被害者は意識不明の重体…横断歩道にいた女性を車でひき逃げか 74歳女を逮捕「気がつきませんでした」と否認

愛知県東浦町で15日、横断歩道を渡っていた84歳の女性がひき逃げされた事件で、74歳の女が逮捕されました。 逮捕されたのは東浦町に住む無職・栗元くみ子容疑者(74)です。 警察によりますと、栗元容疑者は15日午前9時45分ごろ、東浦町緒川のイオンモール東浦の前の道路で、横断歩道を渡っていた84歳の女性を軽自動車ではねてケガをさせたにも関わらず、そのまま逃げた疑いが持たれています。 女性は病院に搬送されましたが、意識不明の重体です。 警察は、目撃者の話などから栗元容疑者を特定しましたが、調べに対して「現場あたりで何か割れるような音はしましたが、人がいたことも人にぶつかったことも気がつきませんでした」と容疑を否認しています。

高市首相は“聞かれすぎた被害者”なのか…「質問したほうが悪い」という擁護論の危うさ

「質問したほうが悪い」
高市早苗首相の国会答弁をめぐり、そんな擁護が飛び交った。では中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射も、首相に国会で「聞きすぎた」結果なのだろうか。ワイドショーのコメンテーター風に言うなら、そうなる。
存立危機事態を巡る高市首相の国会答弁以降に日中関係は悪くなった。11月7日の首相答弁(衆院予算委員会)だ。立憲の岡田克也衆院議員の質問に「戦艦を使って、武力の行使を伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と首相は答えた。
「しつこい」とされる基準は誰が、いつ決めた?
首相の発言は従来の政府答弁を大きく踏み越えたものとして報じられた。すると「質問したほうが悪い」という言説が登場した。「岡田がしつこい」とも言われた。ワイドショーだけではない。政治家も同調した。日本維新の会の藤田文武共同代表は19日の会見で「個別の具体事例をしつこく聞くのは適切ではない」と述べた。
読売新聞の社説も、
「だが、しつこく首相に見解をただしたのは立民自身だ。答弁を迫った上で、答弁したら撤回を迫るとは、何が目的なのか」
「安保政策を政局に利用しようとするなどもってのほか」
と主張した。だが、国会で首相に見解を問うことが「しつこい」とされる基準は、誰が、いつ決めたのだろうか。
となると今回の中国レーダー照射も「質問したほうが悪い」となるのだろうか。高市首相の発言を検証したり論評したら中国の思うつぼなのか? 日本人なら一丸となって首相を擁護したほうがよいのか? しかし中国と高市首相への論評は両立するはずだ。中国の仕掛ける情報戦に対して警戒することも、高市発言の経緯を検証することも、どちらも必要なはずだ。でなければ80年前の「一色」ムードの世界になってしまう。戦後80年にこんな心配をしなければいけないのは何という皮肉なのか。
そんななか毎日新聞がスクープを放った。
『高市首相の答弁書に「台湾有事答えない」と明記 存立危機発言当時』(12月11日)
今回政府側が公式に認めた格好となった
政府側が事前に用意していた答弁資料には台湾有事について「政府として答えない」とも明記されていたのである。つまり政府は、言い切らず、踏み込まず、戦略的曖昧性を保つ、という従来の判断をしていた。それにもかかわらず、首相はその想定を超えて具体的な言葉を口にした。これまでの報道でも首相がアドリブで発言していたことは伝えられていたが、今回政府側が公式に認めた格好となった。※答弁資料は、立憲民主党の辻元清美参院議員の質問主意書に関連して、政府が辻元氏に開示した。
注目は、開示された答弁資料の想定問答の形式だ。
岡田氏は質問通告で「高市首相は昨年9月の総裁選の際に中国による台湾の海上封鎖が存立危機事態になるかもしれない旨の発言をしているが」と高市氏の過去の発言を前提に尋ねていた。
これまでのような一人の議員としての立場ではなく、首相になってからも同じことを言うのか?との確認をしているように読める。もっと言えば、首相になったからには「そうではないという答弁をもらうため」という狙いがあったのだろう。※こうした質問意図があったことは岡田氏はTBSラジオ『荻上チキ・Session』でも述べている(12月3日)。
歴代の首相はどんな状況が存立危機事態にあたるかの線引きをあえて曖昧にしてきた。侵略を考える相手に手の内を明かすことにつながるからだ。首相経験者の一人は国会で「言っていいわけがない」と断じた(日経新聞)。
しかし高市首相はアドリブで「持論」を述べた。国会論戦の醍醐味で言うなら、質問する側からすれば首相に存立危機事態について聞くのは当たり前であり、答える側からすればいかに従来の見解どおりに戦略的曖昧さで乗り切るかも当たり前である。このせめぎ合いや個人差が国会論戦の見どころだったりする。答え方で現首相のキャラクターも見えてくるからだ。
ちなみにこの高市発言が出たのは話題となった「午前3時からの勉強会」の日だ。自分の言葉でわかりやすくという姿勢が裏目に出たと言えないか。
実は、こうした事態の予兆はすでにあった。いわゆる「奈良のシカ」発言である。
高市氏は自民党総裁選のさなか、「奈良のシカを蹴り上げるとんでもない人がいる。SNSでも目にする」と述べた。さらに「日本人の気持ちを踏みにじって喜ぶ人が外国から来るなら、何かをしないといけない。日本の伝統を守るために体を張る」と強調した。「外国人問題」というわかりやすい問題提起だったが、その根拠は示されなかった。
「根拠はあったのか。確かめたのか」と問われると…
総裁選の共同会見で記者から「根拠はあったのか。確かめたのか」と問われると、高市氏は「こういったものが流布されていることによる、私たちの不安感、そして怒りがある。これは確かだ」などと答えた。事実関係の確認ではなく、「不安」や「怒り」へと論点をすり替えた形だった。
ところが11月10日の衆院予算委員会では、首相は一転して「英語圏の方だったが、私自身が、シカの足を蹴っている行為を注意したことがある」と説明する。根拠不明の話は、いつの間にか自らの経験談へと姿を変えていたのだ。
「シカ発言」の撤回を求められても、首相は「まだ総裁でもなかった頃の発言について、撤回しろと言われても、撤回するわけには参りません」と応じなかった。意地になるこの感じも凄い。
根拠が曖昧な話が「外国人問題」というわかりやすさの名のもとに語られ、修正されず、やがて本人の「確信」へと変わっていく。その延長線上で、台湾有事をめぐる答弁では、従来の首相答弁の枠を跳び越える言葉が飛び出した。
わかりやすさと、引かない姿勢が裏目に出る構図は、すでに奈良のシカの時点で現れていた。今回はその舞台が、国内の話題から外交・安全保障へと移っただけのことだ。問われているのは、首相だけでなく、国会で議論するという意味そのものだろう。
「質問したほうが悪い」という言葉に慣れてしまったとき、失われるのは議論の側だ。
(プチ鹿島)

【JR北海道】根室線で路盤流出、札幌~釧路間の特急「おおぞら」16日全区間全列車を運休、石北線も多数の倒木で特急「オホーツク」などに影響

JR北海道は、根室線の音別駅と白糠駅の間で線路を支える路盤が流されたため札幌と釧路を結ぶ「特急おおぞら」の16日の全列車、全区間で運休することを決めました。
JR北海道によりますと、急速に発達した低気圧の影響で15日、根室線の音別駅と白糠駅の間の海岸に沿って走る区間で線路を支える路盤が大きくえぐれ、流されているのが見つかりました。
降雪などの影響で、札幌と釧路を結ぶ「特急おおぞら」は16日の全列車、全区間を運休することを決めました。バスによる代行輸送もありません。
石北線でも多数の倒木が見つかり、札幌と網走を結ぶ特急オホーツクの1号、2号が網走・旭川間が部分運休。3号、4号は全区間運休します。

「検察官」に「あなたのお金には怪しい」と言われた40代教員、1・8億円分の暗号資産を指示通り送金…詐欺被害

滋賀県警草津署は15日、草津市の40歳代男性教員が、警察官や検事をかたる男らに約1億8600万円分の暗号資産をだまし取られる被害に遭ったと発表した。
発表によると、男性は11月、携帯電話に警視庁の警察官を名乗る男から「口座に詐欺の被害金が送金されている」と電話があったのをきっかけに、検察官を名乗る男らとやりとりするように。「あなたのお金には怪しいものがある」などと言われ、現金を暗号資産に交換したり、保有する株を売却したりするよう指示を受け、暗号資産用の口座に計5回にわたって送金したという。

ローマ字の表記変更、22日から 70年ぶり、ヘボン式基本に

政府は16日の閣議で、ローマ字の表記方法について、現在広く使われている「ヘボン式」を基本とするルールに変える内閣告示を22日に出すと決めた。現行の表記法を定めた1954年の内閣告示は廃止され、ローマ字表記の国の決まりが約70年ぶりに変わる。
現行の内閣告示は「し」を「si」と表す「訓令式」を用いると定めるが、「shi」のヘボン式が浸透しており、文化審議会が8月、ヘボン式を基本とするなど新たな表記ルールを文部科学相に答申していた。
ヘボン式の採用により、「つ」は「tsu」、「じ」は「ji」、「しゃ」は「sha」、「じゃ」は「ja」になる。

【速報】赤坂サウナ火事2人死亡 サウナ室のドアノブ外れ閉じ込められた可能性

東京・赤坂のサウナで30代の男女が死亡した火事で、2人が倒れていたサウナ室のドアノブが外れて、回らない状態になり、閉じ込められた可能性があることが分かりました。
この火事は15日正午すぎ、港区赤坂の会員制サウナの個室内で、背もたれなどが焼け、室内に倒れていた30代の男女2人が、死亡したものです。
2人は客としてサウナを利用し、サウナ室内の、出入り口付近に倒れていましたが、その後の捜査関係者への取材でサウナ室のドアノブが、内側も外側も外れて、現場に落ちていたことがわかりました。
警視庁は、2人がサウナ室に入ったあとに、何らかの原因でドアノブが外れて回らなくなり、閉じ込められた可能性があるとみて、現場検証を行い、詳しい経緯を調べることにしています。

【速報】近畿で今季初「鳥インフルエンザ」陽性確認 24万羽の殺処分始める 兵庫・姫路市の養鶏場

姫路市の養鶏場で、死んだニワトリが見つかり、遺伝子検査の結果、「鳥インフルエンザ」陽性が確認されました。近畿地方で鳥インフルエンザ感染が確認されるのは、今シーズン初めてです。
兵庫県によりますと、15日午前9時ごろ養鶏場から「死んだニワトリが増えている」と姫路家畜保健衛生所に通報がありました。簡易検査の結果、死んだニワトリ8羽がいずれも鳥インフルエンザに感染している疑いがあることが判明。遺伝子検査の結果、陽性を確認したということです。
県は16日、鳥インフルエンザ対策本部を設置し、養鶏場の緊急消毒を行うとともに、飼っている約24万羽のニワトリを殺処分しています。
斎藤知事は16日朝、「鳥インフルエンザが発生したことは残念だが、関係機関と連携して、まん延防止に努める。現場の殺処分や防疫措置をしていくが、24万羽という最大級の数になるので、時間はかかると思う」と話しました。

ある日突然4人の男に連れ去られ精神科へ強制入院、薬漬けの絶望…同意したのはまさかの人物 「医療保護入院」制度の闇

2018年12月、富山市でデイサービスを経営する元警察官、江口実さん(84)は妻の富子さん(79)と一緒に入居者たちの朝食を準備していた。ふと見ると、4人の男が土足で入ってくる。4人は江口さんを見つけるといきなり羽交い締め。引きずるように連れ出し、外に止めてあった民間の救急車に無理やり押し込んだ。
車に5時間半も乗せられ、たどり着いたのは栃木県の報徳会宇都宮病院。何が何だか分からない。 「まるで拉致監禁。突然羽交い締めにされ、精神科病院に閉じ込められた」
江口さんに精神疾患はない。それなのに強制的に入院させられ、「刑務所以下の生活」を送ることになった。
「医療保護入院」を巡る深刻なトラブルが相次いでいる。江口さんはなぜこんな目に遭わなければならなかったのか。そして誰の仕業だったのか。探っていくと、精神科医療を巡る深い闇が見えてくる。(共同通信=鷺森葵)
江口実さんが入院させられた精神科病院の個室=2023年11月(江口さん代理人提供)
▽薬を投与され、失禁やふらつき、文字も書けなく… 病院に着いた江口さんは車いすに乗せられた。「必要な検査は受けなかった」という。「『酒を飲んで暴れるだろう、認知症だろう』って、まったく事実無根のことを言って責め立てるんです」
すぐに医療保護入院となった。この制度では、精神保健指定医1人が必要と判断し、家族の同意が得られれば本人の同意がなくても強制的に入院させられる。 入院に同意した家族は、遠くに離れて暮らす長男。江口さんとは金銭を巡ってトラブルになっていた。
薬の影響で文字がうまく書けなくなった(江口さん代理人提供)
江口さんは閉鎖病棟に入れられた。個室にあるのは簡易ベッドとトイレのみ。手の届かない高さに小さな窓があった。「(警察官時代に見た)刑務所のほうがきれいだった」。向精神薬を投与され、その副作用で物が二重に見える。失禁したり、ふらついたりした。文字も書けなくなった。
終わりの見えない入院生活に、江口さんは絶望した。 「今も苦しみが心の中に染みついている。思い出したくもない。病院には不信感しかない」
富子さんと次男が退院を求めたが、病院は認めない。 「長男が同意しない限り、退院はさせられない」 2人はなんとか長男を説得し、退院が実現した。入院は37日間に及んだ。 当時の苦しみを、江口さんは今も周囲に打ち明けることができない。「暗いことを話すと家内も暗くなるから、悲しくて仕方ないけど心の中にしまっている」
報徳会宇都宮病院
▽病院に300万円の賠償命令 退院後、江口さんは慰謝料を求め病院を訴えた。 今年5月の宇都宮地裁判決は、病院が必要な検査をすることなく「老年期認知症妄想型」と誤診したとして違法入院と認定。「違法に身体の自由を侵害した」と判断し、本来なら支払う必要がなかった診療費用のほか、デイサービスの経営継続を断念するなどの精神的苦痛も含め、病院に約300万円の支払いを命じた。判決はその後確定している。
病院は判決を受けてこうコメントしている。 「本件のような過誤がないよう研修等で徹底して行きたい」 しかし、どうしてこんなに恐ろしいことが日本で実行できたのか。
宇都宮地裁
▽次々に浮かび上がった「闇」、恐怖の制度 実は裁判に至る過程で、深刻な問題点がいくつも浮かび上がっていた。まず、この医療保護入院制度自体の問題。そして宇都宮病院の過去、さらに救急車の問題だ。 江口さんの代理人、西前啓子弁護士は、制度の問題を指摘する。 「家族の問題や遺産相続、離婚問題で悪用される実態が少なからずあります」
厚生労働省の調査によると、2024年6月時点の精神科在院患者数は約25万人だった。そのうち医療保護入院は半数近い約12万人に上る。 精神保健福祉士の資格を持ち、精神科医療に詳しい相原啓介弁護士がまず指摘したのは、医師1人だけの判断で入院させてしまえる点だ。 「診断は医師の主観的要素も含まれるため、人によって判断が割れることが本質的にあり得ます。しかし、その判断をチェックする仕組みがありません。医師1人の判断で強制入院させられる構造的な問題が大きい」
人を強制的に入院させる制度としては、ほかに「措置入院」もある。ただ、これは自分や他人を傷つける恐れのある人が対象で、指定医2人以上の診断の一致に基づき、行政の権限で入院させる仕組みだ。厚労省の調査では措置入院患者は約1400人。
相原啓介弁護士
相原弁護士によると、入院先も制限がある。「措置入院は国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限られるため、ある程度『質』を担保できます」
一方で、医療保護入院は民間でも受け入れ可能。常勤指定医がいれば病院の制限はない。 「日本の精神科病院は極端に民間の割合が多く、民間だと利益を優先する場面が発生します。医療保護入院は、行政処分を全く挟まないので、いきなり民間人が民間人を病院に閉じ込めることができる制度です」 相原弁護士は、医療保護入院制度を廃止すべきだと話している。
医療保護入院させられた江口実さん(左)。右は妻の富子さん=2025年7月、富山市
▽遠く離れた病院に連れて行かれた「真相」 次に浮かび上がったのは、「報徳会宇都宮病院」の問題だ。
なぜ江口さんは富山県内の病院ではなく、遠い報徳会宇都宮病院に運ばれたのか。以前、精神科病院の看護師だった富子さんはこう語る。 「恐ろしい宇都宮病院のこと知っとったから、あこ選ばれたのや。富山ならすぐ飛んで行けるけど、宇都宮ってどんだけ遠いかいね」
病院は1961年、石川文之進医師(100)が開設した。栃木県によると精神病床数は533床と大規模だ。 この病院は1980年代に注目されたことがある。看護助手ら複数人が、金属パイプやパイプいすを使い、患者2人に殴る蹴るの暴行を加え、うち1人は死亡。傷害致死罪に問われた。国際的に日本の精神医療が非難を浴びることになり、当時の精神衛生法が精神保健法に改正されることにつながった。
報徳会宇都宮病院の閉鎖病棟で、江口さんが入院させられた個室の扉=2023年11月(江口さん代理人提供)
当時の確定判決は、病院の構造的な問題を指摘している。長くなるが一部引用する。 「1983年のピーク時には980名もの患者を収容する巨大病院にするとともに、徹底的に人件費の節減を図り、常勤医の数を極端に少なく抑え、無資格の看護人を積極的に雇い入れて、安い給与の下に有資格者同様の職務に従事させ、法定数をはるかに下回る恒常的な看護職員不足の状態を長年にわたって放置し、さらには患者に対しても作業療法の名目で配膳の仕事から看護人の手伝い、各種検査まで行わせていた」 「少数の医師、看護人によって多数の患者を収容する病院内の秩序を維持しなければならないため、看護人の間では患者に対し威圧的な態度で臨んでこれを押さえつけ、時には暴力もやむなしとの風潮が生まれ、石川院長もこれを黙認したばかりか、むしろ自ら範を示し、回診の際などは患者を蔑視するような言動が多く、病院批判をした患者を長期間保護室に入れたりしていた」
石川医師は、江口さんの入院にもかかわっていた。今年5月の宇都宮地裁判決によると、石川医師は精神保健指定医ではなく、医療保護入院に関する権限がないにもかかわらず、江口さんを「老年期認知症妄想型」と診断し、実質的に入院を決定していたと認定されている。
医療保護入院の問題点を訴える江口実さん(右)と西前啓子弁護士=8月、厚労省
▽「民間救急」のトラブル、国会でも取り上げられ 最後の問題は、江口さんを強引に連れて行った民間の救急車。 判決では、江口さんとトラブルのあった長男が、民間救急に依頼していたことが明らかにされた。この会社「関東特殊」に取材を試みたが、「うちは関係ないでしょ、移送しただけ。家族に聞いて」とのみ答えた。
民間救急を巡っては、国会でも取り上げられたことがある。2001年3月、民間移送会社による人権侵害が多発しているとの質問主意書に対し、政府は次のような答弁書を閣議決定した。 「逮捕または監禁のような犯罪行為がなされてはいけないのは当然のことである。精神障害者を本人の同意なしに精神病院に入院させる場合には、精神保健指定医の診察が必須とされている」
長谷川利夫・杏林大教授
精神医療が専門の長谷川利夫杏林大学教授は、江口さんのケースについてこう指摘する。 「医師の判断の前に連れて行くこと自体がおかしい。緊急時は地域の精神医療の在宅医療チームが駆け付けられるような体制の構築を目指すべきです」 長谷川教授は、強制的な入院制度自体も廃止すべきだと話す。 「精神障害がある人に対してだけ強制入院制度を設けること自体が、法の下の平等に反する。憲法違反の疑いが強いです」
厚労相宛ての要望書を提出する江口実さん(右端)ら=8月7日、厚労省
▽気がかりな「恩人」の行方 江口さんや西前弁護士らは8月、厚労省を訪れ、要望書を提出した。求めたのは、入院に関わった医師3人を処分すること、抜き打ち調査を実施すること、宇都宮病院だけでなく、全国の精神科病院への監督権限を強化することだ。
医療保護入院の12万人の中には、ほかにも違法な強制入院があるかもしれない。西前弁護士は語る。「一度入院させられると、外部から遮断された環境で、薬の投与で思考能力や身体能力も衰えてくる。明るみに出にくいんです」
江口さんには、今も気になっていることがある。病院で一緒になった1人の患者のことだ。個室から4人部屋に移された後、富子さんに連絡が取れずに困っていた時、同室の男性がテレホンカードをくれた。「神様に感じたね。今どうしているのか。あんな風に入れられていたら、死んじゃう」

「妻を殺してしまった」80歳女性が首にコードのようなものを巻かれる 76歳夫が自ら110番通報

大阪府泉大津市の集合住宅で80歳の妻の首を絞めて殺害しようとしたとして、76歳の男が逮捕されました。妻は搬送先の病院で死亡が確認されました。
15日午後3時半ごろ、泉大津市北豊中町の集合住宅の一室で「妻を殺してしまった」と住人の男から110番通報がありました。警察官が駆けつけたところ、松野久江さん(80)が首にコードのようなものを巻かれ、倒れていて、搬送先の病院で死亡が確認されました。
警察は通報してきた夫の松野徳男容疑者を殺人未遂の疑いで緊急逮捕し、松野容疑者は調べに対し容疑を認めているということです。警察は容疑を殺人に切り替え、事件のいきさつを詳しく調べています。

“母親を保護せず放置”40代の兄と妹を逮捕 母親はその後死亡

自宅の庭で倒れている73歳の母親を保護せず放置したとして、40代の兄と妹が逮捕されました。母親はその後、死亡しました。
保護責任者遺棄の疑いで逮捕されたのは、奥谷誠容疑者と妹の知子容疑者です。
警察によりますと2人は、今月12日、茨城県茨城町で同居する73歳の母親が自宅の庭で倒れて起き上がらないことを知りながら、およそ2日間にわたり保護をせず放置した疑いがもたれています。
母親は、現場で死亡が確認されています。
おととい(14日)、知子容疑者から「母親が庭で倒れて動かない」と相談を受けた知人が警察に通報したことで事件が発覚しました。
警察は2人の認否を明らかにしていませんが、なんらかのトラブルが原因で放置した可能性があるとみて、詳しい経緯について調べています。