“バズり”は作られたモノ? 衆議院選挙でも広がるSNSの見えざる「拡散工作」――選挙期間中に動く不審アカウントの実態【news23】

画像や動画だけじゃない “拡散”のフェイクとは
選挙期間中のSNSには、いつも以上に多くの情報が飛び交う。候補者の発信、応援の声、批判や疑問――その中に、人工的に“作られた”広がりが紛れ込んでいることをご存じだろうか。
オンライン言論空間の分析を手がける「ジャパン・ネクサス・インテリジェンス(JNI)」の竜口七彩ヘッドアナリストは、今回の衆議院選挙に際して、不審な動きをする複数のアカウントを検知した。
「SNSでのリポストやリプライが作られている」――私たちが日々目にする「バズり」が、必ずしも自然発生的なものではない可能性があるというのだ。
「7つのアカウントが同じ文章を投稿」――協調的活動の痕跡
竜口氏が注目したのは高市総理を中傷したとある投稿。7つの異なるアカウントが全く同じ文章で返信していて、いずれも高市総理を批判するものだった。
返信のタイミングも不可解だ。1月14日の投稿に対し、2アカウントは6日後に、残る5アカウントは13日後に一斉に返信している。アイコン画像も複数のアカウント間で共通しており、プロフィールにも類似した特徴が見られた。
竜口氏は、これを「何かしらの意図をもって協調的に活動しているのではないか」と分析する。
また、この高市総理を中傷する投稿をしたアカウント自体にも不自然な点がある。これまで中国語や英語で発信していたのが、去年12月から突然日本語の投稿が増えたのだ。
「バズっているから正しい」は危険――“3つの偽”に警戒を
JNIヘッドアナリスト・竜口七彩さん 「ものによってはリポストやリプライがすべてこういった形で作られている。バズっているからといってすぐに情報に飛びつくのではなく、“作られている”ケースもあると知っておいた方がいい」
SNSと向き合う上で、偽情報には「3つの偽」があると竜口氏は警鐘を鳴らす。
▼一つ目は「コンテンツの偽」 文章の改変や、生成AIを使ったフェイク画像・動画など。 検索エンジンやAIツールでのファクトチェックが有効で、ユーザー自身で一次データを確認して、情報の正確性を見極めていくことが重要。
▼二つ目が「拡散の偽」 今回検知されたような、協調的な投稿やリポストによる“作られた拡散”。 中にはツールを使った機械的な活動もみられるため、いいね数やリポスト数に踊らされないことが重要。
▼三つ目は「文脈の偽」 例えば、過去の記事を現在の出来事であるかのように引用し、誤解を招く手法。 2023年の福島第一原発の処理水放出の際には、2012年の福島の放射線量を報じた記事を2023年に引用し、あたかも最近の放射線量と見せかけた事例があった。
JNIヘッドアナリスト・竜口七彩さん 「投稿を目にした時に、誰かに言いたくなる衝動や何かしらの不安や恐怖を感じてしまった時はかなり黄色信号。自分の感情を揺れ動かされるようなコンテンツほど、“3つの偽”を意識して情報に向き合っていただいた方がいい」
総理批判に集中する不審アカウント――背後にある狙いとは
不審なアカウントはほかにも。
2010年のアカウント開設以降ほとんど活動が確認されなかったのが今年に入ってから高市総理を批判する投稿を大量にリポストするケースや、同じハッシュタグや文章を使った政権批判の投稿が衆院選の公示日(1月27日)以降に急増したケースもある。
JNIヘッドアナリスト・竜口七彩さん 「怒りや不安に響くようなコンテンツはより多くの人たちに見られやすい。よく検知されるものは日本の総理大臣や政権に対する批判が多い傾向がある」
批判的なコンテンツを拡散する狙いについて、竜口氏は次のように分析する。
JNIヘッドアナリスト・竜口七彩さん 「自身の信条や思想に則った状態で活動する人や、最近はSNS上でコンテンツを収益化できるのでお金を儲けるために拡散する人もいる。海外でも検知されているような選挙介入や影響力工作と言われるものでいえば、日本国内の分断を煽ったり国内を不安定にする目的も考えられる」
海外アカウントが日本語で政権批判――選挙介入の可能性は?
「外国勢力による選挙介入」をめぐっては、去年7月の参院選でも介入が疑われる事例が報告された。今回の衆院選でも前述のとおり不審なアカウント活動が検知されているが、JNIの髙森雅和代表は現時点では「影響は限定的」としつつも、警戒の必要性を訴える。
JNI・髙森雅和代表 「分断を煽って混乱させて、ひいては国力を下げていくっていうことが海外でもよく報告されている。ヨーロッパやアメリカで起きているものが日本で絶対に起きないとは言えないと思うので、こういった動きを注視・警戒している」
私たちに求められる“情報との向き合い方”
情報が氾濫する時代に、私たちはどう情報と向き合えばいいのか。髙森氏は、選挙や災害時には偽情報が増える傾向があると指摘した上で、こう呼びかける。
JNI・髙森雅和代表 「SNSには自分の異なる意見をあおるような強い言説や、怒り・憎しみを煽るコンテンツがあふれている。過激なコンテンツほど、裏側の意図を持った人たちが発信してるっていう可能性があるんだということを知っておくだけで、『このままで良いのかな』とか『もう一個の情報見てみよう』」という行動に繋がる」
急激に閲覧数が増えている投稿、過激な言葉で感情を揺さぶる投稿――そうしたものに出会ったとき、一度立ち止まる習慣を持つこと。そして、“作られた広がり”である可能性を念頭に置きながら情報を吟味すること。完全に見破ることは難しい。だからこそ、「こういう事例があるっていうことを知っておくだけで心構えが違ってくる」と髙森氏は語る。
私たち一人ひとりに、今、新たな“情報リテラシー”が求められている。

自民も参政も国民民主も中道も「消費税減税」…「誰かがどこかでコントロールしているのかな?(笑)」「選挙の争点にはならない」《高市フレーン・永濱利廣氏×物価研究の権威・渡辺努東大名誉教授》

衆院選で各党が公約に掲げる「消費税減税」。家計を救う特効薬のようだが、果たして本当に国民の生活は楽になるのか。そして、国債市場が警戒する高市首相の「責任ある積極財政」の行方は――。高市早苗首相のフレーンとインフレ研究の権威による緊急対談!

(ながはまとしひろ/1971年生まれ。1995年に早稲田大学理工学部卒業後、第一生命保険入社。2005年、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。2016年4月より第一生命経済研究所首席エコノミスト。)

(わたなべつとむ/1959年生まれ。1982年に東京大学経済学部経済学科卒業後、日本銀行に勤務。米ハーバード大で経済学博士号取得。東大大学院教授などを経て、現在、東大名誉教授。専門はマクロ経済学。)
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チームみらい以外、どの党も消費税減税
衆院選の選挙戦も折り返しを過ぎた。「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗首相は、自らの悲願でもあった消費税減税を引っ提げ、選挙戦に挑んでいる。
自民が検討を加速するとして公約に盛り込んだのは「食料品の2年間消費税ゼロ」。一方、中道も恒久的な食料品消費税ゼロを打ち出した。これは本当に物価高にあえぐ国民の負担軽減に繋がるのか。
消費税減税に批判的な物価研究の第一人者、渡辺努東京大学名誉教授と、高市政権誕生後に経済財政諮問会議の民間議員となった第一生命経済研究所の首席エコノミスト、永濱利廣氏が緊急対談した。
永濱 今回の衆院選ではチームみらい以外、どの党も消費税減税を打ち出している。選挙の争点にはならないでしょうね。
渡辺 他にも争点となるべき経済対策はあると思うのですが、話題になるのは消費税減税のことばかり。誰かがどこかでコントロールしているのかな?と不思議なほどです(笑)。
永濱 有権者にとっては、毎日の買い物の中で、モノの値段が下がっているのが実感しやすい。だから選挙となると、各党が消費税減税に流されるんでしょう。
渡辺 そうですね。ただ、消費税減税で物価を抑えようとするのは「悪い積極財政」であり、間違っていると思います。消費税減税でモノの値段が下がるのは確かです。ですが、現状で食料品にかかる消費税の8%分がまるまる安くなるかというと、実はそうではないのです。
《この対談の続きは現在配信中の「 週刊文春 電子版 」および2月5日(木)発売の「週刊文春」で読むことできる》
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年2月12日号)

《存在感を発揮できず…》中道改革連合、結党大会でフリーランス記者を”排除” 情報のオープン化の流れに逆行「あくまでも中道の結党大会なので…」

2026年2月8日に投開票日を迎える衆議院議員解散総選挙の情勢調査で、立憲民主党と公明党の衆議院議員により結成された中道改革連合(中道)が大幅に議席を減らすとの結果が出て衝撃が広がっている。そんな中道が、情報をオープンにするという姿勢に疑問が残る状態で、結党大会では時代に逆行した取材対応がなされていたと、政治と選挙の取材と続けてきたライターの小川裕夫氏は指摘する。いったい何が起きていたのか、小川氏がレポートする。
* * * 1月9日23時、読売新聞オンラインに『高市首相が衆院解散を検討、23日通常国会の冒頭に…2月上中旬に投開票の公算』と掲載され、そこから猛スピードで衆院選へのスケジュールが決まっていった。1月23日衆議院解散、1月27日公示・2月8日投開票というスケジュールは、解散から投開票日までは16日間しかなく、短期決戦ということもあって各党は慌ただしい選挙を強いられた。なぜ、そんなに急いだのか。
1月19日に首相官邸で実施した記者会見で「衆院選は政権選択選挙」と前置きした高市首相は、解散の理由を「前回の衆院選は与党が自民党・公明党という枠組みだったが、それが自民党・日本維新の会に変わった」ことを挙げた。
しかし、それは表向きの理由に過ぎない。何人かの永田町関係者に話を聞くと、高市首相の周辺は立憲・公明党が合流して新党を立ち上げる準備を進めていたことを察知していたという。これまで自民党は選挙で公明党とも協力し、公明党票に助けられてきた。公明党票は各選挙区で1万?2万あると推定される。連立解消で公明党票を失うだけではなく、対立候補に流れ込めば差し引き約4万票の差が出る。接戦区で4万票は大きい。小選挙区で軒並み競り負けるかもしれないという危機感から、新党が立ち上がる前に選挙をしてしまおうという思惑だったようだ。
立憲・公明両党は、入念に準備を整えるつもりだったが、思わぬ衆議院の解散により見切り発車ながらも中道改革連合(中道)を結成することが叶った。不十分とはいえ、自民党に対抗できる勢力が誕生したわけだ。
機先を制した中道は1月21日に決党大会を開催。これで大々的に政権交代を目指すことを世間にアピールする予定だった。しかし、中道の結党は関係者たちの想像以上に盛り上がりを欠いた。
政権交代が可能な新党が立ち上がったにも関わらず、世間の関心が集まらなかった理由はいくつかある。そもそも中道という新党ながら、実態は立憲民主党と公明党の合流に過ぎず、発表された候補予定者のラインナップも代わり映えしなかった。つまり、有権者に立憲・公明の合流新党は選挙対策でしかないという印象を与えてしまったことが大きい。
「国会記者記章がないと入れない場所」

「すみません、左手で打っていて変な文章に…」高市首相から届いた”日曜討論ズル休み”報道への反論メール

※本稿は、須田慎一郎氏のYouTubeチャンネル「ただいま取材中」の一部を再編集したものです。
今回、緊急で記事を出させていただいた。その理由はこの記事を、ご一読いただき、納得いただいた方には、ぜひ、広く拡散していただきたいという願いがあるからだ。
一体何かと言えば、衆議院選挙のさなかに大きな話題となり、いま大炎上中の「高市早苗総理のNHK日曜討論ドタキャン問題」だ。
発端は2月3日、週刊文春電子版が報じた記事だ。先日、高市総理がNHKの「日曜討論」を欠席したことを受け、同誌は「様々な問題を抱える中で出席を回避したのではないか」「いわゆる『ズル休み』ではないか」という趣旨の記事を掲載した。
官邸関係者が今回の事案の真相を明かしており、「放送2日前の1月30日(金曜日)時点で、高市側から選対委員長を務める小林鷹之氏に対し、代打としての出演を打診している」というコメントが紹介されている。しかし、小林氏は日曜午前10時半から京都での遊説日程が入っていたため、調整がつかなかったという内容だ。
これまでの経緯では、高市総理は日曜討論の前日、街頭演説の際に支持者から手を強く引っ張られたことで負傷したとされている。もともと関節リウマチの持病がある中で強く引っ張られたために怪我をし、翌日曜の朝に急遽治療を受けなければならなくなった。その治療を優先したためにNHKの日曜討論を欠席した、という流れであった。
しかし、週刊文春の記事はこれに異を唱えるものだ。「怪我をする前からすでに代役をアテンドしていたのだから、怪我による欠席という理由は虚偽である」というニュアンスで報じている。
では、なぜ欠席しなければならなかったのか。週刊文春の記事は、同誌が報じた旧統一教会と高市早苗総理との関係について、日曜討論の場で追及されることを避けたかったのではないか、というストーリーで書かれている。つまり、追及を逃れるために怪我を理由に「ズル休み」をしたのではないか、という指摘だ。
果たしてそれは事実なのだろうか。本当に放送の2日前に代役を依頼しようとしていたのか。もし代役を頼んでいたことが事実であれば、これまでの説明が大きく覆されることになり、これは非常に重大な問題であると私も考えた。
そこで、返信があるかは分からなかったが、昨晩の深夜、高市総理に直接メールを送り、実際のところはどうだったのかを問い合わせた。
深夜という時間帯であることに加え、多忙を極める選挙活動中であることから、返信はないだろうと考えていた。「もし返信があれば幸い」という程度の思いであった。その際、「事の真相については、X(旧Twitter)で公開されてはいかがでしょうか」という提案も添えておいた。
すると、しばらくした午前1時前、高市総理から1通の返信があった。このメールの内容について、皆様と情報を共有したいと思う。メールの文面をそのまま読み上げる。
高市総理からの返信内容は以下の通りである。
「私からは誰にも(代役を)依頼していません。選挙公示日から右手指関節が2本曲がり、腫れ上がっていたところ、木曜日(1月29日)と金曜日(1月30日)の演説会で手を強く引っ張られてアウトでした。私は関節リウマチ患者であるため、関節が弱く壊れやすい状態です。
金曜日から遊説のキャンセルを党本部に依頼していましたが、キャンセルはできないとのことで、日曜朝にようやく医務官に消炎処置とテーピングをしてもらい、午後から遊説を再開することになりました。多分、党本部がピンチヒッターとして田村憲久先生にお願いしてくれたと思います。今も毎朝、医務官に消炎処置とテーピングをしてもらいながら遊説を続けています。選挙後に病院でレントゲンを撮ります」
という返事が返ってきた。
さらに、続けて次のような回答もあった。
もともと高市総理は、NHKに出演するために遊説の出発時間を遅めに設定していた。つまり、出演することを前提にスケジュールを組んでいたのである。遊説のスタートを遅らせてまで、出演の準備を整えていたということだ。
そして、さらに次のように続けている。
とのことである。つまり、日曜の朝しか治療の機会がなかったということだ。ここまでのメールで文章は乱れていて、次の文章を読んだ時に私は何とも言えない気持ちになった。高市総理はメールの最後にこう綴っている。
もし文章がスムーズではないように感じられたとしても、それは右手が使えない状態だからである。右手が効かず、パソコンを打つことができないため、左手のみで返信を打っていたという事実が最後に明かされた。文章に多少の違和感やぎこちなさがあったのは、そのためだったのである。
週刊文春の指摘と高市総理の説明、どちらに信憑性があるのかについては、皆様ご自身に判断していただきたい。
週刊文春電子版が報じるように、旧統一教会問題を追及されたくないがために日曜討論を欠席し、「ズル休み」をしたのか。それとも、総理自身が説明するように、本当は出席するつもりで準備を進めていたのか。後者の証拠として、出演のために遊説の出発時間を遅らせていたという事実がある。
病状を心配した官房長官の判断も、相当に深刻な状態であったことを物語っている。右手で患部をかばい、不自由な左手でパソコンを打ったために文面が乱れてしまうほどの状況だ。こうした経緯を踏まえると、「治療を優先すべきだ」として代役を探したという説明に矛盾はないと私は考える。
とは言え、週刊文春側も高市、小林、田村の三氏に対して質問状を送付したはずである。それに対し、三者からは「党幹部の日々のやり取りの詳細については公表を控えたい」という旨の回答があったようだ。
そのため、あのような記事になったという経緯は理解できなくもない。しかし、形式的な質問状を送り、回答がないからといって、そのまま一方的に断定するのはいかがなものか。
本件は、場合によっては選挙結果にも大きな影響を与えかねない。さらに、高市総理の名誉を大きく傷つけることにもなりかねない事案である。そうした状況を鑑みれば、もう少し丁寧な取材があってもよかったのではないだろうか。あまりにも簡略な反論取材で済ませてしまう姿勢には疑問が残る。そもそも、週刊文春が報じた旧統一教会の問題自体、現時点ではさほど大きな問題にはなっていない。
しかし、高市総理が旧統一教会問題を非常に気にしているという文脈やストーリーで記事を繋げようとしていたのであれば、週刊文春側としては「してやったり」という思いだったのではないかと勘ぐりたくもなる。
いずれにせよ、「2日前に代役を立て、NHKの日曜討論への欠席は既に決まっていた」という指摘については、先ほど紹介した高市総理自身の説明を聞く限り、事実ではない。確かに代役を探していた形跡はあるようだが、それは総理自身が依頼したことではないということだ。結局のところ、急な欠席はできないという前提で動いていたが、最終的にそのような結果になったのが真相のようである。
今日お伝えしたこの情報は、個人的に極めて重要だと考えている。物事を正しく判断していただくためにも、いわゆる両論併記ではないが、「週刊文春の主張」と「高市総理の説明」の両方を照らし合わせ、真実が一体どこにあるのかを考えていただきたい。
現状では情報があまりにも一方的であり、場合によってはこれが選挙結果にも影響を与えかねない。そういう意味で、総理はこのように説明しているという事実を伝えたい。どちらに真実があるのか、どちらが正しいと考えるのか。一方的な情報だけで判断してはいけないと私は考えている。
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(ジャーナリスト 須田 慎一郎)

【衆院選】野田佳彦氏が憤る動画…中道候補が同調「本当にとんでもない。誰も血を流させない」

衆院選に東京25区から立候補している中道改革連合の依田花蓮(よだ・かれん)氏が、6日までに自身のX(旧ツイッター)を更新。野田佳彦共同代表が、自民党候補者の「血を流す」発言について、一部メディアの取材に対して憤りをあらわにして答えた様子を伝えた動画に、同調するコメントをアップした。
SNS上では、東京13区から立候補している自民党の土田慎前衆院議員が討論会で「国民の皆さんに汗を流して、場合によっては血を流していただかないといけない」と発言したことについて、一部メディアが、野田氏に遊説先で質問した際の動画が拡散され、話題となっている。野田氏は次の目的地に急いでいる様子で車に乗りかけていたが、質問者から「自民党の候補が」「血を流して…」というワードを聞くと、表情を一変させて質問者の元に戻り「そこまで言ったの?」と確認。「論外。国民の血を流す前提の政策などあり得ない。大間違い。政治家としての資質に欠ける」などと、冷静ながらも憤りを隠せない様子で語っている。
依田氏のXでは、スタッフによる投稿として、その様子を伝えた動画を引用。「本当にとんでもない。とんでもないです。よだかれんは、誰も血を流させない国にします。こんなトンデモ発言をした、土田候補も戦地には行かせないし、血を流させることも絶対にしません。誰一人、そんなことはさせません」と、依田氏の見解が示された。
土田氏は、当該発言が拡散した後、Xで真意を説明している。「こちら大きな誤解を生んでいるようですが、こんなに素晴らしいインフラ等、日本を次の世代にもバトンタッチしていく為には痛みも伴う構造改革をしないといけない、という意図での発言です」とした上で「当然、戦争を起こさせないのが政治家の1番の仕事だと矜持を持って日頃から活動しておりますので、ご指摘いただいている内容とは全く異なる文脈です。一部ではなく全体と文脈を見ていただけますとその意図も伝わると思います。よろしくお願い申し上げます」などと記した。また「日本の課題を解決するために、構造改革が必要であり、国民の皆様にとって耳障りの悪いことであったとしてもやっていかなければならないという趣旨でお話しさせていただきました。誤解を与えない言葉の選び方をすべきでした、誠に申し訳ございません。またご指摘も賜りありがとうございました」とコメント。切り取られた動画では前後の文脈が省かれており、当該発言部分を示したURLを公開していた。東京13区は土田氏の他、国民前職の森洋介氏、参政新人の加地敏子氏、共産新人の沢田真吾氏が立候補している。
依田氏の立候補する東京25区は、自民前職の井上信治氏、国民新人の宗像久敬氏、維新新人の宮崎太朗氏、参政新人の木村奈美氏が立候補している。

愛子さまと佳子さまは“皇籍離脱”の岐路…「女性宮家創設は今年がタイムリミット」と皇室専門家が警鐘

今年の新年の一般参賀では、色とりどりのドレスに身を包んだ女性皇族がずらりと並ばれていた。
秋篠宮さまも公務の担い手不足を心配されていた
「ベランダには美智子さま、雅子さま、紀子さまはもちろん、天皇家の長女愛子さま、秋篠宮家の次女佳子さまなど10名の女性皇族が並ばれており華やかで、新年に彩りを添えられていました」(皇室担当記者)
しかし、現行の皇室典範では、その多くの方がいずれ皇族ではなくなる可能性がある。第十二条では《皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる》とある。この状況を問題視しているのは、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉准教授だ。
「皇室典範の改正については、本来もっと早期に結論を出すべきでした。議論が停滞し続けることは、ご本人たちが将来の人生設計を描けないという事態を招いています。特に佳子さまは、いつ結婚されて皇籍を離脱されてもおかしくない年齢を迎えられており、制度の行方が個人の選択を縛っていると言わざるを得ません。今年はまさに決定を下すべき“タイムリミット”ではないでしょうか」
皇族減少への危機感は小泉内閣のころから浮き彫りになっていた。’05年には「皇室典範に関する有識者会議」が開かれたが、悠仁さまの誕生により、一度白紙に。それ以来、皇位継承の議論が大きく進んでいるようには見えない。
「佳子さまは現在31歳。姉の眞子さんが婚約内定会見を開かれたのは27歳のときでした。結婚について現実的に考えられていても不思議ではありません。また、現在は日本赤十字社での勤務や公務に邁進されている愛子さまも、現行制度のままでは結婚と同時に皇室を離れなければならず、国民の間ではその活動継続を望む声も根強くあります」(前出・皇室担当記者)
河西准教授は現行の皇室典範を継続した場合の課題として「公務の担い手不足」と「皇位継承の不安定さ」を挙げ、こう続ける。
「現在、女性皇族が日々多くの公務をこなされていますが、彼女たちが皇籍を離脱すれば、活動を支える担い手が不在になってしまいます」
現在、佳子さまは皇室内でいちばん多く公務をこなされている。宮内庁の発表によれば、昨年のご活動は実に200件近くにも上り、’24年を上回る状況に。父の秋篠宮さまも昨年の60歳の誕生日の際、会見で触れられた。
《高齢化も含めて、公的な活動の担い手が減ってきているというのは、もう間違いないことです。しかし、その状況を変えるのは、今のシステムではできません。いかんともし難いことだと思います。やはり、全体的な公的な活動の規模を縮小するしか、今はないのではないかと思います》
短期間での改正も実現不可能ではない
また、河西准教授は皇位継承についても警鐘を鳴らす。
「若い男性皇族は悠仁さまおひとり。男系維持を前提とする限り、将来の結婚相手に『必ず男子を産む』という過度なプレッシャーがかかり続けることになります。雅子さまがかつて受けられたようなストレスは避けるべきで、このままでは本当に皇室が消滅しかねないと危惧しています」
解決策として「女性皇族が結婚後も残れる案」と「旧皇族の男子を養子に迎える案」が検討されているが、これには国民の税金が関わる。
「女性皇族が結婚後も残るためには新たに宮家を創設するということになります。昨年、三笠宮家の当主となられた彬子さまは、これまで受け取っていた1年間の皇族費が約640万円から約1067万円に、新たに三笠宮寬仁親王妃家を創設し、当主となられた信子さまは1525万円から3050万円となりました。皇室費の出どころはもちろん税金なので、詳細な説明が求められることでしょう」(前出・皇室担当記者)
河西准教授も難しい問題だと指摘する。
「宮家創設に数千万円単位の費用がかかったとしても、信頼関係を築かれている現在の女性皇族に残っていただく形が、最も現実的ではないかと思います。一方で、旧宮家の方を養子にする場合、長年一般人だった方に突如多額の税金を投じることへの国民の理解が得られるかが問題になります」
長年、うやむやにされてきた皇室典範の議論だが、今回大きな局面を迎えようとしている。高市首相は1月23日、衆議院を解散。解散表明の会見では、皇室典範の改正に取り組むと述べた。
「高市氏は男系維持派ですが、新たに結党した中道改革連合など、他党がどのような見解を示すか。今回の選挙は、皇室の未来を国民がどう判断するかという大きな争点になるでしょう」(河西准教授、以下同)
改正の議論より先に選挙という大きな局面を迎えることとなったが、実際に改正にはどれほどの時間がかかるのか。
「本気で取り組めば、比較的短期間での改正は十分に可能です。かつて上皇さまが退位された際、もともと皇室典範に規定はありませんでしたが、特例法という形で極めてスムーズに法整備がなされ、退位が実現した前例があります。今回は典範そのものの改正であり、性質は若干異なりますが、皇室典範も一つの法律である以上、政治家たちの強い意志があれば速やかな対応ができるはずです」
投開票が行われるのは2月8日。皇室の未来を左右する国民の判断が問われるーー。
河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数

娘への贈り物ブーツにGPS…ベテラン警察官が向き合うストーカー・DV加害者の「孤独」

全国でストーカーによる凶悪事件が後を絶たない。被害を食い止めるため、警察当局が被害者の迅速な保護とともに力を入れているのが加害者へのアプローチだ。10年以上にわたり、ストーカーやドメスティックバイオレンス(DV)関連事案に携わってきたベテラン警察官は、加害者の「孤立」と向き合う重要性を指摘する。
「なぜか夫に居場所がばれている」。ある日、夫のDVから逃れるため、小学生の娘と一時避難していた女性から相談があった。
対応にあたったのは、大阪府警の明道(みょうどう)厚士(こうじ)警部(56)。平成31年4月に発足した府警の人身安全対策室に所属。ストーカーやDVに加え、児童虐待事案の初動対応も担う。その中でも明道警部は、警察庁から「広域技能指導官」に指定された、その道のプロだ。
女性からの聞き取りで、夫がクリスマスプレゼントとして、数点の衣類を娘に送っていたことが分かった。プレゼントの一つであるブーツを金属探知機で調べると、靴底から衛星利用測位システム(GPS)機器が見つかった。
明らかに小さなサイズ…のぞく葛藤
夫に警告したところ、「どうしても娘に会いたかった」と述べた。
娘へのプレゼントと称して居場所を探る-。それだけ聞けば悪質性が高い印象を受けるが、夫には娘を思うがゆえの葛藤もあったという。
夫が送ったブーツは、娘が履くには明らかにサイズが小さかったのだ。
「GPSを仕込んだようなものを娘に履いてほしくなかった」。夫はそう説明した。夫の家には、娘のサイズに合うブーツもあった。「会いに行けたら、GPSのブーツと入れ替えて、きちんとプレゼントしたかった」
明道警部は「加害者本人も悪いことだという自覚はある。気持ちを落ち着かせて、関係の解消を納得させることが重要だ」と話す。
警察庁によると、ストーカー関連の被害相談は令和6年、全国で1万9567件に上った。前年から276件減少したものの、依然高い水準にある。ストーカー規制法違反容疑での摘発は1341件で、前年より260件増加した。
再犯や行為のエスカレートを防ぐため、警察庁は6年3月、ストーカー規制法に基づく禁止命令を受けた加害者全員に連絡を取って近況を把握するとともに、精神的治療の有効性などの紹介を徹底するよう全国の警察に通達を出した。同年の間に1039件の連絡を実施したという。
「孤立が再犯につながる」
大阪府警では医療機関の紹介とともに、事案に応じて治療費を負担する独自の制度も取り入れているほか、加害者と定期的に連絡を取っている。
いかにして被害者への思いを断ち切らせるのか。明道警部は「被害者の日常がどれほど奪われているか」を理解させることが重要だとする。
たとえば通勤・通学ができなくなり、外出そのものにも不安を感じる…。そうした事実を時間をかけて伝える。「動機は『好意』によるケースが多く、当初から危害を加えることが目的である場合は多くない。『相手を大切に思う気持ち』に訴えかけていく」
また明道警部は「孤立が再犯につながる」とも強調する。周囲のサポートで再犯を踏みとどまらせるため、家族や知人と情報を共有することもある。「孤独が自暴自棄にさせる。加害者が再犯を繰り返さない環境作りも課題だ」と話す。警察学校などで若手に講習も行い、自身の経験を伝えている。(鈴木源也)
府警人身安全対策室では24時間体制でストーカー被害の相談に応じている。専用ダイヤルは06・6937・2110。

ボンネットに男性を乗せたまま170m走行 振り落とそうとした殺人未遂容疑 43歳の会社員を逮捕 「交通トラブル」と自ら110番通報 新潟・西蒲区

新潟市西蒲区の国道で5日、乗用車のボンネットに40代男性を乗せたまま走行し振り落として殺害しようとしたとして、会社員の男(43)が現行犯逮捕されました。
殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されたのは、新潟県燕市吉田宮小路に住む会社員の男(43)です。
警察によりますと、男は5日午後6時40分ごろ、新潟市西蒲区和納の国道で、自身の運転する乗用車のボンネットに40代の男性を乗せたまま約170メートル走行し、男性を振り落として殺害しようとした疑いが持たれています。男性は両足に軽いけがをしたということです。
事件の直前、男と男性は車の運転をめぐって口論になっていたということで、男自ら「交通トラブルが起きた」と通報していました。調べに対し男は「間違いありません」と容疑を認めており、警察が当時の状況を詳しく調べています。

死後3年超か?母親とみられる遺体を放置 容疑で女を逮捕 いわき

母親とみられる遺体を自宅に放置した疑いで、いわき市に住む55歳の女が逮捕されました。
死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、いわき市平のパート従業員・坂林亜矢容疑者(55)です。
警察によりますと坂林容疑者は、母のみね子さん(当時73歳)とみられる女性が2022年ごろにいわき市内の住宅で死亡したことを知りながら、遺体を放置していた疑いがもたれています。
2月5日に坂林容疑者が警察に自首したことで事件が発覚しました。
警察の調べに対し坂林容疑者は容疑を認めているということです。
警察が死因の特定を進めるとともに、動機や事件の経緯を詳しく調べています。

自民の地滑り的大勝利は全然喜べない…天狗になった高市政権を待ち受ける「イチャモン習近平より怖い勢力」

高市早苗首相は、スピードこそが最大の武器であるという賭けに出た。立憲民主党(中道改革連合)など野党が候補者調整を終える前に、そして2025年10月の首相就任直後の「ハネムーン期間」の支持率が残っているうちに動く――。
2月8日の投開票に向け選挙戦は終盤に入っている。候補者一人ひとりは当選を目指し、声を枯らしてのアピールに必死だが、視点を引いてみれば、もっと大事なものも見えてくる。インド太平洋の安全保障と経済的ステートクラフト(国家運営術)のレンズを通して見れば、高市氏が賭けるお金は「国家の実存」そのものだということである。
日本は国内の生活費高騰に対処しつつ、対外的には信頼に足る、抑止態勢を維持できるマンデート(信任)を確保できるか否か。今、我々が目撃しているのは、日本の「国内政治時計」と、外部の「地政学的タイムライン」の衝突である。
2026年のアジア安全保障構造の行方を理解するには、選挙戦の喧騒を踏まえつつ、4つの異なるシナリオを分析する必要がある。
第1のシナリオは、高市氏の賭けが成功する場合だ。自民党が単独で安定多数を確保し、彼女が掲げる「新国家構造」への信任を得る。これは統治能力の観点からは最もクリアな結果だ。予算は円滑に成立し、連立パートナーの拒否権に政策が人質に取られることもない。
だが、地滑り的勝利は万能薬ではない。それは巨大なリスクを伴う「許可証」でもある。フィナンシャル・タイムズ紙のレオ・ルイス氏が指摘するように、政治的モメンタムと経済的信頼性の間には明白な緊張関係がある。市場は高市氏の積極財政への意欲に敏感に反応している。最近の円相場の変動と国債利回りの上昇は、投資家の不安を物語っている。
もしこの選挙が、高市氏の看板政策である「危機強靭化パッケージ」という名の歳出拡大への信任投票と見なされれば、世界中の投資家はこれを「財政規律の喪失」へのゴーサインと解釈するだろう。
日銀が政策正常化を模索する中で、財政規律から解き放たれた政府は「国債市場の反乱」を招くリスクもある。これは戦略的な大惨事だ。もし、通貨危機への対応に追われることになれば、日本は対中国など東シナ海での影響力を維持したり、CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)でのリーダーシップを発揮したりする余力はない。
一方で、外交・安全保障政策においては、強力な信任は変革をもたらす。ワシントンや台北はこれを「加速への許可」と読むだろう。高市氏は憲法9条改正と台湾との相互防衛枠組みの公式化を明言している。
単独過半数は、改憲の国民投票に向けた法的メカニズムを動かす力を彼女に与える。これは抑止力を安定させる一方で、習近平率いる中国との即時かつ鋭い摩擦を招く。地滑り的勝利は、往々にして指導者に「選挙の数字」を、「戦略的コンセンサス」と錯覚させる誘惑を持つものだ。
第2のシナリオは、戦略的に最も現実味があるものである。それは、自民党が単独過半数には届かないものの、従来のパートナーである公明党を切り捨て、日本維新の会との連立、あるいは閣外協力を模索するケースだ。
吉村洋文氏率いる維新は、「改革保守」の代替案としての地位を確立している。彼らの狙いは、政府を「改革多数派」へと変貌させることにある。それは規制緩和、労働市場の流動化、そして旧来の自公モデルでは許されなかった強固な安全保障姿勢を意味する。イデオロギー的に公明党の平和主義よりも維新のタカ派に近い高市氏にとって、このシナリオは政治的に十分に生存可能だ。
戦略的に見れば、これは日本の安全保障ネットワークを制度化する上で最適な結果かもしれない。自民・維新ブロックは、ミニラテラル(少数国間)協力の深化により積極的になるだろう。
高市・吉村政権となれば、AUKUS(オーカス)の「ピラー2」への参加や、日米比のトライアド(3カ国枠組み)の公式化を強力に推進することが予想される。維新のマニフェストにある「能動的防衛」は、日本の反撃能力の運用化というニーズと完全に合致する。
ただし、両党には摩擦も生じるだろう。特に経済領域において。維新が求める「痛みを伴う改革」は、自民党の伝統的な支持基盤を揺るがしかねない。
第3のシナリオは、公明党との強制的な和解も考慮せねばならないケースだ。最近の報道では自公関係の冷え込みが伝えられるが、日本の「選挙マシン」の現実として、接戦区における創価学会の集票ネットワークは依然として不可欠だ。
高市氏が政権維持のために公明党に大きく依存せざるを得ない場合、日本は安倍・岸田時代を特徴づけた「アクセルとブレーキ」の力学に逆戻りすることになる。公明党は歴史的に、政策の角を丸め、防衛支出よりも家計支援を優先させる「安定装置」として機能してきた。
この協力関係が復活すれば、政策実施の進捗はのろのろしたものへと引き戻される。「新国家構造」は骨抜きにされ、台湾防衛枠組みの議論は「外交的対話」へと棚上げされるだろう。対外的には、これを「安定のシグナル」と歓迎する同盟国もあるかもしれない。
だが、より深い問いは、そのような安定が、安全保障環境の変化に追いつくために必要な「改革の加速」を犠牲にして得られるものなのか、ということだ。
公明党に制約された高市政権は、ワシントンがますます強く求める能動的サイバー防御や厳格な輸出管理といった経済安全保障法制の制定に苦慮することになる。「世界は前進しているのに、日本だけが現状維持」という政府になりかねない。
高市が過半数を確保できず、ハング・パーラメント(宙吊り国会)や脆弱な少数与党政権となる事態となるのが、第4のシナリオである。テールリスク(確率は低いが巨大な損失をもたらすリスク)ではあるが、2026年の不安定な情勢下では無視できない。超短期決戦は、スキャンダルや野党の突発的な結束といった「ブラックスワン」への感度を高める。
この結果となれば、日本の国内政策環境はカオスと化す。中期的な戦略(賃金、エネルギー安全保障、産業競争力)への信頼できるコミットメントは不可能になる。
インド太平洋にとって、これは悪夢のシナリオだ。麻痺した東京にリーダーシップは取れない。クアッド、日米韓、そして日比といったミニラテラルの枠組みにおける「要(かなめ)」としての日本の役割は蒸発する。
これらのメカニズムが機能するには、官邸の確固たる手綱さばきが不可欠だ。「ネットワーク化された安全保障」の建築物はほころび始め、北京は間違いなくこの政治的空白を、日米同盟にくさびを打ち込む戦略的好機と捉えるだろう。
これら4つのシナリオの上に覆いかぶさるものがある。それは、制御不能な変数=ドナルド・トランプの帰還である。私が以前、平和・安全保障研究所(RIPS)の論考で主張したように、第47代大統領は、独特のアメリカ的ショーマンシップで演じられているだけで、実は数世紀にわたり記録されてきた古典的なステートクラフト(権力政治)を実践しているに過ぎない。
トランプは、いわば地政学的な「ハーメルンの笛吹き男」として振る舞い、敵も味方も操る戦略的カオスを創出する。もし、日本政府が弱体化、あるいは内向きになった時、この曲をさばく能力はないだろう。
ワシントンが同盟を「神聖な信託」ではなく「貸借対照表(バランスシート)」として見ている兆候はすでに表れている。東京が国内政治で麻痺する状態に陥れば、法外な駐留経費負担(HNS)の要求や、安全保障と貿易赤字のリンクといった取引的な圧力に反論することなど不可能だ。
日本が政治的に脆弱だと見なされれば、「笛吹き男」は東京を完全に素通りし、北京やソウルと2国間取引を行い、日本の国益を切り崩すかもしれない。
逆に、強力な高市政権誕生ならば、半導体や造船における日本の産業能力をテコに、同盟を「みかじめ料の徴収」ではなく「相互資産」として再定義できる可能性がある。
フィナンシャル・タイムズ紙は最近、日本政治の観察者トバイアス・ハリス氏の有用な警告を引用した。選挙は詳細な政策ではなく「雰囲気(バイブス)」で戦われることがある、と。
高市氏は「強さと主権」という「雰囲気」で選挙戦を戦っている。だが、雰囲気だけではトマホークミサイルは買えないし、円安も止まらない。
高市氏にとって、これは統治能力を問われるテストとなる。自民が単独過半数で勝利するなら、彼女は国民から受けた信任を、財政的信頼性と行政執行力として実行しなければならない。また、辛勝であれば、戦略的羅針盤を失うことなく、交渉モードで統治しなければならない。
高市自民が勝利し、連立の重心が右へシフトする場合、「政治とカネ」問題などの腐敗を終焉させることが前提となる。選挙での「強い結果」は白紙委任状ではない。国民からの信任は、一皮むけばそれは警告なのだ。
世界は見ている。この真冬の国民投票は、戦略的カオスに直面した日本が、信頼に足る政治的権威を再構築できるか、と。東京が国内改革を断行しつつ、アメリカの「ハーメルンの笛吹き男」と踊りながらも崖から落ちないだけの賢明さを備えた政府を生み出せるかどうかが問われている。
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(国際基督教大学 政治学・国際関係学教授 スティーブン・R・ナギ)