4億円相当の金塊詐取被害=「ニセ検事」らから購入指示―長崎県警

長崎県警平戸署は12日、同県平戸市の80代女性が金塊約17キロ(時価約4億円相当)をだまし取られる被害に遭ったと発表した。検事や刑事をかたる男らに捜査名目で購入を指示され、自宅に来た男らに渡したという。同署が特殊詐欺事件とみて捜査している。
同署によると、8月中旬ごろ、女性宅の固定電話に「通帳と携帯電話が犯罪に使われている。これは詐欺罪になる」などと電話があった。その後、検事を名乗る男から電話で「取り調べをする」と言われ、住所や資産情報などを教えたところ、同月下旬に「事件捜査をするため、金塊を購入してほしい」との指示を受けた。
女性は指示通り純金のインゴット計約17キロを購入。12月上旬までに自宅に引き取りに来た男らに3回にわたって渡したという。 [時事通信社]

クマ保険に230自治体が加入 駆除の流れ弾、宿泊キャンセル、撃退スプレー購入に対応

全国で相次ぐ「クマ被害」を対象とした保険が注目されている。東京海上日動火災保険は12月から、クマの敷地侵入によって一時閉鎖に追い込まれた宿泊施設などに対し、予約キャンセル分の損失を補う保険を発売。撃退スプレーの購入や従業員の通勤手段変更などにかかる費用、簡易電気柵の設置費用を最大年1千万円まで補償する内容で、12日時点で100件以上の問い合わせがあるとしている。
同社は9月に「緊急銃猟」制度が施行された際にも、流れ弾を受けた建物などの被害を補償する保険をつくった。これまでに約230の自治体が加入しているという。
一方、運転中にクマと衝突した場合は、基本的に物損事故として扱われる。損害保険ジャパンによると、車両保険付きの自動車保険に加入していれば、修理費などが補償されるという。襲われてけがをした際の入院費は通常の傷害保険で、クマに自宅の外壁などを傷つけられた場合は「不測かつ突発的な事故」を含む火災保険で補償される。(永礼もも香)

後発地震注意情報発表のさなか、北海道・東北に津波 住民不安な表情

自らの命を自ら守るように呼びかけられた「北海道・三陸沖後発地震注意情報」のさなかに発表された津波注意報。警戒していた沿岸自治体の職員は対応に追われ、避難した住民たちは不安な表情を浮かべた。
津波注意報が出された12日昼、8日深夜に震度6強を観測した青森県八戸市では、市職員が沿岸地域に避難指示を出すとともに9カ所の避難所を開設した。8日の地震以降、職員が交代で24時間対応できるようにしている。地震で被害を受けた八戸港を熊谷雄一市長が12日に視察する予定だったが、急きょ取りやめた。
宮城県気仙沼市は避難所を19カ所開設した。担当者は「注意情報の警戒中に起きた地震だったが、通常と変わらない対応をした。(8日の地震と異なり)平日の日中なのですぐに避難所も開設できた」と話した。
北海道内では31カ所の避難所が開設され、計239人が避難した。注意情報を受け、道は夜間も職員4人が道庁に待機する警戒態勢を取っている。道危機対策課の担当者は「大地震があれば吹雪の中での避難となる可能性がある。寒さから身を守る備えをしてほしい」と呼びかける。北海道函館市では注意情報の後、LINE(ライン)などで地震や津波への備えについて住民向けに発信している。
一方、北海道新冠町の佐々木正昭さん(62)は高台の避難場所に7人しか避難していないのを目にし、「注意情報が出ているのに緊張感がない。防災無線は家の中まで聞こえにくいから職員らが声をかけて注意を呼びかけるべきだ」と役場の対応に注文を付けた。
政府は9日未明に北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の7道県182市町村を対象に巨大地震の可能性が平常時より相対的に高まっているとして注意情報を発表。16日午前0時まですぐに逃げられる服装で就寝することや非常持ち出し品を常に携帯しておくように呼びかけている。【松本信太郎、平山公崇、三沢邦彦、後藤佳怜】
東日本大震災で被災した経験のある住民たちは14年半前の記憶を呼び起こし、万一の災害に備えていた。
宮城県石巻市では住民らが市中心部の高台にある日和山公園などに避難した。小雪が舞う寒さで徒歩でやって来る避難者は少なく、付近の駐車場に車を止めて車内でラジオなどから津波の情報に耳を澄ます人たちの姿が見られた。市内の女性(76)は津波注意報の発表後すぐに車で避難。大震災の時は自宅1階に津波が押し寄せたため2階に逃れて2日間孤立したといい、「あの日と同じような雪で落ち着かない。大きな地震がまた来るかもしれず心配だ」と表情を曇らせた。
宮城県気仙沼市鹿折(ししおり)地区で酒屋を営む菅原文子さん(76)は大震災で夫と義父母を失った。注意情報後、すぐに逃げられるように備えているといい、「あの時のような思いをするのはもうたくさん。師走はもともと忙しいけど、(相次ぐ地震や津波で)いつもより落ち着かない」と話した。
岩手県大槌町でも8カ所に計172人が徒歩や車で身を寄せた。大震災で自宅を流された倉田敬一さん(67)は高台にある避難所で、「高台に上ることはめったにないが、津波は怖いから」とつぶやいた。【百武信幸、三浦研吾、奥田伸一】

「北朝鮮で韓国への憧れ高まっている」脱北者ラジオ代表が現状説明 拉致問題国際セミナー

北朝鮮による拉致被害者の家族会などは12日、参院議員会館(東京都千代田区)で被害者奪還の方策などを考える国際セミナーを開催した。民間の北朝鮮向けラジオ放送局「自由北韓放送」(韓国)の運営者らも参加。事態の進展に向け、国際社会に対する働きかけを強化する必要性などを訴えた。
高市首相で「解決の絶好の機会」
横田めぐみさん(61)=拉致当時(13)=の弟、哲也さん(57)は、「首相が高市(早苗)さんになったことは拉致問題解決の絶好の機会だ」とし、取り組みの加速を期待。「北朝鮮の冬は日本よりさらに寒い。私たちの同胞が住まわされていることは我慢できず、なんとか救い出したい」と述べた。
脱北者の有志が2004年に立ち上げ、北朝鮮の人民向けに韓国など外部社会の情報を伝えている自由北韓放送の李始瀛(イ・シヨン)代表は、北朝鮮国内の最新情勢を説明。消息筋の情報として、従来は豊かだった国境付近地域で餓死が多発し、闇市場にも物品が流通しなくなっているとし、「北朝鮮人民の頭の中では韓国への憧れが高まっている」とした。
「独裁者にラブコール」と批判
李氏によると、韓国では南北の緊張緩和を標榜(ひょうぼう)する李在明(イ・ジェミョン)政権の下、公的機関による北朝鮮向けラジオ放送が相次いで停止に追い込まれているという。李氏は韓国の現政権を「北朝鮮人民の知る権利を無視し、独裁者にラブコールを送っている」と批判した上で、「これからは自分たちのような民間団体の役割がさらに重要になる。変わらずに一生懸命戦っていく」と力を込めた。
セミナーでは、産経新聞の久保田るり子客員編集委員も登壇し、北朝鮮国内では韓国文化などの情報流入などに伴って金正恩(キム・ジョンウン)体制への不満が高まり「崩壊が始まっている」と指摘。拉致問題解決のために、「北朝鮮の弱みを分析し、戦略的に攻略するべきだ」との見方を示した。

小池百合子都知事、7分にわたり政府・与党が検討の「税収格差是正」論を批判…「不合理な見直しに断固反対」

政府・与党が検討している東京都と46道府県の「税収格差」の是正(偏在是正)について、小池百合子都知事は12日の定例記者会見で、「東京一極集中」の先入観に基づく議論が展開されているとして、「不合理な見直し、改悪に断固反対する」と批判した。反論は会見冒頭だけで7分間に及んだ。
小池氏は「人や企業が東京に集中する流れが続いている」との指摘を念頭に、国の「住民基本台帳人口移動報告」(2024年)に基づき、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡市にも各地域の人口が流入・集中している状況をデータで示した。
「是正」の標的の一つとされる地方法人2税(法人事業税、法人住民税)の税収の伸び率(23~24年度決算)も、46道府県平均の12%に対し、都は7%で全国34位にとどまると説明した。
その上で、「東京だけ人が集中しているわけでも、東京だけ税収が伸びているわけでもない。(国側が)都合のいい数字だけ持ち出すのは、現実を見極める力を失わせる」と続け、「是正」論に反論した。
さらに、税収が増えると地方交付税の配分が減り、自治体の努力が報われない現行制度が地方の成長を阻害しているとも指摘。「東京を狙い撃ちにし、限られたパイを奪い合って(地方に)ばらまくことが、本当の意味での『成長戦略』につながるのか。(国は)制度の綻びの矛先を東京に仕向けるのではなく、交付税制度を含め、地方税財政全体を充実できるよう見直すことが重要だ」と語った。

定数削減、今国会見送りへ=野党の反発強く―自維

自民党と日本維新の会が提出した衆院議員定数削減法案は、今国会中の成立見送りの公算が大きくなった。会期末が17日に迫る中、野党はなお強く反発。与党幹部は12日、会期延長も排除しない方針を確認したが、その場合も成立のめどは立っていない。
定数削減法案は、与野党間の協議で1年以内に結論が出なければ、自動的に「小選挙区25、比例代表20」を削減する条項が盛り込まれた。立憲民主党などはこれを問題視。衆院政治改革特別委員会への付託も決まっていない。
特別委では、与野党が提出した企業・団体献金見直しに関する3法案を審議中。野党は十分な審議時間の確保を求めており、定数削減法案が付託されても、会期内の審議入りは見通せない状況だ。
自民の梶山弘志、維新の遠藤敬両国対委員長は12日、最終盤の国会対応を巡り会談した。終了後、梶山氏は記者団に「会期延長も可能性として否定しない」と説明。献金見直し法案の採決と、定数削減法案の審議入りを、野党側に働き掛ける考えを示した。
維新の吉村洋文代表も、大阪府庁で記者団に「延長してでも(定数削減法案の)結論を出すべきだ」と訴えた。
もっとも、与党は参院で過半数に届いていない。定数削減法案は、野党の協力がなければ仮に審議入りしても成立は見込めない。
立民の斎藤嘉隆参院国対委員長は12日、自民の磯崎仁彦参院国対委員長と会談し、与党が定数削減法案を衆院で強行採決した場合、「(参院で)到底審議に応じるわけにはいかない」とけん制。記者団に「延長しても(成立は)100%無理だ」と強調した。
定数削減法案を巡っては、自民内からも「法案の成立に結び付かなければ(会期延長は)意味がない」(幹部)との声が上がる。維新幹部の一人も、成立は「現実的に難しい」との認識を示した。 [時事通信社]

20年前のJR福知山線脱線事故、車両の保存施設が完成 遺族ら案内、教訓をどう継承

乗客106人が死亡し、562人が重軽傷を負った平成17年4月のJR福知山線脱線事故の事故車両を保存する施設が12日、大阪府吹田市に完成した。JR西日本は同日、遺族・負傷者のうち希望者の案内を始めた。遺族らの間に慎重な意見があることなどを踏まえ、一般には非公開とする。
今年で事故から20年。JR西では今春、事故後に入社した社員が全社員の7割を超えた。事故原因の究明や再発防止を促してきた遺族らも高齢化が進み、後世への継承が課題となっている。
この日、2両目に乗っていた次男(38)が重傷を負った西尾裕美さん(67)=大阪府高槻市=が見学後に取材に応じ、「ぐちゃぐちゃになった車両を見て、(次男が)よく助かったという思いとともに、多くの人が亡くなったことに心が痛んだ」と話した。
施設はJR西社員研修センターに隣接し、地上1階、地下1階建てで延べ約3900平方メートル。事故では7両編成の電車が脱線し、前方の車両が線路脇のマンションに衝突して大破した。
JR西によると、1階に全7両を展示。1~4両目は衝突でつぶれたり、救助活動の過程で切断されたりして損傷が激しいため部品ごとに配置した。5~7両目は連結した状態で展示した。
施設は原則非公開。一方、事故の悲惨さを社内で継承するための研修に使用するほか、他の運輸事業者の安全担当者や、当時救護に当たった警察・消防の関係者らを内部に案内する計画もある。
施設に関しては被害者の間でも考えが割れている。次男の昌毅さん=当時(18)=を亡くした神戸市北区の上田弘志さん(71)は、「車両は(尼崎市の)事故現場の近くに置くべきだ。亡くなった方々の魂は、今もあの車両の中にある」と訴える。
過去の災害や事故の遺構保存を巡っては、被害者らの心情と教訓を後世に継承する意義、記憶の風化などさまざまな観点から議論となってきた。日本航空は昭和60年の日航ジャンボ機墜落事故で、航空安全を啓発するための教育研修施設「日本航空安全啓発センター」(東京)を平成18年に開館し、残存機体や操縦士らの音声を記録したボイスレコーダーなどを展示。全グループ社員が新人研修などで見学するほか、一般見学も受け入れており年間平均で4千人以上が訪れるという。

政府、高齢者施設に警戒強化要請 後発地震、電源確保や備蓄点検

政府は12日までに、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が初めて発表されたのを受け、被災地の高齢者施設や障害者施設を対象に後発地震への警戒や防災準備の強化を、都道府県などを通じて要請した。非常用電源を確保し、飲料水や食料の備蓄状況を点検するよう求めた。災害弱者への対応を急ぐ狙い。施設側は備蓄品や避難計画、連絡体制の確認を進めている。
12日午前にも8日に続き、青森県東方沖を震源とする地震があり、最大震度4を観測。北海道や東北の太平洋沿岸に津波注意報が一時出された。施設側は利用者の安全確保など対応に追われた。
厚生労働省は9日付で、防災準備の徹底を福祉施設に呼びかけるよう都道府県や政令指定都市、中核市に通知した。注意情報と似た制度の「南海トラフ地震臨時情報」が昨年8月に発表された際の対応を踏襲した。
ライフラインが寸断された場合は「利用者の生命・身体に著しい影響を及ぼす恐れがある」と指摘。自家発電機や燃料を確保し、飲料水や食料、医薬品、衛生用品(携帯トイレやおむつ)の備蓄状況を確認するよう求めた。

【速報】神奈川・日向山の山火事鎮圧 発生から丸3日以上経過 1万3000平方メートルを焼く 伊勢原市が明らかに

神奈川県の日向山で発生した山火事は、発生から丸3日以上が経過した午後5時前に鎮圧されました。
神奈川県伊勢原市の日向山で今月9日に発生した山火事は丸3日以上にわたって延焼が続いていていましたが、伊勢原市はきょう行った臨時の会見で、午後4時50分に鎮圧したと発表しました。
この山火事で1万3000平方メートルが焼けたということですが、けが人や建物への被害は確認されていません。また、出火原因についてはわかっておらず、今後の調査で明らかにするとしています。
日向山の山火事では、きのうから県の災害派遣要請を受けた自衛隊のヘリも消火活動に当たっていて、きょうも消防ヘリによる上空からの散水が行われ、午後からは応援要請を受けた周辺自治体の消防隊員を含むおよそ25人が山に入り、地上から消火を行っていました。
消防は、今後も鎮火に向けて消火活動は続けていくとしています。

「どんな高校生に…」 遺族が心情明かす 北九州市中3殺傷から1年

北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女2人が殺傷された事件で、亡くなった中島咲彩(さあや)さん(当時15歳)の父は12日、報道機関にコメントを寄せた。
事件発生から14日で1年となるが「咲彩がいなくなって過ごす日々は、変わらず受け入れ難いものであり、また、咲彩がいたらどんな高校生になっていて、どんなに楽しい生活を送ることができただろうと思う毎日です」と苦悩の日々を送っている現状を吐露した。
その上で「一刻も早く審理が尽くされ、二度と(平原(ひらばる)政徳被告が)このような事件を起こすことができないように、私たち家族や地域の方、そしてこの事件を知っている方々が安心して生活できるように、刑罰に処されることを切に願っています」と結んだ。【川畑岳志】