週刊文春、高市首相関連記事で一部修正 次号で経緯説明も「疑惑の根幹を揺るがすものではない」

文藝春秋は16日、4月29日から「週刊文春」や同電子版で公開している一部記事において、時系列に関する部分のみ、一部を修正するなどしたと発表した。同誌次号で経緯を説明するという。ただ、今回の一部修正は疑惑の根幹を揺るがすものではないとしている。
週刊文春はこれまで、高市首相陣営の秘書が昨年の自民党総裁選や今年の衆院選で他候補を中傷する動画作成をIT会社代表男性に依頼し、それが大量に投稿されたなどとする疑惑を具体的かつ詳細に報道し、一部関連動画を公開するなどしてきた。
ただ最近、その中の公開されたもののごく一部に関して、SNS上などで時系列に対する指摘が出るなどしていた。
同社では公式サイトなどで「4月29日から公開している高市早苗首相に関する記事について、一部の動画に時系列上の問題点が確認されたため、関連動画の公開を一時停止し、併せて本文も修正しました。『週刊文春』の次号にて取材経緯を説明いたします。今回の訂正は一部動画の時系列に関する部分にとどまります。高市事務所が総裁選や衆院選において、動画などで対立候補に対する誹謗中傷を行っていた事実関係は、複数のSNS上のメッセージなどによって裏付けられています。疑惑の根幹を揺るがすものではないと認識しています」とコメントしている。

かつては1000人居住も住民ゼロに、「廃虚団地」「心霊スポット」として問題になった団地が廃止へ…千葉・茂原

高度経済成長期に建設が始まり、最盛期には約1000人が住んでいた千葉県茂原市真名(まんな)地区の市営真名団地が役割を終える。市議会6月定例会に団地を廃止する条例改正案が提案され、18日に可決される見通しだ。外房エリアでも有数の規模の団地だったが、工場の撤退や少子化で3月に住民はゼロとなった。県内では他の人口減少地域でも、老朽化した公営住宅の廃止や集約が進む。(高貝丈滋)
最盛期住民1000人
草が生い茂る敷地に、長屋造りの平屋や2階建ての住宅が同じ方向を向いて整然と並ぶ。どれも壁が黒ずみ、ツタが覆っている。玄関ドアや窓ガラスが壊れているものもある。今は人影がなく、ひっそりとしているが、「50年前の建設当時はにぎやかで、三輪車で敷地内を走る子供たちでいっぱいだった」と近隣住民は振り返る。
真名団地は市中心部から西に約5キロ・メートル離れた田園地帯にある。市建築課によると、約5・6ヘクタールの敷地に1970~75年、73棟300戸が建設された。第2次ベビーブームの新婚家庭や日立製作所茂原工場など市内の工場の従業員らを中心に、最盛期は1000人近い住民がおり、市内では最大の団地だった。
工場閉鎖、撤退
だが、2000年代以降、工場が相次いで閉鎖された。12年にはパナソニック液晶ディスプレイや、東芝コンポーネンツの工場が撤退。昨年には液晶パネル大手「ジャパンディスプレイ」(JDI)が生産を終了した。
人口は2000年の約9万3000人をピークに、現在は8万4617人(今月1日時点)と1万人近く減った。真名団地の住民も減少の一途をたどり、25年度には5世帯が生活するのみとなり、今年3月末には全入居者が退去した。
団地の近くにあった二宮小学校は別の小学校と統合され、21年4月に南に約1・2キロ離れた場所に移転した。最近では、「廃虚団地」「心霊スポット」としてユーチューバーらに取り上げられ、問題にもなっていた。
入居者を相手に15年間、商店を営業していた男性(76)は「新婚世帯が優先的に入居し、子供が多く、にぎやかな団地だった。なくなってしまうのはさみしいし、一つの時代が終わった感じがする」と語った。
市は今後、公募型プロポーザルで選定する民間開発企業と連携し、跡地を産業団地として整備する考えだ。
県営住宅も廃止や集約化
公営住宅の廃止や集約化は、老朽化が著しい千葉県営住宅でも進む。県営住宅は1万9227戸(2024年7月1日時点)あるが、千葉県は人口が減少している地域を中心に1909戸を廃止にするなどし、34年度までに1万8648戸に減らす目標を掲げている。
県は25年に改定した10か年の「県営住宅長寿命化計画」で、今後の県営住宅のあり方について〈1〉地域の需要に応じた供給を行う〈2〉将来的な対象世帯の減少を踏まえる――などの基本方針を定めた。
25年の国勢調査(速報値)で県人口は約625万人となり、1920年の第1回調査以降で初めて減少した。国立社会保障・人口問題研究所が2023年に発表した将来人口の推計では、県人口は50年に約569万人まで落ち込む。
国勢調査では世帯数は増加傾向が続いているが、同研究所は35年の約298万世帯をピークに減少し、50年には約285万世帯になると試算している。県は、県営住宅を「住宅に困窮する低所得者へのセーフティーネット」と位置づけているが、対象世帯は減っていくとみている。
これらの事情を踏まえ、県は築51年以上が経過している県営住宅を中心に、廃止や集約化を計画・検討している。支援が必要な世帯数に比べて公営住宅が特に多い「香取・東総地域」「九十九里地域」などで廃止や集約を進め、維持管理コストの削減を図る方針だ。
集約化では、同じ団地内で使用する棟を限定し、住み替えてもらう「団地内集約」や、別の団地への引っ越しを働きかける。
一方、県は、今後も人口増加が見込まれ、公営住宅の需要がある「東葛・湾岸地域」については、廃止や集約化と並行して建て替えや新規建設を行い、必要な戸数を確保する。新たな県営住宅は、1世帯あたりの人数が減っていることを考慮した住戸規模にしていく方針という。

高市首相の中傷動画疑惑「納得できない」52%なのに…浮かれる自民党は危機感ゼロ、まるで他人事ムード

やはり、幅広い理解は得られていないようだ。
産経新聞社とFNN(フジテレビ系)が今月13、14日に実施した合同世論調査。高市首相の公設第1秘書が自民党総裁選で対立候補の中傷動画作成にかかわったとされる疑惑を否定している高市首相の説明に、52.0%が「納得できない」と回答し、「納得できる」の40.2%を上回った。内閣支持率も先月から2.7ポイント減の65.3%で、不支持は同1.9ポイント増の28.1%だった。
疑惑を巡っては国会で野党が追及を強め、追いつめられた高市首相の答弁に矛盾が生じ、訂正する事態も起きた。さらに、中道改革連合と立憲民主党は「直接聞いた方が早い」(中道・重徳国対委員長)として、秘書の参考人招致を求めている。
だが、自民党内にはいまだ、どこか他人事のようなムードが漂う。危機感がほとんど感じられないのだ。
「あくまで週刊誌の報道だとして、そこまで気にしている議員は多くない印象ですね。最近では、動画を作成したとされる実業家の松井健氏が大手メディアの取材にも応じていますが、『一方的に主張しているだけ』と見る人も少なくない。そもそも、多少下落しているとはいえ内閣支持率はまだまだ高水準ですから誰も波風を立てたくない。いまの高市首相の勢いに水を差す方が嫌なんですよ」(自民中堅議員)
実際、自民党内で表立って高市首相に苦言を呈する者はほとんどいない。石破前首相が6日のラジオ番組で「真実を究明することが大事だ」と話したくらいだ。
■松本文科相の不倫問題も不問に
不祥事の処分も、なあなあで済ませている。3月には、松本文科相の不倫問題が発覚。議員会館でも不貞行為に及んだと報じられ(本人は否定)、この時ばかりは党内でも「さすがに更迭だ」との声が相次いだ。しかし高市首相は「仕事で返してほしい」として、不問に付した。
対照的なのが、石破政権での江藤拓農相(当時)の更迭だ。コメ騒動の最中に「コメは買ったことはない。売るほど家にある」と発言。大炎上し、大臣職を追われた。
「江藤さんのことを考えれば、松本さんもクビが2、3回飛んでいてもおかしくない。それでも更迭せず乗り切ったことで、官邸も味を占めたようです。2月の衆院選で圧倒的多数の議席を獲得し、自民党内にはゆるみが見られます。この浮かれ具合があだとならなければいいですが……」(政界関係者)
支持率はいつまで持つか。
◇ ◇ ◇
高市首相の暴走ぶりや自民党の傍若無人ぶりについては、関連記事【もっと読む】【さらに読む】などでも詳しく報じている。

《日韓大会ではベルギー国王夫妻と》天皇、皇后両陛下のオランダ国王夫妻とのW杯観戦…“自撮り”写真に「皇室外交」絶賛の声

6月13日に東京を出発し、オランダを訪問されている天皇、皇后両陛下が、開催中の「FIFAワールドカップ2026」グループリーグ初戦、日本対オランダ戦をオランダのウィレム・アレクサンダー国王夫妻とともに観戦された。
アメリカのダラスで行われたこの一戦は、強豪オランダを相手に日本代表が粘りを見せ、試合終了間際に劇的な同点ゴールを決めて引き分けに持ち込む大熱戦となった。
オランダ国王自らがシャッターを切った非常に貴重な“自撮り”
「両陛下は6月20日までオランダに滞在し、その後はベルギーを訪問されて26日に帰国される予定です。そんな中でのワールドカップ観戦ですが、宮内庁によると、両陛下は国王夫妻と並んで試合を見守り、日本が終了間際に同点に追いついた瞬間には『うれしかった』と大変喜ばれていたといいます」
このときの様子は、宮内庁のInstagramでも紹介され、大きな反響を呼んでいる。「スポーツはつながりを深めます!」というメッセージとともに公開された写真には、サムライブルーのマフラーをかけた天皇、皇后両陛下と、オランダのチームカラーであるオレンジのマフラーをかけた国王、マキシマ王妃の4人が笑顔で並ぶ姿が写し出されている。さらに、2枚目に投稿された写真には、ウィレム・アレクサンダー国王と天皇陛下のアップのツーショットが収められており、こちらは国王自らがシャッターを切った非常に貴重な“自撮り”の1枚だ。
この投稿や報道を受け、ネットでは「こんな皇室外交も素晴らしい」「両陛下のこうしたお姿を拝見するのは本当にうれしいし、誇りに思う」といった感動の声が相次いでいます。また、ドラマチックな引き分けという結末に対して「ある意味、引き分けは両国にとって最高の形だったのかもね」というコメントも寄せられている。
「皇室と欧州王室のスポーツを通じた親密な交流には、長い歴史があります。今から24年前の2002年日韓ワールドカップでも、日本対ベルギー戦を当時の皇太子ご夫妻(現・天皇、皇后両陛下)と、フィリップ皇太子夫妻(現・ベルギー国王夫妻)が埼玉スタジアムで一緒に観戦されたことが話題となりました」
両陛下はオランダでの滞在を終えた後、まさにその思い出の地であるベルギーへと向かわれる。伝統ある皇室外交の絆の深さが、スポーツ、そして今回の2カ国訪問を通じて、さらに未来へと繋がっていくことが期待される。

消費税0%案はいつの間に1%案になったのか…高市総理が”悲願”をわずか4カ月で取り下げた理由

食料品の消費税ゼロ化を衆院選公約とした高市早苗首相(自民党総裁)が、来年春から税率を「1%」とする案で妥協を図る構えを見せている。表向きはレジのシステム改修に時間を要するというのが理由だが、減税に伴う財源探しに加えて金利上昇を招くリスクは避けたいとの本音が透けて見える。減税策には評価する声があるものの、2月の衆院選公約がわずか4カ月で方針転換されることに厳しい視線が送られているのも事実だ。はたして、「1%」案はこのまま本当に実現するのか―。
【画像】消費税0%がいつの間にか「1%」にすり替わった”表向きの理由”
0%がいつの間にか「1%」にすり替わり…
「ゼロを1%にするのはブレている」「レジ改修が間に合わないことは全く言い訳にならない」
中道改革連合の階猛幹事長は6月4日、食料品の消費税減税をめぐり政府・与党内で「1%」案が有力となっていることを痛烈に批判した。
国民民主党の玉木雄一郎代表も超党派の「社会保障国民会議」において検討中である点を踏まえ、「(国民会議ではまだ)ほとんど議論していない」と慎重姿勢を見せる。
野党が反発するのは無理もない。そもそも、高市首相が率いる自民党は2月の衆院選で「飲食料品は、2年間に限り消費税の対象としないことについて、今後『国民会議』において、財源やスケジュールの在り方など、実現に向けた検討を加速します」と公約した。
選挙後、野党に呼び掛ける形で「国民会議」はスタートしたが、それがいつの間にか政府内で「1%」にすり替わっているのだ。
消費税ゼロ化が「私自身の悲願」と語った高市首相
首相は「時間を要する(レジの)システム変更をできるかぎり早期に実施できる方法も検討しつつ、その実現に向けて強い思いを持って取り組んでいく」と理解を求める。だが、そもそも今年1月に消費税ゼロ化が「私自身の悲願」と言ったのは高市首相自身である。
2025年5月には「国の品格として食料品の消費税率は0%にするべき」と発言していたはずだ。
首相は物価上昇局面において「給付付き税額控除を実施するまでの2年間」に限定した策であると言っているが、国民民主党の古川元久税制調査会長は「つなぎとして消費税減税を行う必要はないのではないか」と指摘し、玉木代表は「住民税の減税と社会保険料還付の組み合わせがベスト」と主張している。
だが、高市首相は「できない理由ではなく、できる方法について知恵を絞ってもらう」と語った。
「悲願」はなぜ、わずか4カ月で崩壊したのか
高市首相は6月末にも最終判断を下した上で今秋の臨時国会に関連法案を提出する構えだ。2027年4月にスタートするスケジュールを描く。
首相の「悲願」はなぜ、わずか4カ月で崩壊したのか。6月3日、経済産業省は社会保障国民会議に「参考資料」を提出している。
それによれば、バーコードから販売時に商品情報を読み取り、POSシステム(Point of Sales)に連携する「ターミナルPOSレジ」は約70万台、タブレットやスマホなどをレジ端末として利用する「モバイルPOSレジ」(スマートレジシステム)は約30万台、キーボードなどを手動で操作し、出入金管理を行う「ガチャレジ・メカレジ」は50万台前後、それぞれ存在している。
だが、現在は「税率ゼロ」の入力ができないシステムが存在し、消費税が「0円」のものは非課税扱いにされ、0%対象の価格を記載したインボイスを発行できないシステムがある。
このため、「0%対応」に向けた大規模改修をするには最大10カ月~1年程度が必要になるという。これが「1%への引下げ」であれば、必要期間は5カ月~6カ月程度でレジのシステム改修が完了するとしている。
「国民会議」は本当に必要だったのか
経産省はシステムメーカーの見解として報告しており、それを否定するつもりはない。だが、腑に落ちないのは高市首相がこれまで語ってきたことと大きな齟齬がある点だ。
首相は衆院選公示日の前日となる1月26日、日本記者クラブ主催の公開討論会で食料品の消費税を2年間ゼロにする考えを表明。実施時期については、超党派の「国民会議」で結論がまとまれば今秋の臨時国会に税制改正関連法案を提出したいとの意向を示した。
だが、先に触れたように「1%」案に野党は慎重・反対姿勢を崩しておらず、何をもって「結論」と6月末に位置づけるつもりなのかわからない。
そもそも、政府内で「1%」案を最初から提出する考えだったならば、「国民会議」という存在は不要だったことになる。付け加えれば、高市首相の消費税減税をめぐる言動はブレまくってきた経緯がある。
高市首相は昨年10月、自民党総裁に就任した際に消費税減税に関し「選択肢としては放棄するものではないが、すぐに対応できることを優先したい」と述べていた。同11月には国会答弁でレジのシステム改修などに一定の期間がかかることにも留意すべきだとも説明した。
「責任ある積極財政」と相性が悪かったという点
さらに、12月23日の日経新聞インタビューにおいては「物価高対策としては即効性がないと判断した」と答えている。
しかし、今年1月19日の記者会見で首相は「物価高に苦しむ中・低所得の皆様の負担を減らす上でも、軽減税率が現在適用されている飲食料品について2年間に限り消費税の対象としない」と語っている。この間、わずか1カ月しか経っていない。そして、公約で「ゼロ」を掲げていたにもかかわらず、衆院選から約4カ月後にはいつの間にか「1%」と修正している始末である。
そもそも、「ゼロ」とするためにどれくらいのシステム改修期間が必要なのか調べてもいなかったのか。この半年近くは何だったのかと思いたくもなるだろう。
ましてや、一国のトップが「悲願」とまで言い切ったのに、その程度の認識しか持っていなかったことに呆れてしまう人も少なくないはずだ。これでは「国の品格」が疑われる。
1つだけ同情するとすれば、高市内閣が誕生したタイミングは自身の掲げる「責任ある積極財政」と相性が悪かったという点だろう。首相は、衆院選大勝直後の記者会見で消費税減税に関し「2年分の財源を確保した上で、できるだけ早く実現できるよう知恵を絞っていく」と語り、財源には補助金や租税特別措置見直しで賄う意向を示した。
減税には5兆円近い財源が必要とされ、財政状況の悪化懸念
減税には5兆円近い財源が必要とされ、財政状況の悪化が懸念されていることを踏まえた発言だろう。特例公債の発行に依存しない姿勢も繰り返している。
だが、足元では財政悪化懸念やインフレをにらみ、5月18日の東京債券市場では長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時2.800%に上昇。1997年5月以来29年ぶりの高水準となった。円や国債が売られるリスクを抱え、ドル円相場も1ドル=160円前後と下落傾向にある。
加えて、日本銀行は6月16日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%程度から1.0%程度に引き上げることを決めた。1995年9月以来31年ぶりの高水準となる見込みだ。
利上げは長期金利上昇を招き、住宅ローンの返済額のみならず国民生活に打撃を与える可能性もある。来年春からの消費税減税が現実味を帯びれば、さらなる金利上昇や円安進行につながるリスクがあり、それに連動する形で物価高に拍車をかけないとも言い切れない。
「来年春」というタイミングは首相にとっても都合が悪い
先に触れたように、高市首相は1月の記者会見で「物価高に苦しむ中・低所得の皆様の負担を減らす」としていたものの、このタイミングで消費税減税を実施し、国民民主党が唱えるような対策を講じなければ、物価や金利上昇によって国民の負担がかえって増大するかもしれないのだ。
消費税減税について、首相は「給付付き税額控除を実施するまでの2年間」に限定した策であると言っているが、実施のタイミングを見誤れば国民生活にとって良いことだらけとはならないはずだ。
あえて付け加えれば、「来年春」からの減税実施というタイミングは首相にとっても都合が悪いと言える。
食料品の消費税率「1%」案については、中道改革連合や国民民主党などが反対・慎重であると記したが、首相にはもう1つの「悲願」があるためだ。それは、自民党の党是でもある「憲法改正」である。
高市首相は4月の自民党大会で「立党から70年、時は来た。国会で議論を進めていこう」と呼びかけ、憲法改正の発議について2027年春までにメドをつけたい意向を示した。
だが、自民党は改憲を発議できる条件となる衆院で3分の2以上の議席を得たが、参院は連立政権を組む日本維新の会の議席を足しても過半数割れしている。
消費税減税をめぐる国民民主党とのスタンスの違いが障壁
そのため、自民党の麻生太郎副総裁や萩生田光一幹事長代行らは「政策的にも非常に近い」と国民民主党に連立入りを含めた秋波を送っている。
改憲をにらんだ布石を打ち始めているわけだが、ここで消費税減税をめぐる国民民主党とのスタンスの違いが障壁となる。
加えて、高市首相は鈴木俊一幹事長に衆院の議員定数削減をめぐり比例代表のみ45議席削減する案で意見集約を図るよう指示したが、この案に対しては国民民主党の玉木代表が「自民、維新に有利な中身で出してくるということであれば、我が党のみならず他の野党もなかなか『はい、そうですか』とはならない」と否定的だ。
消費税減税と議員定数削減という「2つの壁」を取り除かない限り、連立入りを含めた交渉は実を結ばないだろう。
すなわち、それは首相の「悲願」である憲法改正は遠のくということだ。ただ、高市首相は消費税減税をめぐり従来の発言を二転三転させてきた。
「つなぎとして消費税減税を行う必要はないのではないか」と修正が入るのか
仮に、改憲や連立入りに関して国民民主党の理解を得られる可能性があれば、今秋の臨時国会で関連法案を審議する際にさらなる「妥協」をすることも考えられる。逆に言えば、国民民主党は自らの政策や主張を採り入れてもらえる絶好のチャンスを迎える。
玉木代表が言うように「住民税の減税と社会保険料還付の組み合わせがベスト」となるのか、古川税制調査会長が指摘している通り「つなぎとして消費税減税を行う必要はないのではないか」と修正が入るのか。
まだまだ食料品の消費税率をめぐる先行きは不透明と言えるのではないか。いずれにしても、日銀の利上げ見込みや金利上昇、物価高は国民生活に直結する。高市首相には「ブレる」ことなく、生活を守り抜いてもらいたい。
文/竹橋大吉

徳島県・後藤田正純知事に振り回されて宙に浮く「県立ホール計画」 “工事費半額”の公約が看板倒れで大混乱、設計者の石上純也氏の展覧会も中止に追い込まれ批判高まる

今、徳島県が県立ホールの建設計画をめぐって揺れている。後藤田正純・知事による不当な圧力の疑惑が浮上し、大混乱に陥るなか、県立ホールの設計を担った世界的建築家・石上純也氏が本誌・週刊ポストに覚悟の告発をする。【前後編の前編】
後藤田知事の登場で一変した事態
「私は後藤田知事と喧嘩したいわけではありません。ただ、深い思いがあって書き上げてきた図面が、誰の目にも触れずに葬り去られてしまうのはとても悲しくて苦しい。純粋に展覧会で作品を見てもらいたかった」
そう語るのはヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞など国内外で数々の賞を受賞している世界的な建築家・石上純也氏だ。
徳島県では今、石上氏らのチームが設計した「徳島芸術文化ホール」を主要テーマに6月1日から開催予定だった「石上純也展覧会」が県の要請で中止に追い込まれ、後藤田知事のやり方に批判が高まっている。
発端は県が進めていた同ホール建設計画を知事が中止させたことだ。
徳島県は県内に座席数1500以上のホールがないことから県立ホールの建設を計画。石上氏を中心とする設計者チームがまとめた1800席の大ホールや小ホール(300席)を備えた「徳島芸術文化ホール」のプロポーザル案(企画提案)を採用し、2021年に石上氏や熊谷組などのJVと約194億円で建設する基本協定を結んだ。石上氏らはその後2000枚に及ぶ実施設計図面を書き上げ、工事の見積もりも取って工務店も決まり、2026年9月の開館を目指していた。
後藤田氏の知事当選で事態が一変
ところが、2023年の徳島県知事選で「工事費と工期を半分に抑える」と訴えた後藤田氏が当選すると、事態は一変する。
後藤田知事は石上氏らとの基本協定を残したまま、建設予定地を変更して新たな県立ホールを建設する計画を打ち出したからだ。県は「1500席」の新ホールの概要案をまとめ、2025年に事業費約162億円を上限に設計と施工を一括で行なう事業者の公募を2回行なったが、参加する業者がなかった。
そこで後藤田氏は「建設資材や人件費の高騰」を理由に事業費を見直し、さらに施工業者を外し、「基本・実施設計業務」に限定して今年3月から3回目の公募を行ない、設計事務所5社が応募して審査中だ。
新たな事業費について後藤田氏は今年2月の県議会で「現時点での工事費が200億円に及ぶ」との想定を明らかにしている。「工事費を半分にする」と公約しながら、結局、出てきたのは座席数を減らし、工事費は下がらない案となったのだ。
県は石上氏らとの基本協定を破棄していないため、現在、徳島県には「石上案」と「後藤田案」の2つのホール建設計画があることになる。
そこに起きたのが「石上純也展」中止事件だ。
▼▼▼後編記事▼▼▼
【つづきを読む→】徳島県立ホール計画をめぐる混乱に拍車をかける後藤田正純・知事の対応
※週刊ポスト2026年6月26日・7月3日号

《ルフィ事件裁判》“特別な捨て駒”だった実行役の告白 「これ全部持ち逃げできるもんだったらやってみろよ。お前の実家に火つけてやるからよ」――裁判で明かしたルフィからの脅迫

今年5月14日に栃木県上三川町の一軒家で女性が殺害された強盗殺人事件では、実行役の高校生4人(いずれも16歳)がすぐさま逮捕された。のちに日本側の指示役とされる20代夫婦も逮捕されたが、夫婦に強盗を主導したとされる益田和彦容疑者(48)は事件3日後に東南アジアに逃亡。現在、公開手配中だ。5月30日には18歳の高校生が職業安定法違反容疑で逮捕されている。実行役を勧誘するリクルーター役を務めた可能性があるという。
本事件は「匿名・流動型犯罪グループ」いわゆる「トクリュウ」による事件とみられている。犯罪ごとに離合集散を繰り返し、匿名性の高いアプリ等でやりとりすることが特徴だ。このトクリュウによる強盗の存在と恐怖を日本中に知らしめたのは、2022~2023年にかけて各地で発生した「ルフィ」らを指示役とする「広域強盗」であろう。ノンフィクションライター・高橋ユキ氏がレポートする。
「捨て駒の中でも特別」
当時の一連の事件では、SNSでの「闇バイト」を募集する投稿によって集められた実行役らが「ルフィ」を名乗る指示役らとつながり、日本各地で強盗を敢行していた。幹部4人はフィリピンのビクータン収容所でスマホを用い、日本の実行役をリクルート。秘匿性の高いアプリで強盗を指示し、得た金をフィリピンに送金させていた。
今年5月、「ルフィ」を指示役とする強盗に関わった日本側メンバーの裁判員裁判が開かれていた。そのメンバーは、他の実行役が「捨て駒の中でも特別」と称するほど「ルフィ」との関係の深さが際立っていた。
フィリピンの指示役による広域強盗事件において、「ルフィ」を名乗る指示役と密接に繋がり、実行役の送迎や強奪品の売却など、日本側での後方支援を担っていた大古健太郎被告(37)である。5月28日に東京地裁で開かれた大古被告の裁判員裁判の判決公判で、江口和伸裁判長は求刑通りの懲役23年および罰金50万円を言い渡している。
匿名流動型グループが日本国内で強盗を敢行する際は、末端の実行役が家に押し入り、家人に暴力を振るうなどして脅す。こうした犯罪行為によって実行役が金品を奪ったとしても、指示役がその犯罪収益を得るためには、換金や運搬を担う人材が必要になる。まず時計や貴金属など、金目のものを奪った際はそれらを買取ショップで換金し、合計額を正しく計算したうえで指示役に報告。指示通りに犯罪収益を分配し、それぞれを指定の場所に届ける……そんな地味で負担の大きい作業を実直に、また持ち逃げもせず、逮捕されるまで遂行してきたのが、大古被告だった。

【速報】「クマに襲われた」男性が頭部や顔面から出血 近畿で今年度初めての人身被害か 奈良・下北山村

警察によりますと、17日午前4時40分ごろ、奈良県下北山村で男性から「クマに襲われた。家の外にトイレがありトイレから出るとクマがいて襲われた」という旨の110番通報があったということです。 男性は村内の住宅に住む60代とみられ、頭部や顔面から出血しているといい、意識があり歩ける状態で病院に搬送されました。 警察は通報を受け村と連携してクマの捜索にあたっているほか、村は住人に向け防災無線でクマの出没を伝えたということです。 近畿では今年度、クマによる人身被害は初めてとみられます。

阿部慎之助前監督が不起訴処分に。山口真由氏が突く、13万人署名に揺れた「SNSの過剰介入」の罠

5月25日に自宅で長女に暴行を加えたとして現行犯逮捕され、その後書類送検されていたプロ野球・巨人の前監督、阿部慎之助氏は、6月15日に不起訴処分となった。阿部氏は同日、代理人を通じて声明を発表し、家族や関係者、ファンに謝罪するとともに、軽率な行為だったと反省の意を示した。5月の逮捕時、阿部氏は姉妹げんかを止めようとして口論となり、長女を押し倒した疑いを認めていたが、事件は処分の決着をみた形だ。とはいえ、家庭内の暴力に社会がどう介入すべきかという問いは、なお重く残っている。信州大学特任教授の山口真由氏は、阿部慎之助氏が不起訴となったことで事件は一区切りついたが、家庭内暴力に行政がどう介入すべきかという論点は残されたままだとみる。そのうえで、被害者の安全確保までは一定の「拙速な過剰介入」は許容されても、その後は「事実を見極めるという意味の巧遅」が必要だと訴える(以下、山口氏の寄稿)。◆逮捕万能論にも限界がある先月、18歳の長女の胸ぐらをつかんで押し倒した疑いで現行犯逮捕された阿部慎之助巨人軍前監督は「寛大処分」の意見付きで書類送検された。チャットGPTの助言を受けて児童相談所に相談した──。そう告白した長女の手紙にはインパクトがあり、現代の宿痾の象徴として注目を集めた。だがもしこれが例えばアメリカのアラスカ州とかコロラド州なら、阿部氏は間違いなく逮捕である。長らく“プライベートな問題”と扱われてきたDV(家庭内暴力)に光が当たったのは、全米で女性の権利を求める動きが活発化した’70年代のこと。そしてDVに対する警察の対応が再犯率に与える影響を検証した1984年のミネアポリス実験は、DV加害者を逮捕する/被害者と引き離す/助言を与えるという3択の中で、逮捕がその後6か月間の再犯率を有意に減少させたと結論づけた。「よっしゃ、全員を取っ捕まえろ!!」ということで、’90年代にかけてアメリカの多くの州で、DVでの逮捕が「義務」になる。つまり、いかに家族が嘆こうと、現場に駆けつけた警察官に裁量の余地は一切なく逮捕されるのだ。話はこれだけでは終わらない。仮に自己防衛のため、長女も引っかくなりすればアメリカでは「双方逮捕」、つまり阿部氏のみならず、被害者的立場の長女もまとめてしょっ引かれる可能性がある。実際、義務的逮捕が導入された’80年代後半から’90年代にかけて、自らの身を守っただけの女性の逮捕が相次いだ。

無許可で為替取引行う「地下銀行」で特殊詐欺被害金の資金洗浄か、中国籍の男ら3人逮捕

無許可で為替取引を行う「地下銀行」を営むなどしたとして、警視庁が、東京都豊島区西池袋、専門学校生(26)ら中国籍の男2人を銀行法違反容疑で、新宿区上落合、無職の容疑者(27)を詐欺容疑で逮捕していたことが17日、捜査関係者への取材でわかった。逮捕は8~15日。
同庁は3人が同じグループで、在日中国人らから受け取った中国元を、特殊詐欺の被害金の日本円と交換し、マネーロンダリング(資金洗浄)をしていたとみている。
捜査関係者によると、専門学校生ら2人は昨年6~12月、中国籍の男子留学生に計約5万中国元(約120万円)を電子決済サービス「アリペイ」で送金させた代わりに、新宿区のマンション一室で5回にわたり計約120万円を手渡し、無許可で為替取引を行った疑い。無職の容疑者は昨年6月、沖縄県の80歳代女性に警察官を装い電話をかけ、現金500万円を詐取した疑い。
男子留学生は中国元を日本円と交換するため、中国のSNS「微信(ウィーチャット)」で専門学校生らの海外に住む知人と連絡を取り、アリペイの指定された口座に中国元を送金していた。その後、この知人の指示で新宿区内のマンションを訪れ、室内にいた専門学校生から日本円を受け取ったという。中国元計120万円分を交換した際の手数料は約2万円だった。
同庁は1月までに、特殊詐欺などを行ったとして中国人グループを摘発。その後の捜査で、このグループが専門学校生らの拠点とみられる新宿区や豊島区内のマンションに、2件の詐欺事件の被害金計約640万円を持ち込んでいたことが分かった。
新宿の拠点からは多額の現金が押収されており、同庁は3人が他のグループからも特殊詐欺の被害金を受け取り、資金洗浄を請け負っていたとみている。