高速道でバス横転、無罪確定の元運転手の国賠訴訟で430万円支払命令

北海道白老町で2013年、バスが横転して乗客13人が重軽傷を負った事故を巡り、自動車運転過失傷害罪に問われ、無罪が確定した元バス運転手の男性(62)が、ずさんな捜査で違法に起訴されたとして約760万円の国家賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は25日、国に430万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
捜査内容が争点となり、国側は、事故現場の状況把握や関係者の聴取など、検察官として要求される内容は網羅していたと主張。谷口哲也裁判長はこれに対し、第三者の専門家の意見聴取が必要だったと指摘。「(その捜査を)行っていれば事故原因が運転手の過失にあったとの嫌疑はなかった」として、起訴は違法だったと断じた。
判決などによると、事故は13年8月、白老町の道央自動車道で発生。男性は在宅起訴されたが、札幌地裁室蘭支部が19年3月、「バスの部品破断によりハンドル操作は困難だった」として無罪を言い渡した。
判決後、原告代理人の吉田康紀弁護士は「裁判所が刑事事件の記録などをよく精査してくれた」と評価。札幌地検は「主張が認められなかったことは遺憾。今後の対応を検討したい」としている。