全国の警察が摘発した容疑者や犯罪現場で採取したDNA型のデータベース(DB)の登録件数が、令和2年12月時点で約144万件に上ることが28日、警察庁への取材で分かった。15年以上にわたるDBの運用とともにDNA型の鑑定技術は進歩。昨年には広島県福山市で約20年前に起きた主婦殺害事件の容疑者がDBの照合から逮捕されるなど、DNA捜査がいったん迷宮入りした未解決事件(コールドケース)の切り札となっている。
警察庁によると、DBの運用が始まった平成17年以降、登録されるDNA型は年々増え、令和2年に140万件を突破。容疑者の口腔(こうくう)内などから採取した「容疑者DNA型」の登録は141万3040件(同年12月31日時点)。犯罪現場に容疑者が残したとみられる皮脂や汗、血液などの遺留物から検出された「遺留DNA型」の登録は3万1407件(同)だった。
総数は計144万4447件で、日本の人口の87人に1人に相当する。罪種別では容疑者DNA型、遺留DNA型とも窃盗が約46万件、約1万件と最も多く、殺人や強盗などの重要犯罪が占める割合は低かった。
警察が犯罪現場などで採取したDNA型の鑑定は、容疑者逮捕や公判での犯人性を担保する重要な証拠になる。容疑者DNA型を遺留DNA型のDBに照合することで、余罪の可能性が判明したケースは令和2年で2576件に及んだ。
平成13年に広島県福山市で主婦が殺害された事件でも、広島県警が昨夏、銃刀法違反容疑の捜査で浮上した60代の男からDNAを採取し、DBで照合。主婦の靴下に付いていた血痕のDNA型と一致し、昨年10月に殺人容疑で男を逮捕した。発生から逮捕まで20年8カ月に及び、過去最長の「解決劇」となった。(小松大騎)
DNA型鑑定
人間の血液や皮膚片、粘膜などから検出されるデオキシリボ核酸(DNA)の塩基配列や繰り返しのパターンが一人一人異なる特性を利用し、個人を識別する鑑定方法。現在は「565京(1京は1兆の1万倍)人に1人」という高い精度で個人識別が可能。DNAが1㌘(10億分の1㌘)の微量でも鑑定できる。