東大寺長老・狹川宗玄さん死去、101歳 大仏殿昭和大修理に尽力

奈良市の世界遺産・東大寺の元別当で、同寺の僧で最年長だった狹川宗玄(さがわ・そうげん)さんが7日、心不全のため亡くなった。101歳。密葬は関係者で営んだ。喪主は現別当の長男普文(ふもん)さん。故人の遺志により、本山葬はしない。
1920年、東大寺元別当・狹川明俊さんの長男として生まれる。42年、大正大学仏教学科卒。80年に落慶法要が営まれた大仏殿昭和大修理の際は、執事長として勧進のために走り回った。
87年に第211世別当(住職)に就任し、3年間務めた。その後は長老として講演や後輩僧の指導に活躍。同寺の最年長ながらも積極的に行事に出席するなど存在感を示した。
たいまつの炎で知られる二月堂のお水取り(修二会)には18回参籠(さんろう)。戦火が激しさを増した44年には、行中に召集令状が届き、行の半分を済ませて出征した。後に、「死を覚悟し、下堂から出征までの間に二月堂に声明(しょうみょう)を聴きに行った。しみ込むように体に入り、今でも耳の奥で響いている」と振り返っていた。
俳句好きでも知られ、「青史(せいし)」の俳号で句集「東大寺」を出版した。