外国人も同じ人間 ウィシュマさん一周忌 真相を求め法要やデモ

名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で亡くなったスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の一周忌となる6日、ウィシュマさんを追悼する法要やデモが各地であり、改めて真相究明を求めた。
ウィシュマさんの遺骨が安置された愛知県愛西市の明通寺では法要があり、妹で三女のポールニマさん(27)や関係者ら約50人が参列。ポールニマさんは、ウィシュマさんの死亡が確認された午後3時25分に鎮魂の鐘をついた。シンハラ語と日本語で読経が行われる中、目を閉じて合掌し一心に祈り、遺影に花をささげ、冥福を祈った。
遺族代理人の指宿昭一弁護士が「姉がまだそこにいるようだ。死亡から1年たったが、まだ真相は明らかになっていない。入管は責任を逃れている。再発を防止してほしい」との、妹で次女のワユミさん(29)のメッセージを代読。遺影を前に、遺族が国に損害賠償を求めて4日に名古屋地裁に提訴したことを報告した。「この裁判は、真相を究明し責任の所在を明らかにすることが目的だ。それを通じて入管を変え、こうした問題を二度と起こさないようにすることをウィシュマさんの魂に誓いたい」と訴えた。
法要では、生前のウィシュマさんと面会し手紙も交換するなど親交があった愛知県津島市のシンガー・ソングライターの真野明美さん(68)が「Wishma(ウィシュマ)のねがい KARIHOMEN(仮放免)」と題した歌を披露した。歌詞はウィシュマさんの手紙から採ったもので、「人間に生まれてよかった 許すこと、助けることができるから」といった生前の思いを伝えた。真野さんはあいさつで「なんとかウィシュマさんを助けることができなかったか、今でも悔やまれる」などと話した。
デモは、外国人問題などに取り組む市民団体などでつくる「入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合」が主催。東京、大阪、仙台、名古屋、京都、高知、札幌、浜松の8都市で行われた。
東京では、東京出入国在留管理局(東京都港区)の前に学生や市民ら約300人が集まり、午後3時25分に黙とうをささげた。参加者は「長期収容をやめろ」「難民認定を国際基準に」などと書かれたプラカードを手に、東京入管の周りを歩いた。
デモに参加した久保奈尾美さん(49)はパートナーがスリランカ人で、留学していた学校が閉鎖されたため非正規滞在になったという。「彼も入管に収容されていたことがあり、ひとごとではない。外国人も同じ人間です。処遇を改善してほしい」と訴えた。デモを主催した団体のメンバーでもある上智大2年、加納茜さん(20)は「政治家や入管庁には、行政が運営する施設で人が亡くなったことの重みをきちんと受け止め、うわべだけでない抜本的な改革を求めたい」と述べた。
大学生でつくる難民支援サークルIRIS(アイリス)は6日、入管問題をアニメーションで分かりやすく伝える動画を作成し、オンライン上にアップした。共同代表を務める宮島ヨハナさん(19)は「入管で起きている実態を知れば、だれもが社会を変えようと声を上げるはず。多くの人に見てほしい」と話した。
ウィシュマさんは日本語を学ぼうと2017年6月に来日。スリランカ人男性と同居するようになり学校に通わなくなって除籍され、その後在留資格を喪失。20年8月から名古屋入管に収容中、健康上の理由などで収容を解く「仮放免」を2度申請したが拒否された。元同居者によるドメスティックバイオレンスの被害も訴えていた。21年1月中旬ごろから体調悪化が深刻化し、入院治療なども求めたが実現せず、同年3月6日に救急搬送先の病院で死亡が確認された。【和田浩明、上東麻子/デジタル報道センター】