青森県弘前市の中土手町商店街にある「弘前中央食品市場」が今月末をもって50年の歴史に幕を閉じる。かつて精肉店や八百屋などたくさんの店が並び、往時は市民の「台所」としてにぎわったが利用者の商店街離れなどで20年前ごろからテナントも減っていった。いまでは4店舗を残すのみだが、常連客からは「もっとたくさん来たかった」などと惜しむ声も上がっている。【丘絢太】
市場の建物に入ると、大学いもの甘い香りや、焼き鳥のタレの匂いが漂い、親子連れなどが店に並んでいた。ただ、ほとんどが空き店舗で中はガランとし、壁の塗装がはがれたり、床の一部がさびついたりしている。父親の代から約45年間この場所で営業を続ける大学いも店の店主、山田修次さん(49)は「昔は土日はお客さんであふれ、平日も学生でにぎわっていた」と振り返る。
市場は1972年3月に開設され、当時は30以上の店舗があった。しかし、2000年ごろから、郊外に大型のスーパーやデパートなどが増えたことにより利用者が減少し、テナントも減っていったという。10年前には9店舗となり、その後さらに約半数の店舗が撤退した。
管理運営を担う弘前中央食品協同組合の熊谷孝志理事長は、「資金面でもこの先市場を運営していくのは厳しかった」と苦渋の決断について語る。市場の土地は来年度以降、売りに出される見通しという。
古くなった建物内を奥に進むと空き店舗の並ぶ向こうに約40年続く鮮魚店があり、店主の藤本久さん(55)が「小さいころはよくここで遊んだり、父の手伝いをしたりした思い出が詰まった場所です」と教えてくれた。店を訪れた市内に住む松島明さん(72)は、「ここの刺し身が好きで月に1~2回ほど通っていた。残念な気持ちでいっぱいです」と惜しんだ。