総務省消防庁は11月25日、2024年の都道府県別の火災発生・被害状況を発表した。元日の能登半島地震で大規模火災が発生した石川県は、「建物焼損床面積」が前年の3・9倍に激増した。一方、富山県は、人口1万人あたりの出火件数(出火率)が34年連続で全国最少となり、「防火先進県」の地位を守った。【竹中拓実】
消防庁のまとめでは、富山の1年間の出火件数は192件で、出火率は1・88。前年より悪化したが、全国平均2・97を大きく下回った。死者は前年より3人少ない18人だった。
石川は焼損床面積3・9倍に激増
石川は245件で前年より23件少なく、出火率も前年を下回る2・21。ただ、建物焼損床面積は4万2590平方メートルで、前年より4倍近く増えた。最終的に約2万9300平方メートルが焼損した「輪島朝市」火災など、地震発生時の火災の影響が甚大だった。死者も前年の20人から32人に増えた。
福井県は出火件数が前年より15件少ない174件で、出火率は2・11。死者は前年より5人少ない10人。建物焼損床面積は、前年は1万7335平方メートルと3県で一番大きかったが、24年は4621平方メートルと4分の1程度に抑えられ、3県で一番少なかった。
富山の「防火体制」はなぜ全国でも際立っているのか。
明治時代には富山でも大火が相次いだ。富山市は大正時代にアメリカ・ラフランス社の最新鋭消防車を導入。「ラフランス(洋梨)」が「用無し(出動機会なし)」につながるという語呂合わせもあって、「らふらんす」が消防車を指す方言として親しまれた歴史を持つ。
1991年以後、出火率の低さで全国トップを守ってきたことについて、富山県消防課は二つの要因を挙げる。一つは、持ち家率が高いため、賃貸物件への入居率が高い他県より防火意識が高いこと。もう一つは、防火・防災知識を学ぶ「少年消防クラブ」の入団率が高いことがあると分析する。同課の担当者は「子供時代からの活動の影響が大きいのではないか」と話す。
また、富山は24年、47都道府県で唯一、林野の焼失面積がゼロだった。石川は41アール、福井も126アールで、気象条件が似ている新潟県(718アール)と比べても北陸3県の少なさが目立った。
岩手県では今年2月、歴史的な大規模山林火災が発生。温暖化の影響とも考えられる山林火災の多発は世界的に問題となっている。
消防庁は今年、市町村長による「林野火災注意報」発令制度を導入した。気象条件が悪化した際のたき火や喫煙の抑制効果が期待され、同庁は8月、発令の根拠となる条例の改正案を全国の自治体に通知し、導入を促す。
だが、山林火災が多発する春先までに施行が間に合うのか、同庁や北陸3県も自治体の導入の動きを把握しきれていない。富山県の担当者は「各市町村が準備しているはず。ドローンのスピーカーによる入山者への注意喚起などを始めた自治体もある」としている。
輪島朝市火災の教訓、周知進まず
石川県輪島市の朝市火災では、地震で屋内の電気配線が傷つき、ショートして出火した可能性が指摘された。同県はこれを教訓に、震動を感知して通電を遮断する「感震ブレーカー」の設置を進める補助制度を導入した。ただ、周知が進まず、確保した予算を持て余しかねない情勢だ。
県は2025年5月、地震被害想定を改定し、感震ブレーカーの設置が進めば地震火災による死者と全焼棟数を6割低減できると試算した。
7月から、購入・設置費用の2分の1を補助する制度を開始。分電盤に設置するタイプは最大3万円、簡易タイプは同3000円を支給し、町内会単位での利用も勧めていた。
計上した予算は、約1万4000件分の1億円。だが、約5カ月たった11月21日時点で72件の申請にとどまっている。
馳浩知事が記者会見で利用を広く呼び掛けているほか、県もホームページや広報誌、防災イベントなどで制度をアピールしている。
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「こんな支払いを認めれば、際限なく買収される」林芳正氏の“公選法違反疑惑”が「きわめて悪質」「捜査を尽くすべき」と断言されてしまうワケ
「手口からして、捜査機関が手を尽くせば大規模な買収事件が明るみに出る可能性がある」
そう語るのは、政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授だ。
◆◆◆
運動員買収や選挙収支虚偽記入などの疑惑が噴出
昨年の衆院選を巡って林芳正総務相(64)に浮上した運動員買収や選挙収支虚偽記入などの疑惑。「週刊文春」が 11月13日号 と 20日号 で連続で報じた。
「ポスター維持管理費」という名目で陣営から金銭を受け取った地元議員や住民が、実際には「維持管理」はしておらず、「選挙カーから手を振った」「遊説で頭を下げた」「電話作戦をした」などと次々に証言。
自発的かつ無報酬が大原則の選挙運動において、例外的に「労務費」として報酬の支払いが認められる“単純な機械的労務”ではなく、選挙運動をして金を貰っていた――つまり“買収”の疑いが強い事例が、取材に応じた人だけでも12件にも上ったのだ。
「その後、中国新聞も林氏陣営の“ポスター維持管理費”の実態を報道。15日には朝日新聞が、収支報告上は金を受け取ったとされる地元有権者の少なくとも6人が『労務もしていないし金も貰っていない』と証言したとして、実態のない金が選挙収支に含まれている疑惑を社会面トップで報じました」(政治部デスク)
林氏は「ポスター貼付や毀損した場合の貼り替えなどの機械的労務」「公職選挙法上問題のない支出」との弁明を繰り返しているが、証言との食い違いについて説明がない。
「類例のない大規模な買収事件の可能性がある」
小誌の報道当初から本件に関心を持ってきたというのが、冒頭の上脇氏。自民党の裏金告発などを手掛けた政治とカネの専門家だ。
そんな上脇氏が今回、本件について近く「刑事告発をする」と語ったのだ。
「公職選挙法違反罪で告発状を作成しています。捜査機関による実態解明が強く望まれる事案です」(同前)
上脇氏が続ける。
「公示日のポスター貼りに対しての『労務費』支出なら時折あります。ただ、貼ったポスターの“維持管理”という名目での支払いは見たことがない。文春の取材に『(候補者の)応援活動に報酬を払ってはいけないので、労務費として計上している』と漏らした市議もおり、ひょっとすると“維持管理費”の支払いは、ほとんどが選挙運動への対価だったかもしれないわけです」
“維持管理費”は100人以上が受け取った。「類例のない大規模な買収事件の可能性」(同前)があるのだ。
「こんな支払いが認められるのなら…」
上脇氏はこうも指摘する。
「区割りの変更で票の開拓が必要な地域もあったことで、金を配る動機につながった可能性もある。公示日のポスター貼りだけだと数千円しか払えない場合でも、“ポスター維持管理”を一緒に頼めばさらに数日分お金が支払えてしまう。表書き『労務費』という名のもとで、事実上の買収が出来るわけです」
実際、前回選挙から新しく林氏の選挙区に編入された長門市などでは、「名目を知らされず(重廣正美市議)」「初めて“維持管理費”を受け取った(田村大治郎市議)」などと、危うい証言が小誌や中国新聞の取材に続出している。
「こんな支払いが認められるのなら、『毎日ポスターを管理した』とさえ言えば、何万円も、何百人にだって金銭を払えてしまう。公選法を管轄する総務大臣自ら、選挙でのカネ配りがまるで違法でないように装う手法を提示しているようなもので、きわめて悪質です」(上脇氏)
林氏の選挙区は山口3区。告発は近隣で「特別刑事部」のある広島地検に行うことを検討中だという。受理されれば、ついに刑事捜査が始まることになる。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年11月27日号)
台湾有事で「10万人の日本人」が人質に…日本の経営者が理解していない中国版「有事法制」の恐ろしい実態
※本稿は、平井宏治『日本消滅』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
2013年に第7代国家主席に就任した習近平はさらなる経済成長と国力増強に取り掛かり、2015年、李克強国務院総理の名の下に産業政策「中国製造2025」を発表した。
2025年までに中国国内の工業の製造能力を高め、中国の製造業を労働集約型から技術集約型に変え、中国を付加価値の高い製造業強国に発展させることを目的とする産業政策である。
「中国製造2025」は、中華人民共和国建国100年にあたる2049年までに、①半導体など次世代情報通信技術、②高機能NC工作機械とロボット、③航空宇宙設備、④海洋エンジニアリング設備とハイテク船舶、⑤先端的鉄道交通設備、⑥省エネルギー・新エネルギー自動車、⑦電力設備、⑧農業用機材、⑨新素材、⑩バイオ医薬と高性能医療機器、の10の分野で世界のトップとなることを目標としている。つまり、アメリカを追い抜くということだ。
そして、「中国製造2025」と並行して、同時期、中国における産業発展は何のためにあるのかということが明解に打ち出された政策がある。2017年の中央軍民融合発展委員会第1回会議において大々的に宣言された「軍民融合政策」だ。
軍民融合政策とは、軍事分野と民間分野の連携を強化して互いに資源や技術を共有することによって安全保障の確保と経済発展を同時に進めようとする政策であり、現在の中国の国家政策の根幹には常にこれがある。
軍民融合の方針の下では、民間資源はすぐに軍事利用できる状態におかれる。技術はまず軍事のためにあるべきで、それが民間に転用され研究投資を回収する状態が望ましいと考えるのが、現在の中国の産業政策の常識である。習近平が軍民融合をどれだけ重要視しているか、それは、中央軍民融合発展委員会の主任を自ら務めていることからも明らかだ。
「軍民融合政策」が明確に打ち出された背景には、現代の先端技術ならではの特徴がある。前時代の機械的技術には、ある程度わかりやすいかたちで民生技術と軍事技術の区別があった。
それが、半導体技術を考えてみればわかるように、例えば私たちが普段使用している電子機器を構成している技術などはすぐに軍事利用できる状況にある。
そのような状況に対して、中国はとにかく軍事優先で産業政策を展開する、ということを明らかにしているのが「軍民融合政策」なのだ。そして、この「軍民融合政策」は、アメリカを撃破するために中国が案出した「智能化戦争」の実現化のためにある。
智能化戦争という言葉は、2019年の中国人民解放軍国防白書にすでに見えている。白書には「情報化戦争への変化が加速し、智能化戦争が初めて姿を現している」と記された。
中国側は智能化戦争の定義を明らかにはしていないものの、研究者の間では「モノのインターネット(IoT)システムに基づき、智能化した武器装備とそれに対応した作戦方法を利用して、陸・海・空・宇宙・電磁・サイバーおよび認知領域で展開する一体化戦争」を指していると考えられている。
智能化とは、具体的に、「指揮や戦略方針を決定する際に高い演算能力を持つ装置を導入することで、人工知能(AI)や機械学習(AIに反復的にサンプルデータを解析させることで、サンプルの特徴・規則性を見出し、未知のデータに対して予測・解析)などの技術が、相手の正確な意図を分析・判断して指揮官に提供する」ことを指す。この智能化技術の優劣が戦争の全局にわたる帰趨を決することになる。
智能化戦争はこれまでの戦争の形態を大きく変容させる。AIの導入で自律化した武器や装備が広まり、戦場の無人化が進むことが考えられ、中国人民解放軍は現在、智能化戦争に適応するために、軍隊編成、武器装備体系、訓練体系を変化させていると考えられる。
注意しておきたいのは、智能化戦争という言葉こそは2019年に初出するものの、自律化した武器や装備といった特徴をはじめとする新しい戦争の形態に関する概念および思想は中国において20世紀末にすでに登場している、ということだ。「超限戦」という理論がそれである。
「超限戦」理論は、1999年に中国人民解放軍文芸出版社から出版された『超限戦:対全球化時代戦争与戦法的想定』という論文集に基づいている。著者は2人の中国人民解放軍空軍将校、喬亮と王湘穂だ。アメリカとの戦争を想定して書かれた論文集である。
「超限戦」理論の根幹は、「あらゆるものを戦争の手段とし、あらゆる場所を戦場とすべきだ」という考え方にある。戦争の限度を超えよう(超限)ということだ。
論文集『超限戦』には、「一見して戦争とは何の関係もない手段が、最後には『非軍事の戦争行動』になる」と書かれている。
貿易、金融、ハイテク、環境などは、従来ならば軍事の適用範囲から外されていた分野だが、『超限戦』は、これらは利用次第で多大な経済的・社会的損失を国家や地域に与えることができるとしている。
「人類に幸福をもたらすものはすべて人類に災難をもたらすことができる。今日の世界で、兵器にならないものは一つもない」とし、「人為的操作による株価の暴落、コンピュータシステムへのウイルスの侵入、各国の為替レートの異常変動、ネットに暴露される各国首脳のスキャンダルなどは、すべて新しい概念としての兵器である」とする。
そして、『超限戦』は、「人々はある朝、目覚めとともに、昨日まで大人しくて平和的だった事物が突然一定の殺傷力をもって牙を剥き始めたことに気づくだろう」と結ぶ。背筋が寒くなる話だ。
『超限戦』が出版されてから四半世紀が経ち、気がつけば私たちの周囲は大型電化製品や日常的な小型電気製品、コンピュータ機器、電気自動車など、中国製の半導体チップを搭載した製品で溢れかえっている。
中国は経済活動、自由貿易、労働者派遣(移民)すらも武器として利用する。我が国は、当に中国から武器を使わない戦争を仕掛けられている。
智能化戦争は超限戦の現代化に他ならない。中国は智能化戦争をもってアメリカに軍事的勝利を収めるために軍民融合政策をはじめとする産業政策を展開し、「中国製造2025」、「中国標準2035」、「中国製造2049」という具体的目標を掲げているのだ。
そして、さらに注目しておく必要があるのが、一連の産業政策をより確実に推進するために習近平が整備を進めている法律群および規制群である。
西側諸国においてはまず成立しないであろう、一党独裁国家だからこそ実現できる強力な統制型の制度ばかりであり、習近平の時代に入って中国が改革開放路線から規制・統制路線へと完全転換したことは、これを見ても明らかである。
まず、私たちが知っておくべき中国の法律群および規制群を記しておこう。
上記のうち、国防動員法は習近平の国家主席就任前に施行されている。第11期国家副主席に就いていた時代に成立した法律で、中国政府が状況を「有事」と判断したときの国内外の中国人および中国企業の行動義務を規定したものである。
国防動員法が発令されると、国内外の中国人および中国企業は直ちに国の命令下に置かれる。知っておかなければならないのは、国防動員法は中国人・企業だけではなく、中国国内の海外企業も中国政府の命令下に置かれることを規定しているということだ。国防動員法の発令によって日本企業は、次のような深刻な事態に陥ると考えられる。
※中国人社員が人民解放軍に参加したり銃後の業務で欠勤したりする場合、その意向を支持して協力し、任務期間中の賃金や手当、福利厚生の全額を支給しなくてはならない事態(53条)。
※在中資産(工場や事務所、倉庫、車両、製品その他資産、設備、装置、資材など)が、差し押さえや徴用、凍結される事態(54条)。この徴用や凍結の拒否はできない(同55条)。
※物流機能の停止、インターネット等など情報ネットワークの遮断、国際航空便、国内航空便の停止、輸出入貿易の停止、税関規制、交通制限、立ち入り禁止区域の設置、経営活動の停止、勤務時間制限、商業免許停止・剥奪、許認可の取り消し、各種行政規制の発動などが行われ、さらに現地法人の業務が一時的、または長期的に不可能になる事態(63条)。
※中国の銀行口座の凍結や金融資産の接収、売掛金の放棄を強いられる事態(63条)。
※日本企業の日本人経営幹部、駐在員、出張者が一時的ないし長期的に出国できなくなる事態(63条)。
予想されるこれらの事態について、日本の経済界の人間は全くと言っていいほどリスク管理ができていない。
特に国際航空便、国内航空便の停止は日本企業および日本国家そのものに深刻な事態を及ぼす。帝国データバンクの『日本企業の「中国進出」動向調査』によれば、2024年時点で中国に進出している日本企業は1万3034社存在し、前年比で328社増えている。
外務省の調査統計によれば、2024年10月の時点で中国に中長期で在留する日本人の数は9万7538人である。約20年ぶりに10万人を下回ったと報道されていたが、それでも約10万人の日本人が中国に在留し、1万3034社の日本企業が中国で活動し、関係する日本人が行き来している。
国際航空便、国内航空便の停止は、この10万人の日本人が自力で帰国できないことを意味する。自衛隊が乗り込んで10万人を取り戻しに行けるかといえば、物理的にも到底、無理な話だ。
中国には、世界大戦後に徹底して行われてきた根強い反日教育がある。2024年9月18日、広東省にある深セン日本人学校の男児(当時10歳)が登校中に中国人の男に刺殺される事件が起きた。
※「セン」は土へんに川
深セン日本人学校は、翌2025年9月18日を休校にした。中国国内にある他の10校の日本人学校でも、上海の3校、蘇州、杭州、大連、広州の7校は、オンラインで授業を行う。
2025年の夏には中国で「南京写真館」「731」「東極島」の3本の反日プロパガンダ映画が立て続けに公開されて大ヒットを収め、歴史的事実はさて置かれて中国の若年層を中心に改めて反日イデオロギーが常識化されることになった。
台湾有事あるいは沖縄有事はいよいよ現実性を高めて軍事関係者の間で分析が進められている。どこに火の手が上がるにせよ、有事の際には、国防動員法の発令に基づき、中国に取り残された10万人の日本人に対して反日教育で洗脳された14億人の中国人が、手段の違いはあるにせよ一斉に牙を剥くことになる。
以上を考えれば、日本側のとるべき手立ては一つだろう。日本人をできる限り早急に中国から出国させることだ。そのためには喫緊に、日本国内に脱中国企業の受け入れ環境を整備する必要があり、脱中国を促進させるための、かつて安倍政権が案出した脱中国補助金のような制度を整備する必要がある。
そしてそれ以前に、何より必要なのは、未だに中国進出を目論んでやまない日本の企業経営者たちの意識改革だ。国防動員法を見る限り、中国への進出は人命を無視した利益追求活動であるとしか言いようがない。
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(経済安全保障アナリスト 平井 宏治)
「安倍氏以外の政治家では弱い」法廷で見せた被告の本音 事件の目的問われ15秒沈黙も 銃撃裁判・被告人質問3回目詳報
令和4年7月の安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の第12回公判が2日、奈良地裁で開かれ、3回目の被告人質問が行われた。被告は事件当日の状況や心境などを供述。安倍氏を標的とした理由については、安倍氏以外の「ほかの政治家では意味が弱い」と述べた。
前回の被告人質問は、検察側が銃の自作を始めた経緯や製造方法などを尋ねたところまで進んだ。この日は引き続き検察側が、事件前日の7月7日の行動についての質問から始めた。被告は7日未明に自宅近くにあった教団の関連施設に向けてパイプ銃を撃って壁を損壊させたことを認め、その理由を説明した。
検察官「撃った理由は」
被告「(旧)統一教会に怒りを感じているということを示すために撃った」
検察官「撃ち込みの時点では、安倍氏を狙うことを決めていた」
被告「そうです」
検察官「怒りの対象が統一教会だということを示すために撃った」
被告「はい」
検察官「本来の怒りの対象は安倍氏ではなく、統一教会か」
被告「はい」
検察官「それを示すために、先に統一教会に撃ち込みをしたのはなぜ」
被告「統一教会の関係者であれば、安倍元首相と(教団との)関係が深いのは常識。一般社会ではそうではないので、あらかじめ示しておかないと、違う理由が取り沙汰されると思った」
安倍氏の奈良入り 「まさか自分が銃撃に失敗した翌日に」
帰宅して睡眠をとると、今度は別のパイプ銃をショルダーバッグに入れ、岡山市に向かった。
検察官「目的は」
被告「参院選の応援演説に訪れる安倍元首相を襲撃するため」
検察官「(会場の)岡山市民会館に行ったが、襲撃できなかった。なぜか」
被告「出入りを狙うことにしていたが、車を横付けするような具合で、銃撃の機会がなかった」
検察官「(奈良の自宅に帰る)電車で自民党のホームページを見て、翌日に(奈良で)応援演説をすると知った」
被告「はい」
検察官「街頭演説を知り、どう考えた」
被告「(約10日前にも)安倍元首相が奈良で応援演説をしたと知っていたので、まさか自分が銃撃に失敗した翌日に、もう一度来るとは思いもしなかった。偶然とは思えないような気もした」
検察官「それで翌日、安倍氏を襲撃しようと考えた」
被告「はい」
撃つ瞬間「何も考えないように」
質問は7月8日の銃撃事件当日の話に移る。演説会場の奈良市の近鉄大和西大寺駅前に午前10時ごろに到着して待つ中、午前11時17分に安倍氏が現れた。
検察官「様子を見て、どんなことを考えていたか」
被告「本当に来たんだなと思った」
検察官「どういうタイミングで近づいた」
被告「銃撃するなら後方から。真後ろに警備がいて、どうしたものか、このまま演説が終わってしまうのではないかと思った。横の方がいいかと考えていると、後ろの警備が移動したので、これも何かの偶然かと、偶然とは思えない何かと思ったので『今だ』と」
検察官「撃つ瞬間は何を考えていたのか」
被告「(射撃に関する)何かの本で『射撃の心得はなるべく無心で撃つ』とあり、何も考えないようにしていた」
検察官「それは家にあった本か」
被告「あったと思う」
検察官「ほかの人に当てないように、何か手立てはあったのか」
被告「自分の撃った場所からは(安倍氏の周りに立つ人まで)広がらないだろう、20メートルほど離れていれば威力も落ちるという見通しがあった。90メートル以上離れた(立体駐車場の)壁にめり込んでいたというのは考えづらい結果だった」
目的果たしたかの問い 「お答えできかねる」
その後、質問者は裁判所側に移り、「なぜ安倍氏を標的としたのか」という核心部分に踏み込んだ。これまでの公判で被告は、安倍氏が事件10カ月前の3年9月、教団の友好団体に対して好意的な内容のビデオメッセージを寄せていたことを指摘し、「『困る』という感情だった」などと述べていたものの、事件にどうつながるかは判然としていなかった。
裁判員「『困る』ということから殺人にいたる心情の変化は」
被告「困惑した、失望したというか。今後も安倍元首相と統一教会の関係が公に増えるとすれば、統一教会が公的に認められる。それは受け入れがたいので、安倍元首相に対する表面に出る強い怒りではないが、心の底に引っ掛かり続けることで嫌悪感、敵意が徐々に強まった。そうした中で、ということかと思う」
裁判員「事件後に統一教会を巡る動きがあった。目的は達成したのか」
被告「非常にいろいろな問題を含むので、お答えはできかねます」
裁判官「前提として、今回の事件の目的は何だったのか」
下を向き、15秒間ほど沈黙した後、被告は口を開いた。
被告「別の機会に答えさせてもらえればと思います」
裁判官「銃撃の対象をいつごろ安倍氏にすると決めたのか。ビデオメッセージがどうつながったのか」
再び沈黙する。
被告「もう少し、考えさせていただければと思います」
回答を避けた被告だが、質問が続くと、ある程度具体的な内容を答えるようになった。
裁判官「犯行は旧統一教会への怒りや恨みや葛藤からになるのか」
被告「はい」
裁判官「そういった感情は母親には向かわなかったのか」
被告「そういうこともあった。パイプ銃の試射をしている期間」
裁判官「実行しなかった理由は」
被告「(教団幹部の襲撃が)できなくなる。そもそも母が献金している統一協会に抗議したかった。母個人ということでもない」
裁判官「(教団本部がある韓国にいる幹部ではなく)国内の統一教会関係者を狙うことは考えなかったのか」
被告「日本の幹部を襲撃したとしても解決にはならない」
裁判官「解決とは」
被告「統一教会への献金や家族の不和、争いごとを無くすこと」
裁判官「安倍氏以外の政治家は対象にはならなかったのか」
被告「私の認識だが、安倍元首相は統一教会と政治との関わりの中心にいる方だと思っていた。ほかの政治家では『意味が弱い』と思った」
裁判官「殺人を思いとどまることはできなかったのか」
被告「銃の製造に費用や時間がかかった。経済的に行き詰まり、やめると『何のためにこんなことをしたのか』となる。統一教会に対してさらに敗北したようなことは避けたかったので、思いとどまることはなかった」
事件当時「破綻してしまう可能性あった」
その後、弁護側の質問では被告が銃撃の約1時間前に現場近くで参院選の期日前投票を行い、自民候補者の佐藤啓参院議員(官房副長官)に一票を投じていたことが明らかに。安倍氏が応援のために演説していた本人で、被告は「襲撃を実行すれば演説が中止になり、そこにいる候補には迷惑になるので」と述べた。さらに検察側の再質問では、事件当時の生活状況を確認した。
検察官「教団幹部を狙わないことにした理由は、いつになっても来ないし、経済的に待てないと思ったからか」
被告「何もできなくなるよりは、今やった方がいいと考えた」
検察官「令和4年以降、幹部はほとんど来なかった」
被告「はい」
検察官「4年7月は経済的に行き詰まっていた」
被告「完全に行き詰まっていたわけではないが、破綻してしまう可能性もあった」
検察官「経済的な理由のため、対象を安倍氏に変更したのか」
被告「そういった要素もあったかと思う」
この日の被告人質問はここで終了。宗教社会学者への証人尋問をはさみ、12月3日午後に次回の被告人質問が行われる。
再逮捕へ警視庁暴力団対策課の警部補の男(43)スカウトG「ナチュラル」に約20か所のカメラの場所のリストを漏らしたか 警視庁
スカウトグループ「ナチュラル」に捜査情報を漏洩したとして警視庁暴力団対策課の警部補が逮捕された事件で、警視庁がきょう、警部補を再逮捕する方針を固めたことがわかりました。
捜査関係者によりますと、警視庁がきょう再逮捕する方針を固めたのは警視庁暴力団対策課の警部補、神保大輔容疑者(43)です。
神保容疑者は今年7月下旬、「ナチュラル」関係者に対しグループが独自に開発した特殊なアプリを使い、捜査のために設置したおよそ20か所のカメラの場所のリストを漏らした疑いがもたれています。
神保容疑者をめぐっては今年4月と5月、「ナチュラル」に対して関係先に設置した捜査用カメラの画像数枚を漏洩したとして、先月、警視庁に逮捕されていました。
捜査関係者によりますと、今年8月に神保容疑者の自宅を捜索した際に現金900万円が押収されていて、捜査情報の見返りとして受け取った可能性もあるとみて捜査を進めています。
警視庁によりますと、神保容疑者はおととしから今年3月までの間、「ナチュラル」が関与する事件の捜査に携わり、組織犯罪の捜査を14年間担当していました。
「ナチュラル」は女性をスカウトし違法に風俗店に紹介した上で、女性の売り上げに応じて風俗店から支払われる「スカウトバック」と呼ばれる報酬を得ていたなどとして警視庁が摘発を進めていた日本最大のスカウトグループです。
2022年だけで年間およそ44.5億円を手に入れたとみられ、およそ1500人が所属しているということです。
警視庁は「匿名・流動型犯罪グループ」通称「トクリュウ」とみて捜査し、スカウトバックのうちの一部が反社会的勢力に流れているとみて数年前から摘発を強化し、グループ幹部を次々と逮捕するなどグループの壊滅を目指していました。
「ナイフで刺された」と通報 蹴って殴ってナイフで刺した傷害容疑 18歳無職少年を逮捕 17歳少年は軽傷 新潟・新発田市
新潟県新発田市の商業施設の駐車場で1日夜、17歳の少年に対し蹴ったり殴ったりナイフで腕を刺したりしたとして、18歳の無職の少年が逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは住所不定・無職の18歳の少年です。少年は1日午後8時30分ころ、新発田市内の商業施設の駐車場で17歳の少年と何らかのトラブルとなり 腹部を蹴ったり顔を殴ったり所持していたナイフで腕を刺したりした疑いが持たれています。
「ナイフで刺された」という通報が消防にあり、17歳の少年は軽傷とみられています。2人は面識がないとみられ、直前に何らかのトラブルがあったとみて警察が調べています。逮捕された18歳の少年は「いらついて蹴ったり殴ったり刺したりした」と容疑を認めているということです。
紙コップに”隠しカメラ”日常襲うサイバー攻撃
2025年9月末、日経新聞が取材を元に「STB(Set Top Box)」が証券口座の乗っ取りに利用されたと報じた。STBは、ケーブルテレビやホテルのテレビなどに利用される受信機で、「テレビの受信機が乗っ取られる」事件としてちょっとした騒ぎとなった。
【写真を見る】偏光フィルターで隠しカメラを発見できる装置
狙われたのは「スマートTV」だった
家電製品やSTBのような生活に溶け込んだ機器が狙われるのは珍しいことではないが、報道を受けてケーブルテレビ各社、STBメーカー、日本ケーブルテレビ連盟などが「自社製品、サービスは対策されており、被害は確認されていない」といった声明を発表している。
実際、攻撃を受けたのは一般的なケーブルテレビ契約で設置されるSTBではなく、スマートTVやチューナーレスTVなどと呼ばれる製品だった。スマートTVとは、オンデマンド配信やストリーム配信専用の「テレビ」であり、中身はスマートフォンやタブレット、PCに近い。
形状は大型テレビと同じだが、本体のみを小さな箱として販売し、ディスプレイは自宅のテレビやPCモニターに接続するタイプも存在する。今回の事件で利用されたのはこのタイプのようだ。
PCやスマートフォン以外の製品でインターネット接続が可能なものをIoT機器という。ルーターなどのネットワーク機器、FAX・プリンターの複合機、エアコンや冷蔵庫などの家電、自動販売機やデジタルサイネージ、最近では自動車もIoT機器に分類される。
つまり「テレビ受信機による口座乗っ取り」は、古くからあるIoT機器へのサイバー攻撃ということになる。IoT機器へのサイバー攻撃で身近な例は、Webカメラを踏み台とした大規模なDDoS攻撃を行うというものだ。
世界中に点在する監視カメラを乗っ取ること(ボット化)で、大量の妨害トラフィックを発生させることができる。2016年にはSNSやECサイトに世界的な規模で被害が発生した「Miraiボットネット」の事例がある。
証券口座乗っ取りの事件でも、STB(スマートTV)は、証券会社システムへの踏み台として利用された。サイバー攻撃対策が進む証券会社のサイトに対して、家庭のスマートTVからのアクセスなら正規利用者のアクセスを偽装しやすかったからだ。あまりメジャーではないスマートTVからのアクセスは対策が行き届いていないことも狙われた理由だろう。
いまやIoTという言葉が必要ないくらい、インターネットに接続していないものを見つけるほうが困難だ。つまり、サイバー攻撃の対象が現実の世界に遍在していて、いつ攻撃にあってもおかしくない状況にある。
日本は米国と袂を分かつ覚悟はあるのか…「台湾有事に巻き込まれたくない」と話す人にどうしても伝えたいこと
※本稿は、オオカミ少佐『元海上自衛隊幹部が教える 国を守る地政学入門』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
中国の視点に立ってみましょう。台湾の継戦意思を挫(くじ)く、アメリカの軍事介入を阻止する、日本の中立化=在日米軍基地を使用させない、これら3つのうち1つでも達成することができれば、台湾侵攻が成功する公算が大いに高まります。
2003年の中国共産党中央委員会及び中央軍事委員会において採択された中国人民解放軍政治工作条例のなかに「三戦」の記載があります。
三戦とは世論戦、心理戦、法律戦で、世論戦は中国軍の敢闘精神を鼓舞し、敵の戦闘意欲の減退を目的とする世論を醸成すること、心理戦は敵の抵抗意思を破砕(はさい)すること、法律戦とは中国の武力行使の合法性を確保して敵の違法性を暴き、第三国の干渉を阻止することを指します。
たとえば、インターネットを通じて「日本は中立化すべき」だとか、「アメリカの軍事介入はよくない」「中国と台湾は1つ」……といった意見を流すことは意味があるわけです。こうしたことは平時でもできますし、対象は一般の人々ですからね。
そして、いざ有事となったときは、日米が介入してくる前に日本を叩くという選択肢をとったほうがよいと中国は考えるかもしれません。
台湾有事について、専門家の間では中国の出方は大きく分けて2つのシナリオがあると考えられています。1つは「攻撃を台湾に集中させる」、もう1つは「日米への先制攻撃を加えてから台湾に着上陸する」というものです。
台湾制圧を目的とするなら、台湾だけを攻撃すればよいように思うかもしれませんが、どちらを選択しても米軍の軍事介入があるならば、最大の障害となる米軍とその兵站拠点である日本を先に叩いて戦力を削ったり、来援を遅延させたりするほうが合理的でしょう。
これをふまえて、日本はどうすべきなのでしょうか。
「台湾有事なんて日本には関係ないのだから、とにかく巻きこまれたくない!」というなら、日米安全保障条約を破棄して日本から米軍を追い出せば、少なくとも「台湾有事において」日本が巻きこまれる可能性は大きく下がります。そこまでせずとも、「在日米軍の基地から台湾への出撃を認めない」ということをあらかじめ取り決めて、中国にそのことを伝えれば、日本が巻きこまれる可能性をわずかながら下げることができると思います。
ただし、どちらも私としてはまったくおすすめできない策です。日・米・台いずれかの意思を挫いて連携を阻止できれば、中国は台湾を制圧できる可能性が高いわけですから、日本が中立化するなら、台湾有事が起きる可能性は一気に高まります。
中国が台湾制圧に成功したのち、日本の安全はどうなるでしょうか。
「台湾は日本と関係がないから助けない」という理屈が成り立つなら、同じ理由で諸外国が日本を助ける必要もなくなります。また、台湾は中国沿岸をふさぐように位置しているため、今のところはおのずと中国海軍の行動を制限していますが、台湾制圧となれば、中国は今よりも強大化し、日本にとってより大きな脅威となるでしょう。
日米安全保障条約が消滅していた場合はいうまでもないので省きますが、そうでなくとも在日米軍の基地使用を認めなかった日本に対してアメリカは不信感を抱き、日米間に大きな亀裂が生じることは間違いありません。台湾有事で中立を選んだ場合、今よりもハードな安全保障環境が日本を待ち受けているのです。
その場合は、いっそ中国の軍門に下ったほうがよいかもしれませんが、そうなるといずれ、中国側に立ってアメリカと事を構えなければならなくなるかもしれません。
日本がアメリカの味方であれば、台湾有事など東アジアでアメリカが軍事介入するなら最強の後方拠点として機能しますが、逆に中国についた場合、東からやってくるアメリカの攻撃を防ぐ最硬の盾となるのが日本の地理的特性。
味方にしておけば非常に有用ですが、敵にまわせば厄介なことこのうえない、東アジアにおける要衝が日本なのです。
日本は、ナンバー1であるアメリカや、ナンバー2である中国をどうこうすることはできませんが、どちらを勝たせるかを選ぶことはできます。単独で立ち向かうほどの軍事力はないにしろ、日本の影響力はけっして小さくはありません。
日本が相対的に弱く見えるのは、周辺に軍事力世界ランキング1位のアメリカ、2位のロシア、3位の中国、5位の韓国と上位国が集まっているからです。アメリカは国土の距離は離れていますが、在日米軍が駐留しています。「強い弱い」というのは相対的なものです。たとえるなら、スポーツの県大会で優勝した人が、全国大会に行くと他の県の優勝者のレベルに及ばず、1回戦で敗退してしまう……みたいな感じでしょうか。
どちらに付いても勝敗が変わらないのなら、勝ち馬に乗るのがよいでしょうが、日本は「どっちが勝ったほうが、よりマシか」ということを選べる国です。地理的条件から、どちらの陣営に付くかを選択できない国が多いことを考えれば、日本は相当に恵まれています。
そして、これを選べるのは「今」だけです。いざ、台湾有事が起きてから米軍の基地使用を認めるかどうかでもめたりすれば、遅れた分だけ中国にとって有利に働き、アメリカに不信を抱かせます。真偽不明ですが、天下分け目の関ヶ原の戦いでは裏切りを約束していた小早川秀秋がいつまでたっても動かないことに徳川家康が激怒したという逸話もあります。旗幟は早めに鮮明にしておいたほうがよいという教訓です。
事が起きてからでは遅いのです。どちらを選んでも無傷ではいられませんが、選ばない、あるいは選ぶのが遅れると、選択肢がなくなったり、より酷いことになりますからね。
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(元海上自衛隊幹部、YouTuber オオカミ少佐)
出産無償化へ、分娩費用は全額保険案…出産後の「お祝い膳」やエステなどは原則自己負担に
厚生労働省が4日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で、出産にかかる費用の無償化に向け、分娩(ぶんべん)費用を公的医療保険で全額賄う案を提示することがわかった。出産の経済的不安を軽減し、少子化対策を拡充する狙いがある。早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する方針で、詳細な制度設計を詰め、実施は2027年度以降となる見通しだ。
少子化対策として支給されている出産育児一時金(50万円)に代わり、実施される。出産費用は現在、医療機関が自由に価格を設定しているが、物価高などで年々上昇している。24年度の正常分娩の平均出産費用は51万9805円で、東京都は平均で64万円を超えるなど、地域差が大きいことも問題となっていた。
保険適用により、全国一律の公定価格を設定することで、居住地や利用施設による不公平感をなくすとともに、費用の透明化を図る。通常の保険診療でかかる3割の自己負担はゼロにする。分娩にかかるコストは妊婦の個人差が大きいため、同省は分娩に対応した数に応じて各医療機関に診療報酬を支給することを検討している。
帝王切開などの異常分娩や妊娠合併症への対応など、保険適用済みの診療行為は、現行の3割の自己負担を継続する方向だ。出産後に出される「お祝い膳」やマッサージ、エステ、写真撮影など出産に付随するサービスは、原則として全額を自己負担とする。
6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」では、「26年度をめどに標準的な出産費用の自己負担の無償化に向けた対応を進める」と明記していた。
【速報 午前8時すぎに鎮火】函館繁華街の火事 発生から17時間以上
函館市本町にある2階建ての不動産会社で2日午後3時前に発生した火事で、函館市消防は発生から17時間以上たった午前8時14分に鎮火したと発表しました。
警察によりますと、建物1階裏口付近にあるトイレから出火したということです。
けが人はいませんが、隣接する飲食店などが入っているとみられるビルに延焼しました。
2日に一時運転を見合わせていた函館市電は、3日始発から通常運転しています。
警察などは今後、出火原因を調べることにしています。