若者以上に深刻な「中年の親ガチャ」問題。両親の介護費用負担で破綻リスク増

名著『金持ち父さん 貧乏父さん』には「中流以下の人間はお金のために働く、お金持ちは自分のためにお金に働かせる」という一節がある。その違いは、現代日本において「資産格差」という形でハッキリ表れていた。同時代を生きた人同士でも貧富の格差が広がる現実を追った!

◆若者以上に深刻な「中年の親ガチャ」問題

資産格差を考えるうえでは、「親のカネ」は避けられない。

最近は子供が生まれてくる親や家庭を選べないという意味合いで“親ガチャ”という言葉が使われるが、「実は親ガチャが最も残酷な差を生んでしまうのは、50歳前後なんです」と話すのは、経済学者の飯田泰之氏だ。親の資産の有無で、40代以降の資産に大きな差が出てくる。

「親から子供に相続される目に見える部分では、金融資産以外に土地や住宅も大きいです。実際に住居用の不動産の場合、相続課税は330㎡以下であれば80%の減額で節税の優遇を受けられます。東京の都心部で一戸建てを所有している親のもとに生まれるかどうかで、生涯年収が1億円変わるとも言われているほどです」

◆介護費用を誰が負担するのか?

40代超からでは年収の上げ幅は狭く、資産を運用する時間も短い。さらに、親が資産を持たずもらえる年金も少なければ、今度は介護費用などの負担が出てくる。

「介護費用を両親がしっかり備えているか、子供が負担しないといけないかでも大きく変わってきます。低収入世帯だと、老後に向けての貯蓄までは手が回らないケースも多いでしょう。そんななか、仮に両親の介護が夫と嫁のダブルで乗っかってきたとしたら、家計も心身も破綻リスクが一気に高まってしまう。一度崩れてしまうと立て直すことが非常に難しく、そんな状況では金融資産を積みようがない」

◆最も差が生まれるのは「文化資本」

また、現金や不動産以外にも親から子供に受け継がれる資産がある。それが、基礎教養や学力など「文化資本」と呼ばれるものだ。人脈や親からの「お金の教え」などもこれに含まれるだろう。

「値段や形がない文化資本は、金融資産や不動産と違って相続時に課税されません。つまり、最も差が生まれる部分であり、目に見える資産以上に人生の分岐点になることが多い。

家庭で勉強する習慣をつけたり、お金を増やす知識を得るのも、家での体験がなければ子供には受け継がれません。僕は音痴なのですが、これも実家でまったく音楽に触れる機会がなかった影響が大きいと思っています。このように、今の中年層の格差は、さらに次世代の格差へと“プリント”されてしまうのです」

いくつになっても親は親。何でも親のせいとは思いたくないが、努力だけではどうしようもない格差があるのも事実なのだ。

【経済学者・飯田泰之氏】
明治大学政治経済学部准教授。専門はマクロ経済学、経済政策。内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。近著『日本史に学ぶマネーの論理』(PHP研究所)

取材・文/週刊SPA!編集部

―[お金の新基準]―