神戸児童殺傷事件の元判事・井垣康弘さん死去 決定全文を月刊誌に提供

平成9年に起きた神戸市須磨区の連続児童殺傷事件で、当時14歳だった加害男性の少年審判を担当した元神戸家裁判事で弁護士の井垣康弘さんが、急性虚血性心疾患のため死去していたことが8日、分かった。82歳。死去は2月26日で、告別式は近親者で済ませた。喪主は長男、憲一郎氏。
昭和42年に任官。神戸家裁で連続児童殺傷事件の審判を裁判長として担当し、加害男性の医療少年院送致を決めた。その際、約5千字の決定要旨を公表する異例の措置をとった。
平成17年に退官後は弁護士として活動。27年には連続児童殺傷事件の神戸家裁決定全文を月刊「文芸春秋」に提供、公開された。
非公開の少年審判で言い渡され、成育歴なども詳細に記された決定文の公開は議論を呼び、「守秘義務に反した」として所属する大阪弁護士会から業務停止3カ月の懲戒処分を受けた。事件から20年となった平成29年には本紙の取材に対して同事件の背景を知る重要性を強調、「社会の不安を軽減するためには、矯正教育の過程も含め、情報を提供していくべきだ」と訴えていた。