いま、民泊施設をめぐるトラブルが増えています。そこで、今回のみんなのギモンは、「営業に影響も…民泊規制強化のワケは?」をテーマに解説します。
全国で最も民泊の多い東京・新宿区は、条例で規制を厳しくする方針を決めました。新宿区長が8日午後、会見を行いました。
新宿区・吉住健一区長
「区内では、民泊の増加による地域の生活環境の悪化が課題。区民が安心して暮らせる住環境を守るため、条例を改正し、民泊等に対する規制をさらに強化していきます」
どのように変更するのか。まず、新宿区には8月末時点で3928件と全国で最も多い民泊が登録されていますが、区は住宅や学校周辺での民泊営業を「原則禁止」とする方針を固めました。新規開業だけではなく、すでに営業している施設も対象です。
規制の背景には、やはりトラブルや苦情の増加があります。昨年度は騒音やごみの問題などの苦情や相談が、区に1334件寄せられました。前年度と比べて542件増加。さらに、今年度も4月から7月の4か月で510件に上ったということです。
このように条例を変更して来年6月から施行する方針ですが、すでにある民泊については猶予期間を設ける予定です。また、従業員が常駐するなど一定の条件を満たせば、住宅地や学校周辺でも営業を認めるとしています。
商業施設が多い地域についても規制が強化されます。営業日数の上限をいまの年間180日から120日に減らすということです。
新たな規制で区内のおよそ半数、2000件ほどの民泊が営業できなくなる可能性があるということです。
法令違反を繰り返した事業者に対し、行政処分を行うなどしてきましたが、それでも苦情は減らない。悪質業者を排除していくだけでは住民の生活環境悪化を防げないということで、一律での規制に踏み込んだというわけなんです。
そもそも民泊は、2018年6月に住宅宿泊事業法が施行され全国で始まりました。
事業者にとっては空き家を使って利益を得られますし、利用者はホテルに比べて比較的安く宿泊できるというメリットがある上、増加する外国人観光客の受け皿を広げる狙いもありました。しかし一方で、各地でトラブルも相次ぎました。
千葉県一宮町の民泊周辺では、騒音トラブルや宿泊者とみられる人がたばこをポイ捨てする様子などもみられました。
観光庁は健全な民泊事業を定着させたい考えですが、今年7月、「住民の生活や教育環境などが損なわれる場合、条例で営業を禁止できる」との通知を全国の自治体に出しました。
これを受け、浅草や上野といった観光地がある東京の台東区は、来年1月から一部の住宅地などで新たな民泊の営業を認めないとする条例案を議会に提出しました。新宿区と同じように、一部の民泊利用者によるマナー違反が深刻化していたということです。
ルールを守って周辺住民に受け入れられれば、民泊は地域活性化にもつながります。新宿区長も、周辺環境の悪化を招いているのは不適切な管理を行う民泊事業者だとしています。
実際、近隣住民の理解を得るための取り組みを行っている、千葉市の住宅街にある民泊を取材すると、近隣住民とコミュニケーションをとり、トラブル防止に努めていました。
民泊を運営するY&A商事・江口聡彦さん
「次回、ロック・イン・ジャパン(大型フェス)が開催されて、若い方が4名宿泊する。何かありましたら、すぐに電話をいただけたら対応します」
近隣住民
「『こういう方がいつからいつまで利用する』と教えてくれますし、安心感はあります」
民泊でトラブルが多いことについて観光庁は、ホテルや旅館と違って住宅地でも営業できることをあげています。健全な民泊の普及には、事業者による適切な管理と苦情への対応が重要だとしています。
例えば、ごみの問題についても、民泊で出たごみは本来、事業ごみになるので事業者が処理をしなければならない。ところが、事業者が客に対して、そのルールを伝えていなかったり、きちんと対応しなかったりといったケースがでてきているということです。
民泊はその土地の暮らしを体験できるなど、多様な宿泊機会を提供できるメリットがあります。しかしそれは、地域の生活環境を損なわないということが前提だと観光庁も指摘しています。
(9月8日放送news every.「#みんなのギモン」より)
【#みんなのギモン】身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)