国家の流儀 レジ袋有料、実は「義務化」ではなく「推奨化」だった 政府が余計な仕事増やした結果…国民負担率48%に

何か問題が起こると「政府に解決してもらう」べく、政府の仕事を増やそうとする人がいる。しかし、政府の仕事が増えれば増えるほど、その経費がかかり、税金は高くなっていく。
しかも、政府の仕事が増えたからと言って必ずしも問題が解決するわけではない。むしろ、政府が余計な仕事をしたばっかりに、国民の負担が増える場合もあるのだ。
その一例が、2019年の省令改正によって始まったレジ袋有料「義務化」だ。
海洋プラスチックごみ問題などを見据え、プラスチックの過剰な使用を抑制する目的から導入された「規制」なのだが、実は「有料義務化」ではなかったのだ。
06年当時から「容器包装廃棄物の排出の抑制の促進」が検討されていたが、この時点で「レジ袋有料義務化」は憲法22条に保障された「営業の自由」に抵触する疑義があるとみなされていた。
このため、19年の省令改正時には、バイオマス素材の配合率が25%以上のものや紙袋は無料で構わないとするなど、さまざまな例外規定を設けるとともに「レジ袋の有償頒布を強く推奨する」という形式をとることで、憲法違反にならないようにした。要は「有料推奨化」であったのだ。
ところが、19年12月の省令「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」には、「『レジ袋有料義務化(無料配布禁止等)』を通じて消費者のライフスタイル変革を促すこととした」と記され、あたかも全ての種類のレジ袋について「無料配布禁止」、つまり有料頒布が義務であるかのように宣伝したのだ。
かくして、大手スーパーやコンビニエンスストアなどでは、いちいち、「レジ袋購入の有無」が問われるようになった。買い物客にとっては煩わしく、売り手にとっても管理費・事務負担が増えただけであった。
そうやって消費と事業者の双方に負担をかけている有料「推奨化」は果たして意味があったのか。スーパーなどでのレジ袋の使用は大幅に減少したが、それが海洋プラスチックごみ問題の解決につながったかどうかは、何と検証していないのだ。
にもかかわらず、今年4月から、いわゆる「プラスチック新法」が施行されることになり、スプーンなど各種プラスチック製品についても「有料義務化」が一律導入されるとの「誤解」が拡散されている。
国民がいくら不便な思いをしようが、政府はそんなことは気にも留めずに、余計な仕事を増やし、その経費を賄うため税金を増やす。そうやって政府が仕事を増やしてきた結果、租税負担率と社会保障負担率を合計した最新の国民負担率は48%に達する。
政府の肥大化と、さらなる増税を阻止するためにも、無意味な規制を削減する政治家を支援したいものだ。 =おわり
■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や国会議員政策スタッフなどを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究などに従事。「江崎塾」を主宰。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞、19年はフジサンケイグループの正論新風賞を受賞した。著書に『日本人が知らない近現代史の虚妄』(SB新書)、『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(扶桑社)など多数。