第6波、感染軽症でも持病悪化

新型コロナウイルスのオミクロン株による感染流行の「第6波」では、新型コロナの症状は軽いものの、感染によって基礎疾患(持病)を悪化させるケースが目立っている。市中に感染が蔓延(まんえん)する状況下では持病がある人らの感染リスクは高まっており、現場の医師らは「陽性や濃厚接触者となった医療従事者の現場離脱とともに、医療逼迫(ひっぱく)の懸念材料」として警戒感を強めている。
昭和大病院(東京都品川区)に1月下旬、心臓疾患の持病があり、同病院で定期的に診療を受けていた高齢男性が救急搬送された。男性は新型コロナに感染した後、呼吸器には肺炎などの大きな影響は確認されなかったものの、持病が悪化。新型コロナ向け病床に入院して治療を続けることになった。
同病院に入院する新型コロナ患者30人のうち、オミクロン株感染による重症者は2人にとどまる。相良博典病院長は「オミクロン株の病原性の低さとワクチンの効果が影響している可能性がある。新型コロナ自体というより、感染で持病を悪化させるケースが起きている」と打ち明ける。
オミクロン株では喉や鼻といった上気道の炎症にとどまるケースが多いことから、相良氏はウイルスを排出しやすく、感染急拡大につながっている可能性があるとみる。「感染は高齢者にも広がり、誰が感染してもおかしくない状況。持病がある人の感染リスクも高まっている」という。
新型コロナ感染による持病の悪化は、第6波の全国的な課題となっている。
沖縄県の医師が厚生労働省の専門家組織に提出した資料では、肺炎がない呼吸器症状が軽症のケースでも、糖尿病などの持病を悪化させたり、心筋梗塞(こうそく)などの合併症を併発したりして、「全身状態不良の高齢者が多数入院している」と報告している。
資料では「(入院患者に)妊婦や透析など医療依存度の高い若年者も少なくない」と言及。定期的に医療機関を受診する必要がある妊婦や人工透析患者が感染すると、軽症でもかかりつけ医で診てもらえなくなる恐れもある。
大阪府の吉村洋文知事は1月24日の会見で「軽症であれば、かかりつけの医療機関で分娩(ぶんべん)や透析といった対応を継続するようお願いしたい」と求めた。
相良氏は「一般医療との両立が第6波の課題だ。『軽症で済む』と侮って感染を拡大させ続けると、元の生活がさらに遠のいてしまう」と指摘。「一般のクリニックなどでも、防護衣といった対応を取れば軽症のコロナ患者を受け入れることは可能だ。コロナとの共存を見据え、『どうすれば受け入れできるか』を模索する時期に来ている」と強調した。