妻「長くかかったけど認めてくれたよ」 トヨタ、パワハラ自殺で和解

トヨタ自動車に勤務していた男性社員(当時40歳)が2010年に自殺したのは過密な業務と上司のパワーハラスメントにより、うつ病を発症したのが原因だとして、愛知県豊田市に住む男性の妻(50)と長女(20)が同社を相手取り、計1億2300万円の損害賠償を求めた訴訟は裁判外で和解が成立した。遺族側代理人が31日、発表した。また、同社の豊田章男社長が遺族と会い、直接謝罪したことも明らかにした。
「やっと裁判が終わり、主人に『長くかかったけど、認めてくれたよ』と報告することができた」。トヨタ自動車社員だった夫の自殺を巡り、上司のパワーハラスメントなどを認めた同社との和解が成立した妻(50)は31日、記者会見で安堵(あんど)の表情を見せた。
労災を認める判決から1カ月後の2021年10月19日、愛知県豊田市内のホテルで同社の豊田章男社長と約1時間にわたって面会。再調査を強く求めると、豊田社長は新チームを作り、社内で何があったかを必ず調べると約束したという。
面会後、同社はパワハラの有無などについて改めて調査を実施。後日設定された和解交渉の席で、夫に対する上司のパワハラを見ていた社員がいたことなどが報告された。
妻は記者会見で「つらい報告なので聞きたくなかったが、亡くなった主人と同じように悩んだり、苦しんだりする人が出ないようにするには会社の体制が重要だと思った」と和解にいたった思いを説明。「将来、会社の仕組みを変えるきっかけになれるのなら、主人も今ごろ、許してくれ、理解してくれているのでは」と語った。【道永竜命】