夜間や未明の寺院から多額の現金が奪われる窃盗事件が埼玉県内で相次ぎ、被害総額が約1億円に上っていることが8日、捜査関係者への取材で分かった。防犯カメラの映像などから、県警は、3、4人の男からなる同一グループの犯行とみて捜査している。
捜査関係者によると、昨年6月から今月7日までの間に熊谷、加須、本庄、東松山、鴻巣、坂戸の各市などで計52件の被害が確認された。午後10時ごろから翌日の午前6時ごろまでの間にハンマーで窓を割るなどして侵入し、金庫を壊して現金を持ち去ったり、金庫ごと盗んだりするケースが多い。一部の寺の周辺の防犯カメラの映像からは、犯行グループとみられる複数人の男が車で現場を去る様子などが確認されている。
一度に盗まれた額として最も多かったのは約3千万円で、昨年11月の深夜、県西部の寺が被害に遭った。本堂と事務所をつなぐ廊下の窓ガラスがドライバーのようなもので割られ、事務所の机の下にあった金庫が持ち去られていたという。翌朝になって住職が気づき110番通報した。
寺は、参拝客ら外部の人が敷地内に立ち入っても不審に思われにくい上、多額の現金が保管されているケースも多いといい、県警は、こうした事情を熟知した犯行グループが金庫などに狙いを絞って侵入を繰り返しているとみている。実際、賽銭(さいせん)箱や高価な仏像が盗まれた事例は確認されていない。
近隣の群馬、栃木、茨城、福島各県でも、似通った手口による被害が計約70件(被害額約1億円)確認されており、埼玉県警は各県警と連携して捜査している。
被害の続発を受け、埼玉県佛教会は、窓の施錠を厳重にすることや多額の現金を保管しないことなどを呼び掛ける注意喚起のチラシを作り、会に加盟する寺に配布した。金子嘉広事務局長(49)は「不安な気持ちしかない。一日でも早く安心できる状況になってほしい」と話した。(深津響)