「緊急事態宣言」めぐり思惑交錯 小池都知事は要請に慎重、岸田首相も否定的「行動制限を強めれば政権ひっくり返る」

東京都内の新型コロナウイルス感染者用病床使用率が1日、50・7%となり、都が緊急事態宣言発令の要請を検討する目安を超えた。現状では小池百合子知事は要請に慎重で、岸田文雄首相も否定的だが、ピークアウトの時期や重症者の推移をめぐり、さまざまな思惑が交錯する。
小池氏は宣言要請について「医療提供体制の逼迫(ひっぱく)回避と社会経済活動の継続という2つのポイントで検討している」と述べた。一方、都幹部は「あらゆる可能性を視野に入れて対応する」との立場だ。
岸田首相は1月31日、「現時点では宣言の発出は政府として検討していない」と述べている。1日のTBSニュースは、首相が「ピークアウトが見えているのに宣言を出して行動制限を強めれば政権がひっくり返る」と周辺に話したと報じた。
経済同友会の桜田謙悟代表幹事は「安易に緊急事態宣言に持っていくことには反対する」と発言。宣言による企業活動の停滞が失業者の増加などにつながるとし「経済も人を殺す」と強調する一方で、重症者が大きく増えれば宣言は不可避との考えも示した。
東京の新規感染者は連日1万人を超えているが、前週の同曜日との比較では伸びが鈍ってきている。ただ、海外では急減後に再増加する国もあり、予断を許さない。
1日時点で国内の重症者は804人にとどまる一方、死者は昨年9月以来の70人まで増加した。
ピークアウトが遅れた場合、政府は蔓延(まんえん)防止等重点措置の延長も視野に入れるが、自宅療養者の増加や社会機能のまひで国民の不満が高まれば、宣言発令論がわき上がってくる事態もありそうだ。