大量のイワシ、沿岸20kmに漂着…拾い集める主婦「臭い始めているのでキレイに」

青森県横浜町の陸奥湾沿岸で、約20キロ・メートルにわたって大量のイワシが打ち上げられた。放置すると悪臭の原因になるため、町民や町職員らが回収作業に追われている。陸奥湾では、2018年にもむつ市から野辺地町の沿岸約50キロでイワシの大量漂着があり、専門家は海水温の低下が原因とみている。
町によると、イワシの漂着は2月中旬から始まった。現在まで町の海岸全域で確認され、漂着量は18年の半分程度とみられる。町は、気温の上昇とともに腐敗が進むのを避けるため、民家に近い計約1・7キロの範囲でイワシを回収することを決めた。
18年には町内外のボランティアが応援に駆けつけ、約20トンのイワシを回収した。今回は新型コロナウイルス対策のため、作業を行う海岸の近隣住民に限って参加を呼びかけた。
7、8日は計約160人が協力し、町職員らとともにイワシを拾い集めた。8日に作業した主婦(66)は「海藻が絡まったりしていて大変だが、臭い始めているので何とかきれいにしたい」と汗をぬぐった。回収したイワシは六ヶ所村の廃棄物処理場で焼却処分する。
町では連日、町職員20人前後が終日作業を続けている。14、15日もボランティアに協力してもらい、回収が終わるのは17日頃になる見込み。18年は、重機の手配やイワシの運搬で600万円以上の経費がかかったといい、町の担当者は「今回も急な出費となり、痛手だ」と嘆く。
漂着の原因について、県産業技術センター水産総合研究所の野呂恭成・総括主幹研究専門員は「いずれも急激な水温低下でイワシが仮死状態になり、西風によって打ち上げられた可能性がある」と指摘した。
また、18年の大量漂着後は、陸奥湾でトゲクリガニの漁獲量が急増したといい、野呂氏は、死んだイワシがカニのエサになったと推測する。野呂氏は「今回の大量死も、陸奥湾の他の生物に影響を与える可能性がある」としている。