30日に開かれた富士山火山防災対策協議会の会合で、富士山噴火の際の避難計画で徒歩避難も検討するとの中間報告が示された。「逃げ遅れゼロ」を目指し、車による避難が集中することによる交通渋滞を避けるのが目的だが、地域防災計画の早期改定を迫られる自治体の中からは困惑の声も聞かれる。【山本悟】
協議会は、長崎幸太郎山梨県知事が議長となり、神奈川、静岡両県知事や国や自治体など150の関係機関がオンラインで参加。噴火口が判明し、溶岩流が流れる方向が予測できる噴火後の一般住民について、安全が確保される近場まで原則徒歩避難とする方針が示された。交通渋滞の緩和のほか、農業や畜産業など生産者が近くにとどまることで、地域経済の停滞を極力抑える狙いもある。
会合で検討委委員長の藤井敏嗣・山梨県富士山科学研究所長(東京大名誉教授)は「(徒歩による避難は)生命の安全を確保し、暮らしを守る避難である」と強調。「最終報告書を待たずに、関係市町村は避難態勢の再検討を始めてほしい」と地域防災計画の策定作業の早期着手を促した。
徒歩避難について、富士吉田市の防災担当者は「逃げ遅れをなくす手段として徒歩避難の検討も理解できる」と評価するが、「この地域は車社会で住民にとっては車は生活の支え。車での避難がすり込まれており、住民に徒歩避難を促すのは難しい課題だ」と戸惑いを見せる。
避難する道路が使えなくなることを懸念するのは、富士河口湖町の防災担当者。「火口が特定され避難の方向は分かっても、交通渋滞や事故などで徒歩でも道路が使えない状況も考えられる。そこが徒歩避難の課題だ」と話し、富士山の東側で観光地の山中湖村の担当職員も「西風による降灰が一番の懸念材料で、避難する道が使えなくなることが心配だ」と懸念する。