摘されている。
もちろん公立学校に来る外国人児童には一切、罪はなく、これらは若い外国人を受け入れる以上、必然的に発生する負担だ。要は、企業側に低コストの恩恵をもたらす一方、国民側には高負担のツケを回すという「非対称性」が極めて大きい受け入れ政策自体に問題があるのだ。
また、国籍を問わず、若い低所得層は統計的に犯罪性向が高い。外国人労働者の受け入れ政策はこうした属性を増やす政策でもあるが、その被害者の多くは、受け入れ側の日本国民だ。
そして、外国人労働者は低賃金水準の存在として社会に固定化され、“階層”ができあがる。同時に、外国人労働者の出身国は、日本文化との親和性ではなく賃金格差で決まるため、必然的に社会通念や文化的背景が大きく異なる途上国が多くなる。
今後、人口や賃金格差の面から受け入れが増えるとされる地域は、インドやイスラム圏、アフリカ圏などだ。すでにパキスタンとは19年に技能実習の協定を締結。インドとの50万人の“交流事業”においては、「特定技能」の全分野でインド国内における試験センター設立などが努力目標として外務省資料に記載されている。
また、現地の送り出しプログラムを通じて、出発前の職業語学訓練も補足的に提供するなど推進政策がとられている。これらの交流事業には、山梨など9自治体が参画。観光等、短期滞在の査証免除が認められていない国々の出身者を、地域住民として受け入れようとしているのだ。
もちろん、「労働者」としての彼らは、母国との比較において低賃金であっても納得して働くが、「地域住民」としての彼らには、日本の文化や社会通念に従うインセンティブは低い。賃金水準が低い環境で働いているのに、日本に倣って「郷に従え」と言うのは、虫が良すぎる話かもしれない。今後、彼らの“同胞”の数が増えていき世代も経ていけば、なおさらだろう。彼らも日本人と恋愛したいし、文化の違いからトラブルになるのは、当然の帰結だ。
外国人の人権を尊重することは大切だ。しかし、際限なく彼らの権利を保障していくと、必然的に社会リソースをめぐって日本人と競合関係になってしまう。現在の共生政策は、開拓地を他の開拓民と分け合うようなものではなく、自国の土俵で文化や社会資源を一方的に外国人に「譲歩」しているのが実態だ。期待とともに来日する外国人も、人間として当然に有する主体性がある以上、彼らも「補完」ではなく「交換」を目指すのは当然だからだ。
例えば、外国人が増えた地域であっても、大抵は日本人も住んでいる。文化が異なる外国人が増えると必然的に昔から住む日本人住民にとっては居心地が悪く感じる。そして日本人は転出するようになり、やがて外国人街が形成される。
人手不足の企業は政治家に陳情できる機会はあっても、受け入れ負担に悩む住民の声が政治に反映されて、受け入れ自体が撤回されることはほぼない。ナイーブな問題に声も上げられず、政策が原因で変わってしまった居住環境により、住み慣れた地域を後にした人に「共生しようとしなかった偏狭な人間」と批判するのはあまりに酷だ。しかし、これらの光景は埼玉県川口市の一部など、各地で増え始めている現実なのだ。
地域や社会の分断は「煽られて」発生したものではなく、企業側の要望に偏った、政府による「持ち込まれた“分断政策”」の結果とも言える。外国人の受け入れ政策は本来、いずれ“移民の国”になるという、不可逆の覚悟が必要なのだ。問題は、政府や自治体が共生政策の理想を謳うだけで、どんなデメリットがあるのか、説明すらないことだ。日本中の自治体に外国人街を増やしていくことが共生推進なのだろうか。
このような受け入れ政策に、国民が不満や不安を口にすると、「多文化共生」への反抗と受け止められ、排斥・排外主義や差別主義のレッテルすら貼られてしまう状況となる。しかも、本来は、社会の分断や格差社会、企業の利益主義を批判するはずのリベラル陣営まで、こうした政策を積極的に推進しているのはなんとも皮肉だ。
どうしても混乱が避けられない外国人の受け入れ政策を実施する前に、まずは十分に生かされているとは言えない国内労働者の雇用流動を促すことが先決だろう。日本の労働市場にはまだまだ「余力」がある。全体の実質賃金が下がっていることを説明するように、就労人口のうち最も多い事務系職種は、有効求人倍率が0.3倍という狭き門であり、余剰感すら強い。
11年の内閣府の調査では、社内失業者数は当時の労働者の8.5%にあたる465万人であり、現在では500万人を超えるという見方もある。また、伊藤忠総研は23年に「『年収の壁』で就業調整する非正規労働者は445万人、賃金上昇に応じた引き上げで労働力は2.1%拡大」とのレポートを発表。「年収の壁」の調整だけでも、外国人が現在働く労働力不足分野の大半をカバーできるとの見方も示されているのだ。
そして目下、AIによる事務職のリストラはすでにアメリカで苛烈であり、日本でも名だたる大企業を中心に黒字リストラが進んでいる。そこで注目されているのは「ホワイトカラーのブルーカラーシフト」だ。人材サービスのレバレジーズの調査では、ブルーカラー職への転職で約4人に1人、20~30代では約4割で年収が増加したという。しかも、このうちの約3割は100万円以上の増加だったという。ただ、このブルーカラー需要ですら、いつまで続くかは未知数になってきている。
AIやロボットの活用による省人化、無人化の大波が押し寄せてきているからだ。例えば外食チェーンでは配膳ロボットはもはや日常的になりつつあるが、大阪王将では数年前から炒飯やレバニラなどの炒め物を自動で調理するロボットが稼働。調理のムラといった属人化による弊害も防いでいる。
農業分野でも自動収穫ロボットが大規模農園などで導入が進んでおり、実習生からロボットに切り替える農園も現実に増え始めている。建設や物流、そして介護分野でもロボットの開発や導入が急ピッチで進んでいる。
特に、ロボット分野は近年、AIが機械を自律的に制御する「フィジカルAI」の流れが広がり、技術進展のスピードが急速だ。人手不足解消の決定打となりそうな「人型汎用ロボット」の開発も急ピッチに進められ、すでにアメリカではベンチャー企業「1X Technologies」が家事用ロボット「NEO」を300万円程度で年内に販売開始予定だ。
労働時間に制限がないロボットは「人型」でも、時給換算では数百円以下になると見込まれている。償却資産の設備となるロボット導入は人間を雇うより、コスト・税制的にも圧倒的に有利で、今後は飛躍的に導入が進むと見られている。
特に大人数が一カ所で単純作業をするような職場は、急速にロボットに置き換わる可能性がある。大手コンサルのマッキンゼーは、AI技術の浸透で、2030年までに世界の労働時間の3割が代替可能だとの予測を出しており、この波は止まらないだろう。「どうしても人がやらないと」と見られていた分野ですら、どんどんAIやロボットに置き換わり、その普及スピードは、労働人口の減少スピードより明らかに早いのだ。
まずは、日本人の雇用環境を整備して賃金や待遇をあらため、眠れる国内の労働力を活用する。そして、AIやロボット化で合理化を進める。その上で、さらに労働力不足が起きた際に、外国人労働者の受け入れを検討するのが正しい順番ではないか。
百歩譲って、労働人口が足りなくなったとしても、外国人で補い、国内に多くの外国人住民を受け入れ続けることは、企業にとって労は少なくても、国の形や特徴を大きく変えてしまうという国民側のデメリットがとてつもなく大きい。であれば、コンビニやチェーン店の数が減り、商品の種類が減り、世の中がどんどん不便になったとしても、「日本人の国」でいるほうを望む声も多いはずだ。
現在、高齢化率は約30%である。人口問題研究所(厚労省)によれば、ピークでも2070年頃の40%だという。その時、外国人が増えていなければ日本は本当に崩壊するのか。この“先行指標”となりそうなのが秋田だ。同県では高齢化率がすでに40%であり、男鹿市では53%となっている。一方で、秋田県の外国人は人口(6097人)、比率(0.67%、東京都=5.46%)とも全国最下位であり、「日本人だらけ」の、今や珍しい自治体でもある。
外国人の手をほとんど借りていない秋田のような地域であっても、少なくとも「崩壊」することなく、たとえ不便でも相互扶助をしながら順応した暮らしがある。たしかに、秋田県民の暮らしは経済的には地方交付税交付金や国内の物資・物流に大きく依存している。しかし、それは、高齢化率の問題というより昭和時代から続く、地方から人と経済を吸い上げる大都市集約型の経済構造の結果でもある。
少なくとも、医療、介護を含めて、現地のライフラインの大部分は秋田県民の手だけで賄えているのである。むしろ、地方との経済が途絶えて本当に困るのは、食料自給率が180%以上、米の自給率800%超の秋田のような農業県から、手ごろな金額で野菜や米を買う自給率1%以下の東京のほうだろう。
秋田では、最新のAI・DX技術を取り入れた合理化が全国でも特に進んでいる。例えば、成瀬ダム(東成瀬村)建設は世界最大規模の無人化・省人化技術が活用されている。現場では、鹿島建設が開発した自動施工技術「A4CSEL(クワッドアクセル)」が導入され、10台以上の無人重機が数年前から稼働している。
米作では、田んぼへの直接種まきが可能な農業用ドローンを秋田県の東光ホールディングスが開発した。これは、「苗を育てる手間が省け、人が田んぼに入る必要すらなくなる」という、大幅な省人化とコスト削減を可能にする革命的といっていい製品である。同社は今後数年で年間1000台の販売を目指すという。これ以外にも、AIなどを活用した秋田発の合理化事例は多い。
そんな秋田で外国人の参入分野とも重なる最低賃金が近年、急ピッチに上昇している点も見逃せない。25年度の最低賃金引き上げ率は、熊本、大分に次ぐ、全国3位となる8.4%の1031円となり、今や仙台市を擁する宮城県の1038円とほぼ並んだ。近年の伸び率は特に23年に掲げられた最低賃金引き上げの政府目標の影響も強いが、それ以前からも、秋田をはじめ、外国人比率2%以下の都道府県の伸び率は高かった。10年間の伸び率では、東京都の35%に対し、秋田県は48%となり、伸び率の勢い差は37%だ。
秋田では、どう「外国人を確保するか」ではなく、どう「合理化」するかに苦心した結果、実際に賃上げや新たな技術が誕生している。社会には外国人の受け入れ負担ではなく、技術進展という付加価値と、労働者の賃金増加がもたらされているのだ。
そもそも人手不足の問題は、人口減そのものではなく、人口逆ピラミッド構造に対する「適応力」の問題である。具体的には高齢者の健康寿命と平均寿命の間の約10年を、誰がどのように支えるかという、主に医療・介護の担い手と、その費用の問題だ。
この医療については合理化の余地はある。例えば一人当たりの病床数や医療費は都道府県によって2倍以上の差があるケースがあるが、平均寿命には相関がほぼ見られない。これは病院にアクセスしやすい県ほど過剰医療になりやすいことが示唆されるデータとも考えられる。こうした状況が適正化されれば、医療負担も減るはずだ。
すでに高齢化が著しい日本だが、高齢者やインフラを支えるお金の面では、日系企業の強さは健在で、経常収支は過去最高の年30兆円と、消費税収すら優に上回る。対外純資産も533兆円で、国のバランスシートを見ると、日本が崩壊する、ということはまだまだありえない。要はこうしたお金を国民のために使えるか、その仕組み作りが全てと言っていいのだ。
政府自民党の受け入れ政策は、あくまで安価な労働力不足に直面した経済界の要望優先で、国民にはその受け入れ負担を前提とする政策だ。経済界は外国人労働者の受け入れメリットを会計的に数字で説明できるが、国民にとっての受け入れのメリットは、デメリットを本当に上回っているのか、政府からの説明は一切ない。あるのは「共生社会」という抽象的なスローガンだけだ。
直視すべきは「人が集まらない」という現象ではなく、「なぜ日本国内で日本人が働く気が起きない環境と賃金水準を維持し続けるのか」という不都合な事実だ。
年々拡大する企業の利益率を支える「低賃金依存」という構造問題が、「外国人に支えてもらっている」という情緒的な問題や人権問題へとすり替えられる。生産性の向上や労働者への賃上げをしない企業の怠慢を、国民の罪悪感と受け入れ負担に転嫁するような政策は不健全と言わざるを得ない。そして本当にかわいそうなのは、政府の制度に乗って来日しただけなのに、国民に心のどこかで歓迎されない外国人だ。
一方で仮に、労働力不足の代替が難しかったとしても、それにより生じる不便な社会を甘受するか、という価値判断の主導権は、本来は主権者である国民にあるはずだ。しかし、その明確な選択の機会を政治は一切、提示せず、管理の厳格化という、似て非なるテーマを掲げて総選挙を経ただけだ。
結果、社会を維持するための希望条件の設定という、国民生活のあり方の根幹に関わる基準が、いつの間にか政治と日常的な距離が近い経済界の損得勘定に取って代わられている現実があるのだ。
移民政策の良し悪しはよく語られるが、本来、こうした解説をするまでもなく、理屈上も、欧州の混乱を見ても「国民にとっては」ダメージしかない政策なのは明白だと筆者は考えている。
しかし、政策を決定する政府や彼らに近い企業の関係者にとって、直接的な利害に結びつくのは、国民の民族構成ではなく、税収や売上などだ。日本人が減り続ける国であるより、いっそ移民の国に変わったほうがGDPの縮小が抑制され、売上の減少や税収減も穏やかになる、という“実利”がある。
こうした側面のある外国人の受け入れ政策に対し、「移民政策」ではなく「秩序ある共生社会」の推進だと説く高市首相――。果たして、この状況を国民はどう考えるのか。
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(フリーライター 九戸山 昌信)

長射程ミサイル、熊本に搬入=初の反撃能力、月内配備―防衛省

反撃能力(敵基地攻撃能力)の要となる長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」の初配備に向け、陸上自衛隊が配備先となる陸自健軍駐屯地(熊本市)に発射装置などを搬入したことが9日、関係者への取材で分かった。防衛省は同駐屯地への月内の配備を表明している。
関係者などによると、発射装置などを載せた輸送車両は7日に陸自富士駐屯地(静岡県小山町)を出発。9日未明に健軍駐屯地に到着した。
同ミサイルは1000キロ程度の飛翔(ひしょう)が可能で、相手部隊を遠方から排除する「スタンド・オフ・ミサイル」と呼ばれる。中国が軍事活動を活発化させるなど、急速に悪化する日本周辺の安全保障環境を踏まえ、同省は反撃能力の整備を急いでいる。
一方、他国からの攻撃目標となるリスクが高まるなど、地元の懸念も根強い。熊本市の大西一史市長は7日、配備計画に一定の理解を示した上で「搬入について事前の説明がなく、報道で知る形となったのは大変遺憾だ」とするコメントを発表した。
反撃能力を巡っては、富士駐屯地への地対地ミサイル「島しょ防衛用高速滑空弾」の月内配備も予定されている。 [時事通信社]

レンタカー会社から借りたままの車を譲り受けた疑い カーナビの記録から立ち寄り先を割り出し特定 逮捕された50歳男「犯罪になるとは思っていなかった」

1月、北海道石狩市でレンタカー会社から借りたままの車だと知りながら譲り受けたとして50歳の男が逮捕されました。
盗品等無償譲受けの疑いで逮捕されたのは、旭川市に住む50歳の作業員の男です。
男は1月16日午前1時すぎ、石狩市花川東で、レンタカー会社から借りてそのまま横領した車だと知りながら、知人から無償で譲り受けた疑いが持たれています。
警察によりますと、男が譲り受けた車は貨物自動車1台(時価200万円相当)で、男の知人がレンタカー会社から横領していたものでした。
1月18日にレンタカー会社が警察に通報し、警察は、旭川市内の駐車場で車を発見しました。
その後、車に搭載されたカーナビの記録から立ち寄り先を割り出し、立ち寄り先の防犯カメラの映像などから男を特定、裏付け捜査を進め8日逮捕しました。
取り調べに対し50歳の作業員の男は、「レンタカーだとは知っていました」と容疑を認め、「今回のことが犯罪になるとは思っていなかった」と供述しているということです。
警察は、レンタカー会社から車を横領した男の知人もすでに書類送検しています。
警察は、動機や他に事件に関与した人物がいないか調べています。