埼玉立てこもり、突入まで11時間要した県警「現場は密室に近い」「慎重な判断迫られた」

埼玉県ふじみ野市の民家で起きた発砲・立てこもり事件は、3日で発生から1週間がたった。殺人容疑で送検された渡辺宏容疑者(66)は、亡くなった医師の鈴木純一さん(44)に向けて、ごく近い距離から胸部に1発の銃弾を発砲していた。鈴木さんはほぼ即死状態で、銃弾は体を貫通していた。
渡辺容疑者は用意した散弾銃2丁のうち、1丁を取り上げられた後も催涙スプレーを噴射し、残りの1丁で発砲するなど

執拗
(しつよう)に攻撃したとみられ、県警は渡辺容疑者が鈴木さんらに強い殺意を抱いていたとみて調べている。
発表などによると、渡辺容疑者は1月27日夜、前日に死亡した母親(当時92歳)の診療を担っていた鈴木さんら7人を「線香をあげに来てほしい」と自宅に呼び出し、鈴木さんに散弾銃を発砲して殺害した疑い。
渡辺容疑者の供述では、最初に鈴木さん、次に理学療法士の男性(41)=重傷=に向けて発砲。その後、近くにいた医療相談員の男性(32)に銃を取り上げられると、催涙スプレーを顔に浴びせて攻撃し、さらにもう1丁の散弾銃を使って別の医療相談員を撃ったとされる。発砲した銃弾は少なくとも3発とみられる。
渡辺容疑者は逮捕後の調べに「母が死んでしまい、この先、いいことがないと思った。自殺しようと思ったときに先生やクリニックの人を殺そうと思った」と供述。自宅からは催涙スプレーやサバイバルナイフも押収されている。
一方、渡辺容疑者が立てこもっていた当時、人質にされた鈴木さんの安否はつかめなかった。家の中の様子は捜査員が渡辺容疑者と電話で話し、聞き取っていたが、「人質は大丈夫だ」などとうそを伝えられていたため、県警は突入までに約11時間を要した。
埼玉県警は昨年6月にも、さいたま市大宮区のインターネットカフェを現場とする立てこもり事件を経験。その際も突入まで約32時間を要したが、捜査関係者は「昨年の事件と同様、現場は密室に近く、慎重な判断を迫られた」と話している。