「和歌山県がうらやましい」奈良県民がコロナ施策にブチ切れる意外な理由

◆なぜ奈良県民は怒っているのか?

今月5日から、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」が和歌山県に適用された。近畿圏では京都府、大阪府、兵庫県、三重県、和歌山県がまん延防止となる。そこで「待った」の声とともに怒りをあらわにするのは、まん延防止が要請された他府県に隣接している奈良県民。

奈良といえば先日、荒井県知事が「飲食店の感染リスクは低い」と、改めてまん延防止措置を要請しない考えを示したことが大きな話題となった。この“先進的”ともいえる考えにネットでは「よく言ってくれた!」と称賛の声も上がったが、地元・奈良では真逆のようだ。市内で飲食店を経営する男性に話を聞いた。

「県知事はああいう風に言っていましたが、奈良県民はみんな“自主自粛”しているので客なんて全然来やしません。緊急事態宣言が明けて年末は客足が戻って来たというニュースもありましたが、そんなんどこの話?って感じです。それなら、まん延防止にいっそしてくれて協力金をくれるほうがマシなんです。

でも、荒井さんは『市町村で飲食店に支援したいというところがあれば、どうぞしてください』と各市町村に任せきり。うちは市から1000万円以上の借り入れがあり、すでに返済が始まっているというのに客は来ない、協力金は出ないわで八方塞がりです。正直、和歌山のまん延防止が羨ましいです。なぜ、奈良を近畿他府県と一律にしてくれないんですかね」

◆越境飲みに対する不満と不安

男性の不満は他にもある。それは昨年の休業期間中に散々、問題視された県をまたいで飲みに行く「越境飲み」に対してだ。

「先月27日から京都、大阪、兵庫にまん延防止が要請されてから、京都や大阪から奈良に飲みに来る人が増えてきています。飲み屋街でもある新大宮では週末にもなると大阪ナンバーの運転代行をよく見かけますね。県民からは『他府県の人間がコロナを持ち込むのではないか』という不安が広がっています。

僕は第1波のときに感染した経験があって、当時は周囲から『飲食店なんかしているから……』と冷ややかな目で見られました。奈良県民は保守的なので、感染すると地元の目がかなり厳しいんです。そうした風評被害もあるので時短にしたいのですが、県知事は何の保証もしてくれない。県外から客が来ても、渋々迎え入れるしかありませんよね……」

昨年8月、同じように越境飲みの客に悩まされていた和歌山市を取材したとき、『県外のお客様お断り』、『一見様お断り』と貼り紙をしている飲み屋を多く見かけた。

当時、和歌山の仁坂県知事は県外からの観光客の宿泊予約受付を控えるよう施設に要請していたが、奈良県は特に対策はしていない様子。荒井県知事はこの現状をご存知なのだろうか。

◆市民からも不安視する声が……

一方で、市内在住の主婦の女性からはこんな声も。

「前回も大阪、京都にまん延防止が要請されたとき、県内のショッピングモールは他府県ナンバーの車で溢れていました。県民が飲み歩かなくても生活圏内に県外から入ってこられるのはさすがに少し怖いですね。

それに県知事は観光事業に力を入れているようですが、今、奈良公園周辺を歩いても観光客はほとんど見かけません。ショッピングモールや飲み屋ばかりに人が集中して感染のリスクを高めるのなら、休業要請と給付金を出せばいいのに……と思います。

県知事は保健所の職員を増員して自宅療養者への支援体制を強化する考えを示しましたが、クラスターが発生したら意味がないと思います。支援体制の充実ももちろん大切ですが、感染予防対策を徹底してほしいです。まずは県民を守ることを第一優先にして考えてほしいですね……」

◆大阪が羨ましい!?

今回、奈良県民に大阪の吉村知事のコロナ対策についてどう思うかと聞いてみると、「吉村さんのほうがまだマシじゃないですか」という声や「荒井知事は大仏を赤く照らして警告を出すくらいのことをしたらどうか」という皮肉を口にする方もいた。正直、どっちもどっちなのでは……とも思ったが、現地の状況は外から見ているだけではわからないこともある。

和歌山県に「まん延防止」が適用された今、荒井県知事の判断はどのような結果になるのだろうか。

取材・文/日刊SPA!取材班