年収1億円以上で控除制限へ=ふるさと納税、27年分から―政府・与党

政府・与党が、ふるさと納税制度で年収1億円以上の高所得者の控除額を制限する方向で調整に入ったことが10日、分かった。2027年の寄付分から、特例で上乗せしている住民税の控除額について、193万円の上限を設ける。26年度税制改正大綱に盛り込む。
ふるさと納税は、寄付額から2000円を除いた額が住民税と所得税から差し引かれる仕組み。高所得者ほど控除額が大きく、高価な返礼品を受け取れることに批判が出ていた。このため、独身または夫婦共働きで年収1億円以上の場合、住民税の特例控除額の上限を193万円とする。控除を受けられる寄付額の上限は438万円程度となる。 [時事通信社]

元副市長に無罪判決=庁舎工事巡る官製談合―宮崎地裁

宮崎県串間市が発注した消防庁舎工事の入札を巡り、官製談合防止法違反などの罪に問われた元副市長、福添忠義被告(82)の判決で、宮崎地裁は10日、無罪(求刑懲役1年6月)を言い渡した。設楽大輔裁判長は、被告が談合に関与したとする業者2人の証言について、「事実に反する可能性が高く信用できない」と判断した。
設楽裁判長は、市職員らの説明と証言が整合するとは言えないなどと指摘。2人には「自己の刑事責任を軽減するために被告主導の官製談合であるかのような供述をする動機があることも否定できない」などと述べた。 [時事通信社]

2歳児死亡の首都高玉突き事故、28歳男に懲役3年の実刑判決…運転中スマホ「事故は起きるべくして起きた」

東京都板橋区の首都高速で4月、トラックで乗用車に追突して6人を死傷させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)に問われた被告の男(28)に対し、東京地裁(大伴慎吾裁判官)は10日、懲役3年(求刑・懲役4年)の実刑判決を言い渡した。
判決によると、被告は4月19日午前、板橋区の首都高速5号池袋線でトラックを時速約80キロで運転。渋滞で減速していた乗用車に追突する玉突き事故を起こし、男児(当時2歳)を死亡させ、5人に重軽傷を負わせた。
判決は、被告が事故当時、スマートフォンの画面を見ながら片手ハンドルで脇見運転をしていたと指摘。被告が日頃から脇見運転を繰り返していたと述べていることも踏まえ、「事故は起きるべくして起きた。過失は大きく、刑事責任は重い」と述べた。

「殺害しておりません」元職員の被告、口調はっきり 茨城の介護施設殺人で初公判

茨城県古河市の介護老人保健施設での殺人事件は、入所者2人の死亡から5年以上が経過した10日、裁判員裁判初公判が水戸地裁で開かれた。殺人などの罪に問われた元職員、赤間恵美被告(39)は捜査段階では黙秘していたとされるが、初公判では「殺害しておりません」とはっきりした口調で述べ、起訴内容を否認した。
弁護人に向け笑顔も
赤間被告は午前10時の初公判開始前、押送(おうそう)職員に付き添われ、しっかりとした足取りで入廷した。黒い上下のスーツ姿でマスクを着用し、やや硬い表情だったが、弁護人には一瞬笑顔も見せた。
男性入所者2人をシリンジ(注射筒)による空気注入で殺害したとする検察側の起訴状朗読中、証言台の赤間被告は前を見据え、直立不動で聞き入った。罪状認否では「私は空気を注入してません。殺害しておりません」と言い切った。
疲れた様子なく
続いて検察側が冒頭陳述メモを読み上げた。令和2年7月6日に入所者の吉田節次さん=当時(76)=が亡くなった後、所持品検査で赤間被告のトートバッグの中から犯行に使ったとされるシリンジ2本が見つかったことなどが明らかにされたが、被告の表情に変化はなかった。
公判は休憩を挟みながら断続的に夕方まで続いたが、赤間被告は閉廷まで特に疲れたような様子は見せなかった。
この日は傍聴券を求めて報道陣を含む99人が訪れ、抽選を経て17人が入廷した。午前8時過ぎから並び傍聴券を手にした水戸市の男性(82)は「2人が病気以外の原因で亡くなったということを検察側が証明するのはなかなか大変。難しい裁判になるのではないか」と感想を語った。(三浦馨)

青森震度6強、負傷者52人に JR八戸線、復旧見通し立たず

青森県東方沖を震源とする震度6強の地震の負傷者は10日、9日から1人増え、北海道と青森、岩手の3道県で計52人になった。青森県で1人増えて37人となった。各道県などによると、重傷者は青森県で3人、北海道で1人。
八戸市の八戸駅と岩手県久慈市の久慈駅を結ぶJR八戸線では約20カ所に被害が見つかり、全区間が運休している。復旧の見通しは立っていない。
JR東日本盛岡支社によると、9日早朝に点検したところ、八戸市の本八戸―小中野間で多くの被害を確認。高架橋の柱のコンクリートがはがれ落ち、一部で鉄骨部分がむき出しになっていた。
八戸線は全長約65キロで停車駅は24。八戸―久慈間の2024年度の平均通過人員は724人。東日本大震災では、線路の流失や駅舎の損傷といった津波被害を受け、被災から全線復旧まで1年以上かかった。【遠藤浩二】

【知床沖沈没】KAZUⅠの船体検査をしたJCI職員「違和感はなかった」事故3日前のハッチ検査を証言、息子と元妻が不明の男性「どんなに怖い目にあったのか…胸が苦しく」

北海道知床半島沖の観光船沈没事故の裁判で、事故の3日前に船の検査を行った職員は沈没原因のハッチについて「検査段階では違和感を感じなかった」と証言しました。
2022年4月、知床半島沖で観光船「KAZUI」が沈没し、26人が死亡・行方不明になった事故では、運航会社社長で安全統括管理者の桂田精一被告(62)が業務上過失致死の罪に問われています。
争点は、桂田被告が事故発生の可能性を予見できたか、ですが初公判で、桂田被告側は「船の沈没は、甲板部のハッチのふたが開いてしまう機能不全で生じたもので、機能不全がなければ当時の気象状況でも航行を継続できた」と無罪を主張しています。
10日は、証人として「KAZUI」の中間検査を行ったJCI=日本小型船舶検査機構の男性職員が出廷。
輸安全委員会の調査報告書が指摘した事故の8日前に撮影されたふたが、2cmほど浮いたハッチの写真を見た職員は。
日本小型船舶検査機構の男性職員 「検査段階では違和感を感じなかった。浮いていなかったと思う」と証言し、開閉検査を省略したことに問題はなかったとしました。
また、当時のJCIの検査・検定課長は、「検査はJCIが定めた基準に適合しているかを確認するもので、その後の航行の安全を保証するものとは別だ」と話しました。
さらに、法廷では事故当時の状況を調べるため、海上保安官が巡視艇で航行する実験映像が流されました。
息子と元妻が行方不明 帯広市在住の男性 「すごく激しい船の揺れと波、そういうものを見ていて、どんなに怖い目にあったのかなと、そういうことを考えてしまって胸が苦しくなりました」
次回の裁判は24日で、引き続き、証人尋問が行われます。

「道民無視」と批判の声も=泊原発の再稼働同意で―北海道

北海道電力泊原発3号機(泊村)の再稼働を巡り、鈴木直道知事が同意すると表明したことに対し、住民らからは10日、「拙速だ」「道民が無視されている」などと批判する声が上がった。
「道民の声を聞け」。道庁舎前には同日、約200人が詰め掛けて再稼働反対を訴えた。
集会を呼び掛けた市民団体グループ「泊原発を再稼働させない・核ゴミを持ち込ませない北海道連絡会」の井上敦子事務局長は「知事は丁寧に道民と向き合っていない」と憤った。
泊原発の運転差し止めを求める訴訟で原告側弁護団長を務める難波徹基弁護士は、「拙速で不適切な判断。非常に残念」とコメントした。
一方、北海道経済連合会の藤井裕会長(北海道電力会長)は「早期再稼働は北海道経済にとって重要。安定した電力供給と脱炭素化に寄与することを期待したい」と強調した。 [時事通信社]

三重・名張6人死傷事故 死亡の運転手らを書類送検 酒気帯び疑い

三重県名張市の国道で軽乗用車が横転し、男女5人が死亡し1人が重傷を負った事故で、県警は10日、死亡した名張市の男性会社員(当時20歳)を自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)と道路交通法違反(酒気帯び運転、定員外乗車)の疑いで、容疑者死亡のまま書類送検した。
書類送検容疑は10月3日午前0時10分ごろ、名張市上小波田の国道165号で定員4人の車に6人が乗り、男性が酒気帯び状態で運転。制限速度の時速50キロを超える制御不能な速度で車を走行させ、右カーブを曲がりきれず電柱に衝突するなどして車を横転させ、同乗者5人を死傷させたとしている。
県警によると、車は男性の所有で、運転席近くに残っていた髪の毛や血痕などから、当時運転していたと特定したという。
また、県警は運転手の飲酒を知りながら同乗したとして、死亡した名張市の建設業の男性(当時23歳)を道交法違反(飲酒運転同乗)の疑いで書類送検した。【長谷山寧音】

神戸市6歳男児の遺体が見つかった事件 母親に懲役8年、叔母2人に懲役7年求刑 神戸地裁

神戸市内の草むらで2023年、男児の遺体が見つかった事件で、傷害致死と死体遺棄の罪に問われている母親ら3人の裁判員裁判が神戸地裁で開かれ、検察は母親に懲役8年、叔母2人に懲役7年を求刑しました。
2023年6月、神戸市西区の草むらでスーツケースに入れられた穂坂修ちゃん(当時6歳)の遺体が見つかりました。
修ちゃんの母親(37)と叔母2人(いずれも33)は、きょうだいで修ちゃんの叔父にあたる穂坂大地被告(34)と共謀し、修ちゃんを鉄パイプで殴るなどして死亡させ、遺体を遺棄したとされています。
神戸地裁で10日、開かれた裁判員裁判で、検察は3人が大地被告から日常的に暴力を受けていたものの、服従せざるを得ない状態にあったとは言えないと指摘し、母親に懲役8年、叔母2人に懲役7年を求刑しました。
一方、弁護側は、3人が精神的に支配されていたとして、叔母2人については共謀を否定し「適法な行動をとれる可能性は低かった」として無罪を主張。有罪判決の場合も執行猶予を付けるのが妥当としました。また母親についても、事件当日の暴行が修ちゃんの死因とは断定できないなどとして、執行猶予付きの判決を求めました。
裁判は10日で結審し、判決は来年1月14日に言い渡される予定です。

斎藤知事の給与カット条例案 “賛成多数の見通し”から一転3度目の継続審議へ 知事発言に議員反発

兵庫県の斎藤元彦知事が議会に提出した自らの給与カット条例の修正案について、 “賛成多数の見通し”から一転、3度目の継続審議となる可能性が高いことがわかりました。
兵庫県の斎藤知事をめぐっては、元県民局長の私的な情報が漏えいした問題について、第三者委員会が「知事らが漏えいを指示した可能性が高い」と結論付けました。
斎藤知事は6月議会に自らの給与をカットする条例案を提出しましたが、議会は「カットの理由が明確でない」などとして、継続審議としていました。
これを受け、斎藤知事は12月、「情報が適切に管理されなかった責任を明確にする」と明記した修正案”を提出し、主要会派の自民・維新・公明が賛成の意向を示していましたが、10日開かれた総務常任委員会では一転して「継続審議が妥当」との判断が示されました。
議会関係者によると、斎藤知事が修正案について「(当初案と)内容は変わらない。技術的な修正だ」 と発言したことなどに対し、主に自民党の議員が反発したということです。