《元患者も告発》傷害・覚せい剤で逮捕の“黒コートの精神科医”の驚くべき“前科”「劇薬リタリンを102万錠処方で社会問題」「薬物依存の末に患者が死亡」

「女の妄想だ」
東京都新宿区歌舞伎町の精神科『東京クリニック』の院長、伊沢純容疑者(51)は、警察の取り調べに対し、こう言い放った。
3月28日、警視庁新宿署は伊沢容疑者を傷害容疑で逮捕した。伊沢容疑者は同居していた20代女性の左足を殴る蹴るなどの暴行を加えた疑いが持たれており、被害者はクリニックの元患者。現在は容疑を冒頭のように否認している。
「今回の逮捕は再逮捕です。最初の逮捕は、2月26日の夜、歌舞伎町のマンションの警備員が『同居中の彼氏に殴られた人がいる』と通報したことがきっかけでした。捜査員が駆けつけると、伊沢容疑者の自宅から、覚せい剤0.28グラムが見つかった。
伊沢容疑者は『自分のものではない』と供述しましたが、現行犯逮捕されました。親子ほども年の離れた20代の被害女性は、伊沢容疑者のクリニックに通う患者でしたが、『睡眠薬をあげる』などと言われて同居していたといいます」(全国紙社会部記者)
「また伊沢か」問題続きの“悪徳医師”
実は、伊沢容疑者は過去にもさまざまな問題を起こしてきた。
「また伊沢か、という思いです。彼は昔から、薬物についてのモラルがなく、患者の女性に手を出していた」
こう話すのは伊沢を知るある医療関係者だ。
「診察室で女性患者を殴って、傷害罪で有罪が確定し、2007年には医業停止2年の行政処分を受けていました。業務停止処分中に、伊沢のクリニックがリタリンという強い向精神薬をとんでもない量処方していたことが大きな社会問題になったんです。このリタリンは合法覚せい剤と呼ばれるほど作用が強く、即効性がある。患者にしてみればすごく効いているように感じ、薬物依存に繋がりやすいんです」
当時、リタリンはADHDや難治性うつ、ナルコレプシーの症状に悩む患者にとって欠かせない薬のひとつだった。しかし2008年1月1日以降にはリタリンを処方する医師や医療機関は登録制となり、ナルコレプシー患者に限って処方されることになった。
“合法覚せい剤”を瞬間診察で102万錠処方
「そんなリスクの大きい薬を、伊沢はほとんど診察もしないで、患者が求める量をそのまま処方していた。歌舞伎町という立地の良さから、伊沢は一人で1日300人もの患者を診るほどの繁盛ぶりで、リタラー(リタリンの依存者)からは熱烈に支持されていました。伊沢のクリニックは、診察せずに宅配便で送るなどして、1年間に約102万錠を処方していたといいます。
行政の指導も無視し続け、ついには刑事事件にまで発展。無資格のスタッフが薬を処方していたという医師法違反の罪に問われ、この件でも最高裁で有罪が確定。その後、2014年10月に医業停止の処分を受けています」(同前)
薬物処方に関する問題に加えて、女性患者をめぐるトラブルもつきものだった。
「リタリン問題で騒動になった後、2008年11月には元患者で交際していたとみられる女性に対するストーカー規制法違反と脅迫の疑いでも逮捕されています。女性の自宅で待ち伏せることもあった。電話などで復縁をしつこくせまり、心の病を抱えた女性に『お前を破滅させてやる』とまで言ったようです」(同前)
医師の倫理観ムシの「向精神薬ランキング」
こうした問題で世間の注目を集めた伊沢容疑者だが、2015年以降、再び歌舞伎町で東京クリニックを開業していた。薬物依存の問題に取り組むある女性も、伊沢容疑者についてかねてから知っていたという。
「これほど問題を起こすのに、なぜ医師としてまたクリニックを開けるのか疑問でした。伊沢のクリニックには最近でも、夜の歌舞伎町に集う女の子たちがたくさん通っていましたよ。ウェブサイトには、向不安薬ランキングトップ10なんてのも書いていて、医師として倫理的にどうなのかな、と訝しんでみていました。グーグルの口コミにも、アンチコメントには仕返しとばかりに、その患者の症状や職業などを平気で記載していますし……。
昔から問題続きで、今回は覚せい剤まで出たので、さすがに歌舞伎町からいなくなるとは思いますが、これまで伊沢を頼っていた患者たちが今後、どうなるかが心配です」
さらに「文春オンライン」取材班は、伊沢容疑者のクリニックで直接薬を処方されていた男性から話を聞くことができた。
「初めて伊沢先生のクリニックを訪れたのは2003年頃のことでした。当時、私は流行していた危険ドラッグにハマってしまい、鬱状態になっていた。そこで『薬ミシュラン』という本で『リタリンが最強』と知り、興味を持った。しかしかかりつけ医に処方してほしいと言っても『リタリンは絶対にダメだ』と処方してもらえなかったんです。
そこで2ちゃんねるで調べると、『歌舞伎町の東京クリニックが出してくれる』と書かれていたんです。伊沢医師の診察を受けて、欲しい薬を書いたメモ帳を見せました。『前の精神科でもらっていた薬です』と嘘をついてリタリン●●錠などと書きました」
リタリンは前述したようにリスクの大きい薬だ。この男性は、当然、伊沢容疑者から申告の真偽を確認されるだろうと身構えた。
東京クリニックの女性患者が「薬物依存の末に亡くなった」
「でも1分もない診察で『分かりました』と処方してくれたんです。病院内では伊沢医師も『リタリンをやっている』と言われていましたが、事実かはわかりません。歌舞伎町という土地柄か、客もスタッフもきれいな女性が多いなとは思いました。伊沢医師は黒いロングコートなどを着ていて、医者っぽくはなかったですね」
この男性はその後に覚せい剤を使用し逮捕されたが、それまでの2年間は東京クリニックに定期的に通っていたという。男性の“薬物依存仲間”も伊沢容疑者の元に通っていた。
「私の友人の20代前半の女性は、ベゲタミンAという現在では販売中止となっている強い向精神薬を東京クリニックで処方してもらって依存していました。女性の薬物依存は悪化し、覚せい剤にも手を出すようになり、オーバードーズの末にマンガ喫茶で亡くなってしまいました。安易に強い薬に手を出していた私たち患者の自業自得ではあります。でも、危ない薬をどんどん処方する伊沢医師はどのような気持ちで処方していたのか……」
日本一の歓楽街・歌舞伎町で、問題を起こし続けていた精神科医の伊沢容疑者。事件の真相の究明が待たれる。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))