水際対策緩和「開国」へ一歩前進 観光客はなお時間

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い実施された水際対策が1日、緩和された。「鎖国」とも評された厳しい入国制限から「開国」へ一歩踏み出した格好だが、まだ主な対象はビジネス関係で入国の間口は狭い。新型コロナで深刻な打撃を受けた観光業界が息を吹き返すには、訪日外国人の約9割を占める観光客が戻ることが不可欠だが、経済再開のカギを握るワクチンの3回目接種も約2割にとどまり、受け入れにはまだ時間がかかりそうだ。
「客室を仮押さえしても、すぐにキャンセルになる不安定な稼働が続いている」。関西国際空港に近いホテル「オリエンタルスイーツ エアポート 大阪りんくう」などを運営するホテルマネージメントジャパンの関係者はそうこぼす。1日からの水際対策緩和を受けた予約や問い合わせの動きも鈍いという。
新型コロナの感染が拡大してから、観光業を取り巻く環境は厳しい。コロナ前は日本を訪れる外国人は3千万人を超えていたが令和2年は約412万人、3年は約25万人に低迷。4・8兆円あった来日外国人消費のほとんどが吹き飛んだ計算だ。
観光業は輸送や宿泊から飲食、土産物まで裾野が広く、地域経済のダメージは大きい。入国者を1日5千人にするという今回の措置では焼け石に水で、日本旅行の担当者は「このぐらいの緩和ではインバウンド(訪日外国人客)が戻るとは考えにくい」と説明。ある鉄道関係者も「海外からの観光客の緩和も急いでほしい」と本音を漏らす。
訪日客需要は地域差も大きく、観光地の多い関西の百貨店関係者は「新型コロナ前は『西高東低』といわれるほど好調だったのに、今は戻る見通しが立たない」と話す。
新型コロナのオミクロン株は毒性が低いことから、海外では観光客受け入れの動きも加速する。一方で日本はワクチンの3回目接種が遅れていることもあり、感染者が再び増加に転じることへの懸念から緩和措置を観光客に広げることには慎重論も根強い。回転ずしチェーン、くら寿司の担当者も「国内の感染状況が落ち着かない中、外国人の入国規制を早く緩めてほしいとはいえない」という。
第一生命経済研究所の小池理人(まさと)主任エコノミストは「ビジネス客を入れても、感染が広がらないといった実績作りが今後は重要になる」と指摘。その上で観光客の受け入れ開始には「まだ数カ月はかかるのではないか」と話している。