原子力規制庁の職員が昨年11月、私用で訪問した中国で業務用のスマートフォンを紛失していたことが6日、関係者への取材で分かった。機密性が高いため公表していない核セキュリティー担当部署の職員名や連絡先が登録されていた。スマホは見つかっておらず、規制庁は「情報漏えいの可能性が否定できない」として、国の個人情報保護委員会に報告した。
この部署は、国内の原子力施設にある核物質を守るための対策を担当する。テロ攻撃を受けたり、核物質が盗まれたりしないよう情報管理の徹底が必要で、担当職員の氏名や部署の連絡先は原則公表していない。
関係者によると、スマホは昨年11月3日、職員が私的な目的で訪れた上海の空港で、保安検査を受けるために手荷物を出した際に紛失したとみられる。3日後に紛失に気づき、空港などに問い合わせたが見つからなかった。現時点で悪用された形跡はないという。
規制庁の担当者は取材に対し、庁内への注意喚起や再発防止に努めるとした上で「海外渡航時などのスマホ携行に関するルールを整理したい」と話した。
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最大で震度5強「怖かった」 原発地域、住民不安の声
「怖かった」「気持ちが落ち着かない」。6日午前の地震で、最大で震度5強を観測した鳥取県と島根県では市役所や病院の天井板が崩落する被害も。全国で唯一、県庁所在地に立地する島根原発のある松江市や周辺地域での繰り返す揺れに、住民は恐怖や不安を隠せなかった。
鳥取県米子市では、市役所本庁舎の天井板が複数枚剥がれ、一部が職員の机に落下した。机の下に隠れていた職員の原慎一郎さん(37)は「明らかに揺れだけじゃない衝撃を感じた。何が起きているのか分からず怖かった」。天井板崩落は鳥取県境港市の鳥取県済生会境港総合病院でも発生。天井に水がしみ出し、一部が剥がれ落ちた。
松江市や周辺では、地震の原発への影響を懸念する声も出た。原発から半径30キロ圏にある鳥取県境港市の高校教諭堀川貴哉さん(44)は、学校にいた生徒約30人を中庭に避難させた。東日本大震災の原発事故を念頭に「放射性物質という目に見えない脅威に襲われるかも、と考えると怖い」と落ち着かない様子だった。
〈水戸・ネイリスト殺害〉「おしゃれでキレイな方…」妊婦が頭を殴られ首を刺され死亡、腕には多数の防御創…かつては“人間関係のトラブル”を3度警察に相談(大晦日の惨劇)
茨城県水戸市加倉井町のアパートで昨年大晦日の午後7時15分ごろ、住人でネイルサロンを経営する小松本遥さん(31)が血を流して倒れているのを帰宅した夫(27)が発見し、119番通報した。
〈画像〉「細身のキレイな方」浴衣の後ろ姿、小松本さんとみられる写真と、現在の事件現場
小松本さんは首に刺し傷があったほか、頭にも鈍器で殴られたような痕が複数あり、搬送先の病院で死亡した。司法解剖で死因は頭を殴られたことと首を刺されたことによる外傷性ショックと判明。茨城県警捜査1課は殺人事件とみて1月2日、水戸署に捜査本部を設置した。小松本さんは妊娠中だったという。
「恨みを持つ人物が激しい殺意で犯行に及んだ可能性が高い」
新年を迎える準備に気持ちの昂まる大晦日に、なぜ凶行は起きたのか。社会部デスクが解説する。
「小松本さんは夫と2人暮らしで、大晦日の午後4時50分ごろに夫が外出先から『今から帰るよ』と電話をして無事を確認しています。
夫の帰宅時に玄関ドアは無施錠で、小松本さんは部屋着のフリース上下姿に靴下を履いて玄関内で倒れ、辺り一面は血の海状態でした。両前腕に防御創とみられる傷が多数あった。
部屋を物色した形跡などもなく、財布やスマホも残されており、盗まれた物も確認されていないことから、捜査本部は小松本さんに恨みを持つ人物が激しい殺意で犯行に及んだ可能性が高いとみています。
また、小松本さんは2015年と2017年に計3回にわたって『人間関係のトラブル』を県警に相談し、当時はいずれも『必要な措置を講じて解決した』とされていますが、捜査本部は改めてトラブルの内容を精査する必要があるとみて調べを進めています」(社会部デスク)
現場は常磐自動車道の水戸インターチェンジ近くにある閑静な住宅街。周囲には田畑も広がるのどかな環境だけに、年末年始の物騒な事件に近くに住む女性も眉をひそめた。
「大晦日はだいたい家にいましたが、事件についてはまったく気づかず、元旦に犬の散歩のために外に出たら規制線が張られて警察官が立っていたので何かがあったのだと気づきました。近所の方にあのアパートの奥さんが被害者だと聞いて、本当にびっくりしました。
小松本さんご夫妻をアパートで見かけるようになったのは1年くらい前からで、奥さんとお話したことはないけど、こちらが『こんにちは』と声をかけると会釈をしてくれる方でした。最後に見かけたのは12月末だから、ごく最近です。
奥さんは細身の綺麗な方で、後からネイリストと聞いて、言われてみればそんな感じの方だなって思いました。派手じゃないけどオシャレな感じ。
旦那さんの運転する車で2人で帰ってくるところも何度か見かけていますが、旦那さんも普通の方です。ご夫婦に関してのトラブルや、付近で不審者がうろついていたみたいな話も聞いたことがありません」
「この辺りでトラブルの類の話は聞いたことありません」
近隣に住む別の女性住民の反応も同じようなものだった。
「大晦日の日の午後7時ごろに家の外でパトカーだか救急車だかのサイレンがなっていたのは気付きましたが、わざわざ外に出て確認はしませんでした。その後に警察の方が尋ねてきて、事件のことを知りました。
不審者を見なかったか、何か気づかなかったかなど尋ねられましたが、これまでこの辺りでトラブルの類の話は聞いたことありません」
また、知人や同級生も「ストーカーなどのトラブルは聞いたことがない」と口を揃えたが、小松本さんには2015年と2017年に計3回にわたって「人間関係のトラブル」を県警に相談していた過去があった。
結婚と妊娠に加え、若くしてネイルサロンを経営するなど順風満帆な人生航路を進んでいたかに見えた小松本さんがなぜ殺害されなければならなかったのか。8年前に解決したはずの「トラブル」に隠されているのか。
捜査本部はスマホの解析などを急ぎ、捜査範囲の絞り込みを進めている。
※「集英社オンライン」では、今回の事件についての情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X(旧Twitter) @shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
ビル外壁や市役所の天井が落下…島根東部震源の地震で建物被害相次ぐ
6日に震度5強を観測した鳥取、島根両県では、各地で建物などへの被害が確認された。
鳥取県伯耆(ほうき)町の上細見地区では、高台にある民家の石垣が高さ約5メートル、幅約5メートルにわたって崩落し、下にある町道を塞いだ。同地区に住む自営業の女性(42)は、自宅でも電子レンジや食器などが落ちたといい、「どこから片付けに手をつけたらいいのか」と困惑していた。
同県米子市役所(5階建て)では、3階の事務室の天井パネル(長さ約1・3メートル、幅約40センチ)が9枚落下するなどの被害が出た。市は来庁者を外に避難させ、窓口業務を一時停止した。
島根県庁の南東約300メートルにある松江市殿町の空きビルでは、外壁の一部が約15メートルの高さから隣の駐車場に落下。飲食店などが立ち並ぶエリアで、南殿町商店街振興組合の坂本拓三理事長(65)は「さらに落下する恐れもあり、このままにしておけない。市と対応を相談する」と話した。
松江市八幡町の武内神社では、境内の石灯籠2基が倒れ、割れた部材が参道に散乱した。
今回の地震は、正月休みで帰省していた人らの足も直撃した。鳥取県米子市のJR米子駅では、駅舎にいた数百人が駅員の誘導で一時、駅前の広場に避難した。
新大阪駅でも、新幹線の運転見合わせの影響で改札周辺に人だかりができた。
コンビニ敷地内ではねられた男子中学生死亡、逮捕の70歳男は「ブレーキとアクセルを…」
大阪府東大阪市中新開のコンビニの敷地内で6日、車にはねられ意識不明の重体となっていた少年が死亡したことが、大阪府警河内署への取材で分かった。
同署は自動車運転処罰法違反(過失致傷)の疑いで、車を運転していた同府四條畷市田原台の会社員、坂口清隆容疑者(70)を現行犯逮捕。「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と供述し、容疑を認めている。同署は容疑を過失致死に切り替え、事故状況などを詳しく調べる。
6日午後1時5分ごろ、「車が男性をはねてフェンスに突っ込んでいる」と近くにいた女性から119番があった。同署によると、死亡したのは中学3年の男子生徒(15)。一時、車とフェンスの間に挟まれ、搬送先の病院で死亡が確認された。
現場は、近鉄けいはんな線吉田駅から北西に約400メートルの住宅街。
「住人が3か月家賃を滞納している」マンションの一室で30代くらいの女性と男児と女児が死亡しているのが見つかる 親子3人で無理心中の疑いも
1月6日午後、福岡市城南区のマンションで30代くらいの女性と小学校低学年から未就学とみられる男の子と女の子が死亡しているのが見つかりました。
警察が、無理心中の疑いもあるとみて調べています。
「住人が3か月家賃を滞納している。連絡が取れません」と通報
1月6日午後1時半すぎ、福岡市城南区梅林にあるマンションの家賃保証会社の男性から「住人が3か月家賃を滞納している。連絡が取れません」と警察に通報がありました。
室内で親子とみられる3人を発見 3人とも現場で死亡確認
警察などが部屋に入って確認したところ、小学校低学年から未就学とみられる男の子と女の子が布団の上で仰向けで倒れているのを発見。
さらに、30代くらいの女性がクローゼットで首を吊っているのが見つかり、3人ともその場で死亡が確認されました。
警察によりますと、この部屋には女性1人と子供2人が暮らしていて、死亡したのはこの親子3人とみられています。
警察は、無理心中の疑いもあるとみて3人が死亡した経緯を慎重に調べています。
悩みをひとりで抱え込まないで
厚生労働省は、悩みの相談先として、SNSを含めた複数の相談窓口を紹介しています。
#いのちSOS(特定非営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク)電話:0120-061-338よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター)電話:0120-279-338
自民、国民民主に連立呼びかけ 「政治の安定」、連合の対応焦点
自民党の鈴木俊一幹事長は6日の記者会見で、国民民主党に対し、日本維新の会との連立政権に加わるよう呼びかけた。与党会派が衆院で過半数に達する一方、参院では少数の状況を踏まえ「政治の安定を取り戻すために国民の協力をいただきたい。3党連立の形になれば、政治の安定が確立される」と述べた。国民が支援を受ける連合は連立入りを容認しないとしている。
鈴木氏は、自民と国民が昨年末、所得税が生じる「年収の壁」引き上げで合意し、国民が2026年度予算案の成立に協力する方針を示した経緯に言及。「双方の信頼関係が積み上がってきた」と強調した。
米国によるベネズエラ攻撃に触れ「不確実性があり、いま求められるものは政治の安定だ」と主張。3党連立を進めるに当たり「維新とも十分に意思疎通をする」と説明した。
高市早苗首相は5日の会見で政権運営に関し「維新との連立合意を基礎としつつ、国民をはじめとする野党にも協力を呼びかけていく」と語った。
国民の玉木代表は4日の会見で「以前と比べれば信頼関係は醸成された」と述べた。
高市首相「成長のスイッチ押す」=時事互礼会で訴え
高市早苗首相は6日、東京都内で開かれた時事通信社など主催の新年互礼会であいさつし、「強い経済を取り戻す」と訴えた。日本が持つ先端技術の世界展開に向け、「成長のスイッチを片っ端から押しまくりたい」と表明。投資促進税制や研究開発税制など「あらゆる措置を講じる」と述べた。
首相は食料・エネルギー安全保障やサイバーセキュリティー強化といった「危機管理投資」を推進する方針を説明。「(日本には)キラキラ光るような技術が眠っている」と話し、国際競争力を高める重要性を強調した。「必ずや日本列島を強く、豊かにする。日本を再び世界の高みに押し上げていく」と決意を示した。
首相は今年が昭和元年から100年の節目となることにも言及。「戦後の混乱の中、歯を食いしばって働いて復興を遂げ、高度経済成長を実現した激動の時代だった」と振り返った。現在は少子化や物価高、国際情勢の変化など課題が山積しているものの、「日本と日本人の底力を絶対に信じたい」と語った。
互礼会には小泉進次郎防衛相、国民民主党の玉木雄一郎代表、公明党の斉藤鉄夫代表らも出席した。 [時事通信社]
島根県東部の地震、震源周辺は「ひずみ集中帯」 地下で流体が関わる可能性も
島根県東部で6日午前に発生し、最大震度5強を観測したマグニチュード(M)6・4(暫定値)の地震について、専門家は「ひずみ集中帯」の存在も指摘される地震活動が活発な地域で発生したと指摘する。
東京大の平田直名誉教授(観測地震学)は今回の震源周辺について「地表に明確な活断層が確認されていない地域だが、地震活動は活発だ」とした上で「震源が浅いため、比較的大きな揺れが観測された」と話す。今後より規模の大きい地震が起きる可能性もあり「家具の転倒対策などの確認を」と注意を促す。
一方、2000年の鳥取県西部地震(M7・3)で調査研究に携わった東大地震研究所の加藤愛太郎教授(地震学)によると、今回の震源周辺は「山陰地震帯」や「山陰ひずみ集中帯」などと呼ばれ、今回の地震のように岩盤が水平方向にずれ動く「横ずれ断層型」の地震が主に発生する。加藤氏は仮説として「地殻の下部に流体が関わるやわらかい場所があり、そこが変形しやすくなってひずみが集中している可能性がある」と話す。
【独走スクーフ】北海道・青森・岐阜・岡山で5連続放火! 1.3億円保険金詐取クルーフの“卑劣な犯行の手口”「ただの火事じゃないなと…」
2025年11月12日、道警は3人の男を逮捕した。彼らは全国で放火による保険金詐取を繰り返してきた“犯行グループ”だ。だが報じられていない事件がある。4月、富良野の火災現場で見つかった焼死体は彼らの仲間だったのだ。(全2回の1回目/ 続きを 読む)
◆ ◆ ◆
保険金詐取を繰り返す連続放火“犯罪グループ”の存在
広大な北海道の中央に位置する上富良野町。日本のラベンダー発祥の地として知られる風光明媚なこの街の一角で、アパート1棟が丸々焼き尽くされる大規模な火災が発生した。
「火の手が上がったのは、2025年4月3日の午前3時過ぎ。築40年を超える古びた2階建てアパートの1室から出火し、焼け跡から性別不明の遺体が発見された」(消防関係者)
後にこの焼死体は、都内に住む無職の岡崎義和(享年72)と判明した。
近隣住民が言う。
「新聞配達に起こされて火事に気付いた。現場検証に刑事が何日もいましたね」
アパートの管理をしていた会社の担当者も言う。
「火事の後、何度も北海道警の刑事さんが会社に訪ねて来ました。しかも、名刺を見たら殺人や放火を担当する捜査一課。ただの火事じゃないなと察しました」
目下、北海道警が捜査を続けている上富良野町のアパート火災。その背後には、全国で保険金詐取を繰り返す連続放火“犯罪グループ”の存在があった――。
◇
11月12日、北海道警が3人の男を非現住建造物等放火の容疑で逮捕した。
社会部記者が解説する。
「容疑は22年8月26日の未明、北海道紋別市のビルと倉庫に火を付け、一部を焼損させたというもの。出火当時、ビルは内装工事中で人はいませんでしたが、警察は保険金目的の放火の疑いで捜査を進めています」
逮捕されたのは、いずれも住所不定・無職の稲葉寛容疑者(57)と深町優将(まさのぶ)容疑者(54)。そして北海道旭川市の自称会社役員・青山篤容疑者(65)だった。
実は、この3人のうち稲葉と深町の2人は、今回の逮捕が初めてではない。
「2人の容疑者は青森、岐阜、岡山の3県の住宅に放火し、保険金をだまし取った詐欺などの罪で既に起訴されているのです」(同前)
紋別の物件にも多額の保険金がかけられていた。
稲葉の知人が明かす。
「あの物件には保険会社3社で計2億円程の保険金がかけられており、そのうちの1社から約5000万円が稲葉側に振り込まれている」
脱税で人生暗転した稲葉と、火災保険調査を担う“業界のエース”深町
全国で放火と詐欺を繰り返してきた稲葉と深町とは、一体どんな人物なのか。
1968年、稲葉は静岡県伊東市で生まれた。高校を卒業後、地元の不動産会社に就職した稲葉は、数年後に親族が代表を務める不動産会社に転職。30代前半で社長を任されていた。
若手社長として順風満帆な人生を送っていたはずが、
「2003年、3年間にわたって約9000万円を脱税していた容疑で在宅起訴。翌年、懲役1年6カ月(執行猶予4年)の判決を受け、人生が暗転しました」(地元の不動産関係者)
18年には“伊豆のドン”と言われた佃弘巳・元伊東市長らが逮捕された贈収賄事件に絡み、稲葉も収賄幇助容疑で逮捕されている。
「この事件でも懲役1年(執行猶予3年)の判決が東京地裁で下されており、地元では悪評ばかりが流れるようになった」(同前)
いっぽうの深町は1971年生まれ。保険調査会社大手「損害保険リサーチ」に2023年まで調査員として在籍していた。
保険業界関係者が語る。
「深町は精鋭揃いと言われる東京本社の調査部門に長く在籍し、火災保険調査を主に担っていました。社内で若手に調査手法を指導することもあり、“業界のエース”と呼ぶ声もあった」
2人がタッグを組み、全国各地で放火による保険金詐欺事件を起こしていったのだ。捜査関係者が言う。
「稲葉が手ごろな古民家物件を探し出し、深町が火災の偽装を指南しつつ実際に火もつけていた。アシが付くのを避けるため2人は物件の所有者にならず、その都度“協力者”を変えて犯行を繰り返していたようだ」
2人の犯行手口は一体どのようなものだったのか。
最初に起きた火災は22年8月4日。ターゲットになったのは、岐阜県飛騨市の山間部にある、延べ床面積306平方メートルの木造2階建て家屋だった。
「火事が起きる3カ月程前、稲葉は11歳上の腹違いの兄であるA氏名義で物件を取得。約200万円で購入し、すぐさま建物と家財に限度額6500万円の共済をかけました」(前出・記者)
物件購入後の“偽装工作”
購入後、しばらくは実際に居住するかのような“偽装工作”を近隣に対しておこなっていた。
近隣住民が回想する。
「Aさんは、『夏ぐらいからここに住む予定です』と言って挨拶に来ました。自分で壁のペンキを塗り直したり、私の息子夫婦の家が近所に建ったときには、新築祝いで静岡の魚の干物を持ってきてくれました」
火事発生の2カ月程前には地元業者に、リフォーム工事の依頼までしていた。
工事を請け負った業者が述懐する。
「古い床の上から新しい床を貼るという3、4日で終わる簡単な工事でした。7月頭に見積もりを出したのに、Aさんから『工事は8月1日以降にしてくれ』と言われたので、8月頭から工事を始めたんです。で、残り1日で工事は終わる予定だったんですが……」
そのタイミングで火災が発生したのである。
この業者は工事前後のAの言動に不審さを感じていたという。
「短期間で終わる工事なのに急に『静岡に帰る』と言って、私に鍵を預けて帰ってしまったんです。その上、火事が起きた後、『家のブレーカーを切って作業していたら火事にならなかったんじゃないか』などと言いがかりをつけて、火事の責任を私に押し付けようとしてきたんです」
結局、この火事は“原因不明”として処理がなされ、同じ年の10月、Aの口座に共済金が振り込まれた。
その金額は、見舞金や片付け費用などを合わせて約7300万円。いとも簡単に共済金が支払われてしまったのである。
前出の記者が言う。
「味を占めた稲葉らは、僅か22日後に紋別でも火事を起こし、5000万円の保険金を詐取しています」
この火事が、今月12日に逮捕された前述の事件だ。
2件あわせて1億2000万円余を荒稼ぎした、1年2カ月後――。3件目の火災が23年10月29日に岡山県美咲町で発生する。
「狙われたのは築100年を超える延べ床面積326平方メートルの古民家でした。稲葉の手下と思しき20代のB氏が突然『買いたい』と仲介の不動産屋に現れた。ところが、契約直前になってなぜかB氏の友人であるC氏が登場。結局、22年6月にC氏が自分の名義で65万円程を支払ったのです」(同前)
しばらくすると岐阜の物件と同様、稲葉の兄であるAが住み始めたという。
物件の管理を任されていた不動産業者が言う。
「息子のCとB君は幼馴染」
「テレビの映りが悪いと言うのでアンテナを修理しに行ったり、そのお礼として食事を奢ってもらったりもした。ある日突然いなくなり、その後はBさんが住み始めました。ところが、彼が東京に戻っている際に“たまたま”火事が起きてしまったのです」
稲葉とBやCは、どんな関係だったのか。物件の所有者になっているCの母はこう説明する。
「息子のCとB君は幼馴染なんです。B君は息子に『古い家を買って、半年か1年くらい住んで売る仕事をしている』と説明し、無知なCがそれに応じて物件を買ってしまったようです。火事が起きた際、息子がB君に連絡したら『警察には何も言うな』と指示を受けたのですが、息子はすべてを警察に話し、嫌疑不十分で不起訴になりました」
そして、稲葉との関係についてはこう語る。
「息子がB君に聞いたところ『喫茶店にいるとき、突然声をかけられて出会った』と言っていました。息子も稲葉と会ったことは1回しかないそうです」(同前)
稲葉らは共済団体に約4900万円を請求していた。だが、共済団体が不審に思ったことで、岡山の物件に関しては共済金が支払われていない。
(文中敬称略)
〈 「現場で見つかった焼死体は…」5連続放火で1.3億円を詐取、事件直前の“SOSの電話”と保険金詐取グループの正体 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年11月27日号)