きのう夕方、福岡市の商業施設で男女2人が男に刃物のようなもので刺された事件で、警察は30代男性から話を聴いていると発表しました。
きのう午後5時すぎ、福岡市中央区地行浜の商業施設で、ライブ観客の女性とHKT48のイベントスタッフの男性が、男に刃物のようなもので刺されました。いずれも命に別状はありませんでした。
7階の劇場にいた人 「(劇場を出たら)警察の方が6、7名いて、トイレの中やいろいろなところを探していた。まさかそんな事件が起きているとは思わず、ちょっと怖い」
2人を刺した男は現場から逃走していましたが、警察は30代男性から事情を聴いていると発表しました。また、凶器とみられる刃物も見つかったということです。
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今は習近平のおかげで高支持率だが…安倍晋三氏にあって、後継者を自称する高市早苗氏にない“首相の資質”
永田町には、昔から「高転び」という言葉がある。
戦国時代、毛利家の家臣だった安国寺恵瓊(あんこくじえけい)が、当時権勢の絶頂期にあった織田信長について「信長の全盛は3年から5年で終わる。やがて公家になるかもしれないが、その後には高転びに転んでしまうだろう」と予言したことに由来すると言われている。
確かに、権力の階段を駆け上がった政治家が、思わぬことで足を掬われる。あるいは得意の絶頂のときに、突然、権力の座から転げ落ちるという事はしばしば起きる。
1997年、当時の橋本龍太郎首相は、初めての小選挙区選挙に勝利した余勢を駆って「橋本改革」に邁進しようとした矢先に、内閣改造人事でロッキード事件で有罪判決を受けた議員を起用したことで支持率が急落した。「龍さま」と呼ばれるほどの人気ぶりだった橋本氏もその後は支持率が低迷し、翌年の参院選で惨敗して退陣した。
また、2006年、小泉純一郎政権の後を継いで戦後最年少で首相に就任し、高い支持率を誇った安倍晋三首相(第1次)も、「お友達内閣」と揶揄された閣僚の不祥事などが続いて、翌年の参院選で思わぬ大敗を喫して退陣した。
いずれも永田町の「高転び」の例として筆者の記憶に残っている。驕りなのか、油断なのか、いずれにしても調子が良い時ほど、高転びに転ぶリスクが潜んでいるのが永田町なのだ。
ロケットスタートに成功して高支持率が続く高市早苗政権だが、「高転び」のリスクはないのだろうか。
就任から1カ月半が過ぎても、高市内閣は70%前後の高い支持率を維持している。
公明党の政権離脱、日本維新の会とのアクロバティックな連立合意と、難産の末に誕生した政権だが、高市首相の大胆で分かりやすい発言と行動力によって、アメリカのトランプ大統領や中国の習近平国家主席との首脳会談を相次いでこなし、新しい外交スタイルを打ち出した。
憲政史上初の女性首相、分かりやすい発言、行動力、そうした「自民党らしくない政治姿勢」が期待感につながり高支持率に結びついたことは間違いない。
しかし、その持ち味の歯切れの良い分かりやすい発言が早くも波紋を広げている。
首相として臨んだ初めての予算委員会では、立憲民主党の岡田克也氏の質問に「(台湾有事が)戦艦を使って武力行使を伴うものであれば『存立危機事態』になり得る」と答弁した。台湾有事は日本有事つまり日本も自衛隊を出動させることがあり得るという意味だ。
これに中国が激しく反応した。どのような状況にせよ中国の一部である台湾をめぐって日本が武力行使を示唆したというのが怒りの理由だ。その後中国は、経済はじめ人的、文化的交流までも制限して日本への圧力を強めている。
高市首相自身は「具体的なケースを挙げたのは反省点。今後は控える」と事実上修正したが、撤回は拒否した。
また党首討論では、「言いたくはなかったが、岡田氏が繰り返し聞くので予算委を止められないように誠実に答弁した」と岡田氏に責任転嫁するような言い方だが、いずれにしても不用意な発言だったことは認めている。しかし中国側は更に批判をエスカレートさせている。
ところが、大阪総領事の「汚い首を斬ってやる」という極めて不穏当な投稿や、訪中した外務省幹部に対し中国側の外交官がポケットに両手を突っ込んだ尊大な態度で応対したことなど、中国側の強圧的で傲慢な対応が日本の世論の反発を招く事態になった。
むしろネット上を中心に、「高市首相は当然のことを言っただけで悪いのは威圧的な中国の方だ」「同じ質問をくりかえして高市答弁を引き出した立憲民主党の岡田克也議員の責任だ」といった論調があふれている。
立憲の議員たちのもとには、「発言を引き出した岡田氏に責任がある」「中国の手先のような岡田質問は許せない」などの批判のメールが殺到している。なかには立憲支持者からの厳しい声も寄せられているという。
ある立憲の議員は「岡田氏は必要な質問をしただけで、失言したのは高市首相の責任だ」といくら説明しても全く聞く耳を持ってくれない。なかには『岡田議員は何度も中国に行っている。中国のスパイだから中国が喜ぶ質問をしたのだろう。ネット上ではみんなそう言っている』という支持者までいた」と頭を抱えていた。
SNSなどで真偽が定かでない情報が拡散することが問題になっているが、日中問題でも根拠が不明確で首をかしげたくなるような情報がネット空間を席巻している。
そういえば、高市応援団の大御所、櫻井よしこ氏も、民放テレビに出演した際、中国の主張がいかに的外れかという根拠について「ネットのみなさんがそう言っている」と発言していた。いまや学識経験者や専門家の発言より、「知らない人が呟いている」ネット上の言説の方が信頼される世の中なのだろうか。
それはともかく、中国側の威圧的な態度はエスカレートする一方だ。6日には公海上で中国海軍空母にスクランブルをかけた自衛隊機が、中国軍機にレーダー照射を受ける事案まで発生した。中国側は威嚇の意図は否定しているが、緊張状態のなかでこうした事案が起きること自体、偶発的な衝突に発展しかねず危険極まりない。
なぜ中国はここまで態度を硬化させるのだろうか。ある政府関係者はこう指摘した。
「習近平は、高市首相が歴史認識や台湾問題では中国に厳しい姿勢だと警戒して、実は首脳会談にも消極的でしたが、日中関係を重視する指導部内の側近から言われてしぶしぶ首脳会談に応じたんです。ところが高市首相が、会談の直後にAPECの台湾代表との2ショット写真をSNSにアップしたことで神経を逆なでされ、そして『台湾有事は日本の有事』という発言が出た。実は同じことを安倍元首相や麻生太郎元首相も言っていたのですが、どちらも首相を辞めた後の発言です。しかし高市さんは現職首相の発言であり、これは中国としては絶対に認められない。習近平のメンツにも関わるので、周辺も強硬姿勢を取らざるを得なくなったんです」
しかしその尊大で強引な中国の姿勢が、むしろ日本人の素朴な反中意識を刺激し、それが高市支持を押し上げるという皮肉な状況になっている。
自民党にとって日中関係は一筋縄ではいかない問題だ。
1972年、アメリカのニクソン大統領に先を越されるかたちで、日本も国交正常化に舵を切った。当時の田中角栄首相と大平正芳外相のコンビで外交交渉が進んだか、水面下での密かな折衝に一役買ったのが、当時の公明党の竹入義勝委員長だ。公明党は、それ以前から独自に中国とのパイプを築いていた。
この時、安倍派の源流でもある福田赳夫元首相率いる福田派は、親台湾の議員が多かったこともあって台湾を見捨てるべきではないと激しく抵抗した。結局、田中・大平連合が押し切るかたちで日中国交正常化は実現したのである。
もともと田中派と福田派は、「角福戦争」と呼ばれた激しい権力闘争を繰り広げていた。日中関係も、親中派が多い田中派・大平派(宏池会)と親台湾派が多い福田派の対立という図式が出来上がり、その系譜は今に続いている。
親中派の系譜には宏池会の岸田文雄元首相や田中角栄元首相を師と仰ぐ石破茂前首相がいる。一方、親台派は、福田派の流れを汲む小泉純一郎元首相、安倍元首相、そして安倍氏の後継を自任する高市首相だ。高市首相は、就任前のことし4月には台湾を訪問し現地に建立された安倍氏の銅像に献花している。
中国が激しく反発するのは高市首相が、親台派、タカ派の系譜にある政治家だと認識しているからだ。
ただ政治は、タカだ、ハトだという対立など超えて大きく動く時もある。
冒頭で高転びの例として取り上げた第一次政権の安倍元首相だが、公平を期すと、対中外交について、安倍氏はしたたかで大胆な決断を幾度かしている。
当時を知る外務省OBによると、小泉元首相の靖国神社参拝に反発して05年に中国国内で大規模な反日デモが起きるなど日中関係が危機的な状況になったとき、これを一気に打開したのが安倍氏だったという。
06年に小泉氏の後を受けて首相に就任した安倍氏は、直後に電撃的に訪中して、関係改善の糸口をつかんだ。そして「戦略的互恵関係」という大きな枠組みを提唱し、中国との関係を修復したのである。
この外務省OBは、「小泉政権末期から安倍さんは当時の外務事務次官の谷内正太郎さんらを通じて水面下で中国側と接触していた。その頃の安倍さんは親台保守派のリーダーだったから中国と手を握ることにはリスクもありましたが、国益を考えて決断した。それに保守派のスターだったから強硬派の反対を抑えることができたんです」と証言する。
タカ派で中国に対する強硬姿勢で知られる安倍氏だが、政治的には冷徹なリアリズムに立って大胆な決断をしたのだった。
その後、12年に発足した第2次安倍政権では、前任の野田内閣の尖閣国有化に中国が猛反発し、またも反日デモが繰り返される危機的な状況で政権を引き継いだ。
そして13年には右派言論人らの強い圧力に抗しきれず安倍氏自身が靖国神社に参拝して、さらに中国を刺激したが、ここでも安倍氏は外務省や経産省に加えて経済界の支援も得て翌14年には北京で開かれたAPECの場で習近平国家主席との初会談にこぎつけ、関係修復の第一歩となった。
そしてこれをもとに、二階俊博氏ら自民党の親中派の大物議員、さらには公明党のパイプも通じて、中国との関係改善を進め4年後の18年には単独で北京を訪れて日中首脳会談を実現した。
注目すべきなのは、同時にアメリカや東南アジア諸国との関係強化で中国封じ込めを狙う「自由で開かれたアジア太平洋構想」を推し進めたことだ。中国に単に譲歩するのではなく、戦略的、長期的な視点で関係をつくっていくという大きな構想がそこにあった。
台湾で銅像が建てられるほどの政治家が、国益のため地域の平和と安定を優先する冷徹な判断をし、自らを支援する勢力を説得してでも中国と大胆な妥協をしたのである。
高市首相に問われているのは、反中の世論が高まっている時だからこそ、冷静に情勢を鎮静化させて、中国に対して、振り上げたこぶしをどう降ろさせるか、そのために何をすべきかを考えることだ。
気になるのは自衛隊機がレーダー照射を受けた後もトランプ大統領が沈黙を守っていることだ。
高市首相が米空母の艦上で、ロックスター並みのパフォーマンスで日米同盟の絆を演出したのも、台湾はじめ東アジアの安定を脅かす中国への軍事的な牽制のためだったはずだ。高市首相の肩に手を回して最高の首相だと持ち上げたトランプ大統領だが、習近平主席との電話会談の後は、高市首相に中国とあまり揉めるなと「助言」したとされている。
単なる国会答弁に過ぎないことで日本と中国との関係が拗れている。こんなことで中国とのディールに影響が出てはまずい。トランプ氏にそんな気持ちがあることは想像に難くない。問題は、だとすると日本には後ろ盾が頼りにならない状態で中国と向き合わなければならないということだ。
対立が1カ月を超え、世論にも微妙な変化が現れ始めた。世論調査では高市首相の答弁に問題はないという声が依然として圧倒的に多いが、今後の経済などへの影響を懸念する声も出始めている。
政府内では問題の長期化を覚悟すべきだという声が出ているが、米中関係の行方も見通せない中で、どう事態を収拾していくのか、高市首相にとっては難しい判断が続くことは確かだ。
自民党のあるベテラン議員は、「高市は威勢はいいが、他人の言うことは聞かず、チームで支える体制もできていない。だから一時の思いつきや、その場しのぎの発言が目立つ。いち議員ならともかく、総理大臣がそれでは必ず足元をすくわれる。日中関係だけでなく、高市政権の最大の弱点はその言葉の軽さだ」と漏らしていた。
高市首相の「高転びのリスク」は、いまそこにあるのだ。
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(ジャーナリスト、元NHK解説委員 城本 勝)
「待ってろよ」広島県警が執念燃やす25年前の未解決殺人 逮捕に賭けた「今の顔」を公開
広島県大朝町(現北広島町)で平成12年12月、特別養護老人ホーム「やすらぎ」の男性施設長=当時(49)=が刺殺された事件は12月8日、未解決のまま25年を迎えた。広島県警山県(やまがた)署捜査本部は当時目撃された不審な男2人について、加齢による顔の変化を推定した新たな似顔絵を公開し、情報提供を求める。主観的な記憶に基づく「今の顔」の公開にあたっては、組織内で賛否が出たが、一切の妥協なく、解決への糸口を見いだしたい考えだ。
目撃された男2人
「似顔絵を更新しました。ささいなことでもいいので情報提供をお願いします」。今月8日朝、北広島町大朝の商業施設駐車場。署員らは訪れた買い物客らに新たな似顔絵が描かれたビラを示し、協力を呼び掛けた。
殺害されたのは郷田和昭さん。25年前の12月8日夕、勤務後に事件に巻き込まれたとみられる。胸などを計十数カ所を刃物で刺され、遺体は翌9日、ホームから約200メートル離れた田んぼで見つかった。発見現場から約100メートルの路上には、郷田さんのワゴン車が脱輪したまま放置され、シートやハンドルに血痕が付着していた。
現場には、郷田さんの財布が残されており、捜査本部は怨恨(えんこん)の線に力点を置く。収集した証拠や交友関係を徹底的に洗い出し、当時より格段に精度が向上した科学鑑定の領域からも犯人をあぶりだす。
現場付近は田畑が広がる農村地帯で人の往来も少ない。防犯カメラも普及していなかった。手がかりが限られる中で、捜査本部が追いかけるのは不審な男2人だ。
捜査本部によると、事件発生前の8日夕、ホーム駐車場や周辺で郷田さんと話す姿が目撃されている。現在も施設で働く60代女性は勤務を終えて車でホームを離れる際、駐車場で郷田さんと男が向かい合っているのを運転席から見た。
男は背が高く、痩せ形だったという。「真剣な雰囲気。今のように電灯がなく、相手の顔までは分からなかった」。女性は取材に、当時の記憶をたどる。遺体発見現場付近の路上でも別の職員が、郷田さんがこの男らしき人物と話している姿を目撃した。
これらより前の時間帯にも、隣町(旧千代田町)の国道261号沿いのガソリンスタンド(当時)で、車で乗り付けた男が施設の場所を尋ねたという。
あらゆる手尽くす
事件から約5カ月後に公開された似顔絵の男2人はこうした目撃証言が基になっている。ただ、長い年月とともに人相は変わる。県警は新たな似顔絵の作成に着手した。
実際に描いたのは写実にたけた県警鑑識課の似顔絵捜査官だが、加齢変化の推定などの技術を持つ科学捜査研究所の研究員の知見を取り入れた。
もっとも、手配写真などを基にした推定ではなく、似顔絵は目撃者の記憶に依拠するため不確実性を伴う。捜査関係者によると、組織内からは確度の低い手がかりを更新し、公開する意味を問う声も出た。新たな似顔絵のイメージに影響され、目撃者の記憶の変容を呼び起こすリスクもある。
同時に、情報提供が年に数件にとどまる中で人々の記憶の断片を手繰り寄せる必要もある。「少しの可能性に懸けてやる価値はある」(県警幹部)との判断に傾いた。
福岡県警本部長や警察大学校長などを歴任した田村正博・京都産業大教授は「(新たな似顔絵公開で)誤解に基づく情報提供が寄せられたとしても、捜査を進展させるきっかけになるかもしれない。殺人事件の公訴時効はなく、警察は被害者遺族と同じ思いを共有できる。公開はあらゆる手を尽くすという県警の姿勢の表れだ」と指摘する。
殺人など凶悪事件を担当する県警捜査1課にも在籍した山県署の小田豊署長は同僚が施設長刺殺事件の解決へ汗を流す姿を折に触れて見ていた。
「被害者は戻らず、ご遺族にとって終わりはないと思うが、一日、一時間でも早く検挙したい。犯人には『待ってろよ、必ず召し捕る』と言いたい」
「コールドケース」とも呼ばれ、長らく未解決だった名古屋市の主婦殺人事件は今年、26年の歳月を経て、容疑者逮捕に至った。広島県警の捜査員も施設長刺殺事件の全容解明へ執念を燃やす。
情報提供は広島県警山県署捜査本部(0826・22・0110)へ。県警のホームページでも事件の詳細を掲載している。(矢田幸己)
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郷田さん遺族のコメント 悲惨な事件が発生して、25年の年月が経(た)ちましたが、故人のことを忘れることはありません。一日も早い犯人の逮捕を望んでおります。
上野の双子パンダ、1月返還へ 50年ぶり国内飼育ゼロに
上野動物園の双子のジャイアントパンダ、雄シャオシャオと雌レイレイが来年1月下旬に中国へ返還されることが15日、関係者への取材で分かった。国内で飼育されるパンダは約50年ぶりにいなくなる見通しとなった。2頭は繁殖研究目的で貸与された親から生まれたため所有権は中国にあり、返還期限が来年2月に迫っていた。都によると最終観覧日は1月25日。
今年6月、和歌山の「アドベンチャーワールド」の4頭が中国に返還され、国内での飼育は上野の双子だけとなっていた。台湾有事に関する高市早苗首相の発言を機に日中関係は悪化しており、新たな貸与は見通せない。市民に親しまれた「友好のシンボル」が国内から姿を消す。
上野動物園では92年に来日した雄のリンリンが08年に死に、パンダの一般公開が一時途絶えたが、東日本大震災直前の11年2月に雄リーリーと雌シンシンが来日した。
2頭の間には17年に雌シャンシャン、21年に双子のシャオシャオとレイレイがそれぞれ誕生した。
田久保真紀氏が深夜4時にXで「伊東市長選」敗戦の弁「絆はいつまでも私の宝物」今後にも言及
田久保真紀前市長(55)の学歴問題で混乱し、田久保氏が失職したことに伴う静岡県伊東市の出直し市長選は14日、投開票され、田久保氏の再選はならなかった。
田久保氏の学歴問題をめぐる対応などが争点となる中、元市議の杉本憲也氏(43=国民民主県連推薦)が、5月の市長選で田久保氏に敗れるまで2期市長を務めた元職の小野達也氏(62=自民静岡県連推薦)や田久保氏ら8人の候補をやぶり、初当選を果たした。静岡は、国民民主の榛葉賀津也幹事長の地元。
市長選には、過去最多の9人が立候補。田久保氏は7日の告示日、第一声で大規模太陽光発電所(メガソーラー)計画の撤回を強調。「伊東には課題が山積している」として自身への支持を訴えた。学歴問題や失職については、触れなかった。
田久保氏は15日午前4時2分に自身のX(旧ツイッター)を通じ、敗戦の弁をポスト。「みなさま。本当にたくさんのご声援、ご支援、ありがとうございました! これだけの逆境の中でも私を信じて支えてくれたみなさんの想いに感謝しかありません。今回の選挙戦で繋がったみなさんとの絆はいつまでも私の宝物です」と書き出した。
続けて「自宅の周辺にマスコミが押し寄せた為、選挙後のコメントを取りやめざるを得ませんでしたが、この後からの動画配信だけではなく、改めてまたみなさんとお話出来る場を作りたいと思っています」と記述。
そして「この後の予定についてはまったくの未定です。何か決まりましたら、またお知らせをいたします! 本当に、本当に、ありがとうございました! 田久保眞紀」と締めくくった。
田久保氏は伊東市議をへて、5月25日投開票の市長選で初当選。しかし翌6月に、市の広報誌などに記された東洋大卒とした自身の学歴詐称疑惑が浮上。市の話題は、田久保氏の学歴問題一色となった。
田久保氏は9月、不信任決議案を可決した市議会を解散。10月に行われた市議選をへて新たな構成となった市議会は10月31日、2度目の不信任決議案を賛成多数で可決。これを受けて、田久保氏は市長を自動失職したが、先月19日、出直し市長選への立候補を表明。学歴問題を謝罪した上で、「伊東の未来について、もう1度任せていただけるのであれば、チャレンジしたい」と意欲を示したが、田久保氏の騒動に振り回され「田久保市長疲れ」ともいわれた有権者の支持は得られなかった。
田久保氏に対する2度の不信任決議案の結果行われた市議選と今回の出直し市長選にかかった費用は、計1億円とされる。田久保氏個人の問題から始まった混乱劇は、伊東市に大きな出費ももたらす形となった。
他の候補者は、元観光推進団体役員の利岡正基氏(52)、スポーツインストラクターの石島明美氏(58)、NPO法人代表の岩渕完二氏(73)、会社役員の黒坪則之氏(64)、元会社員の大野恭弘氏(58)、漫画家の鈴木奈々子氏(52)。9人による乱戦となり、「有効投票総数の4分の1」に達した候補がいない場合は、公選法に基づいて再選挙となる可能性もあった。
30歳無職の男自ら「事件の男を見た」通報 殺人未遂の疑いで逮捕 福岡市のPayPayドームなどでHKT48スタッフの男性ら男女2人が刃物で刺される
14日夕方、福岡市中央区の「みずほPayPayドーム福岡」と隣接する商業施設でアイドルグループ「HKT48」のイベントスタッフなど男女2人が刃物で刺された事件で、警察は30歳の無職の男を殺人未遂の疑いで逮捕しました。
馬場遼之介 記者
「現場は10台以上の警察車両が並び、ブルーシートがかけられていて物々しい雰囲気に包まれています」
逮捕されたのは福岡県糸島市前原東に住む無職・山口直也容疑者(30)です。
山口容疑者は14日午後5時ごろ、福岡市中央区地行浜にある「みずほPayPayドーム福岡」でHKT48のイベントスタッフの男性(44)の胸付近を包丁で刺し、殺害しようとした疑いが持たれています。
この事件の後、隣接する商業施設でドームで開催されるライブに来ていた女性(27)も刺されて大けがをしていますが、刺された男女2人は、ともに意識があり、命に別状はないということです。
事件当日は商業施設内で「HKT48」のオンラインの握手会が開催されていてイベントスタッフの男性(44)がドーム1階にある関係者専用のエレベーターホールで不審な男を目撃。
男性が「関係者以外ここにいてはいけません」と声をかけたところ、突然、男が刃物を取り出し、無言のまま左胸を刺したということです。
不審な男はその後、商業施設の1階に移動し、女性(27)の背中を刺して逃走したとみられています。
商業施設内にいた人
「警察の方が6、7名いらっしゃって、トイレの中とかいろんなとこを探していた」「まさかそんな事件が起きているとは思わず、ちょっと怖いな」
警察によりますと15日午前2時ごろ、福岡県春日市のコンビニエンスストアにある公衆電話から山口容疑者本人が「中央区で発生の事件の男を見た」と110通報。
包丁2本を持っていた山口容疑者が自らの犯行をほのめかす発言をしたため、駆けつけた警察が緊急逮捕したということです。
取り調べに対し、山口容疑者は「殺そうと思って刺した」などと話し、容疑を認めているということです。
「外国人はもう日本を選ばなくなる」経営者たちが抱く深刻な懸念 ベトナム人実習生なしでは「成り立たない街」で見えたこと 【多文化共生企画】
千葉県銚子市の缶詰工場で働くホー・ティ・トゥイ・ニュンさん(38)は、毎朝8時から缶詰工場のラインに立つ。魚の頭と尾を機械で切り落とし、異物を手で取り除く。焼いた魚を網から下ろす繊細な作業もこなす。作業は工程ごとに分かれ、数時間おきに担当する工程が変わる。
「入ったばかりの頃はどの工程も戸惑いましたが、すぐに覚えました。担当がどんどん変わるけれど、全部慣れるとかえって面白いです」
ニュンさんはベトナム人技能実習生。8歳の子どもと夫を母国に残し、夏からここで働く。従業員80人のうち、同じ国からの技能実習生はニュンさんを含め16人。
缶詰工場の社長は話す。「銚子の1次産業は、外国人なしでは成り立たない。漁獲から水揚げ、卸売、加工まで、どの段階も彼らが支えている」
外国人なしで成り立たないのは銚子だけではない。ただ、経営者側には心配がある。外国人が将来、日本を選ばなくなる恐れだ。選ばれ続けるには、受け入れる側にある「意識」が必要という。それは一体何か。(共同通信=相山真依子)
*筆者が音声でも解説しています。「共同通信Podcast」でお聴きください。
母国にいる息子が文字を書いてくれたというスマートフォンケースを見せるホー・ティ・トゥイ・ニュンさん=2025年10月7日
▽「母国の子どもに良い教育を受けさせたい」
ニュンさんが日本に来たのは、経済的な理由からだ。ベトナムでは毎日14時間働いても手取りは約8万円。生活費をまかなうのがやっとで、疲れ果てて子どもと過ごす時間もほとんど取れなかったという。
夫の収入が減り、生活がさらに厳しくなったのを機に日本で働くことを決めた。そのための費用として親戚たちから約60万円を借りた。この缶詰工場に応募したのは、30歳以上でも受け入れてくれたからだ。年齢制限がある企業が多かったという。
家族と離れて日本で働くことには葛藤もあった。
「小さい子どもを残して外国に来ることは難しい決断でした。それでも、帰国後にもっと家族との時間を過ごすため、そして子どもに良い教育を受けさせるために、いま頑張ろうと思いました」
家賃などを差し引くと月の手取りは13万円ほど。うち8、9万円を家族に仕送りし、残ったお金で節約しながら暮らす。
「寮では他のベトナム人と一緒に住むことができて、日本人の先輩を含め周りの人たちが助けてくれます。おかげで生活や仕事は順調です。銚子は港が近くて静か。ここで働けて良かったです」
ホー・ティ・トゥイ・ニュンさんがベトナムを出発する際に夫と息子と撮った写真
そう言った後で付け加えた。「でも一つだけ。やっぱり家族が恋しいです」
出国前に家族3人で撮った写真を見ながら話す。
「子どもに『3年じゃなくて、もっと早く帰ってきて』と言われた時は泣いてしまいました」
毎日、仕事を終えシャワーを浴びた後、子どもとビデオ通話をする。この時間が彼女の一日の癒やしだ。
田原缶詰の工場で作業するベトナム人技能実習生と日本人従業員=2025年10月7日
▽ベテランが担う作業も、日本人と肩並べる
ニュンさんが働く水産加工「田原缶詰」は創業96年。1日5万~10万個の缶詰を製造している。工場の壁には、服装や衛生管理の注意書きが、日本語とベトナム語で書かれている。実習生を受け入れ始めて20年ほどだ。
「おはようございます!」
実習生は朝7時40分ごろに家を出て、日本人従業員たちとあいさつしながら工場へやって来る。真っ白な作業着に身を包み、各工程の持ち場に着く。魚を缶に詰める工程は、スピードと正確さが求められ、ベテランが担う。ここでもベトナム人が日本人と肩を並べて作業していた。
田原缶詰で休憩時間中に仲睦まじく話すベトナム人技能実習生(左)と日本人従業員女性(右)=2025年10月8日
午前10時ごろの休憩時間には、実習生と日本人従業員たちの賑やかな笑い声が聞こえる。簡単な日本語やジェスチャーを交えて会話する。実習生たちは日本人従業員を「ママ」「お父さん」と呼ぶ。
実習生たちと同じラインで働く女性(70)は話す。
「日本語ができる子が通訳してくれるから、困らない。さっきも私が『目が痛い』と言ったら、『ママ眠いの?』って冗談を言われて。楽しくやってますよ」
田原缶詰の休憩所に貼られた、ベトナム語で自転車のルールを説明するチラシを紹介する田原義久社長=2025年10月8日
▽自転車を1人に1台、ヘルメットも
田原缶詰が実習生の受け入れを始めたのは、日本人従業員の高齢化と人手不足がきっかけ。田原義久社長(70)は、採用面接のために何度もベトナムを訪れ、現地の生活水準や雇用環境の厳しさを感じた。「実習生たちは、言葉も文化も違う中で頑張っている。だからこそ、日本にいる間は安心して働けるように応援したい」
若い労働者が多いベトナムでは、30歳を過ぎると雇用機会が極端に減るという。一方で、実習生を募集する日本企業も、20代前半までを条件とするところが多い。田原社長は、ベトナムに働き口がない母親世代が多くいると知り、3年前からはニュンさんのように30歳以上の女性も積極的に採用するようにした。
実習生たちの住まいは工場の近くに用意した。かつて金物店だった3階建ての空き家を買い取り、キッチンを増設するなど、暮らしやすいように改装した。
実習生たちには、1人1台ずつ自転車とヘルメットを支給している。自転車の交通ルールをイラスト付きで説明した警察提供の資料も、ベトナム語に訳して休憩スペースに貼った。
田原社長が理由を説明する。
「ベトナムでは2人乗りが普通。でも日本のルールを教えないと、訳も分からず罰金を取られてしまう。そんなのかわいそうでしょう」
警察官とともにパトロールを行うベトナム人技能実習生たち=2025年7月29日
地域とつながるための取り組みもある。実習生たちは月2回ほど、銚子署の警察官とともに防犯パトロールで市内を歩く。すれ違う人たちに笑顔であいさつしながら歩く姿は楽しげで、市民も「頑張ってね」と声をかけていた。
この活動も、町内会の高齢化でパトロールの人手が減ったためだった。結果的に、実習生が地域の人と顔を合わせ、街に溶け込む機会にもなった。「国籍にかかわらず、元気に声をかけ合うことでつながりが生まれる」
技能実習生受け入れへの思いを話す田原義久社長=2025年10月8日
▽ベトナム人に選ばれる会社であること
これまでに何度も危機を乗り越えてきた。実習生たちが「帰りたい」と口にしたのは、2011年の東日本大震災の時。実習生が集団帰国してしまった企業もあった中、田原社長は工場で働く実習生をこう励ました。「私も一緒にここにいるから」。すると、翌日から仕事に戻ってくれたという。社長は強調する。「同じ人間としての連帯が大切です」
実習生たちに心を配り、信頼関係を築いてきた田原社長だが、それでも不安はある。彼女らが将来、日本に来てくれなくなる恐れだ。
「日本経済が停滞する一方、ベトナムは急速に成長している。日本より時給が高い国も多い。これからも彼女たちが日本を選んでくれるかは分からない」
さらに、周囲の企業では、実習生が突然姿を消して、同胞の紹介で別の職場に移る話を聞く。より良い待遇や環境を欲するのは、日本人でもベトナム人でも変わらない。しかし、同胞からの情報を頼りに移った先の職場で、一時的な労働力として「使い捨て」のように扱われるケースも多いという。
田原社長は話す。「うちで働くと決めてくれた以上、責任を持って見守りたい。ここで働いている間は、お父さんのつもりで一人一人に目を配っています」
▽更新して働き続ける人は3分の1
実習生は3年間の雇用期間を終えた後、母国に帰国する人もいれば、在留資格を「特定技能」に移行して工場で働き続ける人もいる。
ニュンさんは、実習期間が終わる3年後に経済的な余裕ができていれば、子どもと一緒に暮らすために帰りたいと思っている。「しっかりと面倒を見て、自分の手で育てたい。でも、その時まだ経済的に厳しければ、その後も日本に残ることになるかもしれません」
同僚のグエン・ティ・キム・トンさん(40)は今年8月に特定技能に移行し、家族への仕送りのために働いている。母国には20歳の娘と18歳の息子がおり、手取りの約半分を家族に仕送りする。
「自分はできなかった大学進学を子どもたちにはさせてあげたい」
夫の稼ぎでは大学の学費をまかなえなかったため来日。現在、上の子どもが大学で経済学を学んでいる。
30歳以上の女性にとって母国での就労が難しいことも影響し、最近では3分の1ほどが更新を選択するという。
これからも選ばれ続けるために必要なことは何か。田原社長はこう明かした。
「単なる『労働力』が来るのではなく、一人一人のライフプランと選択権を持った人たちが働きにくる。それぞれの選択を尊重したい。その中で継続を選んでくれたのであれば、これまでどおり応援したい」
高市首相、最低賃金「来夏に目標」=補正予算案16日にも成立
参院予算委員会は15日、高市早苗首相と全閣僚が出席して2025年度補正予算案に関する2日目の総括質疑を行った。首相は最低賃金の引き上げ目標に関し、「来年夏の成長戦略の取りまとめに向けて具体的に検討する」と語った。与党は補正予算案について、16日の同委と参院本会議で採決し、成立させる構えだ。
首相は予算委で最低賃金について「これまでの内閣以上に取り組みを徹底して行う」と強調。「企業が過度に現預金を保有するのではなく、労働者への分配を増やしていくことが重要だ」と述べ、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を改訂し、従業員への配分を促す考えも重ねて示した。国民民主党の田村麻美氏、参政党の神谷宗幣代表への答弁。
自民と日本維新の会、公明3党が協議している小学校給食の無償化の財源について、「国の歳出改革や租税特別措置の見直しなどで捻出することを想定している」と表明。地方負担分についても「責任を持って財源確保を図る」と説明した。維新の高木佳保里氏への答弁。
所得税の課税最低ライン「年収の壁」見直しに関し、178万円への引き上げを求める国民民主と自民の協議が継続中であることを踏まえ、「どのような所得階層に減税の恩恵が届くかという点について、議論を深めている段階に来ている」と述べた。公明の杉久武氏への答弁。
維新の片山大介氏は、自民と維新が共同提出した衆院議員定数削減法案の成立に向けた決意をただした。首相は「連立合意を最大限尊重し、全ての実現に向かって努力するのが自民総裁の務めだ」と強調。法案の扱いは「首相として答えは差し控える」と述べるにとどめた。 [時事通信社]
オンライン詐欺の実態…詐欺師のための“闇マーケット” ロマンス詐欺で2000万円超被害か…手口は【バンキシャ!】
ロマンス詐欺でウソの投資話を持ちかけられ大金をだまし取られるなど、オンラインでの詐欺被害が拡大しています。バンキシャ!が取材でたどり着いたのは、詐欺師の闇マーケット。ネット上で日本人の免許証などが売買される実態とは。【真相報道バンキシャ!】
かおりさん(仮名・60代)
「私みたいな貧乏な人をターゲットにするわけはないって思っていた」
こう語るのは、2025年10月、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害にあったという、かおりさん(仮名・60代)。
かおりさん
「マッチングアプリを(娘と)一緒にやったのがきっかけです」
20年以上前に離婚し、「新しい出会いがあれば」と始めたのが、マッチングアプリだった。そこで出会った人物とやり取りをするうち、あることを持ちかけられた。
「一緒にトレードして…楽に利益を得られるようにするね」
バンキシャ!
「楽に利益を得られるように…」
それは、ウソの投資話。かおりさんは言われるがまま、金をつぎこみ、2000万円以上をだまし取られたという。
かおりさん
「もう取り返したい、とにかく取り返したい」
警察庁によると、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は、2025年(10月末時点)、1370億円を超え、すでに2024年を上回るペースで急増している。なぜこれほどまでに増えているのか。
バンキシャ!が取材すると、詐欺師のための“闇マーケット”の存在が明らかになった。売られていたのは、日本の「運転免許証」、「健康保険証」。その売人を直撃すると…
売人
「詐欺のすべてを教えてやるよ」
2000万円以上をだまし取られたという、かおりさん。その手口は、どのようなものだったのか。
かおりさんによれば、始まりは2025年9月末、マッチングアプリで神奈川県に住むという、「あきひろ」と名乗る人物に知り合ったことだった。
かおりさん(仮名・60代)
「最初はお金の話は全然出てなくて、どうやって暮らしているのか、どういうところに勤めているのか(やり取りした)」
「あきひろ」から送られてきた写真。64歳、職業は建築デザイナーだという。
連絡を取り始めて数日後には…
あきひろ
「私たち共通点いっぱいあるね」
「もし一緒に残りの人生を過ごせるパートナーになれたら、きっと後半の人生めっちゃ幸せになるよね~」
かおりさん
「そうなれたらうれしい。でも、皆さん正直会ってみないとわからないと言います。だから早く会いたいですね~」
やり取りを重ね、思いを募らせていった。
しかし、1週間ほどが経ったある日。「あきひろ」から不可解なメッセージが届いたという。これが、実際のメッセージ。
あきひろ
「もう一緒に人生を過ごすパートナーだと思ってるよ」
「一緒にトレードして…楽に利益を得られるようにするね」
将来を見据えて「一緒に投資をして資産を増やそう」という内容だった。
次に送られてきたのは、投資サイトのリンク。かおりさんは、指示通りにアクセスし、登録したという。すぐに、指定の口座に金を振り込むと…。
はじめは620ドル、日本円で9万3000円だった残高が、わずか30分で、12万3000円に。3万円の利益が出たと表示されていた。これで信じ込んでしまったというかおりさん。
父の資産600万円にも手を出し、振り込んでしまったという。
投資サイト上の残高は増え続け、6700万円を超えていた。
かおりさん
「お金が増えているうれしさ、そこからどんどんのめり込んじゃうっていう感じですかね」
しかしその後、全額を引き出そうと手続きをすると、投資サイトから、こんなメッセージが送られてきた。
「貴方はすでに普通口座引き出し資金レベルの上限を超えています、口座をVIPレベルにアップグレードする必要があります」
全額を引き出すためには、1000万円が必要だという。
その金も、消費者金融と親族から借り、支払ったというかおりさん。不審に思った親族から、「詐欺ではないか?」と指摘され、「あきひろ」に連絡。
しかし、「あきひろ」からの返信は途絶えた。結局、かおりさんは2000万円以上をだまし取られてしまったのだ。
かおりさん
「本当…バカだなって思います」
いま、オンライン詐欺は世界各国で起きていて、特にこの5年間で被害が急増しているという。背景に何があるのか―。
詐欺の実態を国際的に調査する専門家に聞いた。
国際的な詐欺を調査『Elliptic』 トム・ロビンソン氏
「テレグラムの中で運営されているオンラインの市場があるんです」
「詐欺師の活動に必要なものすべてが売られています」
詐欺師のための“闇マーケット”が存在するという。調査を進めると、“闇マーケット”のひとつに、たどり着くことができた。一見普通のチャットに見えるが、中を見てみると、ほとんどが、中国語。
「毎日売り切れます」
そこで売られていたのは―
バンキシャ!
「いろんな名前の運転免許証の画像が投稿されています」
日本の「運転免許証」。他にも「健康保険証」に「マイナンバーカード」も。こうした“身分証”が、1枚1000円前後で売られていた。どれも、本物そっくりに見える。
専門家によると、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」内で運営されている“闇マーケット”。
売人は、免許証のような“身分証”や、銀行口座などを出品。それを詐欺師が購入し、詐欺に使うというのだ。
では、売人とは、どのような人物なのか。バンキシャ!は、そのひとりに接触を試みた。
バンキシャ!
「出ない…」
しかし、数分後、電話のコール。
「かかってきたので取ります」
売人
「ニーハオ」
詐欺師が使う道具をオンライン上で取引する“闇マーケット”。聞こえてきたのは中国語。
客を装い、やり取りを始める。
バンキシャ!
「運転免許証や保険証の値段はいくらですか?」
売人
「何に使うのか、教えてください」
バンキシャ!
「ああ、わかりました、使い道ですね」
売人
「仕事はなんだ?詐欺か?どんな詐欺だ?」
こちらを“初心者”とみた売人は、こんな提案をしてきた。
「詐欺のすべてを教えてやる」
売人
「詐欺に必要なものは1万ドル。成功したら(手に入れた金の)15%をもらう」
この売人の場合、“身分証”や銀行口座など、詐欺で必要なものをセットで販売。
詐欺師は、1万ドル=日本円で約150万円で購入し、だまし取った金額の15%を手数料として支払うという。
バンキシャ!
「日本人を狙った詐欺師はいましたか?」
売人
「たくさん(ノウハウを)教えてきたよ」
バンキシャ!
「それで詐欺は成功している?」
売人
「もちろん、だから続けられるんだ」
ここでバンキシャ!は、日本のメディアの取材だと明かした。
バンキシャ!
「悪いことをしていると思いますか?」
売人
「特に問題ない、金のために売っている人は大勢いる」
「取材するなら金がかかるぞ、タダでは受けない。金を使いたくないなら終わりだ」
バンキシャ!
「切られましたね…」
“闇マーケット”の裏で、増え続けるオンライン詐欺被害。
ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合によると、詐欺師のための“闇マーケット”には、カンボジアを拠点とする企業などが関わっているという。
(2025年12月14日放送「真相報道バンキシャ!」より)
北海道は吹雪や雪崩注意=気象庁
北海道は14日夜から15日午後にかけ、発達した低気圧の影響で猛吹雪や大雪になる所があった。低気圧は千島近海からオホーツク海に進み、冬型の気圧配置が強まる見込み。風や雪のピークは過ぎたものの、気象庁は16日にかけ、吹雪や強風、雪崩、高波に注意するよう呼び掛けた。
最大瞬間風速はえりも町・襟裳岬で14日午後8時25分すぎに45.1メートル、中標津町で15日午前9時25分すぎに40.5メートルを観測した。
24時間降雪量は、遠軽町で15日午後5時までに72センチ、大樹町と中札内村で同日午前11時までに68センチに上った。 [時事通信社]