政府は、ロシアがウクライナに軍事侵攻した場合の経済制裁について、米国が主導する半導体などの輸出規制に参加する方向で調整に入った。緊張緩和の働きかけが受け入れられなければ、米国を含む先進7か国(G7)で足並みをそろえ、対露包囲網を築くべきだと判断した。
輸出規制の対象となるのは、半導体やAI(人工知能)、ロボットなど先端技術を使ったハイテク製品となる見通しだ。
日本の半導体や半導体関連製品の対露輸出は少なく、「輸出規制によるロシア経済への影響は限定的だ」(政府関係者)とされる。ただ、これらの製品は中国からの代替調達が難しいとみられ、軍事・経済両面でロシアに痛手を負わせるためには、開発技術を持つ日本を含めた各国が一斉に規制を行う必要がある。
ロシアが2014年にウクライナ南部クリミアを併合した際、日本は主要国の制裁措置を参考に、武器や軍事転用可能な
汎用
(はんよう)品の輸出を事実上禁止する規制を行った。今回対象とするハイテク製品は軍事目的だけでなく、民生品に使われているものも含まれる見込みで、14年より厳しい措置となりそうだ。
政府は、金融制裁を行うことも検討している。14年はロシア政府関係者らの資産凍結などに加え、ロシアの大手5銀行の日本での資金調達を事実上禁じており、今回はこれよりも強い措置に踏み込む可能性が高い。
一方、エネルギー産業の制裁については、G7各国同様、日本も制裁には慎重だ。液化天然ガス(LNG)の約1割をロシアから輸入しており、制裁すれば、ロシアからの供給を止められる恐れがあるためだ。
14年の際は、政府は当初、欧米の経済制裁に同調せず、ビザ発給要件緩和交渉の停止などにとどめた。今回、ロシアの侵攻前からG7で共同歩調を取るのは、東・南シナ海で強引な進出を続け、台湾への軍事的圧力を強める中国を念頭に、力による現状変更は許さないという姿勢を示す狙いがある。
岸田首相は21日の衆院予算委員会で、「ウクライナを巡る情勢は欧州のみならず、アジアをはじめ、国際社会全体の秩序に関わる問題で、重大な懸念を持って注視をしている」と強調した。そのうえで、「各国とともに緊張緩和に向けて外交努力を続けていく。日本も一翼をしっかり担っていく」と述べた。