高松高裁は1日、「1票の格差」が最大2・08倍だった2021年10月の衆院選は投票価値の平等を定める憲法に反するとして、小選挙区の区割りを「違憲状態」とする判決を出した。四国4県の選挙区の選挙無効を求めて提訴していた原告側の升永英俊弁護士は判決後に記者会見し、「画期的だ」と評価。3月までに全国の高裁などで予定されている同種訴訟で今回のような判決が出ることを期待した。
升永氏ら二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした訴訟のトップバッターが1日の高松高裁判決だった。升永氏は「全国的に注目される中、違憲状態判決が出て我々は非常に大きな意味のある判決だったと高く評価している」と述べた。
今回、法曹界などが注目したのは、高裁が違憲状態かどうかを判断する際の1票の格差を割り出すタイミング(基準時)だ。1976年の最高裁判決は基準時が「選挙日」にあるとしている。しかし、2018年の最高裁判決は将来、1票の格差が是正されることを考慮し、17年衆院選は「合憲」と判断した。国会が人口比を正確に反映する「アダムズ方式」を20年以降に導入し、格差が縮小することを評価した。
これに対し升永氏ら今回の訴訟の原告団は「不当な判例変更で拘束力はない」と主張した。アダムズ方式による区割りは21年衆院選では間に合わず、次回衆院選での適用が予定されているため、高裁が基準時をどこに置くかで「合憲」か「違憲状態」かの判断が分かれる可能性があった。
高松高裁は選挙当日の有権者数が最も少ない鳥取1区と最多の東京13区で2・08倍の差があったことを違憲状態の根拠とした。升永氏は会見で「基準時を選挙日として将来の是正を考慮しない立場をとり、判決文にも明確に記した。これまでの高裁や最高裁判決には明確に記されたものはないはずで画期的だ」と喜んだ。
一方、升永氏は「我々の裁判は違憲状態判決が最終目的ではない」とも語る。今回の判決は「格差が2倍以上になると、国会の広範な裁量権を考慮しても違憲の疑いがある」として、29選挙区で格差が2倍以上になった点を強調した。これについて升永氏は「憲法は人口比に基づいた選挙を求めているのに判決は触れていない。論点を避けており、不満が残る」と指摘。格差のない適正な人口比に基づく選挙の実現を目指して最高裁に上告する予定だ。
一方、判決を受けて被告の四国各県選管は「こちらの主張が一部認められなかったものの、結論としては原告らの請求は棄却されたと認識している。今後とも選挙の適正な管理執行に努めていく」などとコメントした。【喜田奈那】