障害者事業所への自治体の運営指導、一昨年度の目標達成1割余り…不正受給32億円超

自治体が障害福祉サービス事業所の運営について適切かどうか確認する「運営指導」の実施率が低迷している。事業所を所管する自治体のうち、2024年度に指導を実施した事業所の割合が国の目標値に達したのは、1割余りにとどまった。全く実施しなかった自治体もあり、不適切な運営が行われていても目が届いていない可能性がある。
厚生労働省が各自治体の運営指導の実施率をまとめた資料から判明した。自治体ごとの実施率の全容が明らかになるのは初めて。厚労省は実施マニュアル策定などを進め、運営指導の実施を促している。
障害福祉サービス事業所については、指定権限を持つ都道府県と政令指定都市、中核市の計129自治体が、障害者総合支援法などに基づき運営指導を行う。運営指導では、半日~数日かけて資料確認や聴取などを行い、人員配置や報酬などが適切かを点検する。
厚労省は各自治体に、3年に1度は事業所を運営指導できるよう、管内の33%以上の事業所への実施を通知で求めている。今年3月までに厚労省がまとめた24年度の129自治体の実施率で、33%以上になったのは最も高い46・3%の岐阜市など17県市にとどまった。平均は16・3%だった。
10%未満の自治体は24都府県市あり、新潟市0%、神奈川県0・3%、東京都0・8%などとなった。新潟市は「不正の疑いが判明した事業所などへの対応を優先し、運営指導に手が回らなかった」としている。
厚労省などによると、障害福祉サービス事業所は全国に約17万8000施設あり、この5年間で約2割増加した。給付金目当てで参入する法人もあり、利用者数水増しなどの不正受給も相次ぐ。24年度の不正受給額は計32億円超に上った。
運営指導が進まない背景には自治体の人員や体制が事業所の増加に追いつかないことがあり、特に事業所数の多い東京などの自治体で対応しきれなくなっている。指導で事業所の不正が発覚した例もあるため、厚労省の担当者は「自治体には運営指導の確実な実施を求めたい」と話す。
障害福祉に詳しい関西福祉大の谷口泰司教授は「行政の定期的な運営指導がなければ事業者などへの監視が行き届かず、不正が放置されかねない。各自治体が3年に1度以上は指導できる体制を整備するため、事業者数の制限も検討すべきだ」と話している。

◆障害福祉サービス事業所=障害者らの就労や生活を支援する施設で、「就労継続支援事業所」や「放課後等デイサービス」などがある。主に民間事業者が運営し、申請に基づき都道府県などが指定する。事業所には国や自治体から給付金が支払われる。

九州北部で線状降水帯が発生するおそれ 関東も雨が降ったりやんだりの一日 台風9号は沖縄・先島諸島へ接近の可能性

きょう5日(日)は関東から九州にかけて雨の降る所が多くなるでしょう。九州北部の福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県では、きょう5日(日)昼前から昼過ぎにかけて、線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。
■九州北部は大雨災害に十分注意 九州北部は朝から活発な雨雲が流れ込み、昼前から昼過ぎにかけては福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県で線状降水帯が発生するおそれがあります。夕方から夜にはいったん雨はやんだり、弱まったりする所が多い見込みですが、今夜遅くになると再び活発な雨雲が流れ込んできそうです。
あす6日(月)朝にかけて土砂降りとなり、午前6時までの24時間に降る雨の量は、多い所で150ミリとなる見通しです。九州北部はここ数日の大雨ですでに地盤が緩んでいます。土砂災害に十分注意し、低地の浸水、道路の冠水、川の増水・氾濫などにもお気をつけください。
【24時間予想降水量(多い所)】 ▼あす6日(月)午前6時まで 福岡県 150ミリ 佐賀県 150ミリ 長崎県 150ミリ 熊本県 150ミリ 大分県 120ミリ 山口県 120ミリ
■広範囲で梅雨空 関東も断続的に雨 きょう5日(日)は九州から関東にかけて雨の降る所が多くなるでしょう。雨や曇りでも気温は高く、蒸し暑く感じられそうです。梅雨明けしている沖縄、梅雨前線からは遠い東北北部や北海道では晴れる所が多い見込みです。
【きょう5日(日)の各地の予想最高気温】 札幌 :25℃ 釧路:18℃ 青森 :27℃ 盛岡:27℃ 仙台 :25℃ 新潟:30℃ 長野 :27℃ 金沢:28℃ 名古屋:27℃ 東京:26℃ 大阪 :26℃ 岡山:26℃ 広島 :27℃ 松江:26℃ 高知 :29℃ 福岡:29℃ 鹿児島:33℃ 那覇:32℃
■台風9号 中心気圧が低いまま沖縄接近か 猛烈な勢力となった台風9号は、10日(金)ごろ沖縄・石垣島など先島諸島に接近するおそれがあります。台風9号は中心気圧が低いまま先島諸島に接近する可能性があり、先島諸島では大荒れの天気となることが考えられます。今後も最新の情報に気をつけた方がいいでしょう。
■本州付近は猛烈な暑さ 熱中症に警戒 西日本や東日本は、この先も8日(水)ごろにかけて曇りや雨の所が多くなりそうです。9日(木)以降は晴れて、猛烈な暑さになるでしょう。次の週末は名古屋や福岡などで、35℃以上の猛暑日が予想されています。より一層、熱中症に警戒が必要です。

《品位のかけらもない》新人議員に“3回体当たり”で懲罰の市議、「心配で声をかけた」の苦しい釈明に批判殺到

熊本県八代市の永江恵子市議会議員が新人議員に体当たりを行い、威圧的な発言をしたとして懲罰動議が提出され、波紋を呼んでいる。懲罰は地方自治法が定める手続きで、重い順に除名、出席停止、陳謝、戒告の処分がくだされる。永江議員には陳謝をさせる懲罰動議が可決した。
永江恵子議員の体当たりと威圧的発言
「新人議員は6月16日に、汚職事件に関する調査特別委員会(百条委員会)の審議を妨害したなどとして、自民党市議団の議員3人に対する懲罰動議を提出。本会議場を出たところで、永江議員に背後から3回体当りされたようです。
永江議員は7月1日に行われた本会議で、議員への体当たりと、“新人議員は関わるな”といった威圧とも取れる発言を陳謝しました。“同期として心配する意味で声をかけた”と釈明しています」(地方紙記者)
苦しい“言い訳”には、ネット上でも呆れた声が相次いでいる。
《この人相当に常識からかけ離れたことをしてるってことに気がついてないんでしょうね。体当たりって、体をぶつけたあげく、新人は関わるなと言うとか、ちょっとかなり非常識にもほどがある》
《品位のかけらもない》
《八代市民ですがこれ程教養の無い議員が多いとは呆れました もう市民もしっかり見極めて選挙なり議員の行動を監視します》
《地方の市議や区議なんかぜんぜんノーチェックで当選してる人間多いだろう。国会議員ですらそんなのばかりなんだから。もう政治家に信用や信頼はできない》
こうした声が聞かれる理由について、政治ジャーナリストが語る。
下位の当選組、議員としては新人
「永江議員は2025年8月に行われた八代市議会議員選挙に出馬し、初当選を果たしています。定数28人のうち24位ですから、下位の当選組にあたります。出馬時点で年齢は52歳、職業は事業協同組合理事と記載されています。
出馬時点では無所属でしたから、当選後に自民党市議団に加わったものと見られます。議員としては新人だとしても、人生としては中高年のベテランの年齢なのですから“体当たり”は許されるものではないでしょう」
永江議員に限らず、地方議会には“資質”に疑問がある議員も少なくない。
「懲罰処分を受けた理由として、議会やSNS上での暴言、職員のオフレコ発言の暴露、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された後に釈放されたものの、正当な理由なく長期欠席を続けた、飴を舐めながら質疑を行うといったものです。それぞれ違う議員のケースですが、次元が低いものも多いですね」(同・政治ジャーナリスト)
議員たるもの、市民の規範となるような行動を示してほしいものだ。

トクリュウ下見? 気づくと自宅に監視カメラ 被害者が語る恐怖

匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ=匿流)による犯罪が社会問題化する中、犯行の下見とみられる監視カメラが長男宅に取り付けられた岐阜県の60代男性が毎日新聞などの取材に応じた。危険な目に遭っていたかもしれず、「田舎でも事件に巻き込まれるのかと恐怖を感じた」などと語った。
5月25日午前8時ごろ、長男の自宅敷地内で経営する工場に出勤した際、カーポートの屋根上に四角い物体が二つ置かれているのに気付いた。両手で持てる大きさで「何かの部品が落下したのかな」と思うぐらいだったが、念のためスマートフォンで撮影。それから約2時間半後、外出先から戻るとなくなっていた。当時、工場内にいた次男に画像を見せると「知らない。気味が悪い」。念のため警察に通報した。
一帯は、住宅や田畑が混在。敷地内には家族を除けば取引先の従業員か近くの住民しか立ち入らない。県警の見立てでは、物体の一つはカメラでもう一つはモバイルバッテリーという。盗みに入る前に家人の動向をリアルタイムで監視していたものの、気付かれたので慌てて回収したとみられる。
県警は1~4月で同様の下見事案を80件確認している。外壁や郵便受けに「○」や「×」の印を残すマーキングや、営業マンを装っての訪問もある。5月に多治見市内の住宅に男らが侵入して80代女性が大けがをした事件では、直前に不審な人物が周辺の複数の住宅のインターホンを押していたという。
男性は「三十数年の間、地域でこんなことは一回もなく、家も工場もしっかり施錠していなかった。盗まれるような(高価な)ものはないが、防犯カメラをつけて自衛をするしかない」と語った。
県警は申し出があれば、防犯カメラの貸し出しや、パトロールの強化などの対策を実施しているという。【入江直樹】

2人乗りバイクから女性転落…後続車にひかれる 女性死亡 バイクの男は逃走

4日午後5時半ごろ、東京・中央区で、2人乗りのバイクから女性が転落して後続車にひかれバイクの運転手の男が逃走するひき逃げ事件がありました。女性は搬送先の病院で死亡が確認されました。
警視庁によりますと、4日午後5時半ごろ、中央区勝どきで、「バイクの2人乗りと車の事故」と付近にいた人から110番通報がありました。
現場には、10代から20代くらいの女性が倒れていて、10代から20代くらいの男が運転するスクータータイプのバイクの後部座席に乗っていたとみられ、何らかの原因でバイクから転落したところを、後ろを走っていた自動車にひかれたということです。
女性は、病院に搬送されましたが、その後、死亡が確認されました。
バイクを運転していた男は、女性を救護せずにそのまま走り去ったということで、警視庁はひき逃げ事件として男の行方を追っています。

“賢いヒグマ”の出没相次ぐ 電気柵くぐり抜けて畑へ…「そういうクマはずるい」対策の最前線

【画像】“賢いヒグマ”の出没相次ぐ 電気柵くぐり抜けて畑へ…「そういうクマはずるい」ハンターとの知恵比べ
箱わなになかなか入ろうとしないクマや、穴を掘って電気柵をすり抜けるクマもー
ハンターは学習を重ねた“賢いクマ”に悩まされています。
まさに知恵比べ、クマ対策の最前線に密着しました。
「クマが学習している」警戒心の強い“賢いクマ”
箱わなに近づく巨大なクマ。
仕掛けのエサに興味を示します。
おりの中に入るかと思いきやー
エサに手を伸ばしますが、決して中には入りません。
警戒心の強い“賢いクマ”がハンターを悩ませているのです。
オホーツクの西興部村です。
クマが現れたのは、まさにこの場所。
(記者)「カメラはどこに?」
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「分からないでしょ?あそこにある」
ハンター歴50年を超える中原さんでも、クマの賢さには手を焼きます。
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「そういうクマはずるい。わなを分かっているというか、痛い目にあっているか、クマが学習していると思う。若いやつは簡単に入るけど、年とった大きいクマはなかなか入らない」
2026年はまだ、箱わなで捕獲することができません。
この日、クマが目撃されたデントコーン畑の周辺をパトロールします。
車を降りた中原さん。
その目にとまったのはー
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「これ新しいよ、きょうの痕だよ、フキを食べている」
クマが食べたフキの痕が、あたり一帯に広がっていました。
(記者)「すぐ近くにいるかもしれない?」
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「可能性はある」
現場に緊張が走ります。
同行したハンターも痕跡を発見します。
(西興部村ガバメントハンター 渡部志乃さん)「見えます?クマの足跡。クマ歩いてこっちに行ってて」
(記者)「さっきのと同じクマ?」
(西興部村ガバメントハンター 渡部志乃さん)「かもしれない。大きさ的に」
クマの駆除は「命がけ」ハンターにとって安全な捕獲手段とは…
実はここにも、賢いクマが現れていたのです。
これは畑に仕掛けたカメラの映像です。
クマが電気柵に近づき穴を掘り始めるとー
電気柵を学習したのか、掘った穴から身をかがめ、柵をくぐっていきました。
駆除を試みますが、実は大きなハードルがー
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「こないだもここで彼女、撃てなかった」
5月、ここで渡部さんが撮影したクマの映像です。
銃を持っていましたが、すぐ後ろに国道が走っているため発砲できなかったのです。
そこで、安全に捕獲できる箱わなの設置を決めました。
全国にある箱わなはあわせて5500基ほど。
政府は2030年度までに1万基まで増やす方針です。
その理由の1つが、クマの安全な捕獲です。
2026年4月、後志の島牧村で春期管理捕獲にあたっていた69歳のハンターが、クマに襲われました。
(同行したハンター 花田雄二さん)「今回けがした人が発砲しているので、クマに向かって。その人めがけて来たと思う」
発砲した後にクマから反撃にあい、頭や顔から出血。
1か月以上の入院を余儀なくされました。
まさに、クマの駆除は命がけ。
箱わなの設置は、ハンターにとって安全な捕獲手段なのです。
千歳市にある工場で、西興部村の中原さんが注文した箱わなが製造されていました。
巨大なクマにも対応できるよう頑丈な作りで、仕掛けも瞬時に作動します。
(未来のアグリ クマ対策チーム 石澤裕さん)「クマの出没状況にあわせて(注文が)増えていることは間違いない。転倒防止に補強をしたり、トラックに載せないでそのまま引きずれるように工夫してほしいとか色々なニーズがある」
STVの調べでは、クマ用の箱わなの価格は1基あたり60万円から80万円ほど。
国は購入費の支援を進めていますが、現場には簡単に数を増やせない事情がありました。
エサ代やガソリン代…ハンターの負担「もうこれが限界」
工場から運ばれた箱わなが、西興部村に届きました。
設置には、わな猟の資格をもつハンターが不可欠です。
電気柵をくぐったあの賢いクマを捕獲できるのかー
大好物のシカ肉を数か所に仕掛けます。
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「ここだったら頭を入れただけで食べられるでしょ、次でしょ、最後にあれ引っ張ったら落ちる。いまから1頭でも2頭でも減らしておけば、被害は少しでも減ると思う」
中原さんが村に設置するわなは、これが2基目。
しかし、これ以上増やすのは難しいといいます。
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「もうこれが限界、それだけ見回りはできないし、エサも補充しないといけないから。難しい、管理できない」
クマ駆除の報酬は全国的に増額され、西興部村では1頭につき5万円が支給されます。
ただ、見回りへの報酬は僅かで、捕獲できなければエサ代やガソリン代などの負担が増します。
課題はそれだけではありません。
目撃が相次ぐ場所でも、誰もが箱わなの設置を望んでいるわけではないのです。
(牧場管理人)「近くはね、知らないところに置いてくれたら助かるけど、分かるところに置かれたら、いやーぞっとする。そこに絶対クマいるから。おそろしいよね」
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「エサを置いているから近くにクマが集まる。いいんだか悪いんだか、ポンと獲れればいいんだけど」
クマを引き寄せてしまう危険性もある箱わな。
ハンターは慎重に設置場所を考えなければならないのです。
中原さんは普段ハンターのガイドをしながら、観光客を楽しませるシカ牧場を営んでいます。
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「来たか、かわいいでしょ」
自然と共に暮らしながら、クマと村の今後に向き合います。
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「クマはシカをとって食べている。クマは悪いこともするし、だけど農作物の被害はシカもあるからね。いて当たり前なんだけどね。これ以上増えないようにするのが必要だと思う」
箱わなを仕掛けて1週間、結局クマはかかりませんでした。
カメラに映っていたのは子ジカだけ。
クマは用心深く近寄らなかったのでしょうか。
(猟友会西興部部会 中原慎一部会長)「そう簡単に獲れないよ、クマとの駆け引きだよね、クマの裏をかいて色々考えなければ獲れない」
箱わなによる駆除はハンターとクマの知恵くらべ。
少しでも被害を減らすため、ハンターはきょうも警戒を続けます。

コンビニの駐車場で76歳女性が普通乗用車にはねられ死亡 車運転の41歳の男を現行犯逮捕 千葉・佐倉市

きのう(4日)、千葉県佐倉市のコンビニエンスストアの駐車場で、76歳の女性が乗用車にはねられ、死亡しました。
警察によりますと、きのう午後6時半すぎ、佐倉市上志津原のコンビニエンスストアの駐車場で、店に向かって歩いていた市内に住む大内操さん(76)が普通乗用車にはねられました。
大内さんは病院に運ばれましたが、搬送先の病院で死亡したということです。
警察は、乗用車を運転していた四街道市の自称会社員、前田敏宏容疑者(41)を過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕しました。
前田容疑者は調べに対し「脇見をしていたら、気づいたらひいてしまいました」と容疑を認めているということで、警察は今後、容疑を過失運転致死に切り替えて調べを進める方針です。

「表現の自由」どこまで 沖縄の追悼式で高市首相に抗議の声 声を上げた本人・戦争体験者・憲法学者の見解から考える

「戦争反対」「(憲法)9条を守れ」「これはやじじゃない。うちなーんちゅの怒りの声だ」。慰霊の日の6月23日に糸満市摩文仁で開かれた沖縄全戦没者追悼式。あいさつに立った高市早苗首相に対し、参列者から抗議の叫び声が飛んだ。会場では賛同する拍手が起こった一方、眉をひそめて耳をふさぐ人も見られた。厳粛な式典で声を上げる行為は、憲法が保障する「表現の自由」としてどこまで許容されるのか-。声を上げた本人や戦争体験者、憲法学者の見解から考えた。(社会部・小島弘之)
県が「声出し禁止」の警告文 声を発した数人が場外へ
当日、式典会場はテントで覆われ、外部とは明確に区切られていた。入り口で参列者には金属探知や手荷物の検査が実施された。
式は正午前にスタート。献花や黙とう、中学生による詩の朗読が続く中、県職員が「禁止! 式典中の声出し」「警告に従わなければ、退場していただきます」と書いた警告文を掲げていた。
高市首相が登壇したのは午後0時45分ごろ。会場内外から男女10人超の叫び声が上がり、場内で声を発した数人が県警職員らに両腕を抱えられる形で場外へ連れ出された。式を主催した県によると、進行に支障が生じると判断した場合は、県警と連携して退場させると決めていたという。
抗議の声 なぜ上げたのか
大宜味村の奥間政則さん(60)は場内で声を上げた一人。何かの団体の一員としてではなく、個人で参列したという。取材に「人を殺す武器を輸出するような国の首相が、平和の地でのうのうと平和を唱えることを許してはならない。黙っていると、どんどん軍事化が進む」と答えた。
鹿児島県奄美大島で生まれ、幼い頃に沖縄出身の両親と沖縄へ移った。2015年以降、米軍の新基地建設が進む名護市辺野古などでの抗議行動に参加してきた。
戦没者の名前を刻む「平和の礎」には、祖父母ら親族5人の名がある。昔から家族と式典に足を運んできたが、近年は基地建設を強行し、南西諸島に自衛隊配備を強化する国への怒りが抑えきれない。23、24年の式では岸田文雄首相に、25年は石破茂首相に声を上げた。「沖縄を観光地としか見ない本土の人にも向けている」とも話す。
戦争体験者はどう受け止めたか
式での抗議を巡っては戦争体験者の間でも意見が割れる。サイパンの戦争で両親ときょうだい4人を亡くした県内の女性(87)は賛同する。「本土の方は沖縄人の心の痛さを理解していないんです。声を上げるのもしょうがない」
一方で沖縄戦で兄を亡くした那覇市の女性(88)は「平和の礎に名前が刻まれている兄に、心の中で静かに話しかける日。そんな時にどうしてああいうこと(抗議)をするのか。泣きたくなりました」と苦言を呈した。SNS上でも「追悼の場で叫ぶのは、亡くなられた方々への敬意を欠く行為だ」といった批判的な投稿が相次いだ。
法的判断は声を発した場で差 会場の「外」か「中」か
■志田陽子教授(武蔵野美術大学)
表現の自由に詳しい武蔵野美術大学の志田陽子教授(憲法学)は、声を発した場所が「会場の外か、中か」によって法的な判断が分かれると指摘する。
2019年、安倍晋三首相(当時)の街頭演説中にやじを飛ばした市民を警察が排除し、後に裁判所が「表現の自由の侵害」と認めた事案がある。このときの街頭や今回の式典会場の外は、いずれも同じ「パブリックスペース(公共空間)」に当たるという。
志田教授はこうした公共空間における抗議は「表現の自由」の範囲内として認められると説明する。ただし、物理的な有形力を行使したり、街宣車で大音量を流したりして、式典の進行を妨害するような行為は、威力業務妨害罪などに問われる可能性があるという。
一方で、今回は会場の中からも声が上がった。会場は外部と区切られており、主催者(県)は声出しの禁止を求めていた。志田教授は「警察官らが発言者の身柄を拘束して排除するのは最終手段であり、抑制的であるべきだ。しかし今回の場合は、静謐(せいひつ)な環境で式典を進めたいという主催者の『管理権』がその空間内では優先され、平穏な手段での排除であればやむを得ないと考えられる」と話した。
法的な是非よりモラルの問題 場に応じた配慮が必要
■毛利透教授(京都大学)
「表現の自由」に詳しい京都大学の毛利透教授(憲法学)は、街頭や公園といった「公共空間」においては、基本的に政治家らに対する抗議が「表現の自由の保障範囲内」として認められると指摘する。今回の追悼式では、会場の「外」が公共空間に当たり、明らかな脅迫文言や物理的な有形力による妨害行為でなければ、法的に許容されるとの見方を示す。
一方で、会場の「中」での抗議活動は、区別して考える必要があるという。今回の会場での抗議は、直ちに刑法に抵触するような脅迫めいた文言は確認されていない。これらを踏まえ、毛利教授は「法的な是非というよりも、モラルや倫理の問題だ」と位置付ける。
その上で「抗議自体は表現の自由として保障されるとしても、厳粛さが強く求められる追悼の場で抗議することを正当化するのは、一般的な社会通念からすれば難しいだろう」と述べ、表現活動には場に応じた配慮が必要だとの認識を示した。

「助けて」兵庫県の男性死亡 沖縄・黒島沖 体調不良で待機予定が船から50メートル

4日午前10時40分ごろ、竹富町の黒島にある黒島灯台から西北西約1.4キロ沖合で、「シュノーケリングツアー中に友人が溺れた」と118番通報があった。石垣海上保安部によると、兵庫県在住の男性(63)が意識不明の状態で石垣市内の病院に搬送されたが、午後1時過ぎに死亡が確認された。
男性は前日飲酒し、体調不良のため船で待機予定だったが、シュノーケリングしていた友人や船長らが船に戻ったところ、約50メートル離れた場所で遊泳していた。「助けて」との声を聞いた船長に救助され、船に引き上げられたが、意識を失っていた。救命胴衣は着用していなかったという。

事故絶えない「第4種踏切」全国2200か所、解消進まず…多額の改修費用ネックに

遮断機と警報機がなく、人身事故が絶えない「第4種踏切」の解消が進んでいない。全国に約2200か所あり、総務省行政評価局が廃止・改修を勧告して今年で5年になるが、読売新聞のアンケートで廃止・改修の具体的計画がないと回答した鉄道事業者は5割近くに上る。住民の合意を得る難しさや、多額の改修費用がネックとなっている。(大重真弓、古賀章太郎)
富山市などを走る富山地方鉄道。総延長108・4キロの沿線には第4種踏切が50か所ある。同鉄道の担当者は「農作業用に使われている踏切も多く、廃止したくても住民の合意が得られない」と頭を悩ませる。
遮断機、警報機がある「第1種踏切」への改修も、1か所あたり1500万~3000万円かかるとされる。「利用者の減少で赤字経営が続いており、列車の安全運行に必要な設備投資を優先せざるを得ない」という。
私鉄最多の80か所の第4種踏切を抱える埼玉県北部の秩父鉄道(総延長75・4キロ)は2024年、「廃止を原則とする」と表明した。死亡事故などの人身事故が相次いだためだ。
だが、30か所ある同県秩父市では住民との協議がまとまらず、廃止はゼロ。市の担当者は「粘り強くお願いしていくしかない」と話す。
国土交通省によると、第4種踏切は昨年3月末時点で全国に2282か所ある。鉄道営業法の省令で「踏切は警報機と遮断機が必要」とする現行の安全基準を満たしていない。24年の100か所あたりの事故件数は1・01件と、第1種(0・65件)より多い。20~24年度の事故件数は計103件に上る。
死傷事故の多発を受け、行政評価局は21年11月、第4種踏切の廃止・改修(第1種化)を進めるよう国交省に勧告した。その後、同省は鉄道事業者と関係自治体による協議会の設置や、廃止・改修費の補助を進めているが、減少ペースは年60か所前後にとどまる。
読売新聞が昨年11~12月、全国の鉄道事業者137社に行ったアンケート(126社回答)では、第4種踏切があると回答した79社のうち、廃止・改修の具体的計画が「ある」のはJR東日本、四国、貨物と私鉄15社の計18社にとどまったのに対し、「ない」は富山地方鉄道や高松琴平電気鉄道など私鉄計36社に上った。
ない理由(複数回答)は「(改修に)多額の費用がかかる」(26社)、「(廃止への)住民の合意が得られない」(24社)が多い。
国交省鉄道局の担当者は「生活道路として使われている踏切も多く、住民の合意を得るのが容易ではない。国としても引き続き協議会を通じて廃止を働きかけ、安全対策の促進を粘り強く求めていく」と話す。
子どもが犠牲となる事故が起きたのを受け、廃止・改修が進む鉄道もある。
群馬県内を走る上信電鉄(33・7キロ)の天水踏切(同県高崎市吉井町小暮)では24年4月6日、小学4年の女児(当時9歳)が電車にはねられて死亡した。愛犬を追いかけ、踏切に入ったとみられている。
この事故を受け、群馬県や高崎市は24年、県内の全ての第4種踏切を29年度末までに解消し、第1種への改修費用を負担することを決めた。事故当時74か所あった第4種踏切は、今年6月末時点で52か所に減少。天水踏切も昨年12月に第1種となった。女児の父・訓(さとし)さん(47)は「安全を第一に考え、全国で解消を進めてほしい」と訴える。
工学院大学の高木亮教授(電気鉄道工学)は「鉄道事業者や自治体の解消に向けた努力は、不十分と言わざるを得ない。鉄道事業者や自治体は解消を進めるとともに、住民らに実際の事故の事例を示すなどして危険性を周知していく必要がある」と指摘する。
◆第4種踏切=遮断機と警報機がない踏切。いずれもある「第1種」、係員が遮断機を操作する「第2種」、警報機のみの「第3種」と区別される。国土交通省によると、昨年3月末時点で第1種は2万9357か所、第3種は567か所あり、第2種はない。
手動「簡易型」設置動きも
廃止・改修が進まない中、応急策として手動の簡易遮断機を設置する動きもある。
全国最多の361か所(3月末時点)の第4種踏切を抱えるJR西日本は、2021年から手動の簡易遮断機の設置に力を入れる。設置費は1か所あたり100万~200万円台で、これまで設置した173か所では事故を未然に防げているという。
国交省は24年度から、手動の簡易遮断機の設置費を1か所あたり最大2分の1補助する支援制度を始めた。これまでにJR東日本や関東鉄道、富山地方鉄道など11社が活用している。