「既存の国際機関が機能しないので、新しいツールを作らなければ」…ウクライナ大統領国会演説要旨

23日に行われたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領による国会演説の要旨は次の通り(在日ウクライナ大使館の同時通訳に基づく)。

本日は、ウクライナ大統領として史上初めて、直接皆様に話ができることを光栄に思う。両国間は8193キロ・メートルの距離があるが、自由を感じる気持ち、生きる意欲には差がない。(ロシアが侵攻を始めた)2月24日に実感した。日本がすぐ援助の手を差し伸べてくれた。心から感謝している。
チェルノブイリ原子力発電所で1986年に大きな事故があった。周囲30キロ・メートルはいまだに危険だが、原発は(ロシアの)支配下に置かれた。核物質の処理場をロシアが戦場に変えた。閉鎖された区域をウクライナへの攻撃準備のために使っている。ウクライナでの戦争が終わってから、環境被害の調査に何年もかかるだろう。ウクライナには現役の原発が4か所ある。全て非常に危険な状況だ。既にヨーロッパ最大のザポリージャ原発が攻撃を受けた。
公共施設が被害を受け、環境に対するリスクになっている。先日、スムイの化学工場でアンモニア漏れが発生した。サリンなどの化学兵器を使った攻撃もロシアが今、準備しているという報告を受けている。核兵器を使用された場合の世界の反応はどうなるか。今、世界中の話題になっている。
ウクライナは28日間にわたり、大規模な攻撃に対し国を守っている。1000発超のミサイルで数十の街が破壊されている。家族や隣人が殺され、彼らをきちんと葬ることさえできない。数千人が殺され、そのうち121人は子どもだ。多くのウクライナ人が住み慣れた家を出て避難している。国際機関も国連安全保障理事会も機能しなかった。改革が必要だ。
侵略者に対し非常に強い注意をしなければならない。平和を壊してはいけないという強いメッセージが必要だ。責任のある国家が一緒に平和を守るために努力しなければならない。
アジアで初めてロシアに対する圧力をかけ始めたのが日本だ。制裁の継続をお願いする。ウクライナへの侵略の津波を止めるため、ロシアとの貿易を禁止しなければならない。
ウクライナでは地域の復興も考えなければならない。避難した人たちが、ふるさとに戻れるようにしなければならない。日本の皆さんもきっと、そういう気持ちが分かると思う。
また、既存の国際機関が機能しないので、(侵略を止める)新しいツールを作らなければいけない。日本のリーダーシップが、ツール開発のために大きな役割を果たせると思う。
日本は、調和を作り、維持する能力が素晴らしい。ウクライナ人は日本の文化が大好きだ。2019年、私の妻が、目がよく見えない子どものためのプロジェクトに参加し、日本の昔話をウクライナ語で(本を耳で聴く)「オーディオブック」にした。日本の文化は非常に興味深い。
(日本とウクライナは)距離があっても価値観がとても共通している。ということは、もう距離はないことになる。心が同じように温かい。ロシアへのさらなる圧力によって平和を取り戻すことが出来る。アリガトウゴザイマス。ウクライナに栄光あれ。日本に栄光あれ。