神奈川県警が扱った変死体の搬送を巡る贈収賄事件で、受託収賄罪に問われた元大和署警部補の加藤聖被告(49)に対し、横浜地裁は15日、懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金195万5000円(求刑・懲役2年6月、追徴金195万5000円)を言い渡した。青沼潔裁判官は「警察官の職務の公正に対する社会の信頼が相当程度害された」と非難した。
判決によると、加藤被告は大和署刑事1課に所属していた2019年3月~20年1月ごろ、変死体を搬送する際、元宮前署警部補の河合博貴元被告(65)の妻恵子元被告(60)=ともに贈賄罪で執行猶予判決が確定=が実質的に経営する葬儀会社「林間葬祭」を遺族に優先的に紹介するよう河合被告らに依頼され、謝礼として現金127万円と約68万円の商品券を受け取った。金品のやり取りの後、林間葬祭の受注件数は数倍に増えた。
事件を巡っては、県警と葬儀会社との間に商品券を渡すなどの慣習が長年続いていたことが明らかとなり、2月15日の初公判では加藤被告が「県内の54署全てでやっていると思う」と発言した。判決は「慣習が存在したとしても、犯行はそれとは性質がかなり異なる」として、刑事責任の軽減理由にはならないと指摘した。
加藤被告は21年10月に県警に逮捕され、同年11月に懲戒免職処分となった。【池田直】