埼玉県本庄市で自宅の床下に5歳男児の遺体を埋めたとして母親の柿本知香容疑者(30)ら3人が逮捕された事件で、男児が通っていた市内の保育園が取材に応じた。園によると、無職の丹羽洋樹容疑者(34)らと同居し始めた2021年1月ごろから度々、保育園を欠席するようになった。体のあざなど暴行をうかがわせる痕跡は見受けられなかったが、園は心理的虐待を疑ったという。
事件は3月2日、市が「母子家庭の子どもの安否確認ができない」と県警に通報したことをきっかけに発覚。柿本、丹羽、石井陽子(54)の3容疑者が5日、死体遺棄容疑で逮捕された。
園によると、男児は17年4月から通園。明るく活発で、友達と仲良く遊んでいたという。園の担当者は柿本容疑者について、「仕事も子育ても熱心で、虐待をしている様子は全くなかった」と振り返る。
柿本容疑者と男児は21年1月ごろ、内縁関係にある丹羽、石井両容疑者が暮らす一軒家で同居を開始。園によると、柿本容疑者は「一緒に住んでいる人に迷惑がかかる」と園に住所を教えることを拒んだという。男児はこの頃から欠席日数が増え、1週間続けて休むこともあった。柿本容疑者は「新型コロナの感染が怖い」「面倒を見てくれる人が家にいる」などと説明していたという。
21年9月、市内の飲食店から「男児が正座し、男性から強く説教を受けている。食事も与えられていない。店に来る度に怒られている」との通報が市に寄せられた。市は母親や保育園への聞き取りから「母子関係は良好で、虐待の兆候はなかった」と判断した。
一方で、園は男児の様子に違和感を覚え「心の虐待はあるかもしれないと市に相談した」と説明。住所の特定や男児の保護などを市に求めたという。園の担当者は「住所や家庭環境を調べるなど、踏み込んだ対応をしてほしかった」と話した。
市子育て支援課は「保育園から『心配なお子さんがいる』という相談はあったが、心理的な虐待が疑われるという内容ではなかった」とコメント。また、「保育園の言い分を否定するつもりはないが、記録を見る限り、住所の特定などの対応を求められたことはない」としている。
男児は22年1月12日が最後の登園で、普段と変わらず元気な様子だったという。保育士は「あんなに元気だった子が亡くなったことが信じられない。守ってあげられなかったことが悔しくてたまりません」と肩を落とした。【成澤隼人】