ついに海自艦が「北極圏」へ到達! 歴史的瞬間を公式が公開 5万4340kmの長旅が佳境に

海上自衛隊・練習艦隊が北極圏に入域しました。
海自艦が初めて「北緯72度」に到達
海上自衛隊・練習艦隊は2026年10月8日、練習艦が北極圏に入域し、海上自衛隊として初めて北緯72度に到達したと発表。公式Xでその様子を公開しました。
練習艦隊は現在、遠洋練習航海を行っています。遠洋練習航海とは、海上自衛隊の初級幹部を対象に、外洋航海を通じて知識や技能を実地で修得させることなどを目的に、毎年実施されています。
70回目となる今年度は、ベテランの練習艦「かしま」と「やまぎり」が5月16日から10月24日までの計161日間、太平洋や大西洋、カリブ海、ベーリング海などを航行します。総航程は約5万4340kmにおよびます。
9月下旬にはアメリカ・アラスカ州アンカレッジに寄港し、このほど北極海に入域しました。北極海は10月上旬にも関わらず、気温が氷点下、海水温度も2度と厳しい冷え込みを見せているといいます。
艦上では航海安全と融和団結を祈念する「北極祭」が開催されたとのこと。北極圏にちなんだ劇や祥瑞太鼓の披露、音楽隊の演奏で士気を高め、以後の航海に臨むとしています。
なお、練習艦「かしま」は2020年9月に海上自衛隊の艦艇では初となる北極圏への入域を果たしており、今回の入域は2回目となります。
北極海では昨今、地球温暖化による海氷の減少に伴い、北極海航路の利活用や資源開発などに向けた動きが活発化しています。
艦船の航行が可能な期間や海域も拡大しており、ロシアが北極圏沿岸部にレーダー監視網の整備を進めているほか、対空・地対艦ミサイルを配備するなど、軍事的なプレゼンスを強化する動きも見られます。(乗りものニュース編集部)

資材倉庫に侵入し電線など時価91万円相当を盗んだ疑い 49歳作業員の男を逮捕 転売目的で繰り返していた可能性も

資材倉庫から電線などを盗んだとして49歳の男が逮捕されました。 岐阜市の作業員・伊藤貴之容疑者(49)は9月17日、土岐市内の資材倉庫に侵入し、電線など時価91万円相当を盗んだ疑いが持たれています。 伊藤容疑者は黙秘していますが、この前日に各務原市内で電線を盗んだ容疑でも既に逮捕されていて、転売目的で犯行を繰り返していた可能性もあるとみられています。 ※画像は岐阜県警提供

高市早苗首相、「予算カット」発言の簗和生農水相は“ヤナちゃん”と呼ぶほどの仲良し “お友達人事”で自らの意向を反映させ“得意満面”、党内での批判には聞く耳持たず

9月17日に発足した第2次高市改造内閣が、いきなり躓いている。初入閣した簗和生農林水産大臣の”予算カット発言”に批判が殺到。しかし、高市早苗首相(64才)は高い支持率を背景に強気な姿勢を崩していない。党内でいま、何が起きているのか──。【前後編の前編】
首相肝いりの人選
「誰もが明日への希望を持てるニッポンを、つくり上げて参ります」
10月5日、衆参両院の本会議場で、所信表明演説に臨んだ高市首相)。語気を強めてこう宣言すると、議場は喝采に包まれた──。
9月17日に発足した第2次高市改造内閣。首相の意気込みとは裏腹に、船出から2週間足らずで早速、難題が持ち上がっている。
「初入閣した簗和生農林水産大臣の”予算カット発言”が『週刊文春』と『週刊新潮』で相次いで報じられました。今年5月、簗大臣の地元・栃木県内で開かれた自民党の会合で、那須烏山市と那珂川町の今年度の道路予算について《大幅にカットしました》と発言していたというものです。
“(先の衆院選で)自身を応援しなかった自治体の予算を恣意的に減らした”と受け取れる内容に批判が殺到。木原稔官房長官に叱責された簗大臣は発言を撤回し、謝罪に追い込まれました」(政治部記者)
批判の渦中にある簗大臣は、高市首相にとって特に距離の近い議員のひとりだ。
「普段から『ヤナちゃん』と呼ぶほど仲がいいことで知られています。今回の内閣改造における”お友達人事”を象徴するような、首相肝いりの人選でした」(前出・政治部記者)
“身内”の起用が炎上につながった一方、高市首相がこの秋、ことさらに力を入れたのが人事だったという。
「かねて”外交嫌い”を指摘されてきた高市首相は、9月22日に米ニューヨークの国連本部で行われた国連総会に出席。トランプ大統領との日米首脳会談にも臨んだものの、翌日の午前中にはニューヨークを発つという”とんぼ返り”の日程で、各国要人との会談の多くは、現地に残った茂木敏充外相が担っていました。帰国後、首相は自室にこもり、国会の各委員会の委員長ポストや党内の役職の采配に没頭していたようです」(永田町関係者)
「そんなに細かな人事まで決めるのはいかがなものか」
一方こうした首相の振る舞いには、自民党内から批判的な声も聞こえてくる。
「党内には、幹事長など党幹部に人選が委ねられている役職も数多くあります。それでも今回は、高市首相がかなり細かなところまで人事に口出しをしていた。そのため、一部では『首相がそんなに細かな人事まで決めるのはいかがなものか』と苦言を呈する声も上がっていました。しかし本人はまったく聞く耳を持たず、どこ吹く風といった様子です」(前出・永田町関係者)
こうした強気な姿勢の背景には、依然として60%以上で推移する高い内閣支持率がある。
「いまの首相にはなかなか異を唱えにくい空気があります。人事でも自らの意向を次々と反映させ、まさに”得意満面”といったところではないでしょうか。簗大臣の失言も、支持率にはそこまで響かないと考えているようです」(前出・永田町関係者)
(後編へ続く)
※女性セブン2026年10月22日号

「衣服がすべて燃えている」畑で火事 女性(89)が全身にやけど 約13時間後に死亡確認

8日夕方、福岡県朝倉市で畑が燃える火事があり、全身にやけどをした89歳の女性が死亡しました。
8日午後4時ごろ朝倉市大庭の畑で、近くに住む男性から「野焼きの炎が燃え移った。全身やけど、衣服がすべて燃えている」と消防に通報がありました。
火は、畑の雑草など約55平方メートルを焼き、10分ほどで消し止められました。
火事により、この敷地に住む手島禮子さん(89)が全身にやけどをして病院に運ばれましたが、約13時間後に死亡が確認されました。
警察によりますと、手島さんは息子家族と4人で暮らしていますが、出火当時は1人だったということです。
警察と消防は、火が出た原因を調べています。

簗農相の予算カット発言、首相が「私の大事なやなちゃん」擁護も収束見通せず…公選法違反の疑い報道も

高市首相が8日の代表質問で簗農相の続投を表明したのは、地元自治体の道路予算を巡る発言を問題視しつつも予算減額の働きかけを否定した国土交通省の調査結果などを考慮したからだ。政府・与党は事態の収束を図りたい考えだが、国会審議への影響は避けられない状況で、幕引きは見通せない。(谷口京子)
「私の不徳によるもので不適切だったと自覚している」。簗氏はこの日、衆参両院の代表質問で答弁に立ち、低姿勢で釈明を重ねた。首相も簗氏を厳しく注意したと説明した上で、引き続き職務に当たらせる考えを強調した。
簗氏はすでに発言を撤回して謝罪し、国交省は道路予算の減額への働きかけは「なかったとみられる」との調査結果を発表した。首相周辺は「本人や政府が答えられることは全て答えた」とし、これ以上の説明は難しいとの認識を示す。
内閣改造直後に閣僚を交代させれば、首相の任命責任が問われるのは必至となる。今年3月には松本洋平文部科学相(当時)が女性問題で追及されたが、続投で乗り切り、政権発足後、不祥事などで交代した閣僚はいない。
首相が簗氏を買っていることも擁護姿勢につながっているとみられる。首相は2月の衆院選の応援演説で簗氏を「私の大事なやなちゃん」と親しみを込めて紹介した。簗氏は自民党派閥の政治資金問題で収支報告書に1746万円の不記載があったが、入閣させた。
一方、野党は簗氏の資質にも矛先を向け、追及を続ける構えだ。選挙での支援と予算を絡めた発言の性質に批判が集中している。
立憲民主党の田名部幹事長は8日の参院代表質問で、「予算を政治的な報復や見返りに用いようとする姿勢は到底許されない。撤回、謝罪だけで済むとお考えか」と迫った。共産党の田村委員長は記者会見で「有権者を恫喝(どうかつ)しているに等しい」と指弾した。
国会審議への影響も不可避の情勢となっている。立民の斎藤嘉隆国会対策委員長は自民の磯崎仁彦参院国対委員長と国会内で会談し、参院農林水産委員会で簗氏の所信聴取に応じないと伝えた。斎藤氏は記者団に「早期に大臣の職を退かれることを強く求めたい」と語った。
簗氏を巡っては、8日発売の週刊文春が、過去の衆院選で支持者をシャトルバスで無料送迎したことが公職選挙法に違反する疑いがあると新たに報じた。自民内では「世論の動向次第では、続投を貫き通せるかわからない」(閣僚経験者)との声も出ている。

奈良の「飛鳥鍋」…明日香の地に、飛鳥時代から伝わる郷土料理

7月に世界遺産に登録された「飛鳥・藤原の宮都(きゅうと)」(奈良県橿原市、桜井市、明日香村)。のどかな田園風景の中に古墳や史跡が点在する地域に、古くから伝わる郷土料理「飛鳥鍋」がある。この鍋を提供する明日香村の料理店「飛鳥の里 めんどや」を訪ねた。
「裏メニュー」だった鍋、口コミで広がる
用意された土鍋には乳白色のだしが張られていた。牛乳と和風だしをブレンドした特製という。
由来は飛鳥時代にさかのぼる。中国から伝わり、献上された牛乳を孝徳天皇が気に入り、宮中で乳牛を飼うように。当初は貴族の飲み物だったが、次第に他の階級にも広まった。その後、僧たちが鶏肉を牛乳で煮て食べたのが始まりとされる。
めんどやでは30年ほど前、裏メニューだった鍋が口コミで広まり、一般向けに提供するようになった。
具材の鶏肉に、ハクサイやネギ、シイタケなどの定番野菜のほか、ブロッコリーやアスパラガスなども。6代目店主の北海希美子さん(58)は「いずれも地場産。体の中から奈良・飛鳥を味わってほしい」と話す。
一口食べると、牛乳のクセはなく、素材のうまみを生かした味わいが広がる。煮込むにつれてコクも増した。残暑厳しい日だったが、汗を流しながら一気に平らげた。
1人前2750円(注文は2人前から)。自家製のゴマ豆腐や柿の葉ずし、わらび餅が付くセット(同4200円)もある。
こちらもオススメ…「フローズンいちごソフト」
食後のスイーツにと、農産物直売所「あすか夢販売所」(明日香村御園2の1)で「フローズンいちごソフト」(650円)を食べた。県特産イチゴ「あすかルビー」を使ったソフトクリームは甘みと酸味のバランスが抜群。3粒の凍ったイチゴもアクセントがきいていた。
いよいよ本格化する秋の行楽シーズン。飛鳥路の散策で古代の息吹を感じつつ、ゆかりのグルメも味わいたい。
※税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。
国内外の総支局長が、日頃通っている店のおすすめメニューなど、地域の自慢の味を紹介します。
奈良県明日香村岡40
午前11時~午後4時(売り切れ次第終了)。不定休

医療従事者の精神障害急増=労災認定、災害やカスハラ要因―過労死白書

政府が9日閣議決定した2026年版の「過労死等防止対策白書」で、医療従事者の精神障害に対する労災認定件数が急増していることが明らかになった。悲惨な災害経験のほか、医療機関利用者らによる迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」も要因とされ、対策は急務だ。
白書では、医療従事者の精神障害に対する労災認定件数について、12年度から3年ごとの推移を分析。直近の21~23年度は年間平均59.3件に上り、12~14年度(16.3件)の3.6倍に増えた。全期間を通じた要因別では「悲惨な事故や災害の体験、目撃」が最多だった。
一方、25年度の医療・福祉業界の精神障害に関する労災の要因は「対人関係」がトップ。カスハラや上司とのトラブルが含まれるとみられる。 [時事通信社]

岡山市の認可保育施設で園児を暴行した疑い 保育士の男(33)を逮捕

保育士の男が園児に暴行か
岡山県警は園児(男の子)に暴行を加えたとして33歳の保育士の男を逮捕しました。
暴行の容疑で逮捕されたのは岡山市南区浦安西町の保育士の男(33)です。

警察によりますと男は、おととい(7日)午後1時半ごろ、岡山市南区の市の認可保育施設で男の子の服を掴んでひっぱり、首を手で押さえるなどの暴行を加えた疑いが持たれています。
母親「子どもの体にあざがある」と相談
きのう(8日)男の子の母親から「子どもの体にあざがある」という内容の相談が岡山南警察署にあり、警察が捜査を行った結果、男の容疑を特定し、けさ(9日)逮捕したものです。男の子は今後病院を受診する予定だということです。
警察の調べに対して男は「保育士として許される範囲のこと」と話し、容疑を否認しています。警察は男の余罪の有無も含め捜査しています。

妻は慟哭「遺体の頭部は全体を白い包帯で覆われて…」クマに襲われ亡くなった男性従業員(60)が辿った“数奇な人生”

〈 「人間の頭髪や顔の一部が…」クマに襲われた男性従業員(60)は遺体で発見…被害者を50メートルも引きずった“クマの執着心”の恐ろしさ 〉から続く
司法解剖の結果、クマに襲われた男性従業員の死因は「出血性」ショックとされた。『 羆を撃つ 』(文藝春秋)より、岩手県北上市の温泉施設で起きた事故を検証した「名物レフェリーはクマに連れ去られた」を紹介する。(全2回の1回目)
◆ ◆ ◆
妻の慟哭
瀬美温泉の代表取締役、岩本和裕は、遺体の身元確認に臨んだ。
傍らにはSさんの妻もいる。
「あの光景はもう……思い出したくないですね」
遺体の頭部は全体を白い包帯で覆われていた。
Sさんの妻の慟哭が部屋に響きわたった。
司法解剖の結果、死因は「出血性」ショックとされた。
「ただただ申し訳ない、それしかなかったです。あのとき僕が彼に『うちで働けば?』と言わなければこんなことにはならなかった」
実は岩本とSさんの関係は、単なる「雇用主と従業員」ではない。
Sさんはもともと全日本女子プロレスをはじめとする複数の団体で活躍する名物レフェリーだった。温厚な人柄と公正な判定で「ささやん」の愛称で親しまれ、2015年からはプロレス団体「ゼロワン」の運営会社の副社長も兼ねていた。
岩本はコールセンター事業を手掛ける会社を自身で経営していたが、ゼロワンのコールセンター業務を請け負ったことをきっかけに、ゼロワンの経営にも携わるようになった。
そして2020年から同団体運営会社の代表取締役を務めることになったのである。
岩本が当時を振り返る。
「僕が代表取締役に就いて、Sさんは取締役に退いたかたちですが、2人でもよく飲みに行きました。川崎の『餃子の王将』とかね。で、今でも覚えているんですがSさんは餃子をコショーと酢だけで食べるんですよ。ゼロワンの大谷(晋二郎)選手も同じように食べてたんで、あれはプロレスラーの流儀なんですかね。Sさんってほとんど喋らないんです。僕が一方的に喋って、Sさんは黙ってニコニコしながらそれを聞いているみたいな感じでした」
岩本は同年に団体を去り、その後、経営不振に喘(あえ)いでいた瀬美温泉を買い取った。
一方のSさんは、2025年2月にレフェリーを完全引退。巡業続きの生活を卒業し、家族と過ごす時間を増やすために伝手を頼ったのが、旧知の岩本だったのである。
こうして同年3月、Sさんは妻と娘を連れて、瀬美温泉で住み込みで働くようになった。
「落ち着いたら、そのうちこっちでも飲みに行こうよなんて話をしてたんですが……」
それから約7カ月後、Sさんはクマに連れ去られたのである。
倒産を覚悟した
事故後、岩本にとっての怒濤の日々が始まった。
「まるで自分が映画やドラマの世界に放り込まれたようでした」
断っても断っても、岩本にコメントを求めるメディアの人波は途切れることがなかった。
さらにYouTuberや動画配信者までもが大挙して押し寄せた。
「彼らは現場の映像を撮るために規制線を勝手に突破して、敷地の中に入ってくるので、何度もトラブルになりました」
また、警察による捜査や保健所による調査のため、温泉は閉鎖を余儀なくされた。
「当然、その間は無収入ですが、施設の維持費や十数人いる従業員への給料など固定費は払わないといけない。貯金残高がみるみる減っていき、倒産を覚悟しました」
仮に捜査や調査が終わったとしても、新たに十分なクマ対策を施さないうちは、温泉の再開は事実上不可能だった。だが、対策を施そうにも手元に資金は残っていない。
「そのための資金を金融機関から借りようとしても、どこも貸してくれませんでしたね。メインバンクは“決算書を出せ”の一点張りで、けんもほろろの対応でした」
そんな中で、唯一、話を聞いてくれたのが地元の信用金庫だった。
「僕の何を信じてくれたのか、わかりませんが、これは本当に有難かったです。だって金融機関からすればリスクしかないわけですから」
最終的に、この信金からの融資を受けて、敷地へのクマの侵入を防ぐための鉄柵や監視カメラ、AIカメラ、さらにクマへの注意喚起を促す巨大看板などの新たな安全対策を施した。その費用は総額数千万円に達したという。
こうして事故から約1カ月後の11月17日、内風呂のみではあるが日帰りの入浴から再開した。
私が岩本に話を聞いたのは、それからさらに半年が経った頃だったが、依然として露天風呂は閉鎖されたままだった。
――露天風呂の営業については再開する予定はないんですか?
「ない、ない! だって、逆に聞きますけど、伊藤さんなら再開できますか? 100%安全なんて、ありえないですから。少なくとも僕がオーナーをやっている間は、露天風呂を再開する気はありません」
岩本もまた事故によって心に深い傷を負った。
だが、オーナーという立場は、彼に“被害者”としてふるまうことを許さなかったのだ。
その葛藤が語気の強さに滲んでいた。
(文中一部敬称略)
〈 クマに連れ去れられた男性従業員(60)の遺留品からは「娘さんの給食費の領収書が…」露天風呂に侵入→人間を食害した“クマの異常性” 〉へ続く
(伊藤 秀倫/Webオリジナル(外部転載))

「声を出せば、首を切る」21歳女性を殺害→ナイフで舌や下腹部を《女子大生モデル殺害事件》裁判で明らかになった前科9犯男の【歪んだ性癖】(平成23年の事件)

〈 「遺体は血まみれ」「舌を切り取られていた」車の助手席から見つかった“21歳女性の遺体”女子大生モデルを襲った「前科9犯の男」(平成23年の事件) 〉から続く
整体院のモデル募集という嘘で21歳の女子大生を呼び出し、惨殺した元服役囚の男。前編では驚愕の自首劇と助手席に残された凄惨な遺体の真相を追ったが、なぜ男は死後に遺体をズタズタに切り刻んだのか。
その陰には、男の中に芽生えた「恐ろしい欲望」が存在していた。裁判で明かされたのは、性犯罪を繰り返してきた「前科9犯」の異質な素顔と、「被害者が両親に連絡してと言っているように見えた」という身勝手極まる弁明だった。
遺族が涙ながらに訴えるなか下された判決とは? なお、プライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目)
◆◆◆
モデル事務所に片っ端から電話
最初は10代前半の女性を希望し、「整体院で身長が伸びる研究をしている。成長期の女の子の足を撮影したい」などという口実で電話をかけていたが、未成年者は保護者の立ち会いが必要になることが分かると、成人女性にターゲットを変えた。
西森は出版社に「モデル事務所を教えてほしい」と電話をかけたり、ネットでモデル事務所の連絡先を調べ、12社ぐらいに派遣を依頼したが、第三者の立ち会いを条件に出されると、「撮影の気が散る」「自分の技術を盗まれたくない」「施術室が狭い」などと言って頑なにそれを拒み、ようやく単独で出張してくれるところを見つけ出した。それがA子さんの在籍するモデル事務所だった。
「顔マッサージのメニュー表を作りたい。予算は2万~3万円。撮影は2時間ほどでいい。ビジュアルのいい若い女の子を頼む」
担当者はA子さんを含む4人のモデルをピックアップしてリストを送り、事件前日に西森から「A子さんでお願いしたい。午後2時に駅まで迎えに行く」という連絡を受けた。
依頼に不審な点はなく、撮影日や宣伝写真を示す「本番日」「コンポジ」などの専門用語も違和感なく使い、担当者は普段からモデルを扱う仕事に慣れた客だと思い、西森の企みに気付かなかった。
「少しでも声を出せば、首を切ります」
A子さんは事務所からその連絡を受け、メイクを済ませた上で時間通りに出張した。
「クライアントの西森社長ですね。今日はよろしくお願いします」
事件当日、西森とA子さんは駅で落ち合った。西森の企みも知らず、A子さんは疑うことなく、車に乗った。西森は車の中で「自宅でできる背骨矯正の方法がある」などと話して興味を引きつけ、A子さんに「サービスで教えますから」と言って喜ばせた。
自宅に着くと、「体を固定するから」と言って、A子さんを寝かせて後ろ手に縛った。「ちょっときついんですけど……」と戸惑うA子さんに対し、いきなりこんな紙片を見せたのだ。
〈今日のたった2時間、私の指示に従うだけで家に帰れますし、命の保証もします。少しでも声を出せば、首を切ります。2分で死にます〉
A子さんは悲鳴を上げてのけぞった。あまりにも暴れるので、西森はわいせつ行為どころではなくなり、「このままでは警察に通報されてしまう」と焦り、用意していたナイフをA子さんの首に突き刺した。
A子さんは首の動脈を切断され、大量の血が噴き出し、十数分で絶命した。西森はオロオロし、A子さんの遺体を車に乗せて、その場から逃げ去った。
遺体を切り裂いた理由
人気のない山道の入口に着くと、西森は精神安定剤をビールと共に流し込み、「どうせ死ぬんだから」とA子さんの衣服をナイフで切り裂いた。
A子さんの裸体を見ているうちに、「今度こそ自分の思い通りにしたい」という欲望が芽生え、ハサミで乳房を切り取った。
さらに唇や舌を切り取り、ナイフで腹部を切り裂き、下腹部を切り取った。西森は一人で悶絶し、征服感に酔いしれた。
それで気が済むと、切り取ったものを手元に残し、A子さんの遺体を山中に投げ捨てた。しかし、現場を離れた途端、「誰かに遺体を発見されるかもしれない」と不安になり、再び現場に戻って、遺体を引き上げた。あらためて彼女の遺体を助手席に乗せ、代わりに切り取ったものを投げ捨てた。
その直後、西森は自宅近くに住む母親にこんな電話をかけている。
「お袋、オレはもうダメだ……。自殺する。どこか遠いところへ行くよ」
母親は驚き、西森の妹にあたる娘に連絡し、「自宅を見に行ってほしい」と頼んだ。西森の妹が様子を見に行ったところ、大量の血痕を発見し、警察に届け出たのだ。
一方、西森はウロウロしただけで死に切れず、A子さんの所属事務所に本名や自宅住所を教えていたため、いずれ犯行はバレると考え、翌日未明に警察署に自首した。西森の身柄は管轄署に引き渡され、殺人容疑などで逮捕された。
「わいせつ目的ではなかった」
調べに対し、西森はわいせつ目的の犯行だったことを認めていたが、途中から調書への署名を拒否して、「わいせつ目的ではなかった」と供述を変遷させた。
「背骨を矯正してあげようとしたが、被害者に誤解されて騒がれたので、黙らせようと脅しでちらつかせたナイフでとっさに刺してしまった。
遺体を傷つけたのは、薬とビールで気が大きくなっていたから。死ぬのは怖くなかったが、彼女の遺体を見ているうちに『お父さんとお母さんに早く連絡して欲しい』と言っているように見えて、それができるのは自分しかいないと思い直し、警察署に自首することにした」
前科9犯だった男のその後
西森は23歳の初犯以降、のぞき目的の住居侵入、下半身を露出した公然わいせつ、女性を縛っての強制わいせつ、客室乗務員の制服の窃盗、児童を裸にさせて撮影した児童ポルノ製造など、性犯罪だけで前科9犯。7度目の服役を終えた8カ月後、今回の事件を起こしたという札付きだった。
検察側は「撮影を偽装したわいせつ目的であったことは明らか。『メニュー表の作成』と言いながら、ビデオカメラしか用意していない。邪悪な性的欲求から、幸せな家族を一瞬にして悲しみのどん底に突き落とした。根深い歪んだ性癖に基づく、卑劣で残忍で非人道的な犯行だ」と糾弾し、無期懲役を求刑した。
A子さんの遺族は、公判中に何度も泣きながら退廷し、「死刑にならずに出てきたら、今度の標的は皆さんや家族、恋人、友達かもしれません。一生、刑務所から出さないでください」と訴えたが、最後まで「自首」したことが有利に働いて、西森は懲役27年を言い渡された。
「押収された紙片などから、わいせつ目的だったことは優に認められる。わいせつ行為が未遂だったとはいえ、計画的で卑劣な犯行だ。何の落ち度もない被害者の命が奪われた結果は極めて重大である。しかし、刺したのは1回だけで、残虐とまでは言えず、自首している上、公判でも殺人を認めていることに照らせば、無期懲役刑は重いと言わざるを得ず、有期刑を選択するのが相当である」
納得できない遺族は控訴を求めて署名活動したが、検察側は「より重い判決を得るだけの立証は困難」として控訴しないと発表した。
これを受けて、西森は控訴期限ギリギリに弁護士にも相談せず、自ら控訴を申し立てたが、18日後には控訴を取り下げて判決が確定した。取り下げた理由は不明である。
遺族がモデル事務所を提訴
その後、遺族はモデル事務所を相手取り、安全確保を怠ったために事件に巻き込まれたとして、1億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
事務所側は「モデルは個人事業主であり、事務所の仕事は依頼者との仲介役にすぎない」と反論した。
だが、遺族の鋭い追及には背中を丸めるばかりだった。
遺族「二度と同じことが起きない対策を取ったと、胸を張って言えますか?」
社長「危険はなくなったと考えるが、胸を張って言えるかは正直、分からないとしか言えません」
遺族「他人事だと考えていませんか?」
社長「これまでも犯罪は起きておらず、危険だとの認識はなかった」
事件はその後…
遺族にとって追い風になったのは厚生労働省の労働保険審査会が、今回の事件を「労災」と認める裁決を下したことだ。これで地元の労働基準監督署が下した遺族補償などの不支給決定が取り消された。
審査会は「契約書には正当な理由なく出演は拒否できないと明記されている」として、「事務所の一方的な指示の下、A子さんには業務の諾否の自由がなかった」と指摘した。
さらにA子さんが事務所の指示でパーティー会場の受付やテレビ番組の聴衆役、競艇のラウンドガールなど、本来のモデル業務以外の仕事もこなしていたことを重視。「事務所との間に使用従属性があった」として、労働者と認定した。
結局、訴訟は和解が成立した。和解条項は事務所側が謝罪し、再発防止のため所属モデルの安全確保に取り組むことが明記され、遺族が強く望んでいた内容が反映された。和解金額は明らかにされていない。
事務所側は「弊社のマネジメント案件において、このような痛ましい事件が発生したことを心よりお詫び申し上げます。モデルの安全確保には万全を期し、全社を挙げて再発防止に努めます」とコメントした。
(諸岡 宏樹)