誤射のクマハンターを提訴へ 山形・小国町、補償金求め

山形県小国町で2023年、クマの駆除中に町鳥獣被害対策実施隊の隊員が猟銃を誤射する事故があり、町がけがをした男性に支給した補償金など約1660万円を、誤射した元男性隊員らに支払うよう求めて提訴する方針を決めたことが11日、町への取材で分かった。町が10日、議会に関連議案を提出し可決された。
町などによると23年4月9日、クマを狩猟する際、町から委託された元隊員の撃った弾が男性の右膝に当たり、右脚などに後遺症が生じた。被弾した男性は今年6月、町を相手に約3千万円の損害賠償を求めて山形地裁に提訴した。
訴状によると、男性は発砲した元隊員が「基本的な注意義務を怠った」と指摘している。

与党、政権基盤の安定期待=野党「規模ありき」批判―補正衆院通過

高市内閣が初めて編成した2025年度補正予算案の衆院通過を受け、与党からは11日、政権基盤の安定につながることを期待する声が上がった。野党側は一般会計の歳出総額が18兆円余りに膨らんだ点を踏まえ、「規模ありき」(立憲民主党の野田佳彦代表)などと批判した。
自民党の麻生太郎副総裁は同党議員の会合で、石破政権の頃の「どよんとした感じ」から「世の中が動いている感じ」に雰囲気が変化したと強調。党の立て直しに意欲を示した。
日本維新の会の藤田文武共同代表は記者団の取材に応じ、国民民主、公明両党が賛成に回ったことに歓迎の意を表明。「国民に意義のある予算執行ができるよう頑張りたい」と語った。
国民民主の玉木雄一郎代表はガソリン税の暫定税率廃止が盛り込まれた点を賛成の理由に挙げ、「引き続き対決より解決の姿勢で取り組みを加速したい」と述べた。公明党の斉藤鉄夫代表は児童手当の1人当たり2万円上乗せを「提案が取り入れられた」と評価する一方、必要性の薄い基金に予算が積まれていると懸念を示した。
野田氏は「われわれの主張も盛り込まれたが、不十分なところが目立った」と指摘。公明と組み替え動議を共同提出したことに関しては「改革中道路線の結集で大きな一歩を踏み出せた」と手応えを口にした。共産党の田村智子委員長は「物価高騰から暮らしを守る太い柱がない」と酷評した。 [時事通信社]

地域住民、重なる不安=NTT鉄塔損傷―青森・八戸

青森県で震度6強を観測した地震の影響で、NTT青森八戸ビル(八戸市)の鉄塔に損傷が見つかり、余震を警戒する住民に倒壊への不安が重なった。11日午前0時に市が発出した避難指示は、ビルから半径50メートル以内の48世帯のみで、対象外の近隣住民からは対応を疑問視する声も聞かれた。
「1週間以内に大きな地震が来る可能性がある。万が一倒れたら大変だ」。近くに住む70代男性は不安げに鉄塔を見上げた。
近くのクリニックでは、診察まで1時間を切ってから急きょ休診を決めた。担当者によると、人づてに避難指示を知り、「何かあってからでは遅い」と判断。その後避難対象ではないと確認したが、「避難指示は寝耳に水。ふたを開けてみれば休診する必要はなかった」といぶかしんだ。
ビルが面する国道45号は市の大動脈だが、約1キロにわたり通行止めに。70代女性は「買い物に行けない」とため息を漏らした。
八戸市の熊谷雄一市長は11日午後、臨時記者会見を開き、「(避難)対象者が限定的なので(当初は)SNSでの発信はしなかった。夜間だったので直接訪問で確実に対象者に呼び掛けた」などと釈明した。 [時事通信社]

【異例】給与法改正案“政府の説明が二転三転”野党の批判に官房長官が謝罪

政府が国会に提出している、高市首相や閣僚の上乗せ分の給与・手当を当分、支給しないようにするための法案をめぐり、法案の要旨を説明する文書の修正について、政府の説明が二転三転したという野党の批判を受け、木原官房長官は、11日、衆議院の議院運営委員会の理事会で謝罪する異例の事態となりました。
政府は高市首相や閣僚の上乗せ分の給与・手当を当分の間、支給しないようにするための国家公務員特別職の給与法改正案を8日に閣議決定し、国会に提出しました。
11日の議院運営委員会の理事会での政府側の説明によりますと、閣議の際に法案とは別に、その要旨を説明する文書である「要綱」の一部がわかりにくいとの指摘があり、その後、内容を一部修正したということです。
関係者によりますと、この「要綱」については、修正前のものが一度配布され、その後「誤って古いバージョンのものを配布してしまった」として修正後の資料が再度、配布されました。こうした経緯について野党側は、「政府側の説明が二転三転した」と批判し、さらに閣議決定後に要綱が修正されたことを問題視して、政府側にさらなる説明を求めました。
そのため政府は、午前の議運理事会に尾崎官房副長官が、さらに午後の理事会には木原官房長官が出席し、木原長官は混乱を招いたとして謝罪したということです。また野党側によりますと、木原長官からは、「要綱」については閣議決定の対象に含まれず、閣議後に変更したことについては問題ないとの説明があったということです。
この影響で、給与法の改正案を審議する委員会が遅れ、今年度の補正予算案を採決する衆院本会議も開始が遅れる事態となりました。なお本会議では補正予算案に加え、給与法の改正案も賛成多数で可決され、参議院に送られています。

メガソーラーの駆け込み建設「中止を」釧路市の自然団体、17万筆超の署名を北海道に提出

北海道釧路市内の6つの自然保護団体が11日、オンラインで実施していた太陽光発電施設の駆け込み建設中止を求める署名を北海道に提出した。代表者ら4人が札幌市の道庁本庁舎を訪れ、加納孝之副知事に文書を手渡しながら「市民との合意形成がなされない事業は直ちに中止を求めるよう強く望む」などと訴えた。
署名を提出したのは、釧路自然保護協会、猛禽(もうきん)類医学研究所、日本野鳥の会釧路支部、日本鳥類保護連盟釧路支部、NPO法人トラストサルン釧路、もっと釧路湿原の6団体。3月末に6団体連名でオンライン署名を始め、10日までに17万5948筆が集まった。
釧路自然保護協会の神田房行会長は、釧路市が10月1日付で施行したメガソーラー規制条例について「対象は来年1月1日以降に着工される事業。いろんな業者が太陽光発電計画を釧路市に提出し、すでに工事を始めているところもある」と年内の駆け込み着工を懸念。「北海道に工事を止めてもらうことができないかと思い、直接お願いにきた」と述べた。
また、猛禽類医学研究所の斉藤慶輔所長は、鈴木直道知事が11月に公表したメガソーラー事業者向けメッセージの「地域との共生が大前提」とする原則を踏まえ、「地域の反対運動が起こっているのに聞く耳を持たず計画を進めている事業者もいる。これは道庁の方針に真っ向から対立するものだ。守らない場合はきちんとした意思表明をしてほしい」と道に厳しい対応を求めた。
加納副知事は釧路市のメガソーラー事業を巡る情勢などに触れながら、「遅いといわれるかもしれないが順次対応を積み重ねてきている」と強調。「各省庁とも連携しながら、今ある法律の中で毅然(きぜん)とした対応を進めていきたい」と述べた。
釧路湿原国立公園周辺のメガソーラーを巡っては、日本エコロジー(大阪市中央区)が進める事業で森林法違反や土壌汚染対策法違反などが相次いで見つかり、約70回にわたる行政指導が行われている。(坂本隆浩)

補正予算案、衆院通過=国公賛成、16日にも成立

高市政権初の総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案は11日午後の衆院本会議で、自民、日本維新の会、国民民主、公明各党などの賛成多数で可決され、参院に送付された。国民民主と公明はガソリン税の暫定税率廃止や児童手当の上乗せなどが盛り込まれたことを評価。立憲民主党などは反対した。参院の審議を経て16日にも成立する見通しだ。
17日に会期末が迫る国会は、野党が重視する企業・団体献金の見直し法案と、与党が提出した衆院議員定数削減法案の行方が焦点となる。 [時事通信社]

「働いて働いて」の流行語大賞に懸念=「言葉が独り歩き」―過労自殺遺族

今年の「新語・流行語大賞」で、高市早苗首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」という発言が年間大賞に選ばれたことを受け、過労自殺の遺族らが11日、東京都内で記者会見を開いた。「こんな言葉が独り歩きしては過労死はなくならない」と懸念を示した。
今年の年間大賞は高市氏が自民党の新総裁に選ばれた時の言葉。同党議員に対し「全員に馬車馬のように働いてもらう。私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる」という発言もし、賛否の声が上がった。流行語大賞の表彰式では「国民に働き過ぎを推奨するような意図はない」と話していた。
医師の夫を過労自殺で亡くした中原のり子さんは「流行語大賞受賞には耳を疑った。家族にむち打つような行為だ」と憤りをあらわにした。「働いてワーク・ライフ・バランスを捨てるというのは社会的に最もふさわしくない言葉だ。(高市氏は)影響力の大きい方なので言葉を選んでほしい」と力を込めた。 [時事通信社]

「高市政権は対中戦略欠如」=情報発信強化を提言―阿古・東大教授

中国研究が専門の阿古智子・東大教授は11日、オンラインで記者会見を開き、高市早苗首相の台湾発言で悪化する日中関係を巡り「日本には戦略的な対中政策がない。正しいと思うことだけを言うのでは中国と向き合えない」と述べ、高市政権の対応を批判した。その上で、国際社会に向けた情報発信の強化を求めた。
阿古氏は「中国が発するナラティブ(物語)を分析し、日本として独自の主張をしないといけない」と強調。中国軍機による航空自衛隊機へのレーダー照射に関し、「(中国と比べ日本は)説明の中身が分かりにくい」と話した。
また、中国の情報管理について「(国内の)言論統制を強化しながら、(外国に対して)プロパガンダを打ち出すことが上手になってきている」と指摘。「米国ですら日本の立場をサポートしているようには見えない」と語った。 [時事通信社]

エンジン凍り付いた可能性も 旅客機が函館空港に緊急着陸 右のプロペラ停止 丘珠発ー秋田行き

12月11日午後1時半ごろ、丘珠空港から秋田空港に向かっていた日本航空の旅客機が函館空港に緊急着陸しました。
緊急着陸したのは、丘珠発ー秋田行きのJAL2823便です。
北海道エアシステムによりますと、JAL2823便は離陸直後に雲の中でエンジントラブルが発覚し、右のプロペラが停止したということです。
丘珠空港に引き返そうとしましたが、天候の影響で函館空港に緊急着陸したということです。
乗客乗員に26人けがはありません。
北海道エアシステムは、雪がエンジンに付着し、凍り付いた可能性もあるとみて原因を調べています。

自衛隊制服組トップ、レーダー照射で中国に反論 「対領空侵犯措置は当然」

Nobuhiro Kubo
[東京 11日 ロイター] – 自衛隊制服組トップの内倉浩昭・統合幕僚長は11日午後の会見で、中国軍機が自衛隊機にレーダーを照射した6日の事案について、日本の防空識別圏内で「対領空侵犯措置を適切に行うことは当然」と述べ、自衛隊機によって安全な飛行を阻害されたとする中国側の指摘に反論した。中国とロシア軍用機による9日の共同飛行については、外交ルートを通じて「重大な関心」を表明したことを明らかにした。
内倉氏は「(中国の空母)遼寧が所在した海域には、沖縄本島、北大東島、南大東島、沖大東島などがあるとともに、日本の防空識別圏内」と説明。「空母から発艦した艦載機に対領空侵犯措置を適切に行うことは当然だ」と語った。「自衛隊機が中国の航空機の安全な飛行を深刻に阻害したとの中国側の指摘は当たらない」とした。
また、中ロの軍用機が東シナ海から太平洋まで共同飛行したことについて「度重なる爆撃機の共同飛行は日本周辺における活動の拡大・活発化を意味するとともに、日本に対する示威行動を明確にしたもの」と指摘。中ロそれぞれに対し、「外交ルートを通じて安全保障上の観点から重大な関心を表明した」と述べた。
一方で、悪化している現在の日中関係と「関連性があるとは考えていない」とした。
中ロの爆撃機が日本周辺を共同で長距離飛行したのは2024年11月以来。内倉氏によると通算9回目。