旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして、東京都の北三郎さん(78)=活動名=が国に3000万円の賠償を求めた訴訟で、国は24日、1500万円の賠償を命じた東京高裁判決を不服とし、最高裁へ上告した。
松野博一官房長官は記者会見で、議員立法で成立した救済法で支給している一時金320万円について、与野党と協議したうえで増額を含めて見直す考えを示した。
11日の東京高裁判決では、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、国に1500万円の賠償を命じた。旧法は違憲と指摘し、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」について「著しく正義・公平の理念に反する」と適用を認めなかった。
ただ、最高裁が過去に除斥期間の適用を認めなかった訴訟は2例だけで、B型肝炎など被害者が救済を求める訴訟でも適用されており、松野氏は「本件事案にとどまらない法律上の重大な問題を含んでいる」として、上告理由を説明した。
同種訴訟では、国の賠償責任を初めて認めた2月の大阪高裁判決に続く国の上告となった。大阪高裁判決では国に最高で1300万円の賠償金の支払いを命じており、松野氏は「一時金の水準を含む今後の対応のあり方について、国会と相談し、対応を検討したい」と述べた。
国の上告を受け、24日に記者会見した北さんは「国に上告をしないように活動してきたが、向き合ってもらえなかった。弱い立場の人をどこまでいじめるのか。元の体を返してほしい。それができないなら上告を取り下げてもらいたい」と憤った。【小鍜冶孝志、遠山和宏】