「無線を聞くと東日本大震災思い出す」…津波警報の岩手・釜石で避難した住民

東北と北海道を激しい揺れが襲った。8日深夜、青森県沖を震源とする地震が発生し、同県の八戸市で震度6強、おいらせ町や階上町で震度6弱を観測した。沿岸部には津波警報が発表され、棚などからは物が落下して散乱した。夜間の避難を余儀なくされた住民らは避難所に逃げ込み、不安な一夜を過ごした。
津波警報が発表された岩手県釜石市では、市街地に高台への避難を呼びかける防災行政無線が鳴り響き、物々しい雰囲気に包まれた。
高台にある市立釜石小学校の体育館には約50人が身を寄せた。夫と避難してきた同市の無職女性(79)は「自宅にあった暖かい服を着込み、薬とカイロとわずかな食料を持ってすぐに逃げてきた。無線を聞くと東日本大震災を思い出して、不安で眠れなそうだ。津波の被害がないことを祈るばかり」と疲れをにじませた。
同県宮古市では、警察官が路上で住民の避難誘導にあたった。市内の女性(54)は家族3人とペットの犬と共に、小走りで坂道を駆け上がった。「最初は避難するか迷っていたが、津波警報が出たので急いで逃げた。深夜帯なので怖い」と話していた。
北海道浦河町の沿岸で「昇月旅館」を営む男性(49)は津波警報を受けて、8組の宿泊客を避難させ、自身も車で近くの体育館に向かった。「激しい揺れが約40秒続いた。浦河町では7月にも(ロシア・カムチャツカ半島付近で発生した地震による)津波があり、自分も避難した。そのことを思い出し、落ち着いて行動できた」と語る。「明日以降の営業はどうなるか分からない。とりあえず避難して様子を見るしかない」と話した。

北海道・三陸沖後発地震注意情報を初発表 後発に注意喚起へ

8日午後11時15分ごろ、青森県沖を震源とする震度6強の地震があり、気象庁は9日午前2時、日本海溝・千島海溝沿いで大規模地震の発生可能性が平常時より相対的に高まったとして「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。発表は、2022年12月の制度運用開始後初めて。
また、気象庁は8日午後11時23分、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県に津波警報を発表した(9日午前2時45分に注意報に切り替え)。9日午前1時9分に岩手県の久慈港で70センチの津波が観測されるなど各地に津波が到達した。
気象庁によると、この地震の震源は青森県八戸市の東北東80キロ付近で、震源の深さは54キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・5(暫定値)、ずれ動いた地震の面積などから、より正確に地震の規模を算出するモーメントマグニチュード(Mw)は7・4と推定される。
注意情報は、Mw7・0以上の地震が想定震源域に影響を与える場所で発生した場合に発表されることになっている。対象は、事前に指定された北海道から千葉県の7道県182市町村。今後1週間の大規模地震の発生可能性が平常時の約0・1%から約1%に高まっているとして注意喚起している。
ただ、大規模地震が発生するかどうかは不確実で、事前避難までは要請していない。鉄道や店舗などの休止も求めず、通常の社会活動を続けながら防災行動をとるよう呼びかけている。
日本海溝・千島海溝沿いでは過去、11年の東日本大震災(M9・0)をはじめ大地震が繰り返し起きている。政府の想定では、冬の深夜にM9級の地震が日本海溝で起きれば死者19万9000人、千島海溝なら10万人とされる。津波の被害に加え、寒冷地での低体温症による死亡リスクもある。
高市早苗首相は9日未明、「現時点で負傷者7人との報告を受けている」と首相官邸で記者団に語った。
【最上和喜、原諒馬】

「どんと揺れた」「寒い」 冬の深夜、住民不安

「どんと揺れた」「海が近いので怖い」。深夜の大地震に見舞われ、津波警報が出た青森県や北海道、岩手県の人たちは8日、発生時の様子を生々しく語った。気温0度に近い肌を刺す寒さの中での避難となった。
太平洋沿岸の青森県八戸市に住む40代の男性は「寝ていたら急に突き上げるような揺れがあり、その後長い時間、縦にも横にも揺れた」と振り返った。
同市のビジネスホテルの60代男性従業員は「横揺れが30秒ほど続き、机の引き出しが開いたり物が落ちたりした。宿泊客は一度外に避難したが、津波警報が出たので最上階に避難してもらっている」と話した。
北海道新冠町のホテルの駐車場には、複数の近隣住民が車で逃げてきた。女性従業員は「立っているのも難しいくらい揺れが長かった。しゃがむような体勢でやり過ごし、酔う感覚だった」と不安な様子だった。
北海道と2県の沿岸自治体の気温は9日午前0時現在、軒並み5度を下回った。岩手県久慈市の職員(27)は「寒さが厳しい。避難しようとしたら車のフロントガラスが凍っていた」と話した。

青森震度6強、高市首相「人命第一で災害応急対策に全力で取り組む」…官邸対策室を設置

高市首相は8日深夜、青森県八戸市で震度6強の地震が発生し北海道と東北地方の太平洋沿岸に津波警報が発令されたことを受け、首相官邸で記者団に、官邸対策室を設置したことを明らかにし、「人命第一の方針のもと、政府一体となって、被災者の救命・救助等の災害応急対策に全力で取り組む」と述べた。
政府は23時16分、青森県八戸市で震度6強の地震が発生したことを受け、官邸危機管理センターに官邸対策室を設置した。

原子力発電所・施設に現時点で異常なし 東通原発・女川原発・福島第一原発・リサイクル燃料備蓄センター 原子力規制庁

原子力発電所に関する最新情報です。
原子力規制庁によりますと、さきほどの地震による原子力施設への影響について、青森県東通村の東通原発、宮城県女川町と石巻市にまたがる女川原発、福島県大熊町と双葉町にまたがる福島第一原発、青森県むつ市のリサイクル燃料備蓄センターで、現時点で異常がないことが確認されました。でしたが、現時点で異常がないことが確認されました。

雅子さま62歳に 医師団が見解「快復の途上、依然として体調に波」

皇后雅子さまは9日、62歳の誕生日を迎えられた。誕生日に合わせて、医師団が公表した見解全文は次の通り。
皇后陛下におかれましては、これまでも医師団が説明させていただいております基本的な考え方を踏まえながら、引き続きご治療を継続されていらっしゃいます。
皇后陛下には、天皇陛下をお支えになりながら、国民が直面しているさまざまな困難に心を寄せられ、国民との触れ合いの機会を大切にされようと努めておられます。
本年は、戦後80年の節目にあたることから、4月の硫黄島を始め、沖縄県、広島県、長崎県へのお出ましをなさるなど、都内に23回、地方に13回に及ぶお出ましをなさいました。
7月には、国賓としてモンゴルをご訪問になりました。モンゴルご訪問に際しては、ご訪問前から細やかに工夫をされながらご体調を調整され、それぞれのご訪問先で幅広い年代の方々とご交流になりました。
皇居では、2025年日本国際博覧会にあわせて訪日した多くの賓客とご交流になられたほか、宮殿などでの行事やご養蚕などのご活動を続けられました。
また、日本赤十字社の嘱託職員として勤務されている愛子内親王殿下が、社会人としての歩みを着実に進められながら、防災推進国民大会へのお出ましや、初めての公式外国ご訪問としてラオスをご訪問になるなど皇族としてのお務めに励まれている中、必要な手助けをなさりながら、温かく見守っていらっしゃいます。
このように、皇后陛下には、工夫を重ねられ、ご体調を整えられながら、努力されてご活動を続けていらっしゃいます。
一方で、皇后陛下には、ご快復の途上にあり、依然としてご体調には波がおありです。そのため、大きい行事の後や行事が続いた場合には、お疲れがしばらく残ることもあります。医師団としては、そのような中でお疲れが残らないよう、ご散策などのご運動や気分転換のためのお時間を含め、十分なご休息をお取りいただきたいと考えております。また、かねてから皆様にお伝えしているところではありますが、公的なものに加え、私的な部分でもご活動の幅を広げていっていただくことが大切だと考えております。
皇后陛下には、これまで同様、皆様方のご理解とご支援をお受けになりながらご治療を続けていただくことが大切ですので、引き続き温かくお見守りいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

【滑落か】八代市の山で2人遭難 男性(78)が死亡

熊本県八代市泉町の山中で7日に遭難した男性2人のうち、78歳の男性が死亡しました。
警察や消防によりますと、男性は7日朝から50代の男性と八代市泉町柿迫の山に入り、午後9時半頃に「足が悪くて動けない。自力で下山できない」と妻に電話していました。
8日朝に50代の男性がヘリで救助され、78歳の男性は山で滑落したと説明。
8日午前11時50分頃、78歳の男性は近くの沢の水の中で心肺停止の状態で発見されていました。
2人は貯水池の管理のため山に入ったとみられていて、警察が身元の確認を進めています。

声優・西村知道さん死去 「SLAM DUNK」安西先生役 9月に体調不良のため一時休業

人気アニメ「SLAM DUNK」の安西先生役で知られる声優の西村知道(にしむら・ともみち)さんが死去したことが8日、分かった。79歳。千葉県出身。所属事務所「アーツビジョン」が同日、公式サイトで発表した。

公式サイトでは「平素より温かいご支援を賜り、誠にありがとうございます。弊社所属、西村知道儀(享年79)は兼ねてより病気療養中のところ令和7年11月29日に逝去いたしました。生前のご厚誼に深く感謝いたしますとともに、謹んでお知らせいたします」と発表。葬儀、告別式は家族葬にて執り行われたとした。

西村さんはテレビアニメ「SLAM DUNK」の安西先生役でも知られる、ギャグからシリアスまで幅広く演じ分けている名バイプレーヤー。1974年から今年まで有名アニメ作品に多数出演。「うる星やつら」友引高校校長、「機動戦士Ζガンダム」のジャミトフ・ハイマン、「魔神英雄伝ワタル」の剣部シバラク、「ゲゲゲの鬼太郎(第4作)」小豆とぎ、ぬらりひょんなどの役を務め、「幽☆遊☆白書」ではジョルジュ早乙女役の他にナレーションも務めた。洋画の吹き替えも多数担当した。

2025年9月に体調不良のため一時休業、回復し次第、復帰予定であることが事務所から発表されていた。

沖縄知事、政府に情報共有要請=レーダー照射「不測の事態危惧」

沖縄県の玉城デニー知事は8日、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射を受け、防衛省沖縄防衛局の村井勝局長、外務省沖縄事務所の紀谷昌彦沖縄担当大使と県庁で面会し、県民の不安払拭のための情報共有を求めた。
玉城氏は「このような行為が地域の緊張を高め、不測の事態が発生することを危惧しており、大変遺憾だ」と強調。その上で「平和的な外交で中国との関係改善を図ることが重要だ」と訴えた。 [時事通信社]

【神戸女性刺殺】逮捕の男「叫ばれたので刺した」という趣旨の供述 検察は11日までに起訴を判断

今年8月、神戸市のマンションで女性(24)が殺害された事件で、逮捕された男が「ナイフを出して言うことを聞かせようと思ったが、叫ばれたので刺した」という趣旨の供述をしていたことがわかりました。
会社員の谷本将志容疑者(36)は今年8月、神戸市中央区のマンションで女性をナイフで刺して殺害した疑いなどが持たれています。
谷本容疑者は、女性を50分にわたり尾行したとみられ、警察の調べには「好みのタイプの女性だと思って後をつけた」という趣旨の供述をしていたことがわかっています。
その後の捜査関係者への取材で、谷本容疑者が「エレベーターの中で、ペティナイフを突き出して言うことを聞かせようと思ったが、叫ばれたので刺した」という趣旨の供述をしていたことが新たにわかりました。
3か月にわたって行われた精神状態などを調べる鑑定留置は、8日終了し、検察は勾留期限の11日までに起訴するかどうか判断することになります。