在留手数料「上限30万円」検討=政府、帰化要件も厳格化へ

政府は27日、外国人の在留手続きの手数料を欧米並みに引き上げる方向で検討に入った。永住許可の手数料(現行1万円)を「上限30万円」に引き上げる案を自民党に示した。具体的な額は政令で定める。日本国籍を取得する「帰化」の要件も厳しくする方向で、法改正も視野に議論を進める。
自民党は27日、外国人の出入国・在留管理の適正化に関するプロジェクトチーム(PT)の初会合を開き、政府が進める外国人政策見直し案の概要について議論した。
1981年の法改正で在留手数料は「上限1万円」と定められた。政府は在留外国人が急増し、業務負担増に対応するための人員・システムの体制整備が必要と指摘。法改正により、手数料の上限を永住許可は30万円に、資格変更・更新は10万円に引き上げる案を検討する。資格変更・更新の現行手数料は窓口6000円、オンライン5500円。欧米主要国より割安で、大幅に見直したい考え。
帰化要件では、永住許可が「原則10年」の在留を必要とする一方、より強い権利を与える帰化は「5年以上」で申請できる不整合を問題視。居住要件を永住許可と同等以上に引き延ばす方向で検討を進める。 [時事通信社]

中国から特殊詐欺電話、中国籍の男ら3人を詐欺容疑で再逮捕…勧誘した「かけ子」の案内役か

中国の拠点から特殊詐欺の電話をかけたとして、愛知県警は27日、中国籍で岐阜市の男(35)ら男女3人を詐欺容疑で再逮捕した。中国籍の男は詐欺電話をかける「かけ子」を勧誘し、中国の拠点まで連れて行く案内役を担っていたという。
県警によると、中国籍の男に勧誘された愛知県稲沢市のアルバイトの男(37)は今年、中国で拘束され、日本に強制送還されていた。この男はかけ子として中国にある複数の拠点を一定期間ごとに移動しており、詐欺グループ側の中国人ら約20人が開いた酒宴に参加したこともあった。東南アジアの特殊詐欺拠点へ行く計画もあったと説明しているという。
発表によると、男女3人は仲間と共謀して7月、中国の拠点から北海道警の警察官などをかたって名古屋市南区の女性会社員(67)にうその電話をかけ、現金300万円をだまし取った疑い。

未払い賠償金巡りアレフ提訴=被害者支援機構が回収図る―東京地裁

オウム真理教による事件被害者らを支援する「オウム真理教犯罪被害者支援機構」は27日、教団の後継団体「Aleph(アレフ)」が支払っていない賠償金を回収するため、アレフと関連会社を相手取り、東京都内にある施設の強制執行を可能にする訴訟などを東京地裁に起こしたと明らかにした。4日付。
同機構がアレフに対し、未払いとなっている賠償金の支払いを求めた訴訟では、2020年に最高裁で約10億2500万円の賠償命令が確定した。機構側によると、アレフは支払いに応じていない。
訴状で機構側は、足立区にある施設の土地と建物は登記上、関連会社名義だが、実質的な所有権はアレフにあると主張。認められれば、賠償金の一部を回収できるようになるという。
1995年の地下鉄サリン事件で夫を亡くした高橋シズヱさん(78)は都内で記者会見し、「アレフは法の隙間をすり抜けていて悔しい」と話した。機構理事長の宇都宮健児弁護士は「被害者遺族は高齢化してきている。一刻も早く賠償金を回収したい」と語った。 [時事通信社]

和洋女子大の大学院構想中止訴訟が和解 原告側に謝意と遺憾の意表明へ

和洋女子大(千葉県市川市)を運営する学校法人和洋学園の新大学院設置構想のため、職を辞すなどして集まった研究者ら6人が、突然の計画中止で雇用打ち切りを通告されたのは違法として教授や講師としての地位確認などを求めた訴訟は、東京高裁で和解が成立したことが判明した。雇用打ち切りは撤回されなかったが、学園側から研究者らに対し、構想実現に向けた尽力に謝意を示し、計画中止の説明が不十分だったとして遺憾の意を表明する内容。
1審の東京地裁判決などによると、新大学院構想は同学園の長坂健二郎理事長(当時)が2019年、宮坂勝之・聖路加国際大名誉教授を設置準備に誘ったのが発端。宮坂氏は20年4月に労働契約を結んでプロジェクトが始まり、宮坂氏が声をかけた医師や看護師、医療経済の専門家らが参加した。学園は21年3月、文部科学省に設置認可を申請。同5月、文科省から「警告」付きの審査結果が示された直後に認可申請を取り下げ、プロジェクトを終了させた。
原告側は「一方的な終了による雇い止めは無効」と提訴。1審では、短期間の労働契約の成立や、学園側にプロジェクトを打ち切る裁量があることを認め、原告の請求を棄却。原告側は控訴していた。
和解は6月13日付。和解条項では、文科省への申請取り下げについて、研究者らに対する学園側の説明が「必ずしも十分ではなかった」と指摘。こうした裁判所の認識を真摯(しんし)に受け止めるよう学園側に求めた。
原告団の宮坂氏は「前職を辞して集まるなどした研究者や教員の納得を得ず、大学側が一方的に構想を取り下げる事態は他の大学でもあるのではないか。今回の和解がそうした事態に歯止めをかける一助になれば」と話した。【宇多川はるか】

れいわ、有志は定数減反発 自維の方針説明に

自民党と日本維新の会は27日、12月上旬の国会提出を目指す衆院議員定数削減法案を巡り、れいわ新選組と衆院会派「有志の会」に与党方針を説明した。れいわは定数削減自体に反対を表明。有志の会は、1年以内に削減方法の結論が得られなかった場合に比例代表を50削減するとの維新案に反発した。
自民の加藤勝信政治制度改革本部長と維新の浦野靖人選対委員長代行が、国会内でれいわの高井崇志幹事長、有志の会の福島伸享衆院議員にそれぞれ面会した。
高井氏は記者団に「比例の割合を増やすなど、少数政党が議席を持てる選挙制度にすべきだ」と強調した。

事故後、車の鍵捨てたか=逮捕の男、自動車販売店付近で―11人死傷・警視庁

東京都足立区梅島で盗難車が暴走し11人が死傷した事故で、自動車販売店から車を盗んだとして逮捕された男(37)が、事故後、同店付近の植え込みに車の鍵を捨てていたとみられることが27日、捜査関係者への取材で分かった。
男は窃盗容疑を否認する一方、「車をガードレールや人にぶつけてしまい、そのままにした」と話しているといい、警視庁は刑事責任能力を調べるとともに、道交法違反(ひき逃げ)容疑などでも捜査している。
捜査関係者によると、同店付近の防犯カメラには、事故の約5分後に現場方面から走ってきた男が、植え込みに何かを捨てるような様子が映っていた。植え込みからは盗難車の鍵が見つかったという。 [時事通信社]

「お茶通して平和を伝えた」 茶道裏千家・千玄室さんお別れの会

茶道の国際化と普及に努め、8月14日に102歳で亡くなった茶道裏千家十五代家元で文化勲章受章者の千玄室(せんげんしつ)さんのお別れの会が27日、京都市左京区の国立京都国際会館で開かれた。約4200人の参列者は「一碗(いちわん)からピースフルネスを」を掲げて世界を歴訪した故人との別れを惜しんだ。
会では参列者らが冒頭に黙とうし、家元を継いだ長男の十六代千宗室さんが「入院して、またたく間に亡くなって本人も不思議がっているような気がしてなりません。ぜひとも故人をしのんでいただければ」とあいさつ。玄室さんの写真や茶器が据えられた祭壇に白菊を献花した。
会場には、茶道に生きる転機になった海軍時代や、「茶の湯外交」を展開して世界各地を訪れた故人の足跡をたどる63枚の写真パネルも展示された。
参列した華道の池坊専永家元は「非常に優しくて、かがみのような人だった。言葉では言い表せない」と人柄をしのび、京舞井上流五世家元で人間国宝の井上八千代さんは「日本文化を世界に広め、お茶を通して平和を伝えられた。さみしいことですね」と惜しんだ。
世界的な建築家の安藤忠雄さんは「未来を見ていた方だった。この方が亡くなったら文化が無くなってしまうと思うほどの文化的な方だった」と話し、清水寺の森清範貫主(かんす)は「とても寛大で、りんとした厳しさもあった。何度も戦争の話をさせていただき、平和への思いを感じた。残された者がその遺志を受け継いでいかなくてはならないと思う」と語った。
午前は、茶道関係者のほか、文化人や政界関係者らが参列し、午後は一般の参列者が花を手向けた。【大東祐紀、日高沙妃】

遺族に賠償金支払いへ 高知の小4プール事故

高知市立長浜小4年の男児が昨年7月、中学校でのプール授業中に溺れて亡くなった事故で、市が遺族側に損害賠償金を支払うことで合意したことが27日、分かった。桑名龍吾市長が同日の定例記者会見で明らかにした。12月4日から始まる市議会に、遺族との和解に関する議案を提出する。
賠償額は議案提出時に公表するとした。議案が可決されれば示談が成立する見通し。
市によると、市は小学校や市教委の責任を認め、裁判所を介せずに遺族側と交渉していたという。桑名市長は会見で「教育現場であってはならない事故を起こしたことに責任を感じている」と述べた。
事故は昨年7月5日に発生した。

【独自】与党、衆院で過半数に 改革の会3人、自民会派へ

衆院会派「改革の会」に所属する3議員が、自民党会派に加わる方針を固めたことが分かった。28日にも表明する方向だ。関係者が27日明らかにした。現在の衆院の会派別勢力は自民党・無所属の会196、日本維新の会34で与党は計230。改革の会3人が加われば計233となり、定数465の過半数に達する。
自民を中心とする政権は昨年10月の衆院選の結果、少数与党となり、予算や法律を成立させるには野党の協力が不可欠だったが、衆院では与党側だけで可決が可能になり、安定した国会運営に向けて前進した形となる。
改革の会は、維新から除名処分を受けた衆院議員の斉木武志=比例北陸信越、守島正=大阪2区、阿部弘樹=比例九州=各氏が今年9月に結成を届け出た。他会派との連携を否定しない立場を取っており、10月の首相指名選挙では自民からの協力要請を受け、3人は衆院本会議で高市早苗氏に投票。高市首相の誕生に貢献した経緯がある。
自民は石破政権下で迎えた昨年10月の衆院選、今年7月の参院選で連敗し、衆参両院で少数与党となった。

日本政府、米紙報道を否定=「事実ない」と抗議―首脳電話会談巡り

木原稔官房長官は27日午後の記者会見で、トランプ米大統領が高市早苗首相に対し、台湾問題で中国を挑発しないよう電話で助言したと報じた米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事に関し、「そのような事実はない」と否定した。同紙に抗議したことも明らかにした。
WSJは日米両政府関係者の話として「台湾の主権を巡る問題」で中国を刺激しないよう、トランプ氏が首相に促したと報道した。木原氏はこの記述を誤りと指摘した。
一方、日本政府は記事の取り下げまでは求めていない。WSJは、トランプ氏が首相に「台湾に関する発言のトーンを和らげるよう示唆」する傍ら、日本国内の政治情勢に配慮し、台湾有事を巡る国会答弁の撤回までは求めなかったとも記述した。木原氏はこうした点の事実関係には触れなかった。
木原氏は27日午前の記者会見で報道の正否を尋ねられた際、電話会談の詳細は「外交上のやりとり」だとして回答を避けた。その後、「多くの照会が政府になされた」ため「明確にする必要があると判断した」として、午後の会見で否定に転じた。 [時事通信社]