一転満額1000万円「『裏口』だと」 遠山元議員仲介の企業が証言

貸金業の登録を受けずに日本政策金融公庫の新型コロナウイルス対策特別融資の仲介を繰り返したとして、貸金業法違反(無登録営業)に問われた元副財務相で元公明党衆院議員の遠山清彦被告(52)は14日、東京地裁で開かれた初公判で起訴内容を認めた。検察側は冒頭陳述で、国会議員や秘書の紹介は本店の窓口に集約するなど、公庫が「特別な対応」を取っていたと指摘した。
「いつになるか」一転、3週間後に1000万円
元公明党衆院議員の遠山清彦被告が融資仲介した複数の企業は、毎日新聞の取材に「審査が早まった」「『裏口』だと思った」などと証言した。検察側によると、申請が殺到する中、起訴された111回の融資仲介のうち37回は、遠山元議員の紹介から1カ月以内に融資が決まっていた。政治家の「口利き」で融資手続きが早まった疑いがある。
東京都内の不動産会社は、新型コロナの感染拡大が本格化し、休業要請を柱とする最初の緊急事態宣言が出された2020年春に公庫の支店に融資を申請。担当者は「飲食店の申請が多く、融資はいつになるか分からない」との反応だった。だが、牧厚被告を通じて同年5月に遠山元議員に仲介を依頼すると、公庫から数日後に電話がかかってきた。それからはスムーズに進み、約3週間後に1000万円の融資が認められた。
同社の社長は「牧被告からは『副財務相の遠山さんに頼めば、早く融資が決まる』という話だった。本当に審査が早まったと思った」と振り返った。
都内の建築会社も20年春に1000万円の融資を公庫に申請したが、300万円しか認められなかった。だが、知人の紹介で同年12月に遠山元議員に仲介を依頼すると、新たに満額の1000万円が認められた。社長は「増額されたのは議員の力で、『裏口』があるのだと思った。公庫は政治家の顔を立てようとしたのではないか」と推測した。
「支援者からの依頼の中には、簡単に断るわけにはいかないものもある」。東京・永田町で長年働く国会議員秘書は政治家側の事情を明かす。政治家に対応する公庫の窓口は「国会担当」と呼ばれ、10年以上前から事務所で引き継がれているという。「通らなかった審査が通るようになることはないはずだ。政治家が『口利き』するのは票や政治献金のため。謝礼は普通は受け取らない」とする。
日本政策金融公庫は「さまざまな立場の方から紹介を受けることは日常的にあるが、結論や審査スピードが変わることはない」とするが、元会計検査院局長の有川博・日本大客員教授(公共政策)は「公的金融機関は、合理的な説明ができない、公平性を欠く対応をしてはいけない。公庫の対応は特定の人たちを優遇する特例措置とも言え、問題がある。公庫は内部調査し、実態を分析して改善すべきだ」と指摘する。【国本愛、松尾知典、二村祐士朗】