受験シーズンに感染拡大、教員が「苦肉の策」…自宅から授業配信も

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による急激な感染拡大で学級閉鎖や休校が相次ぐ中、教壇に立つ教員自らが濃厚接触者になったり、自宅待機になったりするケースが出始めた。年度末で受験を控える大切な時期でもあり、教諭が自宅からオンライン授業を配信する「苦肉の策」を講じるなど、学びを確保する取り組みが続いている。(遠藤信葉、山下雅文)
急きょ資料作成

福岡市中央区の市立

警固
(けご)中では今月9日以降、生徒の感染が相次いだ。13日までに2年生の4学級を学級閉鎖としたが、翌14日には1年生の陽性者も判明した。3年生は1週間後に私立高の専願入試が迫っていたため、19日までの休校措置に踏み切った。
数学を担当する林健一教諭(36)は学級閉鎖となった2年生のクラス担任で、生徒とともに1週間の自宅待機となった。5クラスの授業を担当しているため、待機中は自宅のパソコンから、生徒に配布されているタブレット端末に数学の授業を配信した。生徒が登校している教室には、スクリーンを設置して対応した。
「リモート授業」は通常、教員自身が教室にいて黒板を映したり、資料をプロジェクターで映したりしながら行うが、自宅では板書ができないため、急きょ、パソコンで作成した説明用資料を使って授業に臨んだ。
表情つかめず

感じたのが、生徒とのやり取りの難しさだ。生徒たちも自宅にいる学級閉鎖のクラスでは、タブレット端末の「挙手ボタン」を使って個々に質問を受けるため生徒の反応が把握できたが、教室とつないだ授業では教室の雰囲気や生徒の表情がつかみづらかったという。林教諭は「普段のように理解度に応じて臨機応変に対応できなかった。休校明けに対面で生徒の頑張る姿に接して安心した」と話す。
負担大きく

福岡市教育委員会によると、27日時点で市立小中高・特別支援学校計225校のうち8割の180校が学級・学年閉鎖か休校措置を取った。「第5波」までと違い、教員自身が家族の感染で濃厚接触者と認定されるケースや学級閉鎖に伴う自宅待機が相次ぎ、複数の教員が出校できなくなる事態も生じている。教科担任制の中学などでは、教員が自宅から複数学級に授業を同時配信したこともあった。
市教委教育ICT推進課の永田朗課長は「何とか授業を続けられているが、綱渡りの状態だ。教員の負担は増している」と話す。同課は、自宅からも授業が配信できるよう、通常は校内でのみ使える教材を自宅のパソコンにダウンロードするなどの対応を取るよう助言しているという。
全国に先駆け、2014年度までに町内全3校にタブレット端末を配備した熊本県高森町。町立高森東学園義務教育学校では20年度以降、家族が体調不良の際に出勤を見合わせた教諭が自宅からオンラインで朝の会や授業を実施している。
今年1月以降は学級閉鎖や休校に至っていないが、感染への不安から登校を自粛する生徒は自宅からオンラインで授業に参加している。山本


(たかし)教頭は「コロナ下であってもオンラインでできることを進め、子どもの学びを止めないよう努力したい」と話している。