離婚届、親権者欄四つに 民法改正後のイメージ公表

来年4月からの離婚後共同親権に関し、政府の意見公募サイトでは、制度導入を踏まえた戸籍法施行規則の改正案とともに、新たな離婚届のイメージが公表されている。未成年の子がいる場合、親権を持つのは父母いずれかで選択肢は二つだったが、新たに「父母双方」と「家事審判や家事調停の申し立て中」を加えた四つに。父母それぞれに、真意による合意だったことの確認も求める。
共同親権は、子どもの利益を重視する観点から、2024年5月成立の改正民法に盛り込まれた。来年4月の施行後は離婚時に父母の協議で共同親権か単独親権かを決め、意見が対立すれば家裁が判断する。
新たな離婚届のイメージでは、親権者を「父母」「父」「母」のいずれかとした場合と、「裁判所の判断待ち」の計4欄を設け、該当する子の氏名を記入する。親権者を定めた場合は、真意による合意だと父母それぞれが確認するチェック欄も設けた。ドメスティックバイオレンス被害者らが不本意な合意を強いられる可能性を考慮した。
養育費や子育ての分担、面会交流に関する取り決め状況も正式に記載を求める。

相次ぐクマ被害、飼い犬も 東北で10匹超、「屋内飼育を」

クマによる人的被害が深刻な東北地方で、飼い犬が襲われたとみられる被害も相次いでいる。今季、少なくとも10匹以上が犠牲になったことが6県警への取材で確認された。専門家は、人里近くにすむ個体が増え、一部が屋外で飼われてリードにつながれている犬を食料と認識している恐れがあるとして屋内飼育を推奨する。
各県警への取材では、7月以降、クマによるものとみられる襲撃で少なくとも岩手で6匹、秋田で3匹、宮城と福島で各1匹が死んだり、行方不明になったりした。いずれも住居外で襲われていた。
10月25日、宮城県大崎市の住宅の庭で飼われていた柴犬1匹を、クマがくわえて森に連れ去った。同月30日には、秋田県大館市の住宅敷地内で、柴犬1匹が死んでいるのが発見。クマとみられる爪痕が体に残っていた。
森林総合研究所の大西尚樹さんは「これまでも飼い犬が襲われることはあったが、人里近くで生息するクマが増え、被害が拡大したとみられる」とする。
クマの主食は植物だが、わなにかかったシカを食べる事例も報告。犬を食料として認識する可能性がある。

外国人の不動産所有状況を一元管理、登記・国籍を登録…27年度にも運用へ政府調整

政府は、外国人による不動産所有状況を一元的に把握、管理するデータベースを構築する方向で調整に入った。国籍を届け出る仕組みがないマンションの不動産登記などでは、国籍登録制度の導入を進める。不動産取得の実態を透明化した上で、外国人による土地取得の規制のあり方について検討を進める構えだ。
複数の政府関係者が明らかにした。高市首相が11月4日に、外国人による土地取得のあり方や実態把握を含めた検討を関係閣僚に指示していた。
データベースには、デジタル庁が整備している「不動産ベース・レジストリ」を活用する。内閣官房や法務省など関係省庁で検討を進め、2027年度にも運用を開始したい考えだ。
データベースの登録対象は、マンションなどの不動産登記のほか、森林、農地、国土利用計画法に基づく大規模土地取引、国境離島や防衛関係施設の周辺など重要土地等調査・規制法に定める重要土地などを想定している。
現在、農地では取得者の国籍を登録する必要がある一方、マンションなどの不動産登記では必要なく、不動産の種類によって仕組みが異なる。政府は今回のデータベース化を機に、届け出条件の統一化を図る方針だ。
外国資金を使い、国内に拠点を置く法人を通じて不動産を取得した場合でも、購入の実態を把握できるようにする。森林や大規模・重要土地の取引では、法人の主な株主や役員の国籍の届け出を求める方向だ。
国外に居住する外国人の不動産取得についても、現在は外為法上、投資目的などの場合に届け出義務が限定されているが、対象を拡大する見通しだ。
保有実態の透明化を図る背景には、国民の間で「外国人が日本の土地を買い占めている」「水源地を買収され地下水が採取されている」といった不安の声が出ていることがある。外国人の投機目的での購入が、マンション価格の高騰につながっているとの指摘もある。
国籍などを登録、把握する仕組みが整えば、日本人と外国人で不動産関連の税率に差をつけることや、取得自体を規制するための条件整備につながる。政府は来年1月をメドに策定する外国人政策の基本方針で、規制の方向性を取りまとめる予定だ。

<独自>屋外の津波緊急避難場所、備蓄15%、空調8%… 政府調査、保管設備助成へ

津波から一時避難する際に使う全国の「指定緊急避難場所」のうち備蓄のある割合が、屋外の避難場所で約15%にとどまるという調査結果を政府がまとめたことが30日、分かった。空調設備は8%、日よけは2%だった。政府は屋外での保管設備となる防災コンテナなどを助成対象に加え、市区町村による整備を進める方針。複数の政府関係者が明らかにした。
指定緊急避難場所は平成25年に制度化され、津波対策では高台の広場などが指定される。国の手引はあるが、長期の避難生活は想定されず備蓄の定めはなかった。
ところが、7月に発生したロシア・カムチャツカ半島沖を震源とする地震は、離れた場所で起きる「遠地(えんち)地震」で、津波が広範囲に繰り返し襲来した。津波警報は9時間以上続き、関東地方では最高気温が35度前後まで上昇するなど、夏季での長時間にわたる避難が課題になった。政府高官は「一時避難先なので暑さや寒さのリスクへの意識は低かった」と打ち明ける。
政府は津波被害を想定した40都道府県678市区町村の指定緊急避難場所約4万カ所を実態調査。うち28府県424市町村の計2万1005カ所の暫定値をまとめた。
政府関係者によると「備蓄あり」と回答した屋内の緊急避難場所は4155カ所で屋内全体の29%、屋外では1032カ所で屋外全体の15%だった。備蓄内容は主に飲料水で、他にテントや冷却剤などがあった。
空調設備で冷房のみ、暖房のみ、両方がある場所を合わせた数は、屋内で計5431カ所(屋内全体の38%)、屋外は計523カ所(屋外全体の8%)。サンシェードなどの日よけがあるのは、屋外の171カ所(同2%)だった。
政府は手引への追加項目として保管設備とともに、余裕のある場合、個々人に非常持ち出し袋の携帯も呼びかける。(市岡豊大)

指定緊急避難場所 災害の危険から一時的に命を守るために緊急に避難する場所。土砂災害、洪水、津波、地震などの災害種別ごとに市区町村が指定する。対象災害に応じ、安全な建築物やグラウンド、駐車場などが多く指定される。避難した被災者が一定期間生活するために学校や公民館などを指定する「指定避難所」と異なる。両方を兼ねることもある。

「熱風炉で火災」約2メートルの炎 日本製鉄の工場で火事 従業員ら避難…消火活動中 室蘭市

【続報】日本製鉄工場で稼働中に火事 発生から10時間以上…消火活動続く 高炉を一時停止し確認中
12月1日未明、室蘭市の日本製鉄の工場で火事がありました。
これまでにけが人は確認されていません。
火事があったのは室蘭市仲町にある日本製鉄の工場です。
午前0時55分ごろ、「高炉の付帯設備の熱風炉で火災が発生した」と消防に通報がありました。
消防などによりますと、熱風炉からおよそ2メートルの炎が立ち上ったということです。
従業員らは避難していてこれまでにけが人は確認されていません。消防車両12台が出動し、午前4時現在も消火活動を続けています。

真っ赤な眼光、50種類の大音響でクマ撃退 北海道の町工場考案の「モンスターウルフ」

真っ赤な目を点滅させ、左右を見回しながら大音響で相手を威嚇する―。野生動物を撃退するオオカミ型の装置「モンスターウルフ」が全国から注目されている。開発したのは北海道奈井江(ないえ)町の町工場「太田精機」。SNSで批判を受けながらも地道に改良を重ね、今ではクマをはじめとする野生動物の被害にあえぐ日本を「救ってくれ」と投稿されるなど頼られる存在へと変わっている。
LEDがヒントに
モンスターウルフはとにかく迫力がすごい。犬がほえる声や人間の叫び声など50種類の〝音〟を搭載。オオカミをかたどった装置は両目からLED(発光ダイオード)の真っ赤な光を放ち、左右に動く首は侵入者を探すように周囲をねめまわす。野生動物の食害などに悩む農家や農協、一般企業などが関心を寄せて11月時点で全国330台以上が稼働中だ。
開発したのは北海道奈井江町の金属部品加工会社「太田精機」の太田裕治社長(67)。道内有数の米どころでも知られる同町では、エゾシカによる農作物の食害が頻発。農家から直接悩みを聞く機会もあり、「自分が携わるモノづくりで貢献できないか」と常々考えていたという。
実際に野生動物撃退のモノづくりに乗り出すきっかけになったのは、省エネ機運が高まった北海道洞爺湖サミット(平成20年)だ。この頃は国内外でLED(発光ダイオード)が注目。「長寿命で明るく、電力消費も少ない。電球のように球切れすることもない」として自社開発を始めたが、大手企業との競争は厳しく、獣害対策での活用に活路を求めた。大学関係者の助言の下、平成21年に赤色や青色のLED光を点滅させ、大音量を出す装置「モンスタービーム」の商品化に成功した。
口コミで全国に
太田さんがターゲットにしたのはクマ、シカ、イノシシ、サルなどの野生動物。エゾシカ農場で行った実証試験では野生動物が装置に近寄らないなどの効果が確認できた。
その後も小さな改良を重ねていたが、「野生動物たちはオオカミが最大の天敵だと遺伝的に学習している」という大学関係者の助言をヒントに、オオカミをかたどった姿へと〝フルモデルチェンジ〟する。
毛皮はフェイクファー(人工毛皮)で代用。マスクは市販品の中から一番怖そうなものを選ぶなど、細かなディテールにもこだわった。
改良を重ねて28年に発売した「モンスターウルフ」はユニークなスタイルが注目され、テレビや新聞などからの取材が殺到。しかし、商品の問い合わせなどは1件もなし。「SNSでは『子供だまし』とか『ふざけているのか』など批判的な書き込みばかり。最初の3年間は20台しか売れなかった」。
太田さんは全国各地を巡る中で「効果を検証させてもらえないか」と農家などに試験設置を要請。地道な種まき作業だったが、モンスターウルフを見たシカやクマなどが逃げたり、千葉県ではイノシシの被害を完璧に押さえ込むという実績を挙げるなど着実に成果を上げてきた。
太田さんは「変化なしというケースは聞いたことがない」と胸を張る。
令和3年には、経済産業省のものづくり日本大賞で「北海道経済産業局長賞」を受賞し、業界でも認められる存在になった。
オオワシ型も実証中
今年に入り、新しい需要も生まれている。クマ出没でゴルフ大会が中止になったことをきっかけに、会場周辺に設置したいという依頼が増えたのだ。「作業員の安全を確保するため、山中の工事現場に導入するケースも多くなった」と農業分野以外にも裾野が広がり始めている。
「モノづくり会社の経営者として自社のオリジナル製品をつくりたいという夢があった」と太田さん。現在は民間企業や大学、研究機関などと共同で自動走行や遠隔操作できるモンスターウルフも開発中だ。
農業者の高齢化が進む中、「故郷を離れた子供世代が都会からモンスターウルフを動かせるシステムをつくることが地方創生にもつながると思うんです」と思いを語る。
鳥類やウサギなどの被害を防ぐオオワシ型の野生動物撃退装置「モンスターイーグル」も実証中。さらにモンスターウルフの機能を小さな犬のぬいぐるみに搭載した携帯型のクマよけ装置も開発中だ。
SNSでは今、「モンスターウルフ、日本を救ってくれ」「頼んだぞ、モンスターウルフ!」など好意的な書き込みが増えているという。「導入した農家の中には、毎日のように毛をブラッシングしながら『今日も頼むな』と声かけする人も。地方の零細企業だけど、これからも挑戦を続けていきたいですね」と太田さんは笑顔で話している。(坂本隆浩)

《福岡・保育士10人が集団虐待》「残さず食べなさいがエスカレート」「虐待の線引きを決めなあかん」逮捕の中村麗奈容疑者(25)の夫が語った「妻の責任」

福岡県田川市の私立「松原保育園」で、保育士10人が園児に虐待などの行為をしていた事件。8月に懲戒解雇されていた保育士・中村麗奈容疑者(25)は11月19日、福岡県警に傷害と暴行の容疑で逮捕された。取材に応じた中村容疑者の夫は、「麗奈は園でいじめられ追い詰められていた」と主張。虐待行為の大半を占めたという給食時間の虐待の実態とは。【前後編の後編。前編から読む】
今後は「完食義務の廃止」
園を運営する社会福祉法人『松原福祉会』は11月20日、虐待行為に関する改善報告書を公表。園に防犯カメラを設置した6月から約2か月間で、100件を超える虐待を含む不適切事案が記録されていたとし、その多くは給食の時間に行われていたという。全国紙社会部記者が語る。
「1974年に認可された松原保育園は、ベテランの保育士も多く、子供に言うことを聞かせるために強く言ったり行動を促すような伝統があったと言います。
園では『残さず食べましょう』という呼びかけをしており、それがエスカレートして保育士が『無理やり食べさせても構わない』と誤解するようになったと分析されている。今後の対策として、『給食の完食義務の廃止』を掲げています」
中村容疑者の逮捕容疑も、まさに給食の時間中に行われた虐待行為だった。自身も栄養士として2023年から1年間松原保育園で働いていた中村容疑者の夫は、「やっぱり、手をあげてはダメ。麗奈は悪いことをしたし、それは大前提」とした上で、こう主張する。
「麗奈は(逮捕当時)5歳児クラスで、一番大変なクラスやった。子供は言うこと聞かず反抗もするし、わかった上で他の子に意地悪もする。
ウチは、給食は最後まで食べましょうっていうスタイルやった。そういう時に、腕握ってもアウト、口にあーんって入れてやるのもアウトとなったら、難しいよ。それを相談できるような環境はなかった。 水遊びの際に、子供がほかの子供を水の中に引きずり込んで、溺れかけたっちゅうこともあってん。そういう時にダメだよー、で話聞くと思います? そういう状況やったら『何しよんねん!』って怒って、引っ張り上げないかんでしょ。でも、それで虐待って言われたら、はぁ? ってなるでしょ」
そして、「業界全体で、虐待の線引きを決めなあかんと思う」と主張したのだった。
「何をしたのか全部言ってほしい」
保護者にとって子供に手をあげられる環境はたまったものではないだろう。「2歳の子と5歳の子を預けている」という女性が語る。
「園の説明に納得はしてないです。先輩たちがしてたけん、麗奈先生もしよったんじゃないかなと思っちょる。麗奈先生が悪いけど、園全体、おった先生たちが悪い。(懲戒解雇された2人以外の)残りの8人の先生が何してたんか、全部言ってほしい。
園長が変わって働きにくくなったってことは、先生方がめっちゃ保護者に言うんですよ。でも、職場の悪口を保護者に言うっておかしくないですか。上司が変わって働きにくくなって、それで辞めてったんだと思います。上の子も、おでこを押されたとは言っていた。
何をしたのか全部言ってくれないと、安心して子供を預けられない」
ある平日の午後、子供らが帰った後に園長に話を聞くため保育園を訪れると、職員が「(園長は)いません。何も話すことはありません」と対応するばかりだった。
何よりも、子供が安心して保育を受けられる環境が整うことを祈るばかりだ──。
(了。前編から読む)

婚活アプリで「独身」とウソ、「貞操権を侵害」と交際男性に賠償命令…大阪地裁「女性に判断の機会失わせる行為」

独身しかいないはずの婚活マッチングアプリで出会った男性には妻子がいた。その事実を交際解消後に知った女性は、性的関係を持つ相手を自ら決定できる「貞操権」の侵害を司法に訴えた。慰謝料など334万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は独身偽装による貞操権の侵害を認め、男性に55万円の支払いを命じた。(林信登)
訴訟資料や女性への取材によると、脱毛サロンで働いていた大阪府内の女性(30歳代)は2019年3月、出会いの機会を求めて「独身限定」をうたう大手婚活マッチングアプリに登録。まもなく、年下の男性から「いいね」が届き、ラインや電話でやり取りをするようになった。
5月に初めて食事し、女性の自宅で性的関係を持った。女性は読売新聞の取材に「2か月ほどやり取りを続ける中で好意を持つようになった」と話した。コロナ禍に加え、音楽活動で多忙な男性とは会う機会が限られたが、その後も関係は続いた。しかし、20年11月に会ったのを最後に徐々に疎遠になって自然消滅した。
女性が男性の「うそ」に気付いたのは、22年9月だった。男性の活動に関するウェブサイトに幼稚園児ほどの年齢の子どもの写真があり、説明を求めると、「伝えとかなあかんかったよね申し訳ないです」とラインで連絡があった。女性は23年10月、貞操権の侵害を主張して大阪地裁に提訴した。
貞操権は法律上の規定はないが、自分の生き方を自由に決められる自己決定権の領域に位置づけられる。相手にだまされたり、脅迫されたりして性的関係を持った場合に侵害が認められるケースがある。
2人が利用していたアプリは、規約で未婚者だけが登録可能と定められていた。
女性は訴訟で、「アプリに登録していること自体、当初から未婚者であると偽る意思を有していたことは明白だ」と主張。「既婚者であることを認識できれば、肉体関係は結ばず、交際も継続しなかった」と訴えた。
これに対し、男性側は既婚者だったことを認めた上で、女性とデートもしておらず、性交渉だけの関係で、女性もそのことを了解していたと主張。「貞操権を侵害しておらず、自由な色恋の範ちゅう」と反論した。
10月21日の判決で、寺田幸平裁判官は、交際相手を探す人にとって相手の婚姻の有無は「性的関係を伴う交際をするかどうかを判断する重要な情報」と言及。2人が交際関係にあったことを認め、「(男性の独身偽装は)女性にそうした判断の機会を失わせる行為だ」とし、貞操権の侵害を認定した。一方、結婚が前提の関係ではなかったことなども踏まえ、男性の賠償額を55万円とした。
訴訟では、女性が一連のトラブルをSNSの有名配信者を通じて公表したことについても審理された。不貞関係の暴露で社会的評価が低下し、名誉が傷つけられたとして男性が女性に慰謝料など約450万円を求めて反訴したためで、判決は女性にも34万円の賠償を命じた。
女性は判決後、取材に「男性のうそが認定されて安心した」と語り、男性側は「何もお答えできない」と述べた。双方とも控訴せず、判決は確定した。
「アプリで出会い」最多の25%
マッチングアプリは累計会員数が2000万人を超えるものもあり、出会いの手段として定着している。
昨年のこども家庭庁の調査によると、直近5年間に結婚した40歳未満の2000人のうち、アプリでの出会いが最多の25・1%で、職場や仕事関係(20・5%)を上回った。
ただ、昨秋の別の民間調査では、アプリを利用したことがある男女1064人の7割以上が「トラブルがあった」と回答。マルチ商法の勧誘や投資詐欺のほか、パートナーの存在を隠される行為も目立った。
アプリ事業者は対策に乗り出している。
大手事業者が加盟する「恋愛・結婚マッチングアプリ協会」(東京)は今年6月、マイナンバーカードを活用した本人確認の推進に向け、デジタル庁と協定を締結。一部のアプリは、利用者が 登録時にカードを読み取り、戸籍情報から独身と確認 できた場合、プロフィル欄で「独身証明」と明記している。独身偽装が疑われる利用者に対し、公的な独身証明書の提出を求める場合もある。
同協会は「真剣に出会いを求める利用者の気持ちにつけ込む行為は断じて容認できない」としている。

《赤坂ライブハウス刺傷事件》独身“偽装”不倫に溺れた43歳自衛官の親族が語る“休日”のリアル素顔

勤務先の埼玉・朝霞駐屯地から犯行現場の東京・赤坂まで、片道約20キロメートルの道のり。犯行前後に自転車で往復計約40キロメートルを走破したのは、体力に自信があっただけではあるまい。
殺人未遂の疑いで逮捕
主要道路などに設置される自動車ナンバー自動読取装置「Nシステム」にマイカーが記録されるリスクを回避したかったのではないか。自転車を利用しつつも、街にあふれる防犯カメラを欺く目的か、途中4回も服を着替える“偽装工作”までしていた――。
東京都港区赤坂の雑居ビルでライブ出演前の40代女性を刃物で刺して重傷を負わせたとして、警視庁は11月22日に東京都練馬区在住の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)を殺人未遂の疑いで逮捕した。陸上自衛隊朝霞駐屯地に所属する勤続25年のベテラン2等陸曹で、災害支援で活躍するブルドーザーや油圧ショベルといった重機などの管理を担当していた。「私はやっていません」と容疑を否認している。
全国紙社会部記者の話。
「犯行当日の11月16日午前6時半ごろ自転車で駐屯地を出発し、同8時ごろには現場のビル周辺に到着していたようです。被害女性はアマチュア音楽家でこの日はユニットを組む仲間と年に一度のライブがあり、開演2時間以上前の同10時半ごろビルに入りました。その後を追った大津容疑者が地下1階のライブハウス前で襲いかかり、犯行は約30秒と手際のよいものでした。指紋や靴跡を残さないように手袋と靴カバーをはめるなど計画的犯行とみられています。女性は左脇腹と左手を刺され、内臓まで達する深い傷を負って入院治療中です」
大津容疑者は当日のアリバイについて「休日だったが、朝から昼まで職場にいた」と主張。しかし、昼すぎに自転車で駐屯地に帰ってくる姿が防犯カメラに映っていた。犯行現場から防犯カメラ映像をつなぐ長距離リレー捜査が実ったかたちだ。
「大津容疑者の話によると、被害女性とは約9年前にSNSを通して知り合ったそうです。“妻子がいることを伏せて交際していました。今年6月ごろ女性のほうから別れを切り出されて円満に別れました”などと不倫関係にあったことを認めつつ、トラブルはなかったと主張しています。自宅の家宅捜索では、被害女性と誕生日を祝ったとみられる写真が見つかったようですから、家族に対してもひどい裏切りです」(前出・記者)
犯行直前にはライブハウス付近に貼られた被害女性らのライブを告知するポスターに黒いスプレーで「×」印をつけていた。
容疑者は“まじめ”なタイプ
東京都内の戸建て住宅で、妻と子ども3人と暮らしており、近所に住む女性は、
「仲のよさそうな家族でしたから、事件とはどうにも結びつきません」
とショック冷めやらぬ様子。近所に住む男性は、容疑者が自衛官とは知らなかったという。
「挨拶をしてくれる礼儀正しい男性です。でも、声に張りがないというか、ハキハキしていないし、号令で行動しているようには思えませんでした。筋肉質にも見えませんでしたね」
昨年2月まで青森・八戸市での勤務だったため、自宅周辺では影が薄かった。容疑者は土日休み。休日に周辺をジョギングする姿を近隣住民が目撃している。怠惰な生活を送っていたわけではなく、家庭を顧みなかったわけでもなさそうだ。
容疑者の親族はこう話す。
「ひと言でいえばまじめな人。宿直勤務で家を空けることはあっても、留守がちということはありませんでした。ジョギングについては走る目的を聞いたことはありませんが、週末に2~3時間は走っていたようです。お酒はたしなみますが、自分で買ってきたりしないし、勧めても飲みません。飲み会があれば行く程度です」
女性が接客するスナックなどに立ち寄ることもなかったという。不倫には気づかなかったのか。
「逮捕後に初めて知りました。“まさか?”という感じです。帰宅後にどこかに出かけるようなことはありませんでしたし……。傍目には“寡黙”に見えるかもしれませんが、決して無口だったわけではない。打ち解けた相手にはけっこう話す、まじめないい人なんですよ」(同・親族のひとり)
人見知りする性格だったのかもしれない。しかし、どれほど根はまじめだったとしても、かかる嫌疑は殺人未遂。被害女性の口を封じるつもりだったからこそ、容疑者として特定されないように偽装工作をはかったのではないか。容疑が事実ならば、これほどひどい不倫解消はない。

特別支援学校生を18歳人口から除外 文科省、大学進学率が不正確に

文部科学省の学校基本調査で、大学進学率などに使用される18歳人口の集計から、障害のある児童・生徒が通う特別支援学校(特支)の卒業者が除外されていることが、毎日新聞の調査で判明した。
18歳人口は中央教育審議会(文科相の諮問機関)でも参照される教育政策の重要指標で、大学進学率も不正確になる。
学校基本調査は国が重要と認める「基幹統計」の一つで、学校数や児童・生徒数、入学者・卒業者数などを幼稚園や小中学校、高校、大学、特別支援学校などから毎年聞き取って集計している。
大学進学率(学部のみ、短大など除く)は1999年度の報告書に初めて登場。「大学入学者」を「3年前の中学校卒業者」で割って算出されているが、「中学卒業者」に特支中学部の卒業者は含まれていない。現在も同じ運用が続いている。
2024年の18歳人口は106万3451人、24年度の大学進学率は59・1%と算出し、過去最高に上ったと説明した。
一方、特支中学部の卒業者は24年に1万892人で、21年の特支卒業者(9836人)を「中学卒業者」に合算すると18歳人口は107万3287人になり、大学進学率は58・6%に下がる。
99年以降の特支中学部卒業者を含めて大学進学率を計算すると、文科省が公表している数字のほうが0・17~0・54ポイント高く、差は拡大傾向にあった。【斎藤文太郎】