新型コロナウイルスの感染が再拡大の兆しを見せている。福岡など13県で「まん延防止等重点措置」が解除されて6日で1カ月となるが、3月下旬以降、各地で感染者数は増加に転じている。卒業・就職シーズンで人出が増えるなか、感染力が強いとされる変異株「オミクロン株」の派生型「BA・2」への置き換わりが進んでいることなどが影響しているとみられ、「第7波」の懸念もくすぶる。
4月最初の週末の2日、太宰府天満宮(福岡県太宰府市)は家族連れでにぎわった。同県久留米市の会社員、平木慶一さん(40)は「子供の春休みで出かけてみたが、思ったより人が多い」。参道で名物・梅ケ枝餅を販売する「甘木屋」の従業員、高田由美子さん(50)は「感染者の減少に合わせて人通りが増え始めた。コロナ前に近づいたのでは」と人波を見つめた。
ソフトバンク子会社「アグープ」のデータを基にした分析では、太宰府天満宮周辺の人出は重点措置解除前の1週間(2月28日~3月6日)に比べ、直近1週間(3月29日~4月4日)は約1割増加。各地の人出は増加傾向にある。
そんな中、福岡県の感染者数の1週間平均は3月24日の1日1692人を底に上昇に転じ、4日現在で2197人と29・8%増加。県は7日までを「感染再拡大防止対策期間」として注意を呼びかけるが、病床使用率が24・9%(4日現在)と落ち着いていることなどから期間延長はせず、6日の対策本部会議で今後の対応を検討する方針だ。
鹿児島県では3月22日までの1週間平均が1日307人だったが、3月30日までの1週間では1日565人に急増。塩田康一知事は「10、20代の感染が増えている。このまま第7波に突入してしまうのでは」と危機感をあらわにした。沖縄県も1日の感染者が約1カ月ぶりに1000人を超えた3月30日以降、1000人超の日が相次ぐ。
自治体はBA・2への置き換わりにも神経をとがらせる。1人が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」はオミクロン株の1・4倍という報告もある。国立感染症研究所は、5月第1週には感染者の9割を占めると推計する。
久留米大の溝口充志教授(免疫学)は「これまでと比べBA・2の広がりによって重症者が急増する可能性は低い」とみる一方、「高齢者にとって危険なウイルスであることは変わりない。感染が急拡大する可能性はあり、感染対策の手を緩めるべきではない」と呼びかける。【中里顕】