【12月7日きょうの天気】二十四節気の大雪 西~東日本は暦と裏腹に季節逆戻りのポカポカ陽気 あす以降は再び寒気優勢に

きょう7日(日)は二十四節気の大雪です。雪が降り積もり、寒さが厳しいころとされていますが、昼間は晴れる西~東日本を中心に季節が逆戻りしたようなポカポカ陽気となりそうです。一日の中での寒暖差が大きくなるでしょう。
■晴れる所では空気カラカラに乾燥 きょう7日(日)は沖縄、西日本から東北南部の太平洋側を中心に晴れる見込みです。過ごしやすい陽気となりますが、空気が乾燥しています。火の取り扱いや、インフルエンザや風邪などへの体調管理に気をつけた方がいいでしょう。北陸から北日本の日本海側では雨や雪が降りそうです。
■朝ヒンヤリでも昼間は12月らしからぬ気温 朝は冬らしい冷え込みとなっていますが、最高気温は前日より高く、この時季としても高くなる予想です。11月中旬ごろの気温となる所が多く、鹿児島は20℃、福岡では19℃まで上がるでしょう。朝晩と昼間の寒暖差が大きいため、服装でうまく調節してお過ごしください。
【きょう7日(日)の各地の予想最高気温】 札幌 :9℃ 釧路:8℃ 青森 :11℃ 盛岡:9℃ 仙台 :14℃ 新潟:14℃ 長野 :11℃ 金沢:15℃ 名古屋:14℃ 東京:16℃ 大阪 :16℃ 岡山:17℃ 広島 :18℃ 松江:17℃ 高知 :17℃ 福岡:19℃ 鹿児島:20℃ 那覇:24℃
■週明け以降は寒気優勢の1週間 きょう7日(日)は南の暖かい空気が優勢となりますが、週明けあす8日(月)以降は再び上空に寒気が流れ込みそうです。そのため北陸から北日本の日本海側の山沿いを中心に雪の日が多く、暦通り積雪が増えて大雪となるおそれがあります。風も強く、ふぶく所もあるでしょう。
太平洋側ではおおむね晴れる日が多くなりますが、強めの北風がヒンヤリと感じられそうです。東京都心は、あさって9日(火)以降の最高気温は晴れても12℃前後の予想です。空気の乾燥が続き、風が強いと火が回りやすくなりますので、より一層、火の取り扱いにご注意ください。

駐車場に入ろうとして対向車と衝突…未明の国道で車を飲酒運転した現行犯で40歳男を逮捕 相手の車の2人がケガ

7日未明、岐阜県各務原市の国道で酒を飲んで車を運転し事故を起こした40歳の男が現行犯逮捕されました。 逮捕されたのは各務原市鵜沼各務原町の会社員・久保田康治容疑者(40)で、7日午前1時半ごろ、各務原市鵜沼川崎町の国道21号を酒を飲んで車を運転した道路交通法違反の現行犯で逮捕されました。 久保田容疑者は飲食店の駐車場に右折して入ろうとした際に、対向車線を直進してきた車と衝突する事故を起こし、事件が発覚しました。 この事故で対向車線を走っていた車を運転していた男性(32)と助手席にいた妻(30)が首に軽いケガをしました。 久保田容疑者は調べに対して容疑を認めていて、警察は詳しい経緯を調べています。

女性職員にキス、酩酊しておさわり…“セクハラ辞職”が相次ぐ知事や市長、コンプラ意識が浸透せずか

12月4日、福井県の杉本達治知事の辞職が県議会で承認された。杉本知事は、複数の県職員にセクハラにあたる不適切なメールを送っていた問題が取り沙汰され、3日に県議会に辞職願を提出していた。
口止めするなど悪質なケースも
「杉本知事は東京大学を卒業後、自治省(現・総務省)へ入省。地方自治の世界を渡り歩き、福井県副知事を経て2019年の知事選で当選。23年4月に再選を重ね2期目の途中でした。今年4月に県職員に不適切なメールを送りセクハラの通報を受け、年明けに第三者による調査報告書が公表される予定でした。杉本知事としては、メールは軽い気持ちで書いたつもりだったものの、セクハラとの認識に至ったとして自ら辞職を決めました」(全国紙政治部記者、以下同)
セクハラ問題が取り沙汰されて辞任に至るケースは杉本知事ばかりではない。
「12月2日には佐賀県有田町の松尾佳昭町長が辞職を表明しています。同日、記者会見で松尾町長が語ったところによれば、9月中旬に企業誘致の話が進んでいた愛知県のメーカーを訪問し、企業側の接待を受けました。そこで、2次会の場で接客した店の女性従業員の体を触ったといわれています。当時は酩酊状態だったと話しています」
酒を飲んでいたとしても、セクハラ行為の言い訳にはならないだろう。
沖縄県南城市の古謝景春前市長のケースはさらに悪質だ。
「古謝前市長は2024年11月に公用車の運転手だった女性への強制わいせつ容疑で書類送検されるも嫌疑不十分で不起訴となります。しかし複数のセクハラ行為が取り沙汰されており、2025年5月に市が設置した第三者委員会の報告書では、複数の女性職員へのキスや体を触るセクハラ行為が認定されました。市議会は市長の不信任決議案を可決し、市長は市議会を解散。市議選の結果、不信任案に賛成する議員の当選が多数となりました。市長は議決前に辞職届を提出しましたが、市議会側は受理を拒否し、不信任案が可決されて11月17日に失職しています」
地方自治体の首長によるセクハラ事案が相次ぐ形となったが、その理由を政治ジャーナリストが指摘する。
「一部の地方には昔ながらの守旧的な空気が残っていて、コンプライアンス意識が更新されていないようにも見えます。南城市の古謝前市長に関しては女性職員に“口止め”を求めるような音声も報じられました。さらに、福井の杉本知事のケースに顕著ですが、悪意や故意がなくともセクハラを働いてしまうケースはあります。ハラスメント防止のために自らの意識を高めるのはもちろん、場合によっては専門家による研修を受ける必要もあるでしょう」
はからずも全国各地で頻出する首長たちのセクハラ問題は、“氷山の一角”でないことを願うばかりだ。

冷蔵庫に赤ちゃんの遺体、東京 風俗店、遺棄と損壊疑い

6日午後9時ごろ、東京都墨田区江東橋4丁目の雑居ビル内の風俗店で、男性従業員から「店の冷蔵庫を清掃していたら子どもの頭のようなものを見つけた」と110番があった。警視庁によると、赤ちゃんのものとみられる頭部に加え、鑑識活動により、両手足を発見した。同庁は死体遺棄と死体損壊の疑いで捜査する。
生後数カ月~1年未満とみられ、性別は不明。現場は事務所兼待機部屋で、切断遺体は冷蔵庫の冷凍庫部分にあった。頭はポリ袋に包まれていた。両手足は、その下にあった、別のポリ袋に包まれた食品保存容器の中で発見された。胴体部分は見つかっていない。
現場はJR錦糸町駅近くの繁華街。付近には規制線が張られ、60代の会社員の男性は「こんなに警察が集まったことはない」と驚いた様子で話した。

「不毛すぎる」「なぜこんなに不記載が…」片山さつき財務大臣の政治資金“不記載”に厳しい指摘相次ぐ

片山さつき財務大臣が代表を務める政党支部で、計50万円以上を政治資金収支報告書に記載していなかったことが「週刊文春」の取材で明らかになった。
自民党の各政党支部や関連団体との寄附において、片山氏側に支出や収入の記載がないケースが散見される。2022年の「静岡県運輸政策協議会」「東京商工連盟」からの収入各10万円などが代表例で、少なくとも総額57万円が不記載だった。
専門家「違法の疑い強い」
政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は「政治資金規正法の趣旨である透明性確保の観点から逸脱し、違法の疑いが強い」と指摘した。
特に収入の不記載について「”裏金”となっている恐れがある。片山氏の政治資金に対する認識はずさんと言わざるを得ず、財務大臣としての資質が問われる」と厳しく評価した。
「なぜこんなに不記載が多いのか?」
Yahoo!ニュースのコメント欄では厳しい意見が相次いでいる。
「税金、補助金の無駄遣いを止める事も大事だが、自分たち自民党の襟を正すことも大事。次から次に、なぜこんなに不記載が多いのか?」
「本当になんとかして欲しい。不記載問題は不毛すぎる」
「裏金議員は許されるものではありません。後に裏金と分かった場合は、後日であれすべての党のすべての議員が責任を取るべきです」
また、内閣全体への影響を懸念する声もある。「政治とカネの問題はこの内閣で決着を付けなければならない。この問題がある限り政治的に不信感は残り、他の案件に影響を及ぼすことになる」との指摘も寄せられた。
片山事務所は「週刊文春」の取材に対し、「ご指摘のありました点につきましては、適切に処理させていただきます」と書面で回答している。

配信中の「 週刊文春 電子版 」および12月4日(木)発売の「週刊文春」では、大臣規範抵触が疑われる大規模政治資金パーティ、事務所家賃をめぐる不記載疑惑のほか、麻生太郎氏が怒りの官邸突撃を敢行した舞台裏など「高市“引きこもり宰相”の急所」として高市政権の現状を徹底取材、詳報している。
(「文春オンライン」編集部)

「どうせ今度もダメだろうな…」日本の政治家に抱いた淡い期待と寂しさ。拉致被害者・曽我ひとみさんが帰国23年で語った胸中【全5回連載④】

政府は、拉致問題など北朝鮮による人権侵害問題についての関心と認識を深めるため、毎年12月10日からの1週間を「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」と定めている。
この「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」を前に、福岡市で「拉致問題を忘れないで~今伝えたいこと~」と題した講演会が開かれた。
登壇したのは初めての福岡訪問となった拉致被害者の曽我ひとみさん(66)。

1978年8月に母・ミヨシさんとともに拉致され、24年間を北朝鮮で過ごした。

2002年に帰国したものの、母とは拉致された日から47年もの間、会うことが叶っていない。
帰国から満23年。

曽我さんは全国を回り、拉致問題の風化を防ぐために声を上げ続けている。
※全6回連載その④
2002年9月17日 騙され続けた末の希望
2002年9月17日、日本から総理大臣がやってきた。

しかしこの時点では、曽我さんはいつものニュースとしか受け取っていなかった。
それから程なくして、組織の幹部らしい人が訪ねてきた。

「近いうちに日本の調査団が来る。色々と聞かれると思うから、何を聞かれてもいいよう準備しておくように」というのだ。
曽我ひとみさん

「私はとてもびっくりしたのと同時に、『やっとこの日が来たのか』という期待と嬉しさが入り混じった気持ちになりました。けれども実際に面会の日が訪れるまでは、『また騙されるのではないか』という思いも頭の中にありました」
なぜか。
拉致されてからずっと北朝鮮という国に騙され続けていたからだ。

日本という国は私1人など助けてはくれないんだろうという絶望の中で24年間生きてきたからだ。
組織に騙され続けたというのは、拉致されてすぐの頃は「母親は日本で元気にしている。朝鮮語を勉強して上達したら日本に帰してやる」と言われたこと。

朝鮮語ができるようになると「結婚して家庭を持てば里帰りさせてやる」と言われたこと。

結婚してからは「子供が生まれたら親に会うため帰してやる」と、次々と騙され続けてきたことが原因だ。
淡い期待の一方で「どうせ今度もダメだろうな」
また、日本に失望したというのは、24年の間に何度も日本の政治家が北朝鮮を訪問したにも関わらず、拉致被害者の誰1人として助け出してくれなかったことだ。
曽我ひとみさん

「『日本の政府の誰でもいい、私たち日本人が無理やり連れて来られてここで生きていることを知ってほしい。そして助けてほしい』と、ニュース番組で日本の政治家が来たことが流れるたび、淡い期待を抱いたものでした。その反面、『どうせ今度もダメだろうな』と寂しさを感じたのも事実です」
これだけ期待を裏切られ続けてしまうと、誰も信用できなくなってしまう。

唯一信用できるのは自分の家族だけだった。
しかし、時間は動いた。
今、こうしていられるのも、当時の政府関係者、関係機関の皆様の並々ならぬご尽力のおかげだと曽我さんは感謝している。
ただ、まだ帰国できずにいる拉致被害者の気持ちを考えるといらだちを覚えている。
朝早くから夜遅くまで…身を粉にして働き通した姿 母・ミヨシさんの記憶
曽我さんと一緒に拉致された母・曽我ミヨシさんがどうなっているのか、未だに事実は判明していない。

北朝鮮側はミヨシさんを拉致したことすら認めていない。

日本に生活していれば、まだまだ元気で畑仕事などをしていたかもしれないと曽我さんは想像している。
母を思い出す時、母を語る時、曽我さんの脳裏にはいつも同じ姿が浮かんでいる。

朝早くから夜遅くまで、本当に身を粉にして働き通した姿だ。
当時は田んぼも耕作していたので、朝仕事をした後、子供たちに食事を食べさせ、学校へ送り出し、母も慌ただしく朝食をとると工場へ出勤していった。

仕事を終え家に帰ってから食事の支度、片付け、一休みする間もなく、内職をする。

これが毎日の生活パターンとなっていた。
なぜ母がこのように昼夜なく働くことになったのかというと、父がバイク事故の後遺症で働けなくなったからだ。

家は貧しく、母が朝から深夜まで働いても、家計が楽になることはなかった。
曽我ひとみさん

「そんな生活状態でも、母は決して愚痴などこぼしたことがありませんでした。それどころか、私たちには、いつも明るくふるまい、少々悪いことをしても、怒ることもありませんでした。自分のことは、いつも後回しで、一番に子供のことを考えてくれる。とても優しく愛情をいっぱい注いでくれる、そんな母でした」
遠足の時、奮発していろんなおかずを作ってお弁当を持たせてくれた。

曽我さんは今までにない豪勢な弁当にただただ喜ぶだけだった。

だけど、母の弁当のおかずは、すごく辛い漬物が少し入っていただけだった。

「どうして母ちゃんは漬物だけなの?」と聞けば「おかずが辛いからご飯がいっぱい食べられるからだよ」というのだ。

母もいろんなおかずが食べたかっただろうに、我慢していたんだなと。

今なら母の気持ちがよく理解できる。
両手で数えるくらいしか残っていない母の写真
ある年の夏、盆踊りに行くことになった。

友達はみんな浴衣を着ていくというので、羨ましいと思う気持ちと仲間外れになりたくないという気持ちが同時に湧いてきた。

母の都合など考えもせず、「盆踊りに友達はみんな浴衣で行くって言うから、私も浴衣着たい。祭りの日までに浴衣を縫って」とわがままを言った。

母が和服の裁縫が得意だったのを知っていたからだ。
それなのに文句も言わず、母は夜なべをして浴衣を縫ってくれた。

出来上がった浴衣を見て喜ぶ曽我さんには、その時の母の気持ちを考えることなどなかった。
曽我ひとみさん

「今思い出しても、本当に母には無理ばかりさせたなと反省と感謝の気持ちでいっぱいです」
あの頃の母は毎日どんな気持ちでいたんだろうと思うことがある。

生活に追われ働き詰めの毎日で、おしゃれの一つもできなかった。

集落の付き合いや職場の付き合いなどもあっただろうに、数えるくらいしか出かけることもなかったと言っていた。
そのせいばかりではないだろうが、曽我さんの知る限りでは母の写真は両手で数えるくらいしか残っていない。
曽我ひとみさんの講演は全5回の連載です。「どうせ今度もダメだろうな…」日本の政治家に抱いた淡い期待と寂しさ。拉致被害者・曽我ひとみさんが帰国23年で語った胸中【全5回連載④】

日本語どころか母国語の読み書きがおぼつかない…専門家が指摘「技能実習生が大量に失踪する本当の理由」

2025年夏の参院選以来、外国人問題が政治の主要な関心事になっている。
日本政府は公式見解で「いわゆる移民政策をとる考えはない」(岸田元首相)としているが、実態としては外国人が種々の在留資格を得て日本経済を支える貴重な労働力となっている。
その中でも、建設業や食品製造、機械・金属など91職種168作業に従事する技能実習生は、2025年6月末時点で約45万人存在する(出入国在留管理庁調べ)。
約45万人の技能実習生のうち、毎年5000人から1万人ほど「失踪」しているのが日本の現実だ。
また失踪した技能実習生のうち、「最終的にどこにいるか分からない」外国人も相当数いるという問題もある。
例えば、2024年の失踪者6510人のうち、2025年5月時点で所在不明の失踪者数は2951人と約45%。2023年の9753人に対しても、約31%の2983人と、その数は多い。
出入国在留管理庁の担当者も筆者の取材に対し「現在も所在不明の外国人は一定数存在する。入管としては、入管法24条の退去強制事由に該当すれば退去強制手続きを進める」と答えている。
なぜ技能実習生において、これほど多くの失踪者が出てしまうのだろうか。そして、彼らは失踪した後、どこに行っているのだろうか。
神戸大学大学院の斉藤善久准教授は、「神戸移民連絡会」という団体を立ち上げ、トラブルに巻き込まれたベトナム人技能実習生の世話係を自ら務め、数万件の相談に乗ってきた。
そもそも、技能実習生の割合として一番多いのがベトナム人で、2020~2024年にかけての失踪者数もトップである。斉藤氏は2014年から約1年間、現地ベトナムの日本語学校の教師として潜入し、ベトナムの若者を技能実習生として日本に送り込む現地の送り出し機関の実情を調査した経験もある。
人材を送出する側のベトナムの事情も、技能実習生として彼らを受け入れる日本側のロジックも熟知している人物だ。
斉藤氏はベトナム人実習生が失踪する理由を、①実習生と受け入れ企業のミスマッチ、②日本の労働市場の魅力低下、③不法就労者を受け入れるコミュニティの存在の3つにあると分析する。
人材ビジネスが何層にも介在する技能実習制度の現場では、受け入れ企業も技能実習生も「聞いていた話と違う」となるほどの深刻なミスマッチが発生しやすい、と斉藤氏は指摘する。
「現地の送り出し機関が、日本の零細企業とベトナム人双方に『条件を盛る』場合がある。例えば、日本の農業法人に『まじめで元気で日本語がわかるベトナム人を雇えます。機械化するより、よっぽど経済効率が良いですよ』と売り込む。ベトナム人には『残業で稼げて安全な職場環境で、宿舎には1人1部屋が用意されている』と伝える」
しかし……
「いざ雇用主が実習生に会ってみると、タトゥーが入っていて怠け癖があり、日本語も全く話せない。ベトナム人からしてみても、その農業法人が時給制でそもそも仕事があまりなく、稼げない。社長はパワハラ気味だし、部屋も集団生活、という状況が生まれている」(斉藤氏)
こうしたミスマッチが実習生・企業双方の不満を高まらせ、最終的には失踪してしまう実習生を増やす要因になっていると考えられる。
本来、このような事態が発生しないように事前にチェックするのが日本の監理団体の役割だが、同氏によると監理団体も玉石混交で、むしろ悪質な送り出し機関と共謀して、問題を見てみぬふりするケースもあるという。
また、日本の労働市場としての魅力が低下している点も、失踪の遠因になっているようだ。
「オーストラリアや韓国といった国々に、日本は報酬で完敗している。したがって、市場原理で、来日の経費も相対的に安い。また、他国では就業前に現地語の試験を受ける必要があるが、(技能実習生の場合、介護職種を除き)日本では不要。要は、誰でも簡単に実習生になれるということだ。日本の労働市場は現地から『安い・早い』という、牛丼チェーン並みの見られ方で、レベルの高い人材は他国に流れている。最近は、日本には失踪する価値すらないと見られ、早々に帰国するケースも増えている」
「それでもまだ日本を選んでくれるベトナム人は多いが、全体として、広い意味でのレベルが落ちている。少数民族など、ベトナム語の読み書きすらおぼつかない人も増えてきた。中には『自分が技能実習生であること』を知らない人もいて、ベトナム語の対応が可能なこちらも苦労するほど。もっとも、そのような人材だからこそ、いまだに日本を選んでくれている、という側面もある。必然的に、職場や宿舎で、上司や他の技能実習生とのトラブルも増え、話し合いもできず飛び出してしまうケースがあとを絶たない」(斉藤氏)
気になるのは、失踪者の行方である。先に紹介した通り、2024年の失踪者6510人のうち、2951人がどこにいるか分かっていない。
斉藤氏は「ベトナム人の先輩的存在のコミュニティに転がり込んでいる」可能性を指摘する。
「失踪の際の最初のハードルは、住む場所。日本ではただでさえ外国人が家を借りることが難しいが、失踪中の技能実習生にとっては無理同然。(彼らにとって)確実な方法は、知り合いのアパートやブローカーが提供する住居に転がり込むというものだ」
「ベトナム人の不法就労コミュニティとして多いのは、関東では群馬県や茨城県、栃木県など。関西では兵庫県姫路市といったエリアだ。仕事は解体業や農業が多い。また、派遣会社に登録し、化粧品会社や自動車会社の工場で働く人たちも存在する」
「彼らは偽造の在留カードを提出し、複数の派遣会社に登録することでリスクヘッジをしている場合もある。摘発されるまでの期間、可能な限り稼ごう、という狙いだ」(斉藤氏)
斉藤氏は、最近のベトナム人技能実習生のレベルが低下していることを指摘した。この背景に、「元技能実習生のリクルーター化」という事情が関係していると説明する。
同氏が説明するのは以下のような事情だ。高校卒業後の若い時期を日本での技能実習に費やした元技能実習生は、若さを失い、母国で使えるスキルは身に付かず、日本語もあまりできず、金銭感覚も狂っているので、帰国後に仕事を見つけることは難しい。
職にあぶれた元実習生の多くが、「新たな技能実習生」を募集する、現地のブローカーになっている。ブローカーになった彼らは、人材獲得市場を広げるべく、都市部から農村に裾野を広げる。そこでさらに情報リテラシーの低い「人材」を見つけ、送り出し機関に紹介。手数料を稼ぎ、彼らを日本に送っている、と斉藤氏は分析する。
そもそも、ブローカーと送り出し機関は技能実習生からどれくらいの手数料を受け取っているのだろうか。出入国在留管理庁は、実習生は平均約52万円の手数料を現地の送り出し機関に支払い、来日している、との調査結果を公表している。送り出し機関以外の仲介者には平均33万円ほどだとする。
だがこの数字も、斉藤氏は「本当のところは分からない」という。正直に申告したところで不当に支払わされた金額が戻る可能性は小さい一方、報復などのリスクが大きいからだ。
「失踪」問題をはじめ、技能実習制度には批判が根強い。政府は技能実習制度を廃止し、2027年から育成就労制度という新たな枠組みを用意する方針だ。
育成就労制度は、日本語能力試験N5レベル(日本語初心者レベル)以上または相当の講習の受講、というふうに日本語能力を求めたり、就労期間1~2年後の転籍を認めることを検討したりと、技能実習制度の問題点を一応は改善しようと試みているように見える。
しかし斉藤氏は育成就労制度に移行しても、根本的な問題は解決していないとする。
「技能実習制度は『開発途上国の人づくり』を建前にしているが、実際の目的は日本人が働きたがらない業界・企業に、国際貢献の名のもとで、転職の自由を制限され辞められない外国人を入れて、なんとか維持させていくおためごかしの『延命措置』だ。技能実習制度の問題を流石に隠しきれなくなってきたから、今度は育成就労制度にし、開き直って、『人手不足分野における人材確保』を目的にする、と正直に言い始めた」
「ところが、育成就労制度においてもN5レベルの日本語能力が来日前に必要、という条件を緩和し、入国後に日本語講習を受講すればOKという形になる予定だ。『N5を取らなくてもよい』とすると、N5をそもそも取る気がない人たちが入ってくることを意味する。今のところ、日本社会と日本人に、日本語ができない人たちを大量に受け入れる能力はない。トラブルが増えることが目に見えている」
「技能実習も育成就労制度も、構造は同じだ。『人材育成』を口実に転職の自由を制限する。日本人が働きたがらない業界・企業に外国人を押し込み、聞いていた話と違っても辞められない。日本語もできないから文句も言ってこない。家族も物価の安い途上国に残しているから、自分1人食わせればなんとかなる。働くのもせいぜい数年で、国家は老後も、子供の教育の面倒も見なくてすむ。これが『搾取』でなくて、なんと呼べばいいのか」(斉藤氏)
これまで正面から論じられてこなかった技能実習生の失踪問題。育成就労制度においては、美辞麗句に逃げず、正確な現状認識と実効性の高い対応が求められている。
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(神戸大学大学院国際協力研究科 准教授 斉藤 善久、フリーランスジャーナリスト 湯浅 大輝)

158kgのヒグマに襲われ、全身140針を縫う大けがを負った男性が語る一部始終「最初はクルマにはねられたと…」

クマ被害が過去最悪を記録し、死者13人・負傷者197人という異常事態に陥っている今年。どんぐり不作や人馴れの進行、冬眠しない個体の増加により、市街地での遭遇リスクはかつてないほど高まっている。とくに興奮状態のアーバンベアは警戒心が弱く、人を見つけるや否や襲いかかる危険性がある。そんな“今そこにある脅威”を体験した被害者が、突然の襲撃とその後の壮絶な現実を語った。

◆「気づいたときには抵抗のしようもなかった」

「最初はクルマにはねられたと思い、次に犬かな?と思ったのですが……気づいたときには抵抗のしようもなかった」

そう語るのは、’21年6月に連続して4人が襲われた札幌市東区ヒグマ襲撃事件の被害者の一人、安藤伸一郎さんだ。出勤中に158kgの雄のヒグマに背後から襲われ、全身140針を縫う大けがを負った。

「押し倒され、背後を確認したら目の前にクマの口が迫っていてとっさに顔をガードしたんです。その腕をまれながら体を丸めて耐えました」

◆一命を取り留めたものの…

幸運にも巡回中のパトカーが駆けつけたことで、ヒグマは逃走。安藤さんは、すぐさま救急搬送された。

「最初の体当たりで肋骨が6本折れて、肺に穴が開く肺気胸になり、腕と背中の傷は神経が見えるほど深いものでした。6か月の入院とリハビリを経て退院しましたが、膝と肋骨の痛みが消えずに、今も通院しながら痛み止めの薬と電気治療をしないと歩くのもままならない」

◆クマ被害の治療費は100万円以上

その後復職したが、後遺症の影響で出勤日数が減り、収入も減ってしまったという。

「100万円以上の治療費がかかっていますが、公的な支援は受けられませんでした。障害者手帳の交付を求めても、一番軽度の7級しか認められなかった。クマ被害に遭ったら、すべて自腹という現実は何とかしてほしい」

そんな安藤さんは今でもクマに怯えながら過ごしている。

「外出時は行政のSNSなどでクマ出没の情報を必ず確認します。そのうえで、クマが近づかない明るくて人通りの多い道を通る。クマ被害の教訓から、万が一目撃したら電柱や柵などの障害物に身を隠すことを念頭に入れています。ただ、襲われてしまったら打つ手はない。誰にも制止できませんから……クルマで突っ込んできてくれ!と助けを呼ぶほかないでしょう……」

体験者のみが知る身の守り方を胸に刻みたい。

◆クマから身を守るための姿勢

①両手・両腕で頭を包み込むようにガード

②背中の防御力は前面の7倍とされる

③両ヒザで脇腹をガード

※週刊SPA!12/9号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[クマvs人間]ガチンコ撃退術]―

「女性総理」で高市早苗に先を越され…野田聖子は対抗心メラメラ

【永田町番外地】#55
自民内に“オンナ石破茂”と陰口される政治家がいる。かつて初の女性首相誕生が期待されていた野田聖子元総務相のことだ。
野田の言動が、高市自維連立政権のやることなすことにイヤミったらしく絡んでくる近頃の石破前首相の振る舞いに重なって見えるからだろう。公明党の連立離脱表明直後に、野田が「自民党のトップみたいな人たちは(公明党に対して)アンチな発言が多かった。言った方は忘れるが、言われた人は一生忘れない」と語ったのは周知のとおり。名指しこそ避けたものの、高市へのあてこすりであることは明らかだった。
つい最近も高市が党首討論で「政治とカネ」問題をしつこくただされ、「そんなことより定数の削減をやりましょう」と逆切れした際には、野田は周辺に「政権の危機につながりかねない」との懸念を示したそうだ。
野田のこうした言動は、女性初の冠レースで先を越された腹いせとも思えるが、ある自民党ベテラン職員はこんな物騒なことを口にする。
「いずれ野田が石破と組み、野党を巻き込んで高市潰しに走るかもしれません。“野田の乱”が起きるとすれば、高市が“こども家庭庁”を潰しにかかった時でしょう。反高市陣営の橋頭堡となるのはこども家庭庁設置の法案成立を強力に後押しした超党派の“ママパパ議連”。野田が会長です」
こども家庭庁の設置は菅政権から岸田政権に引き継がれ23年4月に発足した。この時、野田は閣内にいて少子化対策・女性活躍担当、こども政策担当の内閣府特命大臣を務めた。いわば、こども家庭庁の“生みの親”である。一方、野田とのオンナの闘いを制した高市は「看板だけ立派で中身のない行政になることへの懸念からこども家庭庁の設置には当初から懐疑的だった」(全国紙デスク)という。実際、高市は組閣人事でこども家庭庁を内閣府の12を数える特命担当大臣の兼務として冷遇。併せて石破前内閣時に前年度から約960億円を積み増した総額7兆4000億円の概算要求の大幅減額を強いる構えだ。
「高市首相は将来的には廃止も視野に入れています。年間7兆円の予算が浮けばガソリン税の暫定税率廃止や自動車取得税、178万円の年収の壁など国民負担の軽減に使えますからね」(首相周辺)
当然ながら、野田はこれに反発。11月27日に行われた“ママパパ議連”の会合で野田は「こども家庭庁が子どもを増やしていないというのは思慮が足りない」と言い放った。議連は総勢84人。幹部の顔ぶれは、野田会長の下、副会長には蓮舫がいて、国民民主の伊藤孝恵が事務局長を務める。蓮舫はもちろん、伊藤は国民民主の連立入りに待ったをかけた反高市派の急先鋒として知られる。さながら高市おろしの決起集会の様相だった。=文中敬称略 (特命記者X)

「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】

安倍晋三元首相が2022年に奈良市で演説中に撃たれ死亡した事件。殺人罪などに問われている山上徹也被告(45)の公判が、奈良地裁で行われている。10月下旬から毎週のように続いていた公判だが、12月4日で被告人質問、証人尋問が終了。12月18日に被告人の最終陳述等を行い、1月21日に判決が言い渡される予定となっている。
山上被告ら弁護側は法廷で「母親が旧統一教会にのめりこみ、多額の借金をして家庭が崩壊した」「教団とつながりがあると思った安倍氏を狙った」などと主張。行われた被告人質問では、山上被告の過酷な生い立ちや、当時のリアルな経済状況などが明らかになった。【前後編の前編】
友人に「統一教会のことは言えず」
声はぼそぼそとしながらも、淡々と質問に答え続けた山上被告。学生時代から振り返った被告人の生い立ちは、供述を要約すると以下のようになる。
被告人の学生時代、旧統一教会に対する母親の多額の献金等により、家族内では不和が続いていた。父代わりの祖父と兄は母親を叱責する一方で、被告人は時に母をサポートするなど家庭内のバランスを保つような役割を担っており、親を頼る、信頼するという経験をしないまま育っていったという。
高校は奈良県の進学校に通った山上被告。応援団に所属したり、女性との交際期間があったりと、一見すると安定した学生生活を送っていた。友人に家庭の不和を相談することもあったが、それが宗教絡みである点などには触れられなかったという。
周囲が大学受験の勉強を進める中、家計状況から選択肢は狭くならざるを得ず、最終的に合格した大学はあったものの進学を選択することはなかったという。
その後、叔父の助けや、旧統一教会からの献金の一部返金を受けたことで、複数の資格を取得することはできた。しかし当然、多感な時期に行動を制限されたことに変わりはなく、精神鑑定医の聞き取りに対しては以下のように述べたと明かされた。
〈必要なときに(お金が)なかった、その後にまとまって来ても今さらどうなるものではない。周囲の同級生は子ができ、家のローンを組むなどしている。こちらは(実家が)破産しているので(それが)できなかった〉
30歳から5年間、毎月13万円を受け取り
山上被告の金銭状況の”リアル”はどのようなものだったのか。
母親は合計で総額約1億円ほどを献金したが、2002年に破産してから親族が統一教会側と協議し、2005年から返金されていたことが検察によって示されている。裁判を傍聴したライターの普通氏が語る。