〈治安の良さの象徴だけど…〉根絶できない「自販機荒らし」…飲料メーカーや業界団体が「キャッシュレス拡大」「筐体強化」など対応するも残る課題

4月中旬、現金投入口が無残に破壊された自動販売機の写真を載せたXの投稿に対して、「ショック」「自販機は全て電子マネーにすればいい」などの声があがった。このように自動販売機を壊し、中の現金を盗む「自動販売機荒らし」の発生件数はピーク時から大きく減少しているものの、いまなお各地で被害はなくなっていない。飲料メーカーなどへの取材を通してその知られざる実態に迫る。
【画像】「ピーク時は年間22万件」一目でわかる過去30年間の自動販売機ねらいの犯罪数
10年で大きく減少する自動販売機犯罪…進むキャッシュレス対応
警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」によれば、非侵入窃盗の認知件数のうち、「自動販売機ねらい」のものは2024年で2513件。ピーク時(1999年)の22万件、10年前(2015年)の1万3000件と比較しても認知件数はこの10年で大きく減少傾向にある。
しかし、被害は完全になくなったわけではない。各都道府県の警察は犯罪発生情報のオープンデータ化を進めているが、各地で自動販売機ねらいの犯罪は発生しており、多くのケースで現金被害が確認されている実態がある。
実際に荒らし被害が発生した場合、飲料メーカーにはどのような負担が生じるのか。あるメーカーの担当者は次のように話す。
「被害内容や設置場所によって異なりますが、商品の損失に加え、補充や修理対応、一時的な営業停止など、運営全体に影響が及ぶことがあります」
続けて、被害の推移について次のように説明する。
「近年、キャッシュレス決済対応の進展もあり、自動販売機のこじ開けについては年々減少している傾向が見られます。ロードサイドや不特定多数の方が購入できる、いわゆる外に設置されている自動販売機が相対的に減少してきていることもあります」
いっぽうで被害が完全にはなくならない要因については「外部からは現金が入っているというイメージを持たれやすい点があるのではないか」としつつ、実際にはキャッシュレス決済対応の拡大や運用の見直しにより、管理の在り方は変化しているという。
「修復が完了するまで販売停止となりますので売上に影響が出ます」
自動販売機ねらいの犯罪が減少している背景には、自動販売機の設置台数自体の減少もあるとみられる。自販機や金融機器(ATMなど)の現金取扱機器の総合的な発展・普及促進を図る業界団体である「日本自動販売システム機械工業会」(JVMA)のデータによれば、2025年12月時点における自動販売機および自動サービス機の国内普及台数はおよそ388万台。2014年の503万台から大きく落ち込んでいる。
こうした状況が防犯対策に与える影響について、前出の飲料メーカー担当者はこういった認識を示す。
「自動販売機事業は、商品の補充や日常的なメンテナンスなど、引き続き『人』の関与が不可欠な事業であることから、人手不足や燃料費をはじめとする各種コスト上昇といった事業環境の変化への対応は、重要な課題だと認識しています。
こうした環境変化を踏まえ、収益性や運営効率の観点から、自動販売機の設置先を適宜見直し、高収益が見込めるロケーションへの再配置や新規設置をあわせて進めています。
また、防犯対策については、最終的に商品を購入されるお客様に安心・安全にご利用いただくべく、設置環境や状況に応じて、必要かつ適切な対策を講じています」
また、アサヒグループホールディングスの担当者も「当社自販機での盗難は減少しています」としたうえで、考えられる要因として「キャッシュレスの伸長や防犯カメラ設置の拡大」を挙げ、「防犯カメラが薄い地域はリスクがあるかと思います」と話す。
窃盗被害が発生すると、修理費や営業停止による損失など、負担は多岐にわたる。
「自販機損傷による修理や、修理が出来ない場合は自販機の入替など、不要な費用が発生します。修復が完了するまで販売停止となりますので売上に影響が出ます。
限られた人員で活動をする中、盗難が発生すると被害届の提出などが必要となり、貴重な営業活動時間にロスが生じます」
こうした状況を受け、同社では一部の自治体や団体と警察が連携した防犯カメラ付きの「みまもる自販機」を展開。周辺地域の安全・安心への貢献につなげていくという。
「犯罪手口の変化などを勘案し、より堅固な自販機が製造されています」
自動販売機の防犯対策を講じているのは飲料メーカーにとどまらない。
前出の日本自動販売システム機械工業会の担当者は、防犯対策の現状についてこう話す。
「当会では、自販機堅牢化基準を制定しており、屋外設置の飲料とタバコ自販機を適用対象として、容易に入手できる工具による扉のこじ開けや錠前破壊を防止するため、自販機本体の強化すべき部位の特定と、その部位の材質、鋼板などの厚さ、構造、防御性能の試験方法などを規定しています。
基準は、日本自動販売システム機械工業会に属する製造メーカーのみに公開され、犯罪手口の変化などを勘案し、随時見直しを行い、より堅固な自販機が製造されています。加えて、各自販機運営事業者様のご判断により、外付けの防犯用ドアロックを取り付けるなどの防犯対策を推進しています」
キャッシュレス決済対応の自動販売機の増加は窃盗被害の抑止につながっているのか。
「キャッシュレス決済端末の有無や現場の運用は所有者である飲料メーカーの意向によるものが大きい」としたうえで、次のように説明する。
「当会としては、キャッシュレス専用自販機自体の普及は進んでおらず、現金との併用が主流でありますので、状況に大きな変化は見られないと考えますが、現金取扱量が減ることで被害額を抑えられる可能性はあります」
同担当者は、自動販売機の安全性向上や被害防止に向けて、「堅牢化基準の周知徹底や新たな手口に対する抑止策の検討」を推進していくと話した。
SNSなどでは「自動販売機は日本の治安の良さの象徴」との声もあるが、被害が完全に収まる見通しは立っていない。飲料メーカーや業界団体には、引き続き対応が求められそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

市民から連絡「ニュースで見た像が庭に」…公園から盗まれた銅像、民家で見つかる

愛知県尾張旭市は24日、城山公園から盗まれた銅像(高さ55センチ、幅70センチ、奥行き25センチ)が、市内の民家の庭で発見されたと発表した。銅像は無傷だった。
発表によると、同日午後3時頃、市に民家の住人から「ニュースで見た像が庭にある」という連絡があった。窃盗事件として調べている守山署の警察官と職員が民家を訪ね、盗まれた銅像と確認した。同署で庭にあった経緯や犯人の行方を捜査している。

性加害の教員は懲戒免職に、文科省が指針を厳格化…わいせつ教員処分歴データベースの活用徹底を求める

文部科学省は24日、教員による児童生徒性暴力防止法の基本指針を改定した。わいせつ教員処分歴データベース(DB)の活用徹底を求め、盗撮や性暴力の加害者となった教職員を懲戒免職とするよう内容を厳格化した。
DBを巡っては、文科省が昨年実施した調査で、教育委員会や学校法人の約7割が教員採用時に、DBを使ってわいせつ処分歴の確認をしていなかった。改定指針はDB活用の徹底を強調し、文科省は不備があった教委や法人については公表を前提に調査する方針。
教員らが児童の盗撮画像をSNSのグループチャットで共有した事件を踏まえ、改定指針には学校内でのデジタル端末の使用ルール明確化といった盗撮防止対策を新たに設けた。
また児童生徒に加害行為をした教職員について、「原則として懲戒免職」としていた従来の指針から「原則として」を削除した。
基本指針は、法施行後3年の見直しに合わせて改定した。松本文科相は24日の閣議後記者会見で「児童生徒への性暴力の根絶に向けて全力で取り組む」と述べた。

トイレに行きたくて30キロオーバー、高齢女性をはねて死亡させる

2024年11月、甲府市内の国道を歩いて渡っていた高齢女性をはねて死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)に問われた笛吹市の男性会社員(53)の初公判が24日、甲府地裁(田中優奈裁判官)であった。女性をはねた際は80キロ近い速度を出していたとされるが、その理由が「トイレ」だったことが公判で明らかになった。
起訴状などによると、男性会社員は24年11月7日午後5時半頃、甲府市の国道411号で、制限速度を約30キロ上回る時速約77キロで乗用車を運転し、道路を横断していた、近くの女性(当時82歳)をはねて死亡させたとされる。
罪状認否で起訴事実を認めた男性会社員は、その後の被告人質問で速度を出していた理由を問われ、「トイレに行きたかった。早く用を足したかった」などと説明した。
その後の論告で検察側は、「運転者の重要な義務である制限速度を守り、前方左右を注視することを怠った過失は重大」などと指摘。禁錮1年2月を求刑し、即日結審した。判決は5月8日。

「嫌いといわれたから…」幼い娘の首を絞め殺人容疑で逮捕された母(30)はシェルター内に3年間“DV夫”を匿っていた…偽装心中の可能性も≪福岡2児死亡≫

暴力から逃れるはずのシェルターでDV夫と生活、娘2人を殺害した母親の動機とは――。福岡県嘉麻市の母子生活支援施設で今年3月、4歳と3歳の姉妹が不審死する事件があり、県警は4月22日、姉の首を絞めて殺害したとして母親のパート従業員、水沼南帆子容疑者(30)を殺人容疑で逮捕した。妹についても同様に殺害したとみて県警は調べを進めている。県警は同居していた内縁の夫で姉妹の実父である清水晃輝容疑者(33)についても保護責任者遺棄などの容疑で逮捕した。
【画像】シェルター内に潜んでいた“ヒモ夫”がとっていた驚きの行動
「トイレの水さえ流さずに息をひそめていたようです」
水沼容疑者は3月10日未明、長女の二彩(にいろ)ちゃんの首を電気コードで絞めるなどして窒息死させた疑い。次女の三華(みはな)ちゃんも絞殺されていた。水沼容疑者は長女殺害について「間違いありません」と容疑を認め、次女の殺害もほのめかしているという。
水沼容疑者は2022年9月ごろ、清水容疑者からの家庭内暴力(DV)から逃れるために二彩ちゃんを連れて施設に入居、その後にみごもっていた三華ちゃんを出産した。社会部デスクが解説する。
「清水容疑者は2022年9月に水沼容疑者を殴って傷害容疑で逮捕され、それを機に水沼容疑者は携帯電話の番号を変えるなどしてシェルターに移住した。ところが清水容疑者が釈放されるとすぐにまた二人は復縁、水沼容疑者の手引きでシェルターに潜り込んだ。
シェルターはDVなどの被害を受けたシングルマザーが就労支援などを受けつつ生活再建を図る場で、男性の入居は当然できない。そのためこの施設でも職員を常駐させ、24時間体制の警備と防犯カメラで監視していたものの、清水容疑者は気づかれずに生活していた。
なんと3年前に同居を始めてから、清水容疑者は1回しか外出したことがなく、水沼容疑者が姉妹を保育施設に預けて仕事で外出している間は、冷暖房などのエアコンも我慢し、トイレの水さえ流さずに息をひそめていたようです」
もはや何のために生活を共にしていたのか意味不明な“夫婦”だが、被害者の協力で加害者をシェルターに匿われたら施設の方もたまったものではない。母子生活支援施設を運営していた社会福祉法人の関係者はこう話した。
「警察の捜査が続いていることもあり、詳細は差し控えますが、一般論として外部からの侵入はあってはいけないし防がないといけません。今回、第三者の人と同居していたことは確認できておりますが、検証委員会の調査を待って報告させていただけたらと思っております」
「事件の前に夫と口論になって嫌いと言われ、死にたくなった」
また、福岡県子供福祉課の担当者はこう説明した。
「母子の普段の生活状況や個人情報については私達が細かく聞く立場にないので、把握しておりません。施設の詳細も外部に漏らすことはできませんが、1DKで42平米という間取りです。高い塀で周囲を囲っているわけでもないので、外部からの侵入をシャットアウトするものではありませんが、防犯カメラや非常通報装置は設置されております。
また、不審者がいれば通報のための危機管理マニュアルも作成されています。しかし、今回に関しては想定していない状況といいますか……。基本的には施設には中学生以上の男性は入室禁止になっていて、職員の許可なく部外者を居室に招き入れることもできません。
問題を抱えて入所される方の生活を立て直すためには、その問題を排除しなければなりませんから、親族や知人も許可なく入室はできないのです」
そして、幼い姉妹を襲った悲劇は筆舌に尽くし難い。
「県警の調べに対し、水沼容疑者は『事件の前に夫と口論になって嫌いと言われ、死にたくなった』と供述しており、姉妹を殺害後に自らは致命傷を避けるように首の動脈を避けて切り傷をつけて心中を偽装したとみられます。
犯行当時、清水容疑者は就寝中で姉妹殺害に気づかなかったとみられますが、傷ついた水沼容疑者を放置したうえ、財布などを盗んで2階のベランダから外に飛び降りた。県警は名古屋市内まで逃亡していた清水容疑者を保護責任者遺棄と窃盗の容疑で逮捕しましたが、清水容疑者は飛び降りた際の衝撃で足を骨折していたといいます」(福岡県警担当記者)
こんな“両親”のために幼い命を散らした姉妹が哀れでならない。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について情報を募集しています。下記のメールアドレスかXまで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X(旧Twitter) @shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

“送電線がまちを横断” 風力発電に住民反発 問われる再エネ開発…ワインのまち・余市町に混乱

【動画】“送電線がまちを横断” 風力発電に住民反発 問われる再エネ開発…ワインのまち・余市町に混乱
ワインのマチ・北海道余市町で浮上した風力発電の建設計画に、住民が反発の声をあげています。
自然の力を利用する再生可能エネルギーをめぐってなぜ混乱が生じているのか、その背景を取材しました。
ワインのマチで浮上した…“風力発電”の建設計画
余市町で獲れたシカ肉です。
脂身が少なくヘルシーなエゾシカのステーキ、赤身肉のうまさが際立ちます。
そして、この料理に合わせるのがー
香り豊かな白ワインです!
余市産のブドウから作られました。
こちらでは地元の食材を生かした料理とワインが楽しめます。
(ヨイッチーニ 相馬慎悟代表)「高品質なブドウができるなだらかな丘陵地帯とか、強すぎない風が吹くとか、それがすべてそろっているのが余市町だと思います」
ワインのマチとして知られる余市町。
先週、XJAPANのYOSHIKIさんが提携先のブドウ畑を訪れました。
(YOSHIKIさん)「この地のワインというのは世界に通用しているでしょうし、これから世界に進出していけるものだと思っているので、そこにすごく興味がありますし、北海道でいいワインがあるというだけではなく、これが日本の今後の輸出産業のひとつになっていければと思っています」
世界的なミュージシャンが評価する余市のワイン。
しかし、そのマチで浮上したのがー
風力発電の建設計画です。
余市町にワイナリーを構える平川敦雄さんです。
13.5ヘクタールのブドウ畑から年間5万本のワインを作っていますが、近年、渡り鳥による食害に頭を悩ませています。
(平川ワイナリー 平川敦雄代表)「去年こちらのゾーンというのは鳥の被害を相当受けました。渡り鳥たちが醸造用のブドウをたくさん食べてしまったんですね。電線沿いというのはたくさんの食害を受けました」
そうした中、畑の近くである計画が明らかになりました。
計画進める関西電力に「なぜ余市なんだ」反発する余市町民
(平川ワイナリー 平川敦雄代表)「あの山の向こう側ですね。古平町との境界の側に大きな風車が建設される予定になっています。ちょうどあの山のくぼんだ所から余市町の余市インター方向に向かって鉄塔がのびていきます」
送電線が余市町を横断する風力発電の建設計画です。
この計画を進めているのは、大阪に本店を置く関西電力です。
関西電力によりますと、風車は余市町と古平町に合わせて最大18基を計画。
送電線の鉄塔は、余市町を横切る形で40基程度を建設する案が示されています。
4月に開かれた対話集会には、多くの町民が集まりました。
その中には平川さんの姿も。
計画に気づいてから反対の会を立ち上げ、代表を務めています。
(青柳記者)「関西電力と住民側の対話が冒頭以外非公開で始まりました。中から時折白熱した声が聞こえます」
(住民側)「やらないのが一番平穏に皆さんまるく収まって平和な生活ができるんです」
(住民側)「『環境が大丈夫』という結果が出たら推し進めていくのでしょうか」
(住民側)「なぜ余市なんだろうというのがちょっと不思議で」
(余市町の風力発電に反対する会 平川敦雄さん)「それぞれ皆さん生活がかかっていますから、そこにダメージを与えることになりますので、しっかりもっと明確に示していただかないと困ると思うんですよね」
(関西電力の担当者)「皆さまからいただいたご意見につきましてはしっかりと本社内に報告をするということで」
対話集会は2時間余りに及びましたが、双方の理解が深まることはありませんでした。
(余市町の風力発電に反対する会 平川敦雄さん)「関西電力側が私がお願いした図面、風車の位置、アクセス道、鉄塔と送電線の図面に関するものは詳細なものをいただくことはできませんでしたので、これ以上は出せないというのでとてもがっかりです」
全国各地で再生可能エネルギー事業を進める関西電力は、2023年から余市町で説明会を開いてきたといいます。
しかしー
(余市町民)「宿泊施設で仕事をしていますが、そこに関西電力の方が来て『土地を売ってくれ』というのでそれで初めて知って、びっくりして周りの方に聞いても誰も知らなくて」
(余市町民)「1か月くらい前かな。関西で作ればいい。関西だって山がある」
余市町などによりますと、今回の計画はすでに環境アセスメントと呼ばれる調査が進められています。
工事に入るには4段階の環境アセスをクリアする必要があります。
関西電力は2022年5月、第1段階の計画段階環境配慮書を提出。
これに対し、余市町は住民の理解が得られるよう丁寧な説明を求めたほか、景観を阻害しないこと、健康被害の調査などを求めました。
2023年に関西電力は第2段階の方法書を提出。
現在は第3段階に向けた準備を進めています。
余市町で反対の声が上がる一方で、道内には風力発電が根付いているマチもあります。
風力発電が根付くマチも 評価が異なる“風力発電”
(青柳記者)「風のマチ・寿都町です。こちらの大きな風車は町のシンボルになっているということです」
寿都町は全国の自治体で最も早い1989年に町営の風力発電施設を設置。
基幹産業の漁業を悩ませる風を逆手に取り有効活用しました。
現在は12基が稼働し、最も大きいものは羽根の先端までの高さが110メートル以上あります。
公表している売電収入は2022年度で5億円を超えました。
風車の近くに住む人はー
(寿都町民)「すごいよ風が吹けば。もう慣れてしまったよ」
(寿都町民)「音は多少はする時があるけれど全然気にならないです」
立地した地域によって、風力発電への評価は異なるようです。
専門家はその違いをこう指摘します。
(北星学園大学 藤井康平准教授)「寿都の場合は町が主導して町営で風力発電を担っているということがあり、『自分たちの風車』という自分ごととして捉えることができているのかなと思います。一方で今回の余市町は、誰かがやってきて自分の知らないところで風車を建てるということ、ここに断絶があるので、地域でどう使うかという議論になっていないと思うんですね。計画段階から住民・地域の方を巻き込んで、どういう風力発電にしていくかっていうことを手続き的にコツコツと積み上げていく必要があったなとすごく思っています」
余市町のワイン農家で風車の建設計画に反対している平川さんです。
(余市町の風力発電に反対する会 平川敦雄さん)「ここは余市の中でも非常に歴史が古く、果樹のとても大事な産地です。世界に誇れるワインが作れる場所です。この果樹産地のど真ん中を送電線がぶっちぎるということで、ブドウの品質面、収量面への被害、間接的に作りにくい状況が生まれていきますのでとても心配しています」
ワインのマチに浮上した風力発電の建設計画。
住民の不安を払しょくするには十分な情報発信と丁寧な説明が必要になります。

「武器輸出を原則解禁」日本が踏み込んだ禁断の一線… 防衛産業復活か“平和国家の終わり”か

〈インフレでも生き残る外食チェーンは? 低価格・高価格ともに通用しなくなった国内外食産業の生存戦略〉から続く
高市早苗内閣は4月21日、日本からの武器輸出を制限する防衛装備移転三原則の運用指針を改定した。これまで「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限定されていた五類型を撤廃、殺傷能力のある防衛装備品の輸出が、厳格審査付きで原則可能となった。
【画像】今後、日本から「輸出されるかもしれない」防衛装備品たち

日本は平和主義の大転換期を迎えたことになる。武器の輸出に関しては根強い反対論があるものの、防衛産業が活性化し、軍民両用研究が進んで中小企業やスタートアップが活躍する未来も見えてくる。
オーストラリアの護衛艦購入額は2兆円規模
武器輸出の解禁に踏み切った背景の一つに、日本の防衛産業の衰退に歯止めをかけることがある。自衛隊は装備品の調達の多くを国内の民間企業に依存しており、産業の衰退が安全保障の危機にもなりかねない。
4月21日の会見で小泉進次郎防衛大臣は、防衛装備移転三原則の運用指針の見直しについて問われ、「いわば防衛力そのものと位置づけられる我が国の防衛生産・技術基盤の維持・強化につながるものと認識しています」と述べた。
2025年7月15日に日本経済団体連合会(経団連)は、「わが国の防衛装備移転のあり方に関する提言」を公表。「現状、わが国の防衛装備移転案件の約8割は自衛隊の装備品の修理等にとどまり」とし、防衛産業から撤退する事業者が出ていることや、サプライチェーンの完結性に綻びが生じつつあることを憂慮していた。
事実、日本では防衛産業からの撤退が相次いでいる。2021年4月、住友重機械工業は陸上自衛隊向けの新型5.56ミリ機関銃の選定トライアル中に辞退を表明、次期機関銃開発を中止した。2020年2月にはダイセルが火薬類などの防衛関連製品、2019年2月にはコマツが装甲車の製造から撤退すると発表している。
事業からの撤退は武器の供給途絶の懸念があることに加え、中小企業を中心としたサプライチェーンへの負の影響も大きい。防衛白書によると、戦車関連企業は約1300社、護衛艦関連企業は約8300社ともいわれる。小規模な企業の中には防衛需要依存率が50%を超えるケースもあり、防衛産業の衰退は日本を支える中小企業の体力を奪うことにもなりかねない。
日本の防衛予算において、人件費や糧食費を除いた防衛調達に関連する2024年度の物件費はおよそ4兆円。造船業の3.2兆円、航空機産業の2兆円よりも大きいのだ。武器輸出解禁に合わせてオーストラリアが日本の海上自衛隊の護衛艦を購入すると報じられているが、ブルームバーグによると受注額は1.7兆円から2.3兆円になるという。防衛産業の潜在的な市場は大きい。
そして、防衛産業は国内にある会社への恩恵が大きい点も見逃せない。予算の8~9割は国内向けの支出なのだ。武器の輸出による産業の活性化は、国内の雇用の維持や中小企業の賃金上昇といった恩恵をもたらす可能性がある。
自動車の日産は次々と国内の工場の閉鎖を発表し、ホンダも工場の集約を進めている。自動車産業が苦戦する中で、防衛産業の活性化を歓迎する声も多いはずだ。
政府はデュアルユースなどの科学技術開発に60兆円を投資
武器の輸出は防衛関連の新たな産業を興す可能性もある。
日本では科学技術の軍事利用が戦争を引き起こす一因になったとの考えから、軍事研究に対しては後ろ向きだった。長らく反対の立場をとってきたのが日本学術会議である。日本学術会議は2025年6月に国の特別機関から独立して特殊法人へ移行する法案が成立。2026年10月の法人化に向けて歩き出した。
2026年2月8日投開票の衆院選で自民党が大勝した後の3月27日、政府は2026年から5年間の科学技術政策の方針を決める「科学技術・イノベーション基本計画」を策定。具体的な施策の中に「産学官が連携して、デュアルユース技術の研究開発及び社会実装」を盛り込んだ。
デュアルユースとは軍事と民間の両分野で利用可能な技術や製品を指す。サイバーセキュリティ、全地球測位システム、AI、ドローン、繊維など広範な領域が含まれる。電子レンジや食品用ラップ、缶詰、ボールペンはもともと軍事用品から生み出されたものだ。
2025年11月12日の参議院予算委員会で、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は質疑の際、「もう民間と軍事の境がなくなって、デュアルユースになっている。防衛予算だからと、おどろおどろしい戦争のための予算ではなく、実はいろんな開発をしていく」と、デュアルユースに対して理解を示す発言をしていた。
防衛産業の活性化は中小企業やスタートアップの活躍を後押しする可能性が高い。政府は研究開発投資を5年間で60兆円、官民合わせて180兆円とする目標を掲げた。防衛省と経済産業省は自衛隊のニーズとスタートアップのマッチングも推進している。
武器の輸出解禁は、デュアルユースの研究開発を進めるスタートアップや中小企業のエコシステム構築に一役買う可能性が高いのだ。
武器輸出を巡る世論は、調査によって大きく分かれている
ただし、武器輸出には反対の意見が多いのが現実だ。政府は国民の声に耳を傾けつつ、丁寧に説明する必要がある。防衛産業の活性化を歓迎する声が少なければ、市場の健全な成長はありえない。
内閣府の調査では、防衛装備の海外への移転について肯定的な割合は68%だ。一方、NHKの調査で肯定的だったのは32%、読売新聞が40%、朝日新聞が25%である。民間の調査では賛成する割合が低い。
武器輸出の目的を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限定する五類型の撤廃は、公明党が連立政権から離脱し、自民党と日本維新の会が連立合意した際に明記されたものだ。ブレーキ役の公明党がいなくなったことで武器輸出に向けた動きが加速している。
4月14日の参議院外交防衛委員会において日本共産党の山添拓議員は、武器輸出について「日本を死の商人国家に堕落させることは許されない」と批判した。武器輸出三原則の運用指針の改定が閣議決定であり、国会に諮らず密室で決めたことにも疑問を呈した。
野党を支持する国民からも、SNSでは似た意見が噴出している。武器の輸出が防衛面だけでなく、産業の活性化に寄与することもあわせて丁寧に説明し、理解を得る必要がありそうだ。
取材・文/不破聡

脱線から21年、冥福祈る=「風化させない」と思い新た―記憶継承が課題・福知山線事故

乗客106人と運転士が死亡し、562人が重軽傷を負ったJR福知山線脱線事故は25日、発生から21年となった。兵庫県尼崎市の現場近くに整備された慰霊施設「祈りの杜(もり)」で追悼慰霊式が開かれ、JR西日本幹部らは安全運行を誓い、遺族らとともに犠牲者の冥福を祈った。
1両目に乗車中に負傷した福田裕子さん(42)=同県宝塚市=は「21年がたち、事故自体より、事故の経験がどこに生かされているかに目を向けてもいい」と教訓を生かす大切さを強調。事故で次男=当時(18)=を亡くした上田弘志さん(71)=神戸市北区=は、式典での倉坂昇治社長のおわびの言葉について、「社長の言葉が毎年同じだ」と批判した。
毎年、現場を訪れて手を合わせるという中村孝行さん(62)=同県伊丹市=は、当時近くの葬儀店で勤務しており、複数の犠牲者の葬儀を担当した。「遺族と打ち合わせするのはつらかった。風化させないために、若い世代にどう伝えていくかが大事だ」と話した。
式典に先立ち、JR西の幹部らは発生時刻の午前9時18分、事故現場付近で黙とう。同時刻ごろ、いつもよりスピードを落とした電車が近くのカーブを通過し、車内では、安全運行を誓うアナウンスが流れた。 [時事通信社]

“注意喚起”ゲートのはずが… 相次ぐ接触トラブル、落下事案も

法律の定めを上回る高さの積載物が、和歌山市の市道に設けられた鉄製ゲートに接触する事故が相次いでいる問題で、車両運搬用の車の荷台から軽乗用車が落下し、後続車両に当たるなど、死亡事故につながりかねないトラブルが続発していることが分かった。県警などが啓発を進めているが、後を絶たない。
ゲートが設けられているのは市道の二つの地点。南北に延びる阪和道の高架橋と交差する場所に向かって東西に設けられ、道路交通法の積載物の高さ制限(3・8メートル)を示すとともに、改修工事中で地面からの空間が本来より約1メートル低い4・2メートルになっている高架橋との衝突事故を防ぐ目的がある。2024年11月ごろ設けられたものだ。
和歌山東署によると、24年12月から今年1月までの1年あまりで、事故の発生件数が少なくとも10件に上る。大半は荷台に積んだショベルカーがゲートに接触したものだった。
10件のうち1件では、車両運搬用のキャリアカーから荷台の軽乗用車が落下。後続の乗用車の天井の後方部分に当たり、天井にへこみが生じたという。この1件を含めいずれもけが人は出ていないが、和歌山東署交通課の担当者は「あと0・1秒タイミングが違っていれば……」と大きな事故につながった可能性を指摘する。
ネクスコ西日本によると、東西のゲート手前には制限を超える高さを感知すると警告を表示するセンサーを設け、路面の標示も新たに設置。損傷したゲートはその都度建て替え、バー上部には「制限高3・8メートル あ!」と重機の絵柄付きの看板も付け加えるなど県警とも連携し、注意喚起してきた。レンタル会社や業界団体にも周知を促しており、3月10日には和歌山市内の企業に啓発のチラシを手渡した。
今月には高架橋への衝突防止の対策を強化する狙いで、ゲートが一つずつ設置されていた二つの地点付近に新たにゲートも増設された。県警は「重大事故の発生も懸念される。運行前には必ず高さを計測してほしい」と呼び掛けている。【藤木俊治】

脱線事故現場を通過の快速電車で「安全へのアナウンス」 手を合わせる乗客も

乗客106人と運転士1人が死亡し、562人が負傷した平成17年のJR福知山線脱線事故の発生から21年となった25日、現場を通過した快速電車内では、車外に向かって手を合わせ頭を下げる人の姿が見られた。
午前9時15分ごろに現場を通過した快速電車では、伊丹駅を発車後に「安全への誓い」の放送があった。アナウンスで車掌は「私たちは、この事故を心に刻み、安全運行に努め、改めてお客さまから安心してご利用いただけるよう、全力をあげて取り組んで参ります」と述べた。乗客はアナウンスに静かに耳を傾け、車窓から見える現場周辺を見つめる人もいた。
快速電車は事故現場の手前で減速し、時速約25キロで通過した。1両目に乗車していた大阪府高槻市の介護職員、中村圭介さん(49)は、電車が現場に近づくとバッグから花束を取り出し、現場に向かって黙(もくとう)した。「一人の鉄道好きの人間としてお参りにきました」といい、「人やモノだけでなく、夢や希望も一緒に乗せて走るのが鉄道の役目。107人が亡くなり、多くの方が重軽傷を負った。絶望や恐怖や死をもたらす存在であってはならない」と語った。