北海道 過去最多の1170人感染 鈴木知事、まん延防止要請へ

北海道内で19日、新たに1170人の新型コロナウイルス感染が確認され、計6万7140人となった。1日の新規感染者が1000人を超えるのは初めてで、過去最多だった昨年5月21日の727人を大幅に上回った。感染急拡大を受け、鈴木直道知事は「まん延防止等重点措置」の政府への要請を21日に判断する考えを示した。【米山淳】
18日時点の病床使用率(15・8%)は、まん延防止措置の要請を検討する「警戒レベル2」の指標(20%超)に近づいている。鈴木知事は道庁で「今のペースだと週末から来週初めまでに20%を超える見込み。市町村などの意見を踏まえ、21日の対策本部会議でレベル移行とまん延防止措置の要請を判断する」と記者団に語った。異論がなければ政府に要請する方針。
措置が適用された場合の対象地域について、鈴木知事は「これまでと違い、全道で感染が拡大している状況」として全道を視野に検討する。飲食店の営業時間短縮や人数制限、酒類提供の自粛などの対策を求めることも明らかにした。
新規感染者のうち札幌市は650人で、過去最多だった昨年5月13日の499人を上回った。函館市は46人で、2日連続で過去最多を更新。旭川市で性別など非公表の1人の死亡が報告され、道内の死者は計1479人となった。
新たなクラスター(感染者集団)は9件。札幌市の道警察学校で警察官16人▽同市のサービス付き高齢者向け住宅で入居者ら9人▽旭川市の旭川実業高の運動部で生徒13人▽小樽市立潮見台中で生徒ら5人▽石狩管内のグループホームで入居者ら8人▽喜茂別町の保育施設で園児ら26人▽苫小牧市のスポーツクラブで利用者ら20人▽利尻富士町の特別養護老人ホームで入所者ら7人▽帯広市立啓北小で児童ら7人――の感染が判明した。
「宣言」出していい状況
道内の感染状況や今後の見通しについて、札幌医科大の横田伸一教授(微生物学)に話を聞いた。【聞き手・土谷純一】
道内でもオミクロン株の拡大が明らかで、これまでの波と比べると増え方が非常に急激だ。すでにまん延していると言え、特に札幌市では検査や感染経路の調査が間に合っていない。
何らかの対策をしなければならない時期は既に過ぎている。一気に緊急事態宣言を出してもいい状況ではあるが、行政のこれまでの対応では感染拡大の速さについて行けていない。
一方、国内で先行して感染が広がった沖縄では、感染者の増加率が鈍くなってきている。英国や南アフリカの状況も見てみると、オミクロン株には急速に拡大して急速に減少する傾向がある。道内は今週から来週あたりが増加のヤマ場になるのではないか。
オミクロン株の重症化率は確かに低いが、リスクが高い人は一定数いるため、これまでと同様に一人一人の感染対策は必要だ。全国の死亡例も少しずつ出てきており、ハイリスク患者だと感染後、一気に重症化して死亡する場合もある。やみくもに社会活動を止めるのではなく、いかに日常生活を守りながら対策を取るかを模索していく時期に来ている。