胎児・小児期にメチル水銀の被害を受けたとして、熊本、鹿児島両県の水俣病未認定患者8人が、国と熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(戸倉三郎裁判長)は8日付で原告側の上告を棄却する決定を出した。原告を水俣病患者と認めず敗訴とした2020年3月の2審・福岡高裁判決が確定した。
裁判官5人全員一致の判断。小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べた。
原告は、水俣病の公式確認(1956年)の前後に生まれた62~69歳の男女8人で、未認定患者でつくる「水俣病被害者互助会」の会員。確認初期の重症患者の子世代に当たる。激しいけいれんなどの症状があった親世代と異なり、8人は手足のしびれなどの慢性的な感覚障害を訴えた。水銀被害があったとされる時期から発症まで20年以上経過した人もおり、高濃度の汚染被害の有無や感覚障害との因果関係などが争点となった。
14年3月の熊本地裁判決は、発症までの潜伏期間が相当長期に及ぶ「遅発性水俣病」の可能性に言及し、8人中3人を患者と認定して計約1億1000万円の賠償を命じた。残る5人は汚染魚を多食したなど高濃度の水銀被害を受けたとはいえないとし、請求を棄却した。
これに対し2審は、現在の医学的知見を踏まえれば、汚染被害から発症までの潜伏期間は数カ月~4年程度だと指摘。1審が患者と認定した3人は「他の疾患が原因の可能性がある」などと判断し、原告側を全面敗訴とした。【近松仁太郎】