がん判明も保釈せずは「違法」、遺族提訴へ 裁判官37人の責任追及

化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件で、勾留中に亡くなった元顧問の相嶋静夫さん(享年72)の遺族が、裁判官による逮捕状の発付や保釈を認めない判断で違法な拘束が続いたとして、国に約1億6000万円の損害賠償を求める訴訟を4月上旬にも東京地裁に起こす。複数の関係者が取材に明らかにした。訴訟を通じて関わった裁判官37人の責任を追及する。
罪を認めなければ簡単に保釈されない問題は「人質司法」とも呼ばれる。相嶋さんの長男(52)は「法の番人とされる裁判官が、捜査機関に従属し、無実の父の自由を奪う決定を下した。裁判官の責任を明確にしなければ、人質司法はなくならない」としている。
相嶋さんは2020年3月に外為法違反容疑で逮捕・起訴され、約7カ月後に胃がんが見つかった。20年11月に勾留が一時停止されて外部の病院に入院したものの、がんは末期の状態で21年2月に亡くなった。
弁護側は8回にわたり保釈請求したが、東京地検は「罪証隠滅の恐れがある」と反対し、東京地裁も追認した。がんが見つかった後に1度だけ地裁が認めた保釈決定も検察側の不服申し立てで覆った。相嶋さんの死亡から約半年後、地検は公判維持が困難になったとして起訴を取り消した。
遺族側は、相嶋さんは警視庁公安部の任意捜査に協力し、逃亡の恐れがなかったにもかかわらず地裁は逮捕状や勾留状を発付した▽身体拘束を続ければ生命に重大な危険が及ぶことは明らかだったのに保釈請求を却下した――点を主に問題視。関わった計37人の裁判官は、証拠資料を吟味すれば逮捕や勾留の必要性がないことが容易に認識できたのに、故意または重過失でこれを見落とした違法があると主張する方針。
大川原側が起こした国家賠償請求訴訟では25年5月の東京高裁判決が、警視庁公安部の逮捕と東京地検の起訴を違法とし、東京都と国に計約1億6600万円の賠償を命じた。判決の確定を受けて警視庁と最高検は、それぞれ検証報告書を公表し、幹部らが大川原側に謝罪した。
一方、最高裁は1月に全国の刑事裁判官約70人を集めた研究会を開き、保釈のあり方を議論した。ただ、憲法が保障する「裁判官の独立」の観点から、今回の冤罪事件を巡る保釈に関しての検証はしていない。【遠藤浩二】

「手取りが減るのは理不尽」高市首相、JRの値上げによる“謎現象”に慎重姿勢崩さず国民から批判

「定期代をもらっているだけなのに、なぜか手取りの給料が減ってしまう」――。そんな理不尽な現象が、3月14日から始まったJR東日本の運賃値上げをきっかけに、一部のサラリーマンの身に降りかかろうとしている。国会では野党が制度の見直しを迫っているが、高市早苗首相は慎重な姿勢を崩しておらず、ネット上では「庶民の感覚を無視している」と批判が殺到している。
JR東日本の値上げが引き金に
今回、議論の的となっているのは、3月14日からJR東日本が実施した運賃改定だ。エネルギー価格の高騰などを理由に、全エリア平均で7.1%、通勤定期に至っては12.0%という大幅な値上げに踏み切った。
本来、会社から支給される通勤手当(定期代)が増えたとしても、それはそのまま鉄道会社に支払うお金。収入としては“プラスマイナスゼロ”のはず。しかし、この「増えた電車代」が、私たちの「社会保険料」を跳ね上げるという罠が潜んでいるのだという。
この複雑な仕組みについて、全国紙の社会部記者は次のように解説する。
「社会保険料とは、私たちが病院にかかるときの健康保険や、将来受け取る年金のために給料から天引きされるお金のこと。この金額を決める際、国は『標準報酬月額』という、いわばお給料を入れるバケツのような基準を使います。
最大の問題は、このバケツの中に、純粋な給料だけでなく『通勤手当』まで一緒に入れられてしまうことです。社会保険料は、バケツの中身の重さに応じて『階段(等級)』のように金額が決まる仕組みになっています。今回の値上げで電車代が少し増えたことで、図らずも階段を一段上がってしまい、その結果、引かれる保険料がガクンと増えてしまう人が出てしまうのです」
3月12日の国会では、国民民主党の深作ヘスス議員が、具体的な“手取り額の減少幅”を挙げてこの矛盾を突いた。
「深作議員が示した例によれば、報酬月額が約31万円の人のケースでは、JRの値上げで通勤手当が710円アップしただけで、保険料の等級が一段階上がってしまいます。すると、健康保険と厚生年金を合わせた本人負担額は、月に2977円も増えてしまう計算になります。
自分のポケットには1円も入らない、JRに支払う電車代の補填を受けただけで、手元に残るお金が3000円近くも減ってしまう。これが、いま起きようとしている『通勤手当が増えたせいで手取り減少』の正体です」(前出・社会部記者)
役人が作った“二重基準”
この状況に追い打ちをかけるのが、制度のチグハグさだ。
実は「所得税」の世界では、通勤手当は月15万円までなら「給料(利益)」とは見なされず、税金はかからない。ところが「社会保険料」の世界では、なぜか「給料の一部(報酬)」としてカウントされる。
この矛盾に対し、ネット上では怒りの声が渦巻いている。
《交通費は必要経費であって個人の利益じゃない。そこから保険料を取って手取りが減るのは理不尽すぎるだろ》 《所得税は非課税なのに保険料はカウントするなんて……少しでも税金を多く徴収したい官僚が考えそうな二重基準》
高市首相は18日の参院予算委員会の答弁で、通勤手当を保険料の計算から外すことに対し、「全体の保険料率引き上げが必要になる」「歩いて通う人との公平性が損なわれる」と慎重な考えを示した。
しかし、物価高で生活が苦しいなか、「ルールだから」「公平性が必要だから」という理屈で、実質的な“減収”を押し付けられる国民の納得感はきわめて低いのではないだろうか。
「手取りを増やす」ことを高市政権は掲げているが、目の前で起きている「電車代による手取り減少」という現象を放置したままでは、その言葉の信憑性が問われることになるだろう。今後の対応に注目が集まっている。

茨城大、文科省に「隠蔽」を打診 付属小いじめの報告書原案判明

茨城大教育学部付属小学校で2021年に起きたいじめ重大事態を巡り、大学が設置した第三者委員会の調査報告書原案の骨子が、関係者への取材で明らかになった。文部科学省が大学側に重大事態の発生報告を怠っていると指摘し、被害女児の保護者にも伝えるよう促したにもかかわらず、教育学部は文科省に口裏合わせを求めた経緯が判明。「事実を隠蔽(いんぺい)しようとした」と付属小と教育学部の双方を断じている。
学長の行動も問題視
報告書原案では、女児が3、4年だった20年11月ごろ~21年6月、同級生が登校時に毎日のように女児を待ち、別の同級生と引き離そうとするなどのいじめがあったと認定。女児は21年6月から不登校になった。付属小は当時、いじめ防止対策推進法に基づく調査をしていなかった。
付属小は当初、女児の保護者に対し、22年5月に文科省へ報告したと説明していたが、実際はいじめに関する統計調査に重大事態の件数として回答しただけだった。
原案によると、学校の対応に疑問を抱いた保護者は23年1月、文科省に電話で経緯を説明。文科省の担当者が教育学部の職員に連絡し、調査に回答しただけでは発生報告にならず、個別に報告書を提出する必要があると指摘した。職員は当時の教育学部長や副学部長、付属小校長らとこの指摘を共有した。
さらに保護者が翌2月、文科省に発生報告書の開示請求をしたことを踏まえ、文科省が教育学部に早急に報告書を提出するよう指示した。ところが、教育学部は「問題が大きくなる可能性があり、できれば(文科省に)これから報告が来ることは(保護者に)言わないでほしい」と口裏合わせを求めた。
文科省はこれに応じず、開示請求に対して報告書が提出されていないことを意味する「文書不存在」で回答するとした。その上で「法令の認識の違いがあり、これから発生報告を提出すると保護者に伝えた方がよい」と促した。
大学はこの後の23年2月16日に発生報告書を提出したにもかかわらず、翌17日に付属小は保護者に「22年5月30日に報告」と文科省の統計調査への回答日を説明していた。
原案は付属小が「虚偽の説明を行っていた」と認定。「強引な説明を行い、(文科省に)報告を怠っていた事実を隠蔽しようとした」と判断した。教育学部についても「隠蔽しようとする意図があった」と批判した。
また原案では、太田寛行学長の行動も問題視している。問題が報じられた23年4月以降、当時6年生だった女児は登校できる日が増えていたが、同年6月、学長が付属小を突然訪問して女児、保護者と面会。女児は体調を崩し、再び登校できなくなった。
第三者委は「不適切ないじめ対応をしてきた組織の長が予告なく現れれば、児童に強い心理的負担を生じさせ悪影響が生じることは容易に想像できる」と指摘。「学長の無配慮な行動は、児童に2次的な被害を生じさせた」と判断している。
関係者によると、第三者委は25年秋、保護者に原案を説明。その後、保護者側から追加の調査などを求める意見書が提出され、第三者委は近く、調査報告書を取りまとめて大学に提出するとみられる。
毎日新聞は25年7月、太田学長へのインタビュー取材を申し込んだが、大学の広報担当者を通じて「お断りさせていただきます」と回答している。【武本光政】

町内全ての小中学校で児童生徒ら600人以上が下痢や嘔吐、原因は給食のパン…製造会社の従業員からノロウイルス検出

大阪府熊取町の小中学校全8校で多数の児童生徒や教職員が体調不良になった問題で、府は25日、給食で提供されたパンが原因の食中毒だったと発表した。パンを製造する業者の従業員からノロウイルスが検出された。
発表によると、業者は、泉佐野市の菓子製造会社「サガン製パン」。泉佐野保健所は食品衛生法に基づき、同社を29日まで5日間の営業停止処分にした。
給食のパンは17日に同社で製造され、同日の8校の給食で3331個が提供された。同保健所の検査で、患者や同社の従業員からノロウイルスが検出されたことなどから、給食のパンが原因と断定した。
これまでに児童生徒や教職員ら600人以上が下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴えたが、重篤な患者はいないという。

女子高校生「お金なかった」コメ5キロ盗み逃走…店員の足を複数回蹴る 札幌市白石区

【詳報】コメを万引き…事務所から逃走はかり店員を足蹴り 女子高校生(17)を事後強盗容疑で逮捕
米を盗み、店員を蹴って逮捕されたのは17歳の女子高校生でした。
逮捕された17歳の女子高校生はきのう(25日)、札幌市白石区のスーパーマーケットで、コメ5キロ1袋・販売価格4838円を盗んだあと逃走をはかり、逮捕を免れるため、店員の女性の足を複数回蹴った疑いです。
調べに対し「お金がなかったから万引きをしました。 お店の人を蹴ったのも間違いありません」と容疑を認めています。

小学校からの通報で…小学生の息子2人の顔など殴る 27歳の男が傷害の疑いで逮捕

10歳未満の小学生の息子2人に暴行を加えけがをさせたとして27歳の男が傷害の疑いで逮捕されました。逮捕のきっかけは小学校から児童相談所への通報でした。
傷害の疑いで逮捕されたのは赤平市に住む27歳の男です。
男は今月23日朝、自宅でいずれも10歳未満の小学生の息子2人に対し、耳を引っ張ったり顔面を数回殴打する暴行を加え、それぞれけがをさせた疑いが持たれています。
警察によりますと、1人は左耳に皮下出血、もう1人は左頬に擦過傷があり小学校が児童相談所に通報したことで事件が発覚したということです。
調べに対し、男は「暴力を振るったことに間違いありません」と容疑を認めているということです。

T字路の交差点で車3台が絡む事故 軽自動車の後部座席にいた85歳女性が死亡 1台が逃走しひき逃げ事件として捜査

25日夕方、愛知県瀬戸市の路上で車3台が絡む事故があり、85歳の女性が死亡しました。このうち車1台が現場から逃走していて、警察がひき逃げ事件として捜査しています。 警察によりますと、25日午後4時半過ぎ、瀬戸市西山町1丁目のT字路の交差点で、軽自動車が脇道から出てきた車と衝突し、弾みで押し出された軽自動車が対向車線を走る別の乗用車にぶつかりました。 この事故で、軽自動車の後部座席に乗っていた川本かずよさん(85)が首の骨などを折り病院に運ばれましたが、その後死亡が確認されました。 軽自動車を運転していた川本さんの夫(86)と、乗用車の運転手の50歳の女性にケガはありませんでした。 脇道から出てきて最初に軽自動車とぶつかった車は現場から走り去ったということで、警察がひき逃げ事件として逃げた車の行方を追っています。

「安物のスナックのママみたい」と炎上の高市首相…“媚び外交”は世界の恥か、したたかに計算された生き残り術か

日米首脳会談後、ホワイトハウスが公開したのは口を大きく開けて踊る高市早苗総理大臣の写真だった。この姿には日本では批判の声もあがった。果たして高市外交は国益になっているのか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏は「とはいえ、他にやりようがないというのが現実」と解説する。
【写真】ホワイトハウスのHPに掲載され物議をかもした、歓喜する高市総理の写真
ネットでは「安物のスナックのママのよう」
高市早苗首相の「スナックママ外交」に対して、厳しい批判の声が上がっている。アメリカをはじめ、イランや韓国などにも媚を売るような全方位への態度は、果たして日本の国益と言えるのだろうか。
トランプ大統領との首脳会談において、ハグをしたり、肩を抱かれたり、満面の笑みで親密さを過剰にアピールする振る舞いに対して、相手に媚びへつらっているという見方が広がったのである。
X(旧Twitter)上では、この様子を揶揄する声が次々と書き込まれた。
「男といる時の高市早苗はホステスさんみたい。スナックのママになればいいのに」「安物のスナックのママのよう。この日米首脳会談の場で日本の総理大臣がこれほどまで媚びた態度、安い媚びた目線で話す事が心底恥ずかしい」といった言葉が並んでいる。
メディアも批判的だ。日刊ゲンダイDIGITAL(2026年3月24日配信)は「高市首相の媚米・媚トラの“ホステス外交”」と書き立て、LASISA(2025年10月30日配信)も「『媚びている』『ホステスみたい』といった『高市下げ』の激しい批判が噴出」と報じていた。
「他にやりようがない」というのが現実
PRESIDENT Online(2026年3月23日配信)も「『媚び媚びの高市』評価とは真逆…」と国内の批判的空気を伝えている。
しかし、これらの「スナックママ」といった批判は、匿名個人の感想や一部メディアの表現を集めたものに過ぎない。外交の成果や戦略を専門的に分析したものではなく、見た目の印象に頼った信頼性の低い感情論である。
こうした根拠のない批判をそのまま鵜呑みにすることは避けるべきだ。では、高市首相のこの外交は間違っているのだろうか。結論から言えば、彼女を特別に褒めるというよりも、日本の置かれた状況を考えれば「他にやりようがない」というのが現実ではないか。
自国を守る圧倒的な軍事力も、国を動かす資源もない
日本の政治家は、岸田文雄元首相しかり高市首相しかり、相手の顔色を窺って態度をコロコロと変えるのが大変お得意なようである。
強い相手には徹底的にすり寄るし、相手によって見せる顔を全く違うものにするのだ。もし国内政治で総理大臣がこのような八方美人の態度をとり、言うことをコロコロ変えていたら、私は強く批判する。信念を持たずに周囲の顔色ばかりを窺う政治家は信用できないからだ。
しかし外交においては話が全く別である。態度をコロコロ変えていることが相手国に知られない限りにおいてだが、そもそも外国は日本の首相がおべっかを使っていることにさほど関心がない。振り返れば、私たち日本人も外国の首脳が他国で何を発言しているかなど気にしていないだろう。
日本が相手の顔色を窺って態度を変えることは、いい悪いではなく、「これ以上どうしろというのだ」というのが実状ではないか。日本には自国を守る圧倒的な軍事力も、国を動かす資源もない。そのような国が、理想やプライドだけを振りかざして生きていけるほど世界は甘くない。
このような「相手によって態度を変え、保険をかける」日本のやり方を、専門的な言葉で「ヘッジング戦略」と呼ぶ。
日本外交は、大きく分けて「アメリカへの同盟強化」「中国との経済的な関与」「その他の国との実利外交」という三つの要素から成る。外務省が公式に出している『外交青書』を読み解くと、いかに相手に合わせて言葉を使い分けているかがわかる。
安全のためにはひたすらヨイショするしか方法がない
第一に安全保障を依存しているアメリカに対してだ。自分たちの力だけでは国を守れないため「価値観が完全に一致する親友です」と熱烈にアピールし頼らなければならない。『外交青書』(2025年版)には次のように書かれている。
「第一に、日米同盟の充実・強化です。日米同盟は、日本の外交・安全保障の基軸であり、トランプ政権との間でも、強固な信頼関係を構築し、日米同盟を更なる高みに引き上げていきます」
高市首相がトランプ大統領の前で媚びているように振る舞ったのは、この「基軸」を守るために相手の顔色を最高レベルで窺った結果である。見栄えは悪いかもしれないが、国の安全のためにはひたすらヨイショするしか方法がない。
第二に、一番の貿易相手である中国に対する態度である。本来の日本の伝統であれば、中国に対しては「価値観」や「人権」といった耳の痛い話はできるだけ控えめにして、お金や経済、アジアの安定の話ばかりをする。『外交青書』(2025年版)にはこう書かれている。
中国に対してはうまく媚びを売れていない事実
「同時に日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有している。『戦略的互恵関係』を包括的に推進するとともに、『建設的かつ安定的な関係』を構築するという大きな方向性の下、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくために互いに努力していく」
「戦略的互恵関係」とは、価値観が違ってもお互いにお金が儲かる関係(実利)はしっかりと続けていきましょうという割り切った態度を示している。
しかし、よく考えれば現在の高市首相は、中国に対してはうまく媚びを売れていない。昨年、国会において台湾有事について、この伝統的なヘッジング戦略を踏み外すような勇み足の発言をしてしまったからだ。
この発言に対して中国は過剰に反応し、カンカンになって怒ってしまった。皮肉なことだが、こうしたことを一つとってみても、無用な波風を立てずに相手の顔色を窺うヘッジング戦略外交がいかに大切かが身に染みよう。
第三にロシアやイランなど、他の国々に対しても日本は繋がりを保とうとする。中東やロシアからエネルギー資源を買わなければ、生活が成り立たないからだ。『外交青書』(2025年版)では、こう述べている。
高市外交はしたたかに計算された生き残り術か
「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り、地域及び国際社会の平和と安定、繁栄に貢献していくことが、日本外交の責務です」
表向きは美しい言葉を並べながらも、実際にはアメリカの目を盗むようにして、独自の経済的な繋がりを持ち、資源を確保するための実利優先の外交を泥臭く行っている。
対韓国においても、高市首相は「竹島の日の記念式典に閣僚級を出席させる」という公約を破った。全員と適度に仲良くしなければ、日本は干上がってしまうからだ。
結論として日本の外交は「アメリカに従いながら、裏ではイランとも中国とも韓国とも国益のために仲良くする」という、図太く計算された生き残り術である。
しかし、私はここで一つの思いをどうしても捨てきれない。いくら外交が実利優先のヘッジング戦略で基本いいのだとしても、それに甘んじるのは、ただの「思考停止」である。
協力と競争を両立させるために曖昧な態度を取り、相手によって言うことを変える二枚舌を使っていれば、本来、馬鹿にされても仕方がないのだ。また、戦略が本質的に「曖昧」であるため、相手国や第三国が日本の意図を誤読しやすいという大きな危険もある。
二枚舌外交の限界を補うために
例えば、「日本は中立を保っているのではなく、裏で敵対の準備を進めているのではないか」と疑われるリスクだ。
だからこそ、「スナックママ」のやりすぎは良くない。理不尽で横暴な客に対しては、笑顔の中にも毅然とした態度でピシャリと対応するものである。繁盛する一流店とはそういうものだ。
そして、この曖昧で誤解されやすい二枚舌外交の限界を補うために、日本はこれからの方向性を明確に示す必要がある。例えば、対象を「東アジア」に限定し、この地域の経済的・軍事的な安定に対して積極的に関与していくと堂々と掲げてはどうだろうか。
外交の舞台で相手の顔色を窺い、泥臭く実利を追い求めること自体は、資源も力もない日本が生き残るための厳然たる事実であり、私はその経済合理性を支持する。だが、その根底にあるべき「国家としての誇り」まで売り渡してしまえば、単なる卑屈な迎合に成り下がる。
四方に媚を売りつつも、最後の一線では毅然と振る舞い、東アジアの安定という明確な軸を持つしたたかさこそが、国益を守る道ではないか。
文/小倉健一 写真/shutterstock

メディアが報じない“日米首脳会談の真実”。トランプ大統領の「非礼」と、反論を飲み込んだ高市首相の“危うい沈黙”

ワシントンで開かれた日米首脳会談の冒頭撮影(頭撮り)の席で、アメリカのトランプ大統領が旧日本軍による真珠湾攻撃を冗談めかして引き合いに出したことが、アメリカと日本の主要メディアで大きく取り上げられた。イラン攻撃を同盟国に事前に伝えなかったことの理由を日本人記者から問われたトランプ大統領は、「日本ほど奇襲を熟知している国はないだろう。なぜパールハーバー(真珠湾攻撃)を教えてくれなかったのか」と述べた。多くのメディアはトランプ大統領の「パールハーバー」発言に、高市首相は息を飲み、顔から笑みが消えたと報じている。しかし、映像をよく見ると、高市首相が少し深い息をしたのは「パールハーバー」という単語が出る前のことで、メディアの指摘は少々、まゆつばものであることがわかる。「パールハーバー」発言のポイントは外交の「礼儀」をわきまえないトランプ大統領の日本に対する「無礼」と、日本人としての立場を明確に述べなかった高市首相の「失策」にある。◆高市首相の「反応」をめぐる報道と実際のズレ「パールハーバー」発言に対する高市首相の様子については、ワシントン・ポストは「目を大きく見開き、椅子に深く座り、顔から笑みが消えた」と報じた。ニューヨーク・タイムズも「目を見開き、深く息を深く吸い込んだようだった」と記している。日本のメディアも「目を見開いたものの反論はせず、受け流した」(時事)、「一言も発さず、目を大きく見開いていた」(共同)と報じ、高市首相が「パールハーバー」という言葉に反応したかのように伝えている。本当にそうだったのか。ホワイトハウスがインターネット上にアップしている映像をよく見てもらいたい。開始から24分06秒でトランプ大統領は「日本ほど奇襲を熟知している国はないだろう」と話し始めている。その部分が終わるころ高市首相は軽く深呼吸をし、同時に目が少し大きく開いている。単純に深呼吸に伴う目の動きのように見える。なぜなら、まだ「パールハーバー」という言葉が出ていないからだ。トランプ大統領の「なぜパールハーバーを教えてくれなかったのか(Why didn’t you tell me about Pearl Harbor? )」という言葉は、英語では「パールハーバー」という単語が最後に出てくる。その「パールハーバー」という単語が飛び出す前に、すでに高市首相は深い息をし、目を大きく開けている。アメリカ側からトランプ大統領が「パールハーバーの話をするぞ」と高市首相に伝えていない限り、「パールハーバー」という言葉が出て来なければ、これが真珠湾攻撃の話かどうかはわからないはずで、その前の変化は別な要因としか思えない。

《堺市13歳女子中学生自殺》「ほんまうざいねんけど」13歳の女子中学生を自殺に追い込んだ、女子バレー部で起きた“壮絶すぎるいじめ”の一部始終

2019年10月26日深夜、大阪府堺市の中学2年生だったトモコさん(仮名、享年13)がマンションから転落し、救急搬送された。一命はとりとめたものの1週間後に病院で死亡が確認された。
トモコさんは小学校時代からいじめを受けており、中学生になってからは部活動内での人間関係に悩んでいた。母親に相談することも度たびあり、「死ね」「うざい」と言われて傷つく気持ちを吐露していたという。女手ひとつでトモコさんを育ててきた母親は、やるせない思いをこう語る。
「トモコは小学校時代からいじめにずっと苦しんでいました。洗脳されるように『死ね』と言われ続けて、言葉にできない辛さを抱え込んでいました。うちは父親がいないので私がどうにかしないといけないと思っていたんですが……。トモコをいじめた加害者たちには、『あなたの言葉で人を殺せるんだよ』と気づいてほしいです」(母親、以下同)
小学生の頃から始まったトモコさんに対するいじめは対面での暴言に加えて、LINEの中でも続いていた。
「同級生が公園で遊んでいる時に、トモコに『はよ、来い』『はよ来んとコロス』というLINEメッセージが何通も届いていました。怒りマークの絵文字なども合わせて20件連続で並んでいて、見た時はぎょっとしました。『ママが行って話しよか?』と言ったんですが、『ママが話しても無駄やで、ママの前ではいい人ぶるもん』と言っていました。家に呼びに来る時も外から大声で『トモコ! 早く出てこい!』と叫んでいました」
「ママの子が、友達に舐められるような子でごめんね」
当時、トモコさんはよく家族に「ごめんね」と謝っていたという。
「トモコをいじめていたメンバーについて、教師にも『付き合わなくていい』と言われたことがあるのですが、トモコはその子たちを拒絶しきれずにいました。さらに相手を恨むよりも『家族や近所に迷惑をかけている』、『私は迷惑をかける人間なんだ』と自分を責めて苦しんでいたと思います。『ママの子が、友達に舐められるような子でごめんね』と言ったこともありました。そんな相手と仲良くしなくていい、とは伝えたのですが……」
小学校卒業後、トモコさんは公立中学に進学したので同級生の多くは小学校時代と同じで、いじめは終わらなかった。
中学校に進学する頃、トモコさんは母親に「自分は見下されている。バカにされている、と理解している」と話したこともあったという。トモコさんからの断続的な相談を受ける中で、母親は学校に電話で相談し、教頭を通じて担任や部活顧問にいじめについて伝えてもらっていた。
トモコさんが最も苦しんでいたのは、女子バレー部の人間関係だった。 母親が違和感を覚えたのは、7月2日の部活動中にトモコさんは引き付けを起こして体育館で倒れた時だった。
知らせを受けた母親が学校へ向かうと、トモコさんは保健室のベッドに寝かされ、リンパ部を冷やすための水袋を当てられていた。教師がうちわであおいでいたが、口の端には泡を吹いた跡があったという。
「練習中に体育館で倒れて、先輩に保健室まで運んでもらったようでした。トモコは過呼吸のようにぜぇぜぇと息をしていて、小刻みに震えてもいました。しかし近くにいた先生は『熱中症かな?』とそれほど深刻に捉える様子もなく、『救急車呼びます?』とこちらに聞いてきました。救急車を呼ぶより自分の車で病院に連れていった方が早いと思ったので、部活顧問に車椅子を持ってきてもらい自分の車まで連れていき病院へ行きました」
翌日には登校できたが、数日後に部活で再び倒れてしまった。母親が学校へ向かうと、今度はトモコさんがなぜかカーペットの上で正座していたという。
「保健室のカーペットに正座して、上体を丸めてダンゴムシのようになりながら『頭が痛い』と唸っていました。どうして床にいるのかとびっくりして聞いたら、先生は『本人がそこがいいっていうので』と。せめてベッドに連れてってあげてくれてもよかったと思うのですが……。この2回のことで、学校は子どもを守る意識が低すぎると感じました。トモコも先生に見捨てられている感覚があったと思います」
「お母さんが休めと言ったからって、なんで休むん?」
夏に3年生が引退して新チームになると、バレー部内でのトモコさんの立ち位置はますます悪化し、9月頃からいじめが深刻化したという。
「秋頃に一度、家族の用事があったので部活を休むようにトモコにお願いしたことがありました。しかし休みの希望を顧問に伝えた数日後、同級生に呼び出されて『お母さんが休めと言ったからって、なんで休むん?』と詰問されて泣いてしまったと話していました。日頃からトモコは学校で起きたことを話していたので知ることができました」
この件はほどなく収束したが、その日からトモコさんに対する部員の態度が厳しくなり、練習試合の集合場所や集合時間、お弁当がいるかどうかなどの連絡が届かないことが頻発するようになったという。試合の前日の夜に母親が教頭に問い合わせてトモコさんに伝えて練習試合への参加はできたが、試合中にも嫌がらせを受けた。
「点数係をしていたトモコを同級生が『休んだのにわかるん?』とからかったり、荷物を多く持たせたりしたんです。顧問に相談しても『仲良くやっているように見えます』と言われただけでした。しかしトモコは『先生、部活に来ないのによく言うわ。見てないくせに』と不満げでした」
この時期、トモコさんは買ったばかりだった筆箱を「見たくない」「もう使わない」と言って使わなくなったことがあった。後に母親はその筆箱の中から「なんで? 休むん? 休むん? どうなん? 足いたいから休むとか言ったらほんまうざいねんけど」などと書かれたメモが小さく折りたたまれていたのを発見した。
そんな状況が続き、トモコさんは11月についにバレー部から退部することを決めた。すると、退部届を出した日の放課後に、同級生に「帰るの待ってくれる?」と呼び出され、「なんで急に辞めた?」と問い詰められた。
2年生の先輩にも呼び出され、「言わなあかんことあるんちゃうん?」と詰問された。トモコさんは「『やめる』とか『しんどい』とか先輩に相談できることいっぱいあったのに、できなかった。本当にすみません」と謝った。すると、先輩から「別に、謝ってほしいわけじゃない」と突き放されたという。
その後、トモコさんは学校から家に帰るまでの間、涙が止まらなかった。そして母親にその日あったことを報告する中で感情を爆発させ、「先輩に相談して何とかなるなら相談するけど、なんとかできるの? みんなは自分のことばかり。(同級生6人に謝罪したのは)結局お礼参りの強要でしょ」と涙ながらに訴えた。
「学校には、体調面を含めて部活をやめるという手紙を出しています。しかし、退部の挨拶の機会を与えられませんでした。与えられたら、呼び出されることはなく、トモコが傷つくことはなかったと思う」
「学校の大人も同級生も先輩もみんな怖い、こんなところ1秒も居たくない」
バレー部は退部したが、トモコさんは11月14日から学校へ行けなくなってしまった。
「しんどいとこぼすことが増え、体も心配だったので病院に行ったりもしました。『行きたくないなら行かんでいいし、しんどいなら休めばいい。しっかり休みや、そんで元気になりや』と言いました。人間関係に関しても、『付き合わんでいい人っておるねんで、関わらんでいいと思う』と、話したこともありました」
中2になっても不登校は続き、トモコさんと母親は5月に教科書を受け取りに学校へ行くことになったが、震えながら号泣し、暴れながら叫び声をあげた。
「学校の大人も同級生も先輩もみんな怖い、誰にも会いたくない、こんなところ1秒も居たくない」
状況が改善する兆しはまったく見えなかった。
〈 「まさかトモコじゃないよね?」部活でのいじめを苦にした女子中学生(13)の母親が忘れられない“嫌な予感”が走った瞬間 〉へ続く
(渋井 哲也)