国防を考える F15戦闘機事故と気がかりな防衛予算 民間航空機パイロットの方が待遇もよく…年間数十人が自衛隊から途中退職

石川県・小松基地の航空自衛隊のF15戦闘機1機が1月31日、離陸直後に洋上でレーダーから消えた。「アグレッサー」(侵略者―仮想敵機部隊)と呼ばれる訓練指導精鋭2人が搭乗していた。周辺海域からは機体の一部と救命装備品が見つかった。
該当のF15は1993年1月製造分の機体で、比較的新しい。昨年11月、自衛隊では航空機やヘリコプターの部品が最大10倍と高騰が明らかとなった。航空機整備にこの影響がなかったかが気がかりだ。
2021年度4月から12月までのスクランブル発進は785回、すでに前年度の725回を超えた。航空機パイロットは年間数十人が自衛隊から途中退職するという。自衛隊パイロットの年収より民間航空機パイロットの方が年収は高く待遇もよい。魅力ある職場に人材は流出する。スクランブル対処に十分な人員数が維持できるのだろうか。
パイロットの充足率が悪化すれば、1人当たりのスクランブル待機時間は増える。自衛隊員には労働基準法は適用されない。長時間労働や休日返上の配置も続く。根性や忍耐で体力と気力は続かない。十分な休養がとれなければ問題は多発する。
航空機は国境やオイルシーレーン防衛に必須であり、その訓練は過酷だ。
24年以降に海上自衛隊に「いずも型」護衛艦の「いずも」と「かが」の2隻が改修を終え、事実上の空母として配備される予定だ。攻撃型空母ではないため、名称は護衛艦のまま、変更はない。
すでに昨年、四国沖の洋上で、米海兵隊所属のF35B戦闘機の発着艦試験も成功させた。南西諸島沖で紛争時や、台湾有事に海洋国家日本の交易路「オイルシーレーン」を守る力となる。
いずも型護衛艦は空母としては小型だ。その飛行甲板は短いため、垂直離発着が可能なF35Bが配備される。既存の戦闘機では艦載できず、新たな訓練が必要だ。水上の空母への離着陸は難しい。その艦載機は昼夜を問わず訓練する覚悟が必要だ。
それには予算不足の影響のない万全な整備と、交代可能なパイロット数が必要だ。戦前の根性論で無茶な運用をしてはならない。空母を持てどもパイロットが艦載機訓練でボロボロになっては元も子もない。
今年度末には岸田内閣主導で防衛大綱・中期防衛計画が策定される。国防こそが国家の最重要課題だ。他の省庁と横並びの予算抑制を、国防に求めてはならない。財務省の顔色をうかがいながらでは国は守れない。
■小笠原理恵(おがさわら・りえ) 国防ジャーナリスト。香川県生まれ。関西外国語大学卒。広告代理店勤務を経て、フリーライターとして活動。自衛隊の待遇問題を考える「自衛官守る会」代表。現在、日刊SPA!で「自衛隊の〝敵〟」を連載中。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。