大川原冤罪、起訴5日前の内部通報明らかに しかし監察部門機能せず

警視庁公安部による冤罪(えんざい)「大川原化工機事件」で、逮捕された大川原化工機社長らが起訴される5日前の2020年3月、公安部の捜査員が警視庁の監察部門に対し、捜査の過程で違法行為があったと内部通報していたことが判明した。しかし、監察は動かなかったとみられ、捜査は止まらなかった。捜査に問題があることが起訴前、監察部門に伝わっていたことが明らかになるのは初めて。
訴えられた三つの問題点
この冤罪について警視庁が7日に発表した検証報告書では、公安部の指揮機能不全が背景にあったとしたが、監察も機能していなかったことが判明し、警視庁の組織ガバナンスに疑義が生じた格好だ。
この内部通報は、通報した捜査員が毎日新聞の取材に証言した。公安部外事1課が社長ら3人を外為法違反(不正輸出)の疑いで逮捕したのは20年3月11日。捜査員によると、15日後の26日朝、監察部門がある人事1課の窓口に電話で匿名の通報をした。
通報内容は、大川原元取締役の島田順司さん(72)を逮捕した際の取り調べを巡る問題。具体的には①容疑の認否などを記す調書「弁解録取書」(弁録)を取調官の安積伸介警部補(当時)が廃棄した②取り調べに立ち会った巡査部長の証言で廃棄が24日に明るみに出たが、安積警部補が巡査部長に「これが公になると大変なことになるので、黙っていろ」と口止めした③弁録廃棄について外事1課幹部らがもみ消しに走っている――という内容だった。
警察内で調書の廃棄は「文書事故」として扱われ、監察事案になるとされる。もし故意に廃棄したとすれば、公用文書毀棄(きき)罪に問われる可能性もある。
捜査員は約20分間にわたり問題点を伝え、31日が社長らの勾留期限だとして「今すぐ動かないと検事が起訴してしまう」と訴えた。電話対応した男性は「上に報告します」と答えた。
人事1課から連絡なく
捜査員は通報後も連絡を取れるようにするため、私有のメールアドレスを伝えて電話を切った。通報の5時間半後、「今朝相談した者です。念のため、メールを送ってみます」と人事1課の窓口に送信した。しかし、その後に人事1課から一度も連絡はなく、外事1課を調べた形跡もないという。
安積警部補は25日、弁録廃棄は「過失」とする報告書をまとめ、外事1課も過失と結論付けて不問に付した。監察部門が動けば、捜査が見直されて起訴が見送られた可能性もあったが、東京地検は31日、社長ら3人を起訴した。
東京高裁は「違法」と認定
社長らの起訴は翌21年7月、地検が「起訴内容に疑義が生じた」として初公判の4日前に突然取り消した。大川原側は国家賠償請求訴訟を起こし、東京高裁は25年5月、「犯罪の成立に関する判断に基本的な問題があった」として捜査が違法だったと認定し、判決が確定している。
裁判では、内部通報された島田さんの取り調べも争点になった。判決によると、安積警部補は、不正輸出を否認していた島田さんを欺き、容疑を認める弁録を作成。内容を確認した島田さんから抗議された後、シュレッダーにかけた。
判決は、この弁録作成を「偽計的な方法を用い違法」と認定。公安部の見立てに沿った弁録を「安易に廃棄することはおよそ考えがたい」とし、廃棄は過失だったとする警視庁側の主張を「不自然」と指摘した。
弁録廃棄について、検察審査会は2月に「不起訴不当」と議決。東京地検は公用文書毀棄容疑は改めて不起訴としつつ、廃棄は過失とする報告書を作成した虚偽有印公文書作成・同行使容疑については再捜査している。
警視庁は取材に「内部通報は性質上、その有無を前提として答えることは差し控える」と回答した。
【遠藤浩二】

筑紫野市のJR踏切で成人男性が倒れているのが見つかる 電車と衝突か JR鹿児島線で一時運転見合わせするも再開

14日早朝、福岡県筑紫野市にあるJR鹿児島線の踏切で、成人男性が倒れているのが発見されました。男性は意識があるものの、病院に搬送されています。電車と衝突した可能性があるとみて、警察が事故の原因を詳しく調べています。
警察やJR九州によりますと、14日午前5時20分ごろJR鹿児島線都府楼南駅~二日市駅間にある筑紫野市塔原の踏切で「人が倒れている」と目撃者から110番通報がありました。
倒れていた成人男性は、意識はあったものの、けがをしていたため、病院に運ばれました。今のところ、年齢や詳しい容体などはわかっていません。
男性が電車と衝突した可能性があるとみて、警察が詳しく調べています。
この影響で、JR鹿児島線は、一部区間で運転を見合わせをしていましたが、現在は運転を再開しています。

万博直結の地下鉄がストップ 帰宅困難者、会場で一夜

13日午後9時半ごろ、大阪・関西万博の会場につながる唯一の鉄道路線、大阪メトロ中央線で電気系統のトラブルが発生し、運転を見合わせた。大勢の来場者とスタッフが帰宅できなくなり、会場内で一夜を過ごした。中央線は14日早朝に全線で運転を再開。日本国際博覧会協会(万博協会)は14日の開場を1時間遅らせ、午前10時にすると発表した。
会場内では13日深夜、複数のパビリオンが休憩用に開放された。来場者が帰宅できない事態と、開場を遅らせるのは、いずれも4月13日の開幕以来初めて。
大阪市消防局と大阪府警によると、14日朝までに気分不良や熱中症の疑いで36人が救急搬送された。いずれも軽症という。警察官が駅周辺の雑踏警備や会場内の警戒に当たり、大きなトラブルはなかった。
中央線は8月13日夜、コスモスクエア(大阪市住之江区)―阿波座(同市西区)間で運転を見合わせ、会場東ゲートに直結する夢洲駅に来場者が集中、一時構内への入場を規制した。

伊東市長、初出頭の百条委で論点かみ合わず…大学「卒業証書」はいつどこで入手したのか「記憶にない」

静岡県伊東市議会の調査特別委員会(百条委)への出頭を拒んできた田久保真紀市長が13日、初出頭した。百条委では、市長の知人が「『大学を卒業していない』と聞いた」と証言しており、市長の発言が注目されたが、田久保市長は従来の主張を繰り返した。
田久保市長はこれまで、百条委への出頭要請について「回答が事実上不可能な内容を含み、不適切な請求」と拒んできた。しかしこの日は、百条委で取り上げられる情報や証言に信ぴょう性が低いものが多いと初出頭した。
百条委は、田久保市長が冒頭、宣誓書を読み上げて、証人席に弁護士と前後に並んで始まった。委員が東洋大の卒業証書のコピーと卒業アルバムの現物を持参し、市長に確認すると、市長は「自分の『証書』と『アルバム』と同じ物だと言っても問題ない」と回答した。「卒業証書」をいつどこで入手したのかという問いには「記憶にない」と答えた。「大学を卒業した認識だったのか。イエスかノーで答えてください」との質問には「卒業していない事実を知ったのは6月28日」と答えるなど、かみ合わない場面も目立った。
終了後に取材に応じた田久保市長は「市民や職員に十分説明できた」と話す一方で「百条委での発言は重いので、確認済みの事実に限定して回答した」とも語った。
中島弘道議長は取材に対し、「回答書の反復、核心への不回答、論点ずらしが顕著。真実を述べているとは思えない」と述べた。百条委はあと1回ほど開かれ、月内にも結論を出す予定という。

森友文書「極力新たな文書を開示しないように」…情報公開請求の対応巡り、手書きで「忖度」とも

学校法人「森友学園」を巡る決裁文書改ざん問題で、財務省は13日、自殺した元近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54歳)の遺族に関連文書約1万8000ページを開示した。情報公開請求への対応を巡り「極力新たな文書を開示しないように対応することで与党と調整」と記載されるなど、財務省側が公開に消極的な姿勢を示す文書が複数見つかり、「忖度(そんたく)」と手書きされた箇所もあった。
文書は赤木さんの妻、雅子さん(54)が財務省側に開示請求したもので、開示は4月と6月に続いて3回目。赤木さん以外の近畿財務局職員や財務省職員がまとめたとみられる資料で、一連の問題を巡る情報公開請求に関して、内部で対応を検討した結果を記したものが多数あった。
2017年6月に近畿財務局内部で共有されたメールには、財務省理財局側に確認したとみられる方針として「森友案件に関しては、今後、開示請求に対して極力新たな文書を開示しないように対応することで与党と調整している」と記載されていた。
「理財局にも対応を確認しておく必要がある」と書かれた近畿財務局職員のメールを印刷した文書では、この部分にアンダーラインを引いて赤字で「忖度」と手書きされていた。同じメールを印刷した別の文書には、「いかに出さない方法を検討するか 存在を知らない者に対して本件の特定にたどりつかないようにしたい」との書き込みもあった。
また、近畿財務局職員と学園の理事長(当時)がゴミの撤去費用を巡って電話でやりとりした応接記録を巡り、理事長の「現時点で、2億や3億はかかっている」といった発言について、理財局総務課長(当時)が「2億や3億のくだりは削除願います」と近畿財務局にメールで指示した内容もあった。
この問題では17年2月、学園に対する国有地売却での大幅な値引きが国会で問題視された後、財務省の決裁文書から国会議員などに関する記載が削除された。財務省の調査報告書(18年公表)などから、理財局の指示で近畿財務局職員が改ざんしたことなどが判明したが、改ざんの経緯や指示の全容は明らかになっていない。

雇用する18歳男性を逮捕・監禁し、何度も顔面殴打か さらに女子高校生2人も監禁した疑い 26歳と19歳の男を逮捕 被害男性の無断欠勤がきっかけか

北海道小樽市内で、18歳の男性を無理やり車内に押し込めて逮捕・監禁し、さらに男性の顔面を何度も殴ってけがをさせたなどとして、26歳と19歳の男が逮捕されました。
逮捕・監禁と傷害の疑いで逮捕されたのは、石狩市に住む足場工の田中壮大容疑者(26)と札幌市西区に住む足場工の男(19)です。
2人は共謀のうえ、5日午前1時ごろ、小樽市花園2丁目のコンビニエンスストアの駐車場で、田中容疑者が運転する車の助手席に男性(18)を無理やり押し込めて不法に逮捕し、小樽市手宮1丁目の岸壁まで15分ほど車を走行して不法に監禁した疑いが持たれています。
さらに、走行中の車内や岸壁で男性(18)の顔面を複数回殴打し、けがをさせた疑いも持たれています。
また、男(19)は被害に遭った男性(18)が運転していた車の運転席に乗り込み、男性の友人である16歳の女子高校生2人が同乗しているにもかかわらず、車を運転し、小樽市色内3丁目のコンビニエンスストアまで約30分間、女子高校生らを監禁した疑いが持たれています。
田中容疑者から暴行を受けた男性(18)は、左頬や下あご、腹などを打撲する軽傷です。
警察によりますと、田中容疑者は被害に遭った男性(18)の雇用主で、男性が無断欠席を続けていて連絡が取れなくなっていたことから、男性の居場所を探し回っていたということです。
事件直前の5日午前0時半ごろは、少年(18)から「親友の家に、自分の勤めている会社の社長が来たみたいで、警察に確認してほしい」と通報がありました。
警察の取り調べに対し、田中容疑者は「逮捕・監禁はしたが、殴ってはいないからけがしたのはおかしい」と話し、男(19)は「女の子を監禁したのは間違いないが、社長に言われてやった」と話していて、いずれも容疑を一部否認しているということです。
警察が、当時の詳しい状況や、田中容疑者らの余罪について調べています。

「開場遅れ知らなかった」 14日の万博開場1時間繰り下げ、来場者たちに戸惑い

大阪・関西万博の会場に直結する大阪メトロ中央線が13日夜に発生した電気系統の不具合で運転を見合わせ、万博会場に多くの人が取り残されたことを受け、14日の万博会場の開場時間は1時間遅れの午前10時に変更された。開場時間の変更を知らずに訪れた人たちからは戸惑いの声が漏れた。
万博会場への来場者輸送の要となる大阪メトロ夢洲駅(大阪市此花区)を降りてすぐの東ゲート前では、14日朝から多くの来場者の姿があった。午前8時すぎ、案内員から開場の遅れの説明を聞く4人家族がいた。「車で千葉から来た。開場遅れを知らなかった」と戸惑っていた。
「開場遅れは、出発してから気付いた」と話すのは、この日、通常の開場時間である午前9時に予約を入れていた京都府の男子高校生。午前8時には会場に到着したという。愛知県から来た親子も「ネットで開場遅れを知ったが、とにかく早めに来た」と語った。

【速報】「2階で煙が充満している」と通報 鳥取県伯耆町の住宅で火事

8月14日午前8時前、鳥取県伯耆町の2階建て住宅で火事がありました。
警察と消防によりますと、この家の住人から「2階で煙が充満している」と消防に通報があったということです。
火はおよそ1時間後に鎮火し、この火事によるけが人はいませんでした。
警察と消防が詳しい火事の原因などについて調べています。

万博協会幹部「大変心苦しい」 地下鉄ストップ時、会場には3万人

地下鉄の運転見合わせにより、大阪・関西万博の会場で多数の帰宅困難者が発生した問題で、日本国際博覧会協会(万博協会)の高科淳・副事務総長は14日の記者会見で「大変心苦しく感じている」と述べた。地下鉄の運転が止まった13日深夜の段階で、万博会場内には3万人がとどまっていたことを明らかにした。
会場の最寄り駅・大阪メトロ夢洲(ゆめしま)駅とつながる地下鉄中央線は13日夜、電気設備のトラブルの影響で運転を見合わせた。
高科氏は「突発的なインシデント」としたうえで、「想定した中で動けており、大きな事故がなかった。お客様に適時・適切な情報をお伝えできていたかは検証の必要がある」と述べた。【藤河匠】

コカイン使用後に追突事故 危険運転致傷疑いでタクシー運転手再逮捕

コカインを使用後に乗用車を運転し、追突事故を起こして重傷を負わせたとして、警視庁交通捜査課は14日、東京都江戸川区西葛西7のタクシー運転手、金子智光被告(26)を自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで再逮捕したと発表した。
再逮捕容疑は、7月5日午前9時5分ごろ、江戸川区船堀1の区道で、コカインの影響で正常な運転が困難な状態で乗用車を運転。信号待ちをしていた20代の自営業男性の軽ワゴン車に追突し、肋骨(ろっこつ)を折る重傷を負わせたとしている。事故を起こしたことは認める一方で、コカインの使用は否認しているという。
警視庁によると、金子容疑者は当時非番で、自家用車を運転。被害男性の車を約500メートル追尾していた。事故の前に2人の車は近くのコンビニ駐車場に止まっており、金子容疑者が何らかの理由で被害男性の行動に一方的に腹を立てたとみられる。
事故後に被害男性が110番する際、金子容疑者は「警察を呼ばないで。40万円払うからこの場で済ませよう」と発言。Tシャツの裏表を逆に着るなど不審な点があった。尿検査でコカインの陽性反応が出たため、麻薬取締法違反(使用)の疑いで逮捕され、その後起訴された。
警察庁によると、2024年に警察がコカインの所持や使用などで摘発したのは過去最多の586人で、20年の188人から約3倍に増加した。コカインを使用後の運転に危険運転致傷容疑を適用するのは全国で2例目。【菅野蘭】