ゴーン被告の「報酬隠し」認定は 元側近ケリー被告に3日判決

日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(67)の役員報酬約91億円を有価証券報告書に記載しなかったとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われた日産元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(65)に対し、東京地裁(下津健司裁判長)は3日、判決を言い渡す。ゴーン前会長がレバノンに逃亡して「主役不在」の中、側近とされるケリー元代表取締役は無罪を主張し、裁判は約1年半に及ぶ。2人の共謀が認められ、ゴーン前会長の不正が認定されるかが焦点となる。
起訴状によると、ケリー元代表取締役はゴーン前会長と共謀し、2010~17年度分のゴーン前会長の役員報酬が実際は計約170億円だったのに、有価証券報告書に計約78億円と虚偽の記載をし、計約91億円を記載しなかったとされる。検察側はケリー元代表取締役に懲役2年、起訴内容を認めた法人としての日産に罰金2億円を求刑した。
最大の争点は、記載しなかったとされる91億円がゴーン前会長の退任後に支払われる「未払い報酬」だったと言えるかどうかだ。
検察側は、ゴーン前会長が高額の役員報酬の開示を避ける方法を検討するよう、ケリー元代表取締役らに指示したと主張。ケリー元代表取締役らは、前会長が同業他社に移らないことへの対価などの名目で契約書を作り、年度ごとに支払額が決まっていた役員報酬を、退任後に受け取れるように仮装したとする。弁護側は、優秀な経営者である前会長をつなぎ留めるための正当な対価を検討したもので、虚偽記載に当たらないと反論している。
東京地検特捜部との「司法取引」に応じて不起訴となった元秘書室長らの証言の信用性も争われている。元秘書室長は「未払い報酬」の額などは前会長が決め、1円単位で後払いすることを記載した「合意文書」をケリー元代表取締役に相談した上で作成したなどと、検察側の主張に沿った証言をした。弁護側は「元秘書室長には自らの起訴を免れるためにうそを言う強い動機が存在し、信用できない」としている。
「未払い報酬」が認定されたとしても、刑事罰を科すほどの悪質性があったのかも争点となる。検察側は「報酬を偽り投資家の判断を誤らせた。刑事罰対象の『虚偽記載』だ」と主張するが、弁護側は「将来支払われる報酬の記載がないだけで、行政罰対象の『不記載』にとどまる」と反論している。【遠山和宏】