学校クラスターの校名公表で割れる対応…千葉市「誹謗中傷懸念」、県や船橋市「注意喚起」

新型コロナウイルスのクラスター(感染集団)が起きた学校名の公表をめぐり、千葉県内の各自治体で対応が割れている。飲食店など感染者に接触した可能性がある人を把握できない場合を除き、公表するかどうかの判断が各自治体に委ねられているためだ。千葉市が今月、「学校への

誹謗
(ひぼう)中傷を防ぐ」として公表しない方針を示したのに対し、県や船橋市、柏市は「注意喚起」「地域の安全」のため学校名を公表している。(長岩真子)

千葉市は今月、クラスターが発生した学校の校名を原則伝えない方針を示した。昨年8月、東京パラリンピックの競技を児童・生徒が観戦する「学校連携観戦プログラム」の参加校でクラスターが起きた際、学校や市教育委員会に対する中傷の電話が相次いだためとしている。
千葉市はこれまでも、感染者らへの差別・偏見防止を目的とした市独自の「コロナ差別がゼロのまち宣言」に基づき、発表資料では校名を公表してこなかった。ただ、報道陣からの取材に対し、口頭で校名を答えることはあった。神谷俊一市長は20日の定例記者会見で「学校名を公表することで、市民の感染対策が何か変わるわけではない。公表することのデメリットが非常に大きい」との考えを示した。
一方、県や船橋市、柏市は、校名を原則公表としている。船橋市保健所の担当者は「(校名を出さないことで)保護者らに不安感を与える懸念があった。安心感と注意喚起につながれば」と話す。児童や生徒の感染が発表された際、自身の子どもが通っている学校で感染者が出たのかどうか、保護者から問い合わせがくることがあったという。
柏市では、注意喚起のため原則公表している。同市保健所の担当者は「クラスターが起きていることに気が付いた地域の人らにとって、発表しなかったら隠していると受け取られる」と指摘する。
県学校安全保健課の担当者は「クラスターは社会通念的に影響があり、広く伝えなければいけない部分もある。個人の特定につながる項目は出していない」と話す。
国は2020年、不特定多数の利用者がいるなど、感染者に接触した可能性がある人を把握できない場合、施設名を公表するよう求める通知を出した。限られた学級でのクラスターなど、接触者が特定され、感染拡大の懸念がない場合、校名を公表するかどうかの判断は、自治体に委ねられている。
公表「望ましい」

中央大の石井

夏生利
(かおり)教授(情報法)は「社会の安全を守る上で、情報は出す方向が望ましい。どこもかしこも隠すようになったら怖い」と指摘。その上で、「(校名公表は)いたずらに不安をあおるリスクはある。差別しないよう求める注意喚起や事後対策もきちんと示すことが重要」と話した。