「甘い判決、飲酒事故防げず残念」 東名の遺族夫妻、八街公判見守り

千葉県八街市で2021年6月、下校中の児童が飲酒運転の大型トラックにはねられて2人が死亡し、3人が負傷した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)に問われた元運転手の梅沢洋被告(61)に対し、千葉地裁は25日、懲役14年(求刑・同15年)の実刑判決を言い渡した。金子大作裁判長は「事故に遭った児童らの恐怖は計り知れず、生じた結果は非常に重大だ。飲酒運転の危険性を顧みない被告の態度は最悪のもので強い非難に値する」と述べた。
この日の判決は1999年に東京都世田谷区の東名高速で飲酒運転のトラックに追突されて幼い娘2人を亡くした井上保孝さん(72)と郁美さん(53)夫妻=東京都三鷹市=も傍聴した。夫妻は被害者や遺族の心情をおもんばかりながら、懲役14年とした判決について「きっぱりと(求刑と同じ)15年の判決を言い渡してほしかった。甘い判決だ」と厳しい目を向けた。
井上さんの事故では焼酎とウイスキーを飲んでいた元運転手が業務上過失致死罪に問われ、懲役4年の実刑が確定した。夫妻は悪質運転の厳罰化を求める活動を展開し、危険運転致死傷罪ができるきっかけを作った。現在も活動を続けており、遺族らとは直接面会していないものの、八街市の事故現場も訪れている。
これまでの公判も傍聴し、梅沢被告の反省を「不十分だ」と感じてきた。被告は被害者に対して「ごめんなさい」とたびたび口にしたが、被害者の年齢を聞かれると「はっきり覚えていない」と返していた。こうした点から、夫妻は「償いは被害者の子たち一人一人を知ることからまず始まる。例えばそれぞれの誕生日を知り、その日を迎えるのが家族にとってどれだけつらい思いをすることか想像し、考える必要がある」と強調する。
郁美さんは事故があった23年前と現在の社会状況の変化も感じたという。「取引先の関係者から酒臭いとの指摘があり、被告は上司からも注意を受けていた。私たちの事故があった当時と比べると社会の飲酒運転に対するまなざしが厳しくなっている表れだと思う」。しかし、周囲からの警告は生かされなかった。夫妻は「事故を防げなかったことが残念でならない」とうつむいた。【山本佳孝】