全国のソメイヨシノの源流は、東京都台東区の上野公園内の一角に並ぶ4本である可能性が高いとの研究成果を、かずさDNA研究所(千葉県木更津市)などの研究チームが今月、日本育種学会(オンライン開催)で発表した。
ソメイヨシノは種子では増えず、接ぎ木や挿し木で増やす。全国の木はクローンで、わずかな変異を除けばゲノム(全遺伝情報)は共通だ。気象条件などが同じ場所のソメイヨシノが一斉に開花して、一斉に散るのはこのためだ。
誕生の詳しい経緯はわかっていない。野生種の自然交雑で生まれたとの説や、江戸時代に染井村(現在の東京都豊島区)の植木職人が交配でつくったという説などがある。
最初の1本となった原木の所在も不明だが、千葉大の研究者らは2015年、上野公園のソメイヨシノの遺伝子を解析し、園内の中心地付近の角地に並ぶ4本のうちの1本が、原木候補だと報告していた。
白沢健太・同研究所主任研究員(植物遺伝育種学)らのチームは今回、上野公園の4本を含め、青森県から宮崎県まで全国19都府県の計46本のソメイヨシノについて、ゲノムのわずかな変異を調べて比較した。
その結果、46本は六つのグループに分けられ、上野公園の4本はそれぞれ別のグループに入ることがわかった。異なるグループの4本が偶然、上野公園に並べて植えられたとは考えにくく、4本から各グループの木が育ち、全国に広がったと推定されるという。
15年に原木候補を報告し、今回のチームには加わっていない中村郁郎・千葉大教授(植物遺伝学)は「詳細なゲノム解析によって、私たちの報告内容の一部が補強された。調査対象の木の樹齢などを調べることで、原木を突き止められれば、さらに興味深い」と話している。