福島県沖を震源とする3月16日の地震の影響で一部区間が不通となっていたJR東日本の山形新幹線「つばさ」が2日、山形県と東京駅間で直通運転を再開した。春休みなどで全国的に人流が回復してきた中での地震で、予約のキャンセルが相次いだ観光地からは、旅行客が戻ってくると期待する声が上がっている。
2日午前11時過ぎ、東京発の「つばさ253号」が山形駅に到着すると、スーツケースや大きなカバンを持った旅行客らがホームに降り立ち、春休みのにぎわいが戻った。
横浜市から友人と蔵王温泉に遊びに来た、大学4年生(21)は「直通だと来るのが楽だった。残りの春休みを満喫したい」と笑顔を見せた。
山形新幹線は福島県沖地震の後、新庄―福島間の折り返し運転を余儀なくされ、東京から直接山形に来ることができなくなっていた。この日から直通運転が再開され、当面の間、1日12往復する。
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直通運転見合わせの影響が大きかったのが、県内有数の観光地・蔵王温泉(山形市)だ。東京都などで出ていた新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が3月21日に解除され、春休み中の学生や家族連れなどでにぎわうはずだったが、当てが外れた。
温泉街の旅館やホテルが加盟する蔵王温泉旅館組合の伊藤八右衛門組合長は「旅行客の約7割は首都圏からだ。3月末までで、温泉街全体で1万人以上のキャンセルが出たのではないか。コロナの影響からようやく立ち上がろうとしたのに、出ばなをくじかれた」とショックを受けた。自身が経営する旅館やホテルも、地震から1週間で約2400人のキャンセルが出たという。それだけに、山形新幹線の直通運転再開を「吉報だ」と喜ぶ。
温泉街に隣接するスキー場は大型連休までスキーを楽しめる。スキー場やロープウェーを運営する「蔵王観光開発」の鏡吉和・管理部副部長は「今季の『滑り納め』や、首都圏の大学生の旅行などで利用してほしい」と話す。
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旅行代金を割引する県の「やまがた春旅キャンペーン」も県内観光業を後押しする。
同キャンペーンは、4000円以上のプランで県内の旅館やホテルに宿泊した場合、旅行代金を最大で5000円割り引く。対象は、本県のほか、北海道、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、新潟県在住の宿泊者だ。
米沢市の小野川温泉旅館組合の斉藤孝夫組合長は「近隣の福島県からの宿泊客が多いので、県外にも対象が広がってありがたい」と話し、県旅館ホテル生活衛生同業組合の佐藤信幸理事長は「東北地方だけでなく、新潟県や北海道など広域での観光需要を高めるきっかけになってほしい」と力を込めた。