自民、消費減税賛成“3倍増”で高市首相方針を事実上了承 石破茂氏「反対の声記録に残すべき」

自民党は3日、党本部で開いた党税制調査会と社会保障制度調査会の合同会議で、高市早苗首相が先月30日に表明した、飲食料品を来年4月から2年間に限り、現在の8%から1%に消費税を引き下げる方針について、小野寺五典税調会長に対応を一任することを決めた。事実上、首相方針を了承した。
関係者によると、会合では75人が発言し、反対を唱えたのは9人で、63人が賛成を表明。7月31日に行われた前回会合では、発言した28人のうち賛成18人、反対10人だったが、今回は賛成派の発言が、前回比約3倍増となった。関係者によると、この日は前回出席していなかった議員が数多く出席し、高市首相の方針に賛成を主張したという。
別の関係者によると、事前に、会合に出席した上で賛成を主張するよう呼び掛ける内容の文書も配布されていたといい、高市首相が主張する消費税減税という「結論ありき」で、会合が進む流れとなったことを指摘する声もある。
一方、会合に出席し途中退席した石破茂前首相は、報道陣の取材に「忘れてはいけないのは、OECD(経済協力開発機構)に加盟している国は38あり、日本の消費税率10%は飛び抜けて低い。他の国は20%やそれ以上で、日本の消費税は際だって低い」と指摘。「少子高齢化は世界でもトップ。日本の財政は世界でいちばん悪いということを忘れていませんか?」と述べ「そのことが議論されるべきで、公約だという前に日本の現状を議論することが大事だ」と訴えた。
また「私は、自民党が日本の国の将来に責任を持つのはどういうことなのかということを教わってきたし、それが自民党が積み上げてきた議論。それが一瞬にして壊れるということは、自民党の将来、現状においてもいいこととは思えない」とし、消費減税の方針に決まった場合でも、「けしてみんなが賛成したわけではなく、なぜ反対したかを記録に残すべきだ。いかなる理由で反対するのか、両論併記が、それぞれの名誉のために必要と思う」と述べ、賛成、反対の主張をともに議事録に残すべきだと訴えた。

大学生の姉が極刑求める「生涯かけても償えない」求刑は無期懲役…“主犯格”は遺族へ謝罪 江別暴行死

【解説】共犯者の求刑と判決 特定少年に「無期懲役」求刑 八木原被告の裁判日程決まらず 江別
検察の求刑は「無期懲役」。
北海道江別市で2024年10月、男子大学生が集団暴行をうけ死亡した事件で、強盗致死などの罪に問われている主犯格とされる男の裁判が結審しました。
(被害者の姉)「あなたは生涯をかけても償うことはできないと思います。極刑を強く求めます」
8月3日に開かれた川口侑斗被告の裁判。
長谷知哉さんの姉が涙ながらに意見陳述した際には、川口被告はうつむき、唇をかみしめながら聞いていました。
強盗致死などの罪に問われている川口侑斗被告と当時17歳の少年は2024年10月、江別市の公園で八木原亜麻被告や川村葉音被告らと共謀し、大学生の長谷知哉さんに暴行を加えて死亡させたうえ、現金やカードを奪うなどしたとされています。
主犯格とされる川口被告に対し、3日の裁判で検察はー
(検察)「すべての犯行を主導した。被害者の死に直結する暴行を最も多数回加えた」
長谷さんとは面識がなかった川口被告。
川村被告から長谷さんと八木原被告の交際トラブルを聞き、電話で呼び出したことで暴行に発展しました。
(川口被告)「どうしたらいいの、この服は。血ついたじゃん。全額出せ」
金品を奪うきっかけとなったのも川口被告の一言でした。
これまでの裁判では、川口被告が率先して50回以上、殴る・蹴るなどの暴行を加えたことが明らかになっています。
検察は、「関与したすべての責任が重大で類を見ないほど悪質な犯行」として、無期懲役を求刑しました。
弁護側も「人間らしい所を一つも感じないほど残酷な犯行」と事実は認めつつ、川口被告の育ってきた環境などを考慮すると懲役25年が適正であると主張しました。
裁判の最後に、裁判長から「何か言いたいことはあるか」と聞かれた川口被告はー
(川口被告)「被害者には幸せな日々があったのに命を奪ってしまったこと、本当に申し訳ありませんでした。今後できる限りの反省・謝罪、償いの日々を送り続けます」
立ち上がり、言葉を詰まらせながら遺族の方へ謝罪しました。
判決は8月7日に言い渡されます。
※STVでは今回の裁判の「特定少年」について、事件の重大さや社会的影響などを総合的に判断し、実名で報道しています。

「血がついた弁償代」「やっちゃえと言われた」凄惨な暴行と責任の押し付け合い【江別集団暴行死】主犯格の男(当時18)と少年(当時17)の裁判まもなく判決 《連載①》

責任の”すり替え”と”押し付け合い”
2024年10月25日深夜から翌26日未明にかけて、北海道江別市の公園で、当時20歳の大学生だった長谷知哉さんが男女6人による集団暴行を受け死亡した強盗致死事件。これまで、長谷さんと交際していた八木原亜麻被告(21)を除く5人の裁判員裁判の法廷で事件の詳細が明らかになってきました。
すでに一審の判決が確定した共犯者もいる中で、「主犯格とされる当時18歳でアルバイトだった男」と川村葉音被告(21)と交際していた「当時17歳のアルバイトの少年」の2人の裁判員裁判の審理が結審し、判決が7日に言い渡されます。
2人がどのように犯行に関わったのか、公判をふり返ります。《連載(1)》
頭や顔への強い暴行は30回から40回以上
長谷さんが受けた暴行は、常軌を逸したものでした。7月21日の公判で、検察側の証人尋問に出廷した長谷さんの遺体を司法解剖した医師は、遺体の状況を証言しました。
医師は、直接の死因について「外傷性ショック」であり、全身の血液量の20%から30%が皮下組織や筋肉内へ流出したことによるものと証言しました。
その出血した部位の6割から7割が頭部と顔面に集中していたとしたうえで、「顔、頭は出血していないところがないくらいの出血です。皮下組織、筋肉も出血していて、出血で厚みができる状態」と述べました。
さらに、頭や顔への強い暴行は「30回から40回以上だと考えられる」と指摘。急性硬膜下出血やくも膜下出血についても、「思い切り顔面を殴る、蹴るで強く揺さぶられれば、今回のような出血がおこる可能性はある」と述べ、凶器を用いなくとも手や足での暴行で脳へ損傷を与える可能性はあると証言しました。
背中の損傷についても、腰付近の背骨が折れていた点について「体の深い位置にあり、背部を局所的に蹴られる、踏まれることがないと、そう簡単に折れないと言える」と強い暴行があったことを示唆しました。
「全ての出血が被害者を死に追いやった」
検察側からの「外傷性ショックとは関係ない暴行はあるか」という問いに対し、医師は「全ての出血が被害者を死に追いやった」と述べ、執拗な暴力の全てが死因に直結していたと証言しました。
7月15日の公判で、主犯格とされる当時18歳の男は、弁護側の被告人質問で、当時の暴行の様子を証言しました。
主犯格とされる男は、最初の暴行(第1暴行)について「お腹を左足で1回蹴り、右手であごの付近を殴り、被害者さんの足付近を蹴ったり、倒れた時お腹を蹴り、謝罪中に顔を蹴りました。20回くらい暴行しました」と自らの暴行を認めました。
長谷さんが立った状態で謝罪したことに対し「なんで上から目線で謝罪しているのかと思い、土下座させて、その後、寝っ転がって質問に答えていたので立てやと言いました」と述べています。
「血がついたことで、弁償代を払わせようと思いました」
さらに暴行がエスカレートし、金品を要求するに至った経緯について、主犯格とされる男は「血がついたことで、弁償代を払わせようと思いました」と証言。「当時、自分の服に血がついて、新千歳空港から向かったので、迷惑をかけられたこともあって、迷惑代と血がついた弁償代として強く言いました」と、身勝手な理由で金品を要求したことを語りました。
一方、共に審理を受けている当時17歳のアルバイトの少年も、7月16日の弁護側の被告人質問で、自身の暴行について証言しました。
少年(当時17)は、暴行の後半(第3暴行)において「右手で左頬を殴りました。坂の上で、どういう理由かわからないですが、本気で殴りました」と証言。
長谷さんが、当時、現場の様子を録音をしていたことに主犯格とされる男が気付き、長谷さんが逃げようとした際、主犯格とされる男から『やっちゃえ』と指示を受けたと主張しました。
弁護人から、被害者の体のどこにどういうことを何回したか問われると、「まず、右の拳で左頬を1回殴りました。立った状態で2、3回腰あたりを本気で蹴りました」「その後、曖昧ですが、腹と胸付近、背中を蹴ったり踏んだりしました」と証言。合計で何回ぐらい暴行したかという問いに対しては、「暴行は55回前後です」と具体的な数字を挙げて答えました。
しかし、法廷で明らかになったのは、凄惨な事実だけではなく、共犯者間での証言の食い違いと、責任をなすりつけ合うような姿勢でした。
第1暴行の開始状況について、主犯格とされる男は、自身が暴行を始めた際に少年(当時17)に対して『やれ』と指示を出し、少年も加わってきたと証言しました。また、財布をあさって金品を奪うきっかけを作ったのも、少年(当時17)が「カバンひっくり返せ」と言って長谷さんのリュックを取り上げ、中身を地面に広げたからだと主張しました。
これに対し、少年(当時17)は、第1暴行の時点では「主犯格とされる男が暴行している様子を見ていただけで、自分は一切暴行をしていない」と否定。カバンをひっくり返した件についても、自らカバンをひっくり返して中身を出した事実はなく、主犯格とされる男がしびれを切らして自らカバンを取り上げたのだと反論しました。
また、少年(当時17)が長谷さんに馬乗りになって殴り続けていたとする主犯格とされる男の証言に対しても、少年(当時17)は「正面にしゃがみ込んで顔面を2、3回殴っただけであり、またがってはいない」と否定。
逆に、長谷さんの両側に立って蹴っていたのは主犯格とされる男と、当時16歳の少年(懲役9年~13年の不定期刑が確定)の2人であったと主張し、互いに相手の責任を重く見積もる証言を繰り返しました。
公判では、暴行の大部分を担ったとされる2人の被告。しかし、細部について、責任を押し付けようとする姿勢が見られました。
2人の被告人の裁判員裁判の判決は、7日に言い渡されます。
起訴状によりますと、主犯格とされる当時18歳のアルバイトだった男は、当時17歳の少年ら男女5人と共謀し、2024年10月25日から26日にかけて、長谷知哉さん(当時20)の顔や腹部を多数殴る蹴るなど暴行。
さらに「全部出せ、全額」「クレジットカードもな」などと脅迫して暴行を加え、現金やカードなどを奪い、長谷さんを外傷性ショックで死亡させたうえ、奪ったクレジットカードでたばこなどをだまし取ったほか、キャッシュカードで現金12万7000円を引き出したなどとして、強盗致死や詐欺、窃盗などの罪に問われています。

【熊本地震】”焼けるような暑さ”の被災地…八代市では『かき氷』に涙「一生忘れない」無料で振舞ったのは地震で廃業決めた78歳の居酒屋店主「生きている間はボランティアせな」

熊本県で最大震度7を観測する強い地震が発生してから、まもなく1週間。被災地では熊本市で最高気温が40度を超えるなど、暑さが被災者を苦しめています。
MBSが取材した地域では住民同士の助け合いや支援により食料は足りているといいますが、暑さで食欲がなく、食が進まないという人も…。
こうしたなか、八代市で長年居酒屋を営んできた78歳の女性は、地震で店が崩れ、再建を諦めました。週末に出店するはずだった祭りも中止に…。
そこで、仕入れていた氷を使って住民に無料でかき氷をふるまうことにしました。

キンキンに冷えたかき氷。「一生忘れない いままで食べたかき氷のなかで一番おいしいかもしれない」と涙を浮かべながら平らげる人の姿もありました。
過酷な真夏の被災地の週末の現状を取材しました。
15年営んできた店が被災 78歳の居酒屋店主
最大震度7を観測した熊本地震では3400棟以上の家屋が倒壊しました。震度6強を観測した八代市では多くの人が片付けに追われていました。
市内で飲食店を営む山崎洋江さん(78)もその一人です。
(居酒屋やまちゃん・店主 山崎洋江さん)「きょう(7月31日)電気がやっときました。電気がやっときたから仕事せないかん」
山崎さんはこの場所で、約15年にわたって居酒屋を営んできました。
被災で店の廃業を決意
Qお店はどうする?

「もうやめます。もうやめにゃできんもん。修理するのも大変。何百万円ではきかん。あと2年で80歳だからもう(店は)やめます」

Qいま寝る場所は?

「きのうは車で寝ました。きょうはもうクーラーがあるのでここ(店)で寝ます」
自宅は壁や天井が落ち…ブロック塀も崩れる
山崎さんは夫と2人で八代市のとなり、震度7を観測した氷川町で暮らしています。取材班が訪れると、崩れたブロック塀が道に散乱していました。
(山崎洋江さん)「これ(ブロック塀)私たちではのけきれないので、ボランティアが来るまでこのままの状態です」
建物の倒壊は免れたものの家の中は壁や天井が落ちたほか、家具は倒れ、食器も散乱しています。そのため、電気が復旧した「店」で過ごすことにしたといいます。
ただ、断水は続いています。普段からたびたび水を汲みに行っていたという湧き水のスポットへ向かいますが。地震の影響で通行止めになっているところもあり、約1時間かけてようやく到着しました。
Q2リットルが12本ということは24リットルをひとりで運ぶ?

(山崎洋江さん)「そうそうそう。これで10日ぐらいは(もつ)」
祭りに向けて仕入れていた「氷」を地域の人たちのために
2日、店の隣で何やら準備をしている山崎さんの姿がありました。
Q何をする予定ですか?

(山崎洋江さん)「かき氷です。けさ決めました。氷が冷凍室に入っていて溶けてしまうしもったいないから」
この週末に予定されていた八代市の祭りに向けて大量に氷を仕入れていましたが、祭りは地震のため中止に。溶けずに残っていた氷でかき氷をつくり、無料で地域の人たちに配ることを思いついたといいます。
(山崎洋江さん)「気温が高いからここで出してあげたらいいかなと思って」
気の抜けない日々の中…かき氷の味は「いままで食べた中で一番おいしいかも」
準備をしていると、さっそく、通りがかりの女性が。
(女性)「おいくら万円ですか?」

(山崎さん)「よかよ。ボランティア、ボランティア」

(女性)「本当に!?泣いちゃう」
思わず涙をこぼす女性。
女性は介護の仕事をしていて、地震を受け、担当している家庭を回り水を届けるなど気の抜けない日々が続いていたといいます。
(女性)「一生忘れない。いままで食べたかき氷の中で一番おいしいかも。本当に」
約100杯のかき氷をふるまう「生きている間はボランティアせな」
その後もかき氷を求める人が続きます。
(男性)「(前を)通ってたら、やまちゃんやってたでしょ。えらかと思って。ひと言やまちゃんに声かけないかんと思って、車とめて降りて。えらい。普通の人はできん」
そして午後3時半、持ってきた氷がすべて無くなりました。無料でふるまったかき氷は100杯ほどになりました。
Q自身も大変なのにボランティアを?

「生きている間はボランティアせな」

Q何をしている瞬間が楽しいですか?

「お客さんの相手をしているとき。うれしいよね」
(2026年8月3日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

嘘つき高市首相“鬼リピ”フレーズ「実質賃金の上昇率はG7で最も高い」は追い風参考記録のマヤカシ

最近、高市首相が好んで繰り返すフレーズが「わが国の物価上昇率はG7で一番低く、実質賃金の上昇率はG7で最も高い水準」だ。国会答弁や記者会見で「鬼リピ」している。
「国会閉会会見でも飛び出し、直後に内閣広報官のXも裏付けの資料を投稿。6月26日に総理も出席した『中東情勢に関する関係閣僚会議』に提出の『G7の消費者物価と実質賃金』がそれ。総理はいたく気に入り、以来、決めゼリフと化しています」(官邸事情通)
支持率急落は物価高対策への不満も一因だ。高市首相はガソリンの暫定税率廃止や補助金などの成果を強調。G7各国との比較を持ち出し、不満をカキ消したいのだろうが、都合のいい「数字の切り取り」に過ぎない。
5月の毎月勤労統計調査(確報)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比1.6%増。プラスは5カ月連続で、実質賃金の計算に使う消費者物価指数は同1.7%増だった。今年に入り、物価上昇率は2%未満に収まり、5月のエネルギー価格は前年から2.5%下落。価格抑制策はある程度、奏功したと言えよう。
だが、広報官の資料をみても、日本の実質賃金は2024~25年末で、ほぼ「G7最下位」をキープ。実際、22~25年は4年連続で前年比マイナスを記録し、22年4月~24年5月には過去最長を更新する実に26カ月もの間マイナスが続いた。
■「スリ替える論法は詐欺師同然」
「22年2月のロシアによるウクライナ侵攻を契機とした猛烈なインフレに賃上げが追いつかず、実質賃金が前年から1.6%増えたところで、どん底から抜け出せていません。20年平均を100とする実質賃金指数は、今年5月でも84.4と回復は道半ば。すでに先行指標の東京都区部の物価指数は上昇しており、再びマイナスに転じるのは時間の問題です。しかも、1月から毎勤の調査サンプルが変わり、前年も集計対象となった『共通事業所』の数値と比べると基本給にあたる所定内給与が0.5ポイントほど上振れている。ゲタを履かせた数字の疑いもある。ホンの一瞬の“追い風参考記録”を賃金や物価の基調にスリ替える論法は、詐欺師も同然です」(経済評論家・斎藤満氏)
日本の名目賃金も過去30年ちっとも伸びず、G7最低に低迷。トップの米国とは2倍近い差の沈んだ状態で、嘘つき首相に胸を張られても困る。
◇ ◇ ◇
政府の「数の切り取り」は今に始まったことではない。関連記事【もっと読む】ハリボテの実質賃金「4カ月連続プラス」…巨額の税金つぎ込んだ補助金政策で“ゲタ履き”が実態…も合わせて読みたい。

「トイレは庭で、夜の闇に紛れて」灼熱の現地ルポで発覚、被災者たちの“過酷なイマとたくましさ”

地震の爪痕を歩くと、恐怖の瞬間を知る60代女性に話を聞くことができた。
「突然ドーンと大きな音がして、地響きがしたとよ」
大地震発生時の状況
熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生したのは7月28日午後4時27分ごろ。宇城市と氷川町で震度7を観測し、嘉島町の「イオンモール熊本」では地震の約1時間20分後に爆発が起き、7人が死亡した。県の発表によると、地震の死者は計36人に上る(8月1日時点)。
冒頭の女性はイオンモール近くに自宅がある。
「外に出ると建物からキノコ雲のような白煙がもくもくと上がっていて、あぁ、爆発したんだと気づきました。娘がちょうどイオンに行っていて、爆発したときは買い物を終えて車に乗り込んだところだったそう。奇跡的に無事でした」(前出・60代女性)
外壁や窓ガラスが吹き飛んで骨組みはむき出し。女性の孫の女子中学生は寂しそうに話す。
「この夏休みは週3、4日は行っていました。友達と一緒にTSUTAYAやマック(マクドナルド)へ行ったり、カプセルトイコーナーに立ち寄って遊ぶんです。みんなの居場所がこんなふうになってしまって悲しい。また、元どおりになってほしいです」
県内各所で断水や停電が発生し、灼熱の被災生活を余儀なくされている。
「停電も断水もなかったんですが、地震の2日後も水道水が濁っているんですよ。泥水でシャワーを浴びても気持ち悪いので、熊本市内の実家までお風呂に入りに行っているんです」(嘉島町の40代女性)
被災地の過酷な実情
断水が続く宇城市は家屋の損壊も激しい。自宅が半壊した40代女性は言う。
「クーラーが壊れたので扇風機を回しています。風呂に入れないのでタオルで身体を拭いていますが、それだけだとやっぱり身体が臭うんですよね。心配なのは高齢の母親。別居しているので、熱中症にならないように毎日、氷やアイスクリームを届けています」
庭先にブルーシートの屋根を張り、その日陰で過ごす家族がいた。自宅はほぼ全壊。暑さは大丈夫か。
「意外と風通しがいいんですよ。日中はだいたいここにいますね。避難所は気を使いますし、愛犬と離れずに生活できます。起きたことをクヨクヨしても始まらない。どうなるかわからんけど、精いっぱいやろうと思う」(70代女性)
2つの暑さ対策を心がける70代男性に会った。
「高齢になると、それほど水分をとらなくてもいいような気がするんだけど、脱水状態にならないようにチビチビ、こまめに飲むようにしている。それと、塩アメをなめる。不便なのはトイレ。小は田んぼや畑でできるけど、大のときは車を運転して、断水していない知人宅に行っとるね」
別の年配女性は、小声で教えてくれた。
「トイレは庭でしとる。ばってん、なるべく夜の闇に紛れて(笑)」
たくましい被災者が、たくましくいられるうちに、復興の道筋をつけて支援の輪を広げたい。
週刊女性2026年8月18日・25日号

皇室典範改正で注目される旧宮家男子の養子縁組 最も受け入れに前向きと言われるのは三笠宮家、当主の彬子女王は宮家継承に強い意欲

7月に成立した改正皇室典範で、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えることが可能になった。改正を推し進めたのは麻生太郎・自民党副総裁とされるが、この先にどのようなシナリオが待っているのか――。【前後編の前編】
旧宮家男子が皇族となった場合その子の皇位継承順位は
「ようやく成し遂げることができた。すべての関係者に敬意を表したい」
自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」会長の麻生氏は皇室典範改正の成立についてそう語った。旧宮家の男系男子と皇族との養子縁組を可能にする改正を推進してきたことはよく知られている。
改正皇室典範では、養子皇族に皇位継承権はないが、「養子皇族から生まれる男子」は皇位継承権を持つと定められた。男系継承派である麻生氏の悲願達成の思いがこもった言葉だったのかもしれない。
麻生氏肝煎りの改正が成し遂げられ、今後、具体的にどのようなかたちで「養子受け入れ」が進められていくと考えられるのか。
今回の改正によって、養子皇族に男子が生まれた場合、皇位継承順位は秋篠宮、悠仁親王、上皇の弟である常陸宮に次ぐ第4位ということになる。
だが、男系継承派は、確率的に4つ以上の男系宮家を立てる必要があると考えているため、最低でも4人の養子入りを期待する声が上がっている。複数の旧宮家男子が養子縁組で皇族となった場合、彼らの子の皇位継承順位がどのように決められるのかをまず整理しておきたい。
改正皇室典範では、養子皇族の子の皇位継承順位について、〈実方の系統によるものとする〉と規定された。「実方」とは養子皇族の実家である旧宮家のこと。どの宮家と養子縁組するかにかかわらず、養子の子の皇位継承順位は実家である旧宮家の皇族離脱前の順位で決めていくということだ。
皇族の養子候補となる「未婚(配偶者がいない)の男系男子」は少なくとも11人、賀陽(かや)家に2人、久邇(くに)家に1人、東久邇(ひがしくに)家に6人、竹田家に2人とされる。この4家の皇籍離脱前の順位を見ていく必要がある。
政府の『「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議』に内閣官房が提出した検討資料には、旧11宮家が皇籍離脱する直前の昭和22年10月時点の系図と皇位継承順位が書かれている。それによると、当時皇太子だった上皇、常陸宮や「3直宮家」と呼ばれた秩父宮、高松宮、三笠宮の親王らに次ぐ第7位は山階宮(やましなのみや)武彦王、8位は賀陽宮恆憲(かやのみやつねのり)王となっている。

気候変動を否定しながら自然保護を訴える矛盾の正体…参政党も採用する世にも奇妙な「極右エコロジー」思想の源流

〈自国民ファースト、権威主義、反エリート…「極右」に共通する3つの要素…フランスから見た極右政党の世界的台頭と日本への波及〉から続く
参政党が「日本の自然環境を守る」と主張しながら、気候変動対策には消極的であるのはなぜか。一見矛盾するこの姿勢は、実は欧米の極右が培ってきた「極右エコロジー」という思想的潮流と深く結びついている。その奇妙な両義性の正体とは、いったい何なのか。
【写真】フランスの右翼政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ル・ペン
フランスの大学院で哲学を学ぶ森野咲が、ナショナリズムや伝統主義、反移民などと結びついた、「極右エコロジー」思想について解説する。
極右の奇妙なエコロジー
2025年の参議院選で参政党が躍進したことは、気候危機対策を重視する人たちにとっては憂慮すべき結果だったに違いない。海外の多くの極右政党と同様、参政党は典型的な気候変動懐疑の立場をとっていたからである。
参政党は「地球温暖化には科学的な議論の余地がある」と言いながら国際的な気候変動対策の枠組みからの離脱を訴え、メガソーラーによる自然破壊や電気料金の負担を強調することで脱炭素や再生可能エネルギー政策を後退させようとしていた。神谷代表が「CO2で気候変動、言っているのは日本だけ」と発言したことも記憶に新しい。
しかし不思議なことに、そこには一見すると「反エコロジー」とは矛盾するような主張も含まれている。参政党はあらゆる気候変動対策に消極的な一方で、「日本の恵まれた自然環境や生態系を守る」と主張しているのだ。
さらに、脱炭素や国際的な気候政策に反対する一方で、ローカルな食や土地、農業に関しては「地球との調和的な共存」を訴えてもいる。つまり、そこには気候変動懐疑主義をオーガニックの語彙で包むような両義性があるのだ。
この「奇妙さ」を理解するには、極右エコロジーの世界観を知る必要があるだろう。現代の極右は、環境問題をただ否定しているわけではない。もちろん、その主流を占めるのは今なお、化石燃料に依存した生活様式を守ろうとする気候変動懐疑主義である。
しかし、極右の内部には、環境問題を独自のやり方で「真剣に」取り込もうとする少数派も存在する。この二つの潮流が結びつくことで、参政党の環境言説に見られるような「奇妙さ」が生まれるのだ。極右のエコロジーを検討することは、その環境政策がもつ両義性を正確に捉えるために欠かせない。
極右=反エコロジーという定説
極右は反エコロジー的である――直感的にこう感じる人は少なくないだろう。トランプ政権が行った政策を思い出してみよう。同政権は気候変動を否定し、パリ協定からの離脱やグリーン政策への攻撃を進め、電気自動車や再生可能エネルギーに反発し、化石燃料産業を支援した。
さらにストローなどのプラスチック製品の使用再開を象徴的にかかげることで、「環境規制からこれまでの消費生活や産業利益を守る」姿勢をアピールした。トランプ政権のもとでは、環境政策は未来のための公共政策というよりも、「普通の人々の生活や自由を脅かすもの」として描かれていた。
フランスの極右も同様に、長い間「反エコロジー」であった。国民戦線(現国民連合)は、移民や治安、国民的アイデンティティを主要な争点とし、環境問題に対しては無関心であるか、しばしば攻撃的でさえあった。
2010年に国民戦線が開催した気候変動に関するシンポジウムでは、「気候変動は社会主義者や環境主義者によって作り出された詐欺である」と主張された。こうした陰謀論的世界観において、気候危機は左翼が増税を正当化し、国境開放を進めて気候難民の受け入れを促進し、白人や先進国を世界の不幸の責任者として描き出すための口実にすぎない、とされていた。
こうした極右の「反エコロジー」的態度は、21世紀初頭にひろく見られた。フランスに限らず、気候変動を疑うこと、あるいは否定することは、極右においてほとんど標準的な立場であった。
極右が環境問題にかかわるとき、それはしばしば気候変動懐疑論とともに、「化石燃料資本主義の擁護」というかたちをとる。なぜなら、極右にとって重要なのは化石燃料に支えられてきた西洋的生活様式を守ることであり、化石資本にとって重要なのは石油・ガス・石炭から得られる経済的利益を守ることだからだ。
このように、極右と化石資本の利害が結びつく現象は「カーボファシズム」と呼ばれる。こうしたカーボファシズム的傾向は、ブラジルのボルソナロ政権やハンガリーのオルバン政権にも現れていた。極右は環境政策を「懲罰的」「エリート主義的」「普通の生活を脅かすもの」として描き、「エコロジストから車や芝生、バーベキューのある生活を守る」と訴えることで有権者を動員してきたのだった。
気候変動懐疑主義2.0
しかし今日、「極右=反エコロジー」という従来の単純な図式が崩れ始めている。かつての大きな対立軸は、世界が気候変動に直面していることを認めるか否かであった。ところが気候危機が深刻化し、環境問題が政治全体の中心的テーマとして定着したことで、この争点は変化した。現在では、危機の存在を前提にしたうえで、それにどのように対応するのかが争われるようになっているのである。
こうした変化を受けて、フランスの極右もまた、単なる「反エコロジー」政党ではいられなくなった。2010年代末頃から、フランス極右は、気候変動否定を主たる戦術とすることを放棄し、綱領のなかに環境やエコロジーに関する項目を盛り込むようになった。国民連合が政権獲得を目指す以上、環境、エネルギー、農業、気候といった問題に対して、何らかの立場を示さなければならなくなったのである。
こうした極右の変化の具体例として、国民戦線が「愛国的エコロジーのために」というスローガンのもと、2014年に立ち上げた「新しいエコロジー(Nouvelle cologie)」という団体が挙げられる。
これは極右が自分たちを「環境に配慮する政党」として、環境問題に関心を持つ一部の有権者に向けてアピールするグリーンウォッシング的な試みのはじまりであった。さらに、2017年の大統領選では、マリーヌ・ルペンは、「国内生産を重視する保護主義こそが温室効果ガスの削減になる」と語るようになった。彼女は、父ジャン=マリー・ルペンの時代のように温暖化否定を前面に出すのではなく、「グローバリゼーションからフランス経済を切り離すことが、環境保護にもなる」という論理へと移行しているのだ。
このような極右の言説の変化をどのように捉えるべきだろうか。重要なのは、極右の立場が気候変動に対する「単純な否定」から「対策の妨害」――すなわち「気候変動懐疑主義2.0」に変化しているということだ。
つまり、それは温暖化そのものを完全に否定するのではなく、環境規制、税制、科学的合意、国際協力、気候適応策といった具体的な対策を個別に攻撃することで、気候変動への対策を骨抜きにしていくかたちの否定である。
しかも、そこで科学は単に否定されるだけではない。「気候変動懐疑主義2.0」において、極右は時に「科学的理性」を守るふりをしながら気候学者を攻撃するなど、科学を偽装的に利用することもある。その上で、論点をずらし、気候問題を細かな技術論へと分解することで、極右は気候変動に関する政治的決定を先送りさせるのである。
現代の気候変動否認は、科学を正面から拒絶する言説というよりも、科学の権威を選択的に利用しながら、そこから導かれる政治的帰結を無効化する言説として捉える必要がある。
さらに、極右は「懐疑主義2.0」にとどまらず、ナショナリズムや伝統主義、反移民など、極右と親和性の高いテーマとエコロジーを巧みに結びつけ、独自の「極右エコロジー」思想を生み出している。一般的には左派的なテーマだと思われているエコロジーだが、なぜこのような思想上の操作が可能になるのだろうか。そして、その思想的源流はどこにあるのだろうか。
エコロジーは「自然に左翼」ではない
エコロジーは、しばしば左派の独占領域であるかのように思われている。事実、フランス語圏におけるエコロジー運動は、1968年5月以後の社会運動、軍事演習場の拡大に反対した1970年代のラルザック闘争、非党派的なアソシエーション、ソ連に批判的な非正統派のマルクス主義などと結びつきながら形成され、歴史的に左派的、社会主義的、反資本主義的な色彩を強く帯びていた。
フランス語圏の初期エコロジー思想の特徴は、いわゆる資本主義社会だけでなく、ソ連型の共産主義国家による環境破壊にも批判的であった点にある。彼らは生産手段の所有関係にとどまらず、生産の拡大を進歩とみなし、人間による自然の支配を当然視する発想そのものを問題視した。フランスのエコロジー運動は、人間社会内部の支配関係の解消という問題意識を、自然環境を含む生命全体へと拡張した。つまり、人間集団どうしの支配をなくすことと、自然への支配を問い直すことは、切り離せないものとして考えられたのである。
しかし、こうした歴史的背景だけを根拠にして「エコロジーは本質的に左派である」と考えてしまうと、緑の資本主義や極右エコロジーのような、左派とは異なる政治的エコロジーの存在を覆い隠してしまう。たしかに、エコロジーは左派政党によって多く担われてきた。しかし、その思想的源泉や展開は左派だけに限定されない。
たとえば、フランス緑の党の初期の中心人物であったアントワーヌ・ヴェシュテルは、「エコロジーは右でも左でもない」という立場から、エコロジーを環境との関係や生産様式を根本的に変えるための新しい政治哲学と位置づけていた。
また、イギリスの保守思想家ロジャー・スクルートンは、環境保護を国際主義や国家管理にもとづくものとしてではなく、故郷、地域、風景、共同体への愛着、つまり「郷土愛」にもとづくものとして考えていた。
つまり、自然を守ることは、進歩や解放の政治というより、自分たちの身近な場所や暮らしを守ることとして語られていた。このように、エコロジー思想のなかには、進歩主義的な系譜だけでなく、ロマン主義、保守主義、反近代主義の系譜に位置づけられる「保守エコロジー」も存在するのである。
保守エコロジーには、多様な思想的系譜がある。そのルーツの一つに、第一次世界大戦後のワイマール期ドイツにおける「保守革命」と呼ばれる一連の右派思想がある。さらに、1970年代の左派エコロジー思想や、人間中心主義を批判し自然そのものの価値を重視する北米のディープエコロジー、バイオリージョナリズム(生態地域主義、詳細は後述)なども取り込まれてきた。
こうした多様なルーツをもつ思想を、極右エコロジー思想として体系化した重要な思想家が、新右翼のアラン・ド・ブノワである。新右翼は、1970年代以降、左派知識人の語彙や参照先も取り込みながら、1980年代以降にはエコロジー思想を体系化し、それをほかの極右潮流へと広める媒介役を果たした。以下では、フランスの「新右翼」によって体系化された「極右エコロジー」思想をひもといていく。
極右エコロジーの三つの柱:民族・土地・自然
前述のように、フランス極右において、エコロジーを本格的に理論化したのは、国民戦線や国民連合ではなく、新右翼、とくにアラン・ド・ブノワである。その最大の特徴は、エコロジーを、リベラルな環境保護や普遍主義的な自然保護として考えるのではなく、文化的・民族的・地域的多様性の保存までを含むものとして捉える点にある。
つまり、地域言語、生活様式、文化的固有性、社会的つながりの喪失をも「自然環境の破壊」と捉えるのである。これは、極右のレイシズムの「リベラル転換」において重要な役割を果たしている「民族多元主義」を、エコロジーに応用したものと考えることができる。
では、この「エコ差異主義」とも言える極右エコロジー思想は、具体的にどのようなものなのか。それは、民族・土地・自然という三つの柱を軸にすると見えてくる。以下では、この三つの柱を順に見ていこう。
①民族
極右エコロジーは、文化的・民族的な差異を、生態系の差異のように扱う点に特徴がある。それぞれの文化や民族は固有の土地に根ざしており、それらが混ざり合えば壊れる、と考えるのである。こうした発想の根底には、新右翼の民族多元主義がある。この民族多元主義がエコロジーと結びつくと、文化は生物多様性の一部のように語られるようになる。
つまり、生物多様性を守るように文化的多様性も守らなければならず、各文化や各民族はそれぞれ固有の土地に根ざしているのだから、移民、混血、同化によってそれらが混ざりあうことはその固有性を壊すことになる、という論理が成立するのだ。ここでいう「多様性」は、多文化共生のことではない。それは、「それぞれの民族や文化を、それぞれの土地に分けて保存する」という分離の思想である。
こうした「エコ差異主義」は、近年の国民連合の言説にもあらわれている。2023年に、国民連合党首のジョルダン・バルデラは「国境は環境にとって最良の味方である」と述べた。ここでは、国境が単に治安や移民管理のためのものではなく、環境を守るためのものとして語られている。つまり、移民を止め、さらには送還・再移住させることこそが、環境保護の核心であると考えられているのだ。
こうした「エコ国境主義」の論理のなかでは、非ヨーロッパ系移民は、たとえ明示的にそう呼ばれない場合でも、「侵略的外来種」のように想像される。こうして移民排斥は、アイデンティティの防衛であると同時に、生態学的な防衛であるかのように正当化されるのである。
②土地
極右エコロジーにおいて、土地は単なる自然環境ではない。それは同時に、民族、祖先、文化といった共同体秩序やアイデンティティの根拠として位置づけられる。ここで重要になるのが、「根づき」という概念だ。
「根づき」とは、人間集団と土地のあいだに、切り離すことのできない本質的な結びつきがあると考える発想である。左派的、あるいはリベラル的な土地思想が「この土地で、どのように共に生きていくのか」を問うのに対して、極右的な土地思想は「誰がこの土地に本来属するのか」を問う。つまり、土地は共生の場というよりも、帰属を判定する場になる。土地に「根づいていない」と見なされる人々は、外部から来た存在として排除されるのだ。
したがって、極右的ローカリズムは、たんなる地域自治の思想ではない。それは、地域をアイデンティティ防衛の単位にする「閉鎖のローカリズム」として機能する。本来、バイオリージョナリズム(生態地域主義)とは、地域の自然生態系や生活圏を重視する思想であった。
しかし、それが新右翼に取り込まれると、地域の生態系は、文化共同体や民族的帰属と結びつけられるようになる。これと同じことは、コモンという概念にも言えるだろう。コモンとは本来、左派的な文脈において、土地や水、エネルギーといった開かれた共有財を指すが、新右翼はそれを「民族共同体に属するもの」といった意味へと転用するのである。
③自然
極右にとって自然とは、単なる生態系や自然環境ではない。それは、何が「自然」で、何が「反自然」なのかを判断するための道徳的・政治的な基準でもある。極右はこの「自然な秩序」という言葉によって、家父長制や男性中心主義、人種・階層・性別にもとづくヒエラルキーを正当化してきた。
ここで重要になるのが、「限界」という語である。エコロジーにおける「限界」とは、人間活動が越えてはならないプラネタリー・バウンダリー、すなわち地球の居住可能性を維持するための惑星的限界を指す。
しかし、科学的に限界が存在するという事実だけで、そこから導かれる政治の方向が決まるわけではない。左派のエコロジー政治は、地球の限界が存在するという事実から、地球規模での分かち合いや協力、気候正義の必要性を導き出す。しかし極右はこの「限界」を、フェミニズム、LGBTQ+の権利運動、反差別運動などが越えてはならない「社会的・道徳的な境界」へと読み替えてきた。
つまり、エコロジー的な意味で守られるべきものが、地球環境そのものから、「自然な秩序」の名の下で語られる伝統的な家族、性別役割、民族的秩序に置き換えられるのである。 このように、極右がいう「自然」はきわめて選択的なものである。たとえば国民連合は、「自然の景観を守る」ことを理由に風力発電や太陽光発電に反対するが、原子力発電所のような別の環境負荷については問題にしない。つまり、彼らの「自然保護」は、科学的な気候変動対策と必ずしも一致しないのである。
極右エコロジーの反近代思想
極右エコロジーの根底にある大きなテーマが、「反近代」である。極右は気候危機を、近代文明が土地や共同体、精神性を含む自然秩序を壊してきた結果として語る。つまり、極右エコロジーは、なぜ人間が自然を支配し、管理し、利用する対象として見るようになったのか、という近代的な存在論そのものを批判するのだ。そのため、合理主義、技術信仰、進歩主義、自由主義といったあらゆる近代的な価値観が、自然破壊の原因として語られるようになる。
ただし、新右翼が最初から近代に批判的だったわけではない。1970年代には、むしろ技術やヨーロッパ文明の力をたたえる傾向が強かった。しかし1980年代から1990年代にかけて、新右翼はテクノロジー批判や反啓蒙思想、農村共同体を重んじる思想などを取り込みながら、反近代的なエコロジー思想を組み立てていった。極右はエコロジーを、リベラリズムや啓蒙思想に近いものとしてではなく、ロマン主義的な土着の共同体を賛美する思想として取り込む。彼らにとって「自然を守る」ことは、未来へ進むことではなく、近代によって失われた土地や共同体、精神性を取り戻すことなのである。
新右翼のエコロジー思想は、キリスト教的一神教や近代合理主義こそが、自然を支配し、そこから「神聖さ」を奪った原因であると考えるため、これらに対して批判的だ。そして、多神教的・自然崇拝的なネオペイガニズム(*1)や、ヨーロッパ的精神性、さらには北米ディープエコロジー思想なども取り込みながら、自然と人間の神秘的な結びつきを取り戻そうとするのである。
*1 ネオペイガニズムとは、キリスト教以前のヨーロッパに存在した多神教的・土着的な宗教伝統を現代に復興・再構成しようとする宗教運動の総称である。自然崇拝や汎神論、反一神教的志向を特徴とするが、その政治的位置付けは一様ではなく、新右翼や極右と結びつく場合もあれば、エコロジーやフェミニズム、反権威主義的な対抗文化と結びつく場合もある。
反資本主義の極右?
極右エコロジーの近代批判は、時に資本主義批判にも接続される。極右は、左派のように階級支配や格差を中心に批判するのではなく、資本主義が世界を均質化し、人々を根なし草にしてしまうことを批判する。極右エコロジーにとって資本主義は、土地から人々を引きはがし、共同体を解体し、伝統や文化的差異を壊すものとして問題なのである。
そのため、極右エコロジーの反資本主義は、「根づいた共同体」への回帰をめざす。この発想には、すでにいくつかの前例がある。たとえば、ナチ党の指導者で、反資本主義的思想を持っていたグレゴール・シュトラッサーは、産業社会を解体して都市人口を農村へ移し、労働者、知識人、兵士を農民的な存在へと変える社会構想をもっていた。
また、フランス緑の党の創立に関わった哲学者エドワード・ゴールドスミスも、資本主義批判や自主管理思想を、土地への愛や失われた純粋性への郷愁と結びつけたことで、その思想は極右からも参照されるようになった。そこでは、巨大都市や工業的農業、アメリカ的消費主義などが批判される一方で、地域経済、伝統的農村共同体、倹約的で半自給的な生活が称揚される。
ここで注目すべきなのは、極右エコロジーは資本主義を批判する際に、左派エコロジーとよく似た語彙を用いるようになるということである。地域主義、ローカリズム、反消費社会、反グローバリズム、脱成長といった言葉は、左派エコロジーにも極右エコロジーにも共通してあらわれる。
このように、両者が近代批判や資本主義批判を共有することで、左派エコロジーと極右エコロジーのあいだに、ある種の思想的な「収斂」が生じることがある。そして、この重なりは、エコロジーの側から極右へと合流する回路を開く。すなわち、「極右のエコロジー化」とは反対の方向から、「エコロジーの極右化」という問題が生じるのである。
文/森野咲

北陸~九州・沖縄の22府県に熱中症警戒アラート 危険な暑さに警戒

今日8月4日(火)、環境省と気象庁は熱中症警戒アラートを北陸~九州・沖縄の22府県に発表しました。

対象地域では特に熱中症のリスクが高くなります。こまめな水分補給を心がけるとともに、屋外での長時間の行動を避けて室内でエアコンを使用するなど、積極的に熱中症予防を行ってください。
気温だけでなく暑さ指数も上昇
■熱中症警戒アラートの対象地域(22府県)

富山県 石川県 福井県 京都府 大阪府 兵庫県 和歌山県 岡山県 広島県 島根県 鳥取県 香川県 愛媛県 山口県 福岡県 大分県 長崎県 佐賀県 熊本県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県(大東島地方、八重山地方)

熱中症警戒アラートの対象地域では、気温だけでなく暑さ指数(WBGT)も上昇し、熱中症のリスクが高まります。エアコンをつけたり、こまめな水分補給・塩分補給を行うなどの対策をしっかりと行ってください。

特に高齢者の方は危険性が高いため、周囲からの声がけを積極的に行ってください。

十分な睡眠と栄養補給も熱中症予防の基本です。
熱中症警戒アラートとは
熱中症警戒アラートは、予想される暑さ指数(WBGT)に応じて発表される情報で、以前発表されていた高温注意情報を置き換えたものです。2021年から全国で本運用が始まりました。

環境省と気象庁は、暑さ指数が「危険」ランクの中でもさらに重要度の高い暑さ(WBGT:33以上)が予想される場合に「熱中症警戒アラート」を発表することを決めています。
暑さ指数(WBGT)とは
暑さ指数(WBGT)は国際的に用いられる指標で、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、気温、湿度、日射・ 輻射、風の要素から算出されます。

熱中症患者発生率との相関が気温よりも良好で、暑さ指数が「厳重警戒」ランク以上だと熱中症患者が著しく増加することがわかっています。また、暑さ指数が「危険」ランクの場合は運動は原則中止すべきとされています。
環境省からのメッセージ
熱中症警戒情報対象地域の皆様へ

○熱中症警戒アラートが発表された地域において、気温が著しく高くなることにより熱中症による人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるので、他人事と考えず、暑さから、自分の身を守りましょう!!

○まずは、室内等のエアコン等により涼しい環境にて過ごしましょう。

○その上で、こまめな休憩や水分補給・塩分補給をしましょう。

○高齢者、乳幼児等の方は熱中症にかかりやすいので特に注意し、周囲の方も声かけをしましょう。

○皆で、身近な場所での暑さ指数(WBGT)を確認し、涼しい環境以外では、運動等を中止しましょう(皆で熱中症対策を積極的に取りやすい環境づくりをしましょう。)!!

明日(水)の天気をチェック
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首相判断にあらがえず議論幕引き…消費税減税巡り自民、「円の信用失う」「進め方が乱暴」反対派に不満残る

消費税減税を巡り、3日に開かれた自民党の税制調査会などの合同会議は、小野寺五典税調会長の一任取り付けで、幕引きとなった。党内議論の前に高市首相(自民総裁)が方針を示したことで、反対派はあらがうことが難しくなり、党内には不満を残した。(井美奈子)
「2年後に大きな影響が出てくる。大事な社会保障財源をどう戻すのか。ツケは次世代に回ってくる」
小渕優子・元経済産業相は会議後、党本部で記者団にこう強調し、食料品の消費税率を2年間限定で1%に引き下げる方針に反対を表明した。
小渕氏は党税調の幹部会合(インナー)のメンバーを辞任した理由について、「1%案に大変大きな懸念を持っている。まとめ役として、役割を果たすことができないと思った」と説明した。
石破前首相の盟友として知られる村上誠一郎・前総務相も会議で「消費税減税をやったら円の信用を失う」などと述べ、「もう一度再検討すべきだ」と批判した。
反対派はこの日、会場の前方に陣取って異論を唱えたが、それぞれの発言を終えると、続々と退席した。
一方、賛成派は、首相に近い山田宏参院議員が「首相が決断したものを、ここでひっくり返すのはない」とけん制した。鈴木宗男参院議員も「消費税減税は公約だ」と語気を強めた。賛成派は前回の合同会議に続き、保守系や積極財政派の議員を中心に動員がかかった。
会議開始から約2時間半で意見が出尽くし、最後はほぼ賛成派で埋め尽くされる中、拍手で一任が決まった。
小野寺氏は会議後、記者団に対し、反対意見について「貴重な意見だ」と述べたうえで、「懸念をしっかり乗り越えられるか、新たな努力が必要だ」と語った。
政府は5日にも消費税減税の方針を閣議決定したい考えで、自民は同日に臨時総務会や政調審議会で党内手続きを終えることを想定している。総務会には反対派のベテランもいるが、周囲に欠席する意向を示している議員もいる。
党内議論は、首相が想定する日程で進んでいる。党幹部によると、小林政調会長は首相が方針を示した先月30日の臨時役員会に先立ち、役員らに反対表明しないよう水面下で念押ししたという。党内からは「進め方が乱暴だ」「言うだけのことは言ったが首相方針ありきで決まってしまう」などと、不満の声が漏れている。
野党「2年限定1%」批判…減税主張から軌道修正
野党各党は、高市首相が食料品の消費税率を来年春から2年間限定で1%に引き下げる方針を示したことについて、批判を強めている。選挙公約で減税を掲げたものの、経済情勢の変化などを理由に軌道修正を図っている。
立憲民主党の水岡代表は3日の記者会見で「物価高の状況で、消費税減税がすぐ国民生活に寄与することはなかなか望めない」と述べ、首相の対応を批判した。
立民は昨年7月の参院選で、食料品の消費税率を原則1年間ゼロに引き下げる案を公約に掲げたが、現在は円安や金利上昇などを理由に、来年春を待たずに低所得者らへの支援策の実施を訴える。水岡氏は「政策の見直しを議論している。我々の考えに少し変化があったことは事実だ」と語った。
中道改革連合の小川代表も財源確保や2年後に再増税となるなどの課題があることから「簡易な給付措置の方が効果的ではないか」と訴えている。同党は今年2月の衆院選公約で、恒久的な食料品の消費税率ゼロを掲げた。小川氏は7月31日の記者会見で「あらゆることをタブー視せず、広く見直したい」と述べ、公約の修正があり得るとの認識を示している。
国民民主党の玉木代表は3日のユーチューブ番組で、「飲食料品だけ1%で2年限定は弊害が大きい」と指摘した。同党は衆院選公約で、賃金上昇率が物価上昇率プラス2%に安定するまで消費税を5%に減税すると掲げた。すでにこの水準に到達したことから、玉木氏は見直し検討を表明済みだ。