政府・自民党は大規模太陽光発電施設「メガソーラー」について、2027年度から新規事業に対する支援を廃止する方針を固めた。メガソーラーを巡る環境破壊などが社会問題化しており、東日本大震災以降の普及促進方針を根本から転換する。環境影響評価の実施も厳格化し、野放図な拡大に歯止めをかける。
複数の政府・自民関係者が明らかにした。出力1000キロ・ワット以上のメガソーラーのほか、出力10キロ・ワット以上の地上設置型の事業用太陽光発電設備について、市場価格に一定額を上乗せして電力を買い取る支援制度の申請対象外とするもので、自民が15日にも提言をまとめ、近く政府に提出する。政府は年内にも関係閣僚会議を開き、27年度からの支援廃止方針を決定する方向だ。自然環境への影響が少ない屋根設置型の事業用設備や、家庭用設備に対する支援は継続する。
メガソーラーは、太陽光発電パネルを敷き詰めた大規模発電所で、11年の東日本大震災以降、各地で建設が相次いだ。東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、当時の民主党政権が12年度、脱原発の流れの中で「再生可能エネルギー支援制度」を開始。電力会社が再エネ事業者から電力を市場価格より高値で買い取る仕組みを導入し、普及を後押しした。
ただ、山林などを切り開き、時に数万枚超のパネルを使用することもあり、近年は生態系破壊や森林伐採に伴う災害リスクの増大、景観悪化などが指摘された。北海道の釧路湿原国立公園周辺や千葉県鴨川市など地元住民と事業者間でのトラブルも相次いでいる。
電力会社による25年度の各種再エネ電力の買い取り総額は4・9兆円の見込みで、メガソーラーを含む事業用太陽光への支払いは3兆円と6割に当たる。買い取り総額のうち3・1兆円は国民の電気料金に上乗せされる「再エネ賦課金」が原資だ。
政府は、事業開始の際に必要となる環境影響評価(環境アセスメント)についても、現行の出力4万キロ・ワット以上の事業者から引き下げ、対象を拡大する。
メガソーラーは太陽光パネルの大量生産技術などで発電コストが大きく低下しており、自民内には「支援は役目を終えた」との声がある。高市首相は9月の自民総裁選で「釧路の湿原に太陽光パネルを敷き詰めるような補助金制度を大掃除する」と発言していた。
◆再生可能エネルギー支援制度=再生可能エネルギー普及促進のため、風力や太陽光などの再エネ事業者が発電した電力を電力会社が固定価格で買い取る「固定価格買い取り制度(FIT)」として導入。2022年度からは、市場価格と連動させた上で一定の補助金を支給する「FIP制度」に移行するなどした。買い取り費用の一部は「再エネ賦課金」として電気料金に上乗せして消費者に転嫁している。
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女性天皇「賛成」69%、将来の皇位継承「不安」68%…読売世論調査
読売新聞社は、9~10月、皇室に関する全国世論調査(郵送方式)を実施した。天皇の皇位継承などを定めている皇室典範を改正して、女性の天皇を認めることに、「賛成」と答えた人は69%に上り、「どちらともいえない」が24%、「反対」は7%にとどまった。将来、皇位継承が難しくなる不安を「感じる」は68%で、「感じない」の31%を上回った。
郵送方式では、女性天皇についての質問を2018年、20年、22年に実施。直近の22年の調査では、女性天皇「賛成」は70%、「どちらともいえない」は24%、「反対」は6%だった。
皇室は現在、16人で構成されている。このうち皇位継承の資格があるのは秋篠宮さま(60)、秋篠宮家の長男悠仁さま(19)、常陸宮さま(90)の3人。
皇位継承に関しては、これまで、父方が天皇につながる「男系」の天皇だけで、母方が天皇につながる「女系」の天皇はいない。これまでと同じように「男系」を維持する方がよいと思うか、「女系」も認める方がよいと思うか尋ねたところ、「女系も認める方がよい」が64%で、「男系を維持する方がよい」の13%を大幅に上回った。「どちらともいえない」は22%だった。男女別では、「女性天皇」「女系天皇」のいずれも、女性の方が肯定的な意見が多かった。
与野党は衆参両院議長の下で、皇族数の確保策について協議を続けている。安定的な皇位継承や皇族数の確保策について、国会は、できるだけ早く結論を出すべきだと「思う」と回答した人は67%で、「思わない」は31%だった。
読売新聞社は5月、安定的な皇位継承に向けた提言をまとめた。▽皇統の存続を最優先に▽象徴天皇制維持すべき▽女性宮家の創設を▽夫・子も皇族に――の4項目の対策を示した。
調査は9月24日~10月31日、全国の有権者3000人を対象に実施し、2004人が回答した(回答率67%)。
「連立政権」はなぜ必要?…転換点は1993年、自民・維新は「普通は連立と呼ばない」
自民党と日本維新の会による連立政権が10月に発足した。公明党が自民との連立解消を決めたことを受け、自民は新たに維新と連立を組んだ。主張の異なる政党同士が国会で連携する「連立政権」はなぜ必要なのか。
政権運営に「半身」の日本維新の会
連立政権は、複数の政党が連合して政権を運営することだ。日本では衆参両院のどちらかで与党が過半数を失った際に採用されることがほとんどだ。与党が少数の場合、予算案や法案ごとに野党の協力を取り付ける必要があり、政権運営は不安定になる。そうした状況を打開するため、連立を組んで多数を形成する目的がある。
自民と維新は10月20日、政治改革や外交・安全保障といった12分野の政策に関する連立政権合意書を交わして、連立を決めた。維新は閣僚や副大臣、政務官を出さない「閣外協力」にとどめた上で、政府と両党の調整役として、遠藤敬国会対策委員長を首相補佐官に就けている。
中央大の中北浩爾教授(政治学)によれば、学説的には連立政権は「閣内協力」のことを指す。憲法上、内閣は国会に連帯して責任を負うためで、閣僚を出さないことは政権の責任を共有していないと考えられるためだ。中北氏は「維新は政権運営に半身で、普通は連立と呼ばない」と指摘する。
一方、自民、維新両党は合意書で「連立政権を樹立する」と明記しており、連立の形態の一つと位置づけている。実質的には閣外協力だが、政権が不安定な印象を与えるのを避ける狙いがあるとみられる。
転換点、93年の「細川政権」誕生
戦後、日本では1955年の保守合同で自民党が生まれ、社会党と対峙(たいじ)する「55年体制」が確立されると、自民の単独政権が長く続いた。
その転換点となったのは、非自民・非共産勢力の8党派が結集し、日本新党代表の細川護煕氏を首相とする「細川連立政権」が誕生した93年だ。自民は政権奪還のため、94年に社会党と新党さきがけの「自社さ」の連立を組み、社会党の村山富市首相を選出し、与党に復帰した。
次に発足した橋本竜太郎内閣では、社民党(社会党から党名変更)、新党さきがけが閣外協力に転じ、自民は98年参院選で大敗。参院で過半数割れしたため、小渕恵三内閣は99年1月に自由党、10月には両党に公明党を加えた「自自公」の枠組みで政権維持を図った。
2003年からは自公政権となり、自公の連携は野党時代の3年3か月を含め、今年10月まで続いた。09年衆院選で圧勝した民主党も参院では過半数を持たず、社民、国民新両党と連立を組んで政権交代を実現した。
近年、連立が常態化しているのは、自民が衆参両院で単独過半数を得られなくなったことが背景にある。多党化も進んだことで、今後も連立なしで政権を樹立することは難しそうだ。
短命の歴史
93年の細川連立政権、94~96年の自社さ、2009~12年の民主党政権はいずれも短期間で瓦解した。基本政策の違いに加え、二院制の日本では3年ごとの参院選、衆院選と選挙が頻繁に行われることも影響している。
一方、選挙協力が成功した自公政権は長続きした。小選挙区比例代表並立制を導入する衆院選では、自民が小選挙区に候補者を擁立し、公明が支援。自民候補は「比例は公明」と呼びかけることで、互いに票を融通する共闘関係を築いた。
自維政権は候補者調整は行わない方針で、与党同士で議席を争う小選挙区もありそうだ。維新が重視する議員定数削減や副首都構想が停滞すれば、両党関係にきしみが生じ、連立解消につながる可能性もある。
カメラの先の容疑者逃がさない 「リレー捜査班」現場をくまなく歩いて死角カバー
防犯カメラに写る容疑者の映像をつなぎ、逮捕に結びつける「リレー捜査」。今年8月に神戸市で起きた女性殺傷事件の容疑者特定に大きく寄与するなど、今や必須の捜査手法として全国の警察に定着した。大阪府警は刑事、交通など各部門を横断してリレー捜査を一手に担う専門組織を持つ。その最前線には、靴底を減らして歩く昔ながらの捜査員たちがいる。
「絶対に逃げ得は許さない」。大阪府警の防犯カメラ捜査を集約する犯罪対策戦略本部。ここでカメラ捜査を統括する前川富一警部はそう言葉に力を込めた。
府警は平成27年、防犯カメラ映像の収集・解析・分析を一元的に行う犯罪抑止戦略本部を立ち上げた。従来、所轄署や各部署で行われていた防犯カメラ捜査を一手に担い、事件を迅速解決につなげるのが目的。部門を横断して防犯カメラ捜査に特化する組織は当時から全国的に珍しかった。
令和2年に現在の犯罪対策戦略本部に名称変更。以来、捜査員の間では「犯対(ハンタイ)」と呼ばれている。設立から今年で10年。1年間で担当するカメラ捜査の数は600件にも上る。
今年3月、大阪市住吉区の薬局で発生した強盗致傷事件も、ハンタイのリレー捜査が容疑者逮捕の一助となった。
午後9時過ぎ、黒のジャンパーを着た男が薬局のカウンター内に押し入り、女性店長に「金を出せ」と刃物を突き付けた。男は女性を手錠やロープで縛り、現金22万円を奪って逃走した。
24時間態勢で警戒にあたるハンタイの機動支援捜査班にも、発生直後に支援要請があり、班員が現場へ急行した。犯行現場の防犯カメラが捉えた男の服装や体格を頭にたたき込み、周辺の民家や施設のカメラを確認。USBでカメラとパソコンをつなぎ、映像を1台ずつ調べた。だが、しばらくすると容疑者はカメラがない場所に入り、後を追えなくなった。
いくら街頭のカメラが増えたといっても、こうして足取りが途絶えるのはリレー捜査の常。ここで求められるのが捜査員の〝センス〟という。
多くのメンバーに刑事経験があり、現場で「自分ならどこを通り、どう逃げるか」と容疑者目線で思考を巡らせる。犯罪者心理を予測し、カメラ捜索の範囲を拡大した結果、現場から離れた駅を利用する姿をとらえた映像に行きついた。その後のリレーで降車駅や自宅マンションを特定、容疑者の男は事件から2週間後に逮捕された。
リレー捜査の鉄則は現場を「歩く」こと。自らの足で動くからこそ軒先のカメラやレンズの「向き」に注目できる。1日に1万~2万歩は「当たり前」という。
画像という動かぬ証拠で容疑者を特定し、「捜査の強い武器」(前川警部)になるリレー捜査。一方で、防犯カメラには保存期間があり、自動削除されるまでに映像を確保できなければ捜査が水の泡になりかねない。リレー捜査は時間との勝負でもある。
防犯カメラの多くは民家や企業の施設に設置されており、住民や関係者の協力が欠かせない。前川警部は「捜査員全員が絶対に逃げ得を許さないとの思いで、日々捜査している。一日でも早い事件解決のために、カメラ捜査への協力をお願いします」と呼びかける。(木下倫太朗)
クマに恐われた男性「これもうだめだと…」 過去最悪の被害の一方で猟友会は「数が減ってきている」 駆除されたクマの“ある特徴”とは
今年の漢字に選ばれた「熊」。人が襲われるケースが相次ぎ、冬眠を迎えるはずの今の時期も市街地での目撃や被害が後を絶ちません。
訪ねたのは、岐阜県高山市に住む男性。11月、自宅のすぐ裏でクマが出たといいます。
「こんなにひどいのは初めてです」
(自宅裏でクマが出た田川昭彦さん) Q.このひもは何ですか? 「向こうにクマよけの鈴があって、これを引くと鈴が鳴る。こっちもそうです」 Q.かわいい音ですけど逃げる? 「最近は来ないですね」
山裾にある男性の家。クマが出たのは、森と家の間にある柿の木のあたり。
(田川さん) 「木の皮がれている所がクマが何回か登って皮がれている」 Q.ここから登っていった? 「上の方まで登っていった」 Q.枝が折れたり木が裂けたりしているが? 「全部クマですね」
木に登ったクマは、柿の実をほとんど食べ尽くしていったと言います。男性が監視カメラを設置すると、夜な夜な山から下りてきた周辺をうろつく親子とみられるクマの姿が。11月までに計5頭が確認され、このうち2頭が仕掛けた罠の檻にかかりました。
(田川さん) 「こんなにひどいのはことし初めてです」 Q.来年どうしましょう? 「どうしたらいいんですかね…」
ドラム缶を壊され逃げられたことも
罠を設置したのは地元の猟友会。猟師歴46年のベテラン・脇谷雅彦さんは、親子で狩猟を生業としています。
(飛騨猟友会 脇谷雅彦さん 66歳) 「こちらが踏み板になります。奥からクマが入ってきて、手前にはちみつを置いて、はちみつを舐めるために踏板に足をかけると奥の扉が閉まって、捕獲されるという仕組みになっています」
(脇谷雅彦さん) Q.檻にかかったらクマは出られない? 「そうです。出られないんですけど、特別にことしは…中を見ていただくと分かりますが」 Q.穴が開いていますね 「口と手で破っちゃったドラム缶を。考えられない。クマの毛付いていますね。この隙間から無理やり出るために、ケガもしたと思う」
檻を壊され、逃げられたことも。例年、地元で罠にかかるクマは1~2頭ですが、ことしは5頭を駆除。それだけ人里に侵入してきたという現実があります。
一晩で400~500個の桃を食べ尽くされる
近くの桃農家を訪ねても…
(つむぎ果樹園 前坂治臣さん) 「おそらく400~500個は食べられていたかな」
一晩で畑の桃を食べ尽くされる被害にあった前坂さん。その畑にはいま、桃の木は1本もありません。クマが覚えてまた来ると近隣住民に被害が出る恐れもあるため、全て切り倒しました。
(前坂さん) 「桃を作って経営している中で、(クマに襲われる)リスクを作ってしまうのは、責任がないわけではないと。今後は考えていかないといけない」
クマに襲われ1か月入院した男性は…
15年前に被害にあった大坪さんにクマの怖さを聞くと。
(大坪達也さん 61歳) 「これが上あごです。ここが牙。こちらが下あご。ガブっと噛まれた」
当時、市役所で有害鳥獣の駆除を担当していた大坪さんは、イノシシ用の罠にかかったクマを山に放そうとしたところ襲われ、1か月入院する重傷を負いました。
(大坪さん) 「クマスプレー持っているなと思って出した時にロックがかかっていて、これもうだめだなと。クマは犬より速いくらい。ピューっと黒い弾丸が向かってきた。来るなと思った時には、足を噛まれて腕を噛まれて頭を噛まれて」 Q.頭をつかまれて噛まれた? 「耳のあたりを噛まれて」
目のすぐ下を爪でやられ、あわや失明するところでした。
(大坪さん) 「やっぱりクマはでかい。何かしでかせばダメージも強いし、1回スイッチ入るとすごいクマは」
冬眠しているクマがいない?
クマの狩猟は、冬眠前に脂がのる今の時期が本番です。脇谷さんに、いつもクマ狩りを行うという場所を案内してもらいました。山へ入ると早速、ニホンカモシカが。
さらに車で奥へ進み、たどり着いたのは標高1100メートルの山の中。冬眠場所を探すクマが頻繁に現れ、猟師の間で「クマの渡り場」と呼ばれるスポットです。クマ撃ち用のライフルを持った脇谷さんに、カメラをつけて山へ入ってもらうと。
(脇谷雅彦さん) 「今のところ足跡ないですね。雪が夕べも降っているので、クマは動いていないかもしれない。どんぐりがなる年だったら、雪をどけてでも食べるからすぐ分かるけれど、エサがないので、じっとしているだけだと思います」
クマの痕跡は全く見つかりませんでした。さらにことしは、冬眠しているクマをほとんど見かけないと言います。山にいるはずのクマが、次々に人里へ降りてきては駆除されるため、冬眠するクマそのものが減っていると脇谷さんはみています。
駆除されたクマには“ある特徴”が「冬眠できるクマではない」
捕獲したクマを食肉用に解体する、脇谷さんのジビエ工房を訪ねました。
(飛騨猟友会 脇谷将斗さん 39歳) 「これがクマですね」 Q.ピンク色が脂肪? 「そうですね。脂になります」
駆除されたこのクマにはある特徴が。
(脇谷将斗さん) 「上半身にいくにつれて、ちょっと脂が薄くなってきて。全体的に見ると冬眠できるクマではないですね」
冬眠前に蓄えているはずの脂も少なく、山でエサが見つからない実態も見えてきます。駆除され持ち込まれるクマは例年2~3頭のところ、今年はすでに27頭と10倍近くに増加。
クマのしゃぶしゃぶなどを提供 その味は?
続いて、ジビエ料理を提供するお店を訪ねました。
(山の幸うり坊屋 田中政亮さん 35歳) Q.脇谷さんの仕留めたクマを提供されているが、どんな関係? 「僕は脇谷家の次男です」 Q.何人きょうだい? 「4きょうだいで、下に弟がいて妹もいる。みんな一緒に働いています」 Q.脇谷家はみんなクマに携わっている? 「そうですね」
一家はクマの肉を堪能できる料理店も経営しています。ここで頂いたのが…
(田中さん) 「クマのしゃぶしゃぶです」 Q.赤い部分が少なく、脂が多いですね 「しゃぶしゃぶにするクマは、冬の脂の乗った上質なクマを選んで用意している」
その味は…
(大石) 「うまい!臭みが全然ない。脂がくちどけが良くて、濃厚だけどさらっといける」
そのほかクマの串焼きや、クマ肉100%のソーセージも。
(脇谷将斗さん) 「猟師の立場からすると有害駆除じゃなくて、狩猟でとって美味しく食べてあげたい。里に下りてくるクマはお腹が減って出てくるので、脂肪も蓄えられないし、色んなもの食べているのでクセがある。シンプルな出し方はできない」
「クマが減ってきている」
全国でクマ被害が激増したことし。専門家は個体数の増えすぎを原因の一つに挙げますが、脇谷さん親子は違う見方を示します。
(脇谷将斗さん) 「間違いなく実感では、クマが減ってきていると感じていて、他の地域とは違うかと思いますが、きょう山にクマの足跡を拾いに行っても拾えなかった。山で足跡をこの時期に拾えなかったことはない」 Q.猟師としてはクマがとれなくなる? 「そうですね」
(脇谷雅彦さん) 「姿を見かけられたら射殺される。檻でとられることが常識的になってくると、確実に保護動物になってしまうと思う」
クマの被害が急増する中、ただ捕獲して駆除するのではなく、人里に出てこないようクマとどう向き合うのかを考える必要があります。
「お金がない。あした払う」タクシー料金払わず、男性運転手の顔や上半身を数十発殴った疑い ブラジル人の女を逮捕 三重・鈴鹿市
14日未明、三重県鈴鹿市でタクシー料金を支払わず、運転手の顔や上半身を、数十発殴ったとしてブラジル人の女が逮捕されました。
逮捕されたのはブラジル国籍で住居・職業不詳のデ・ソウザ・ジャケリネ・アキ容疑者(40)です。
警察によりますと、アキ容疑者は14日午前1時前、鈴鹿市算所の駐車場で、タクシー料金を請求した男性運転手(54)の顔や上半身を、数十発殴るなどの暴行を加えた疑いが持たれています。男性にけがはありませんでした。
アキ容疑者は、市内の磯山から近鉄平田町駅までタクシーに乗り「お金がない。あした払う」と言って支払わず、車を降りたため、男性運転手が追いかけた後、犯行に及んだということです。
アキ容疑者は、酒に酔っていて調べに対し「知らない。やっていない」と容疑を否認しています。
アキ容疑者の所持金は65円でした。
学校に「日常」取り戻す カウンセラーが見た光景 北九州・中3殺傷
北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女2人が殺傷された事件から1年が過ぎた。殺人容疑などで逮捕、起訴されたのは同区長尾2の平原(ひらばる)政徳被告(44)。中学生が狙われた凄惨(せいさん)な事件は、地域に深い悲しみと痛みをもたらした。事件から1年。あの日を思い返し、二度と起こさないために再起した地域の姿を、住民や専門家の声から探った。
「安心感は地震のように揺らいだ」
中学生が狙われた事件は教育現場にも衝撃が走った。臨床心理士のシャルマ直美さんは、緊急支援で増員されたスクールカウンセラーの一人として、事件翌日から被害に遭った生徒が通っていた学校で心のケアにあたるとともに、学校がいかに日常を取り戻そうとしてきたかを間近に見てきた。
「学校に毎日来るという当然のようにある安心安全感が、(事件で)わーって地震のように揺らいだ」(シャルマさん)。事件が発生した14日夜(土曜)、北九州市教育委員会は児童生徒への対応を協議する対策チームを発足。事件への不安から学校を休んだ生徒児童を欠席扱いとはしないことに決めた。
発生後の初めての登校日となった16日、市立の幼稚園・小中高校などに通う計4168人が休んだ。容疑者が逃走中の5日間は連日1700人以上が登校、登園を見合わせた。
被害に遭った生徒が通っていた中学は、16日を臨時休校。再開までに教員、市教委、臨床心理士などが、どのように生徒たちを迎えるかを話し合った。心の健康を確かめるアンケートを実施した上で教員が全校生徒から話を聞く体制を整え、不安を抱える生徒をスクールカウンセラーにつなぐ手順など、想定される事案ごとに細かな計画を立てた。
また、臆測で事件について語られたことがSNSなどで波及し、被害者やその家族が傷つくことへの懸念もあった。学校として把握する事実をまとめ、子どもや保護者に説明する準備も進められた。
17日から学校が再開し、生徒たちは保護者に付き添われて登校した。まだ容疑者は逃走を続けていた。被害に遭った生徒が、塾の帰り道にファストフード店に寄っていたのも、同じような行動に心あたりのある生徒も少なくない。「近くに潜んでいるかもしれない。いつ自分もそうなるか分からない」という恐怖心があった。
心のケアで大切なのは「大人が落ち着く」ことと言われる。教職員たちが率先して動いた。学校には生徒を送迎する車が並び、周囲には報道陣。日常を取り戻すために、朝早くから出勤し、できる限り普段通りの環境を整える。シャルマさんはそうした教職員の姿を間近で見て「日々積み重ねている地道な先生と生徒の関係が、心のケアにつながった。カウンセラーは外部で得た経験や知見を伝えてサポートしただけ」と話した。
可能な限り、日常生活を送ること。それが心の回復につながる。悲しみは消えないが、時間とともに怖かった記憶や大きな衝撃は徐々に薄らいでゆく。ただ、何をきっかけに再び不安や恐怖がよみがえるか分からない。市教委の担当者は「現場の先生たちと連携し、引き続き、心のケアは続けていく」と誓った。【井土映美】
臨床心理士のシャルマ直美さんから皆さんへ
悩んでいる時は、自分自身を取り巻くいろいろなことがうまくいかないと感じたり、希望を持てなかったり、他の人ばかりがうまくいっているように見えたりするかもしれません。しかし、人それぞれに必ず悩んでいることがあるものです。私にもあります。
そんなときはその悩みを信頼できる誰かに話してみてください。悩みはすぐに解決しないかもしれないけれど、時間がたつに中で、状況が変わったり自分の気持ちが変わったりするでしょう。信頼できる誰かに話したり、自分の好きなことをして忘れたり、楽しい気分になれることをして笑ったりして過ごしてください。
そして、忘れないでほしいことは、悩んでいる時間はきっとあなたを成長させているということです。その成長が必ず次のピンチをしのぐ力になります。悩みを抱えながらも日々の生活を頑張った自分を信じて、あなたの内側に蓄えられた、ピンチをしのぐ力を感じてほしいと思います。
ツキノワグマの目撃、下関で21件…対岸の北九州市に「クマはいるのか」と問い合わせも
東北地方を中心に東日本でクマによる被害が深刻化する中、山口県内でも今年度、ツキノワグマの目撃件数が372件と高い水準で推移している。九州に最も近く、出没が少ないとされてきた下関市での目撃情報は21件で、ここ4年間で最多となった。クマが「絶滅」したとされる九州では、関門海峡を挟んで隣接する同市の状況を注視している。
山口、広島、島根の3県にまたがる西中国山地には、ツキノワグマが生息している。山口県自然保護課によると、記録が残る1997年度から2017年度までは、400件前後の年も数回あるものの100件前後の年が多かった。だが、18年度以降は200件を切ることがなくなり、23年度は最多の444件に。24年度はその倍近い799件に急増した。今年度も今月5日時点で372件と高い水準が定着しつつある。
県内では岩国市や周南市の一部など県北東部が、恒常的な分布域とされてきた。だが、近年は中部の山口市や西部の下関市でも複数の目撃情報が寄せられるようになり、生息範囲は広がりつつある。
特に下関市での目撃情報は、市が記録を残している22年度が6件、23年度は8件だったが、県内全域で増えた24年度は18件に。昨年9月には、空き家に入り込んだクマが木の台を両手で払いのけたり、壁をたたき壊したりする様子を市設置のカメラが捉えた。今年度(今月2日まで)はすでに21件と前年度を上回っている。
県内では昨年、周南市の里山で男性がクマに頭を引っかかれて大けがを負う被害も出た。今年はまだ人身被害はないが、山口市と周南市で7~8月、車とクマの衝突事故が起き、人が住む地域への出没が懸念されている。
山口市吉敷地域では、10月の1か月間で5件のクマの目撃情報が寄せられたが、うち1件は同市立良城(りょうじょう)小(760人)の近くで目撃されており、一時期、教員が見守る一斉登下校と、県警山口署員によるパトロールが実施される事態となった。
本州最西端の山口県でも西側の地域で目撃が増えていることもあり、狭いところでわずか約650メートルの関門海峡で隔てられた九州の玄関口・北九州市でも下関市での出没情報に注意を払っている。
北九州市は全国的にクマ被害が報じられた23年12月から、市内での出没に対する市民の不安を解消するため、市のウェブサイトに被害を防ぐ自衛策を掲載した。今年は東日本の深刻な被害を受け、「北九州にクマはいるのか」という問い合わせも寄せられているという。
下関市などで目撃例が増えていることについて、クマの生態に詳しい東京農工大の小池伸介教授(生態学)は「昔は山奥にしかいなかったが、全国でクマの分布域は広がっている。山口県でも人が住むすぐ隣にクマがいるという状況になっている」と指摘する。
クマが九州に渡る可能性については、「泳ぐ能力はあり、東北で沿岸の島に数百メートル泳いで渡った記録もある」とした上で、「渡った先の北九州市沿岸部には森がない。なかなか定着できないのでは」と推測する。
北九州市鳥獣被害対策課も、クマが海を渡るには下関市街地を通る必要があるほか、関門海峡は流れが速く、船の往来が多いことから泳いで九州に渡ってくる可能性は極めて低いとみている。(松田史也、星原優璃、梅野健吾)
九州で確認、1957年が最後
九州で最後にツキノワグマが確認されたのは1957年。87年には大分県の山中で捕獲されたが、DNA鑑定の結果、本州から連れて来られたか、その子孫と判明した。環境省は生息した確実な記録は57年が最後とし、「すでに絶滅の目安となる50年以上経過している」として2012年に「絶滅」の判断を下した。
九州でのクマ絶滅について、クマの生態に詳しい森林総合研究所東北支所の大西尚樹・動物生態遺伝チーム長は「1800年代にはすでに九州にほとんどいなかった」と指摘する。
背景には江戸時代に燃料とされたまきを大量に取るために、人々が木を伐採したことがあるといい、「その頃にははげ山が多くなっていた」と説明。九州では植林の際、クマが餌とするドングリなどが実る広葉樹から針葉樹の人工林への置き換えが進んだため、生息しにくくなったという。
「NTT青森八戸ビル」の鉄塔損傷、工期短縮を目指して協議も「年は越えてしまう」…半径50m以内の世帯に避難指示
地震による青森県八戸市柏崎の「NTT青森八戸ビル」鉄塔の損傷について、市、県と国、NTT東日本は13日、市役所で修復に向けた協議を行い、工期の短縮を目指すことに合意した。
NTT東は人員増や作業の効率化を進め、技術者約15人を含む対策本部を市内に設置して対応する。14日からは現場への資機材の搬入を始めるという。
市は現在、鉄塔から半径50メートル以内の世帯に避難指示を出している。協議では、鉄塔の倒れる可能性が高い方向をNTT東が精査し、避難指示対象の見直しが可能かを検討することも申し合わせた。
県の簗田潮・危機管理局長は報道陣の取材に「工期短縮の余地がある」と述べた。NTT東の宅間由美子サービス運営部長は「工法や工期を検討した結果、年は越えてしまうと思っている」との見通しを示し、「知見のない領域の工事で、安全面から見ても難易度は非常に高い」と説明した。
「姉に妹が包丁で刺された」母親が110番 妹の背中を包丁で刺し殺害しようとしたか 24歳の姉を逮捕 女性は命に別条なし 千葉・木更津市
きのう夜、千葉県木更津市の住宅で、女性の背中を包丁で刺し殺害しようとしたとして、24歳の姉が逮捕されました。
きのう午後7時ごろ、木更津市新田の住宅で「姉に妹が包丁で刺された」と母親から110番通報がありました。
警察官が現場に駆けつけたところ、この家に住む22歳の女性が背中や手に刺し傷がある状態で見つかったということです。
警察はその後、自宅近くにいた姉に事情を聞き、「間違いない」と事件への関与を認めたことから、殺人未遂の疑いで緊急逮捕しました。
女性は命に別条はないということで、警察は当時の状況を調べています。