「新長田はオモロイ街や」鉄人28号がアピール続けて10周年 阪神大震災復興のシンボルに

阪神大震災(1995年)で壊滅的な被害を受けた神戸市長田区の若松公園に建設された「鉄人28号」のモニュメントが今月末、完成から10周年を迎える。構想からかかわるNPO法人「KOBE鉄人PROJECT」の事務局長、岡田誠司さん(60)は「鉄人は『新長田はオモロイ街や』とアピールし続ける、街になくてはならない存在だ」と語る。
直立時18メートルの想定で、総重量50トン。右手を空に突き上げてそびえ立つ鉄人28号の足もとには、同じポーズで写真を撮る外国人観光客や地元の子どもたちが集い、にぎやかな声が絶えない。「震災前の風情が失われた街の新しい『原風景』になった」。岡田さんは目を細める。
建設の構想が生まれたのは2006年1月。震災で若松公園のある新長田駅南地区は大半の家屋が焼失し、壊滅的な被害を受けた。再開発事業で商業ビルやマンションが次々に建てられたが、昼間人口は震災前に届かず、小売業も衰退。地元でさまざまなイベントを手がけても決め手に欠け、半ば「最後の手段で出てきた」(岡田さん)という。
漫画家の故・横山光輝さんは隣の須磨区出身。代表作「鉄人28号」は、戦後日本で巨大ロボットが活躍する物語だ。戦災から立ち上がったヒーローを震災復興のシンボルにできないか――。商店主らでNPO法人を設立し、取り組みを進めた。
壁は、総額1億3500万円の建設費集めだった。市から4500万円の補助を受け、9000万円は国の補助金を見込んだが、許可が下りなかった。2年かけて地元企業の協賛金や個人からの寄付を募り、工面した。

完成から10年。市による再開発事業は終わらず、にぎわい回復も途上だが、「鉄人広場」と名付けられたモニュメント周辺では、ビアガーデンやダンスフェスティバル、歌謡ショーと年間20~30のイベントが開かれる。今夏、近くには兵庫県と市の新長田合同庁舎も完成した。
モニュメントにも建築物としての“寿命”がある。年に1度はボルトを締め直し、16年には塗り替えもした。維持費の確保が課題だ。だが岡田さんは言う。「復興過程の暗い面ばかりが注目されがちな新長田で、こいつだけが明るいニュースを運んでくれた。みんなに愛され、街に元気を与え続けてほしい」

10周年記念セレモニーが28日午後1時から鉄人広場で開かれるほか、同日から来月25日まで「東急プラザ新長田」でモニュメントの歩みを写真などで振り返る展覧会がある。問い合わせは同法人(078・646・3028)。【反橋希美】