懲役14年の実刑確定「かなり重い刑」と専門家 千葉・八街児童死傷事故

昨年6月に千葉県八街市で発生した児童5人死傷事故で、飲酒運転による事故を起こし、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪に問われた元運転手、梅沢洋被告(61)に対し千葉地裁が言い渡した懲役14年(求刑懲役15年)の実刑判決が9日付で確定した。11日、地裁が明らかにした。検察側と被告側の双方が控訴しなかった。
被告は飲酒により、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」を認識していた場合に適用される同法3条の危険運転致死傷罪に問われた。同法3条の法定刑の上限は懲役15年。被害者家族も希望していた。
元横浜地検交通部長の鈴木敏彦弁護士によると、上限刑は被害者の数が非常に多い場合など「最悪といえる事故」を想定している。今回の5人死傷は「最悪」とまではいえないという。そのため、「確定した懲役14年判決はかなり重いという印象を受ける」と話す。
別の法曹関係者も「15年は見たことがない。14年も異例だ」と重い刑であることを指摘したが、「被害児童の家族としては、求刑通りに懲役15年の判決が出ていたとしても軽い判決だと感じると思う」と、井上郁美さん(53)は話す。
井上さんは平成11年に東名高速で、飲酒運転のトラックに追突され、幼い娘2人を亡くした。業務上過失致死傷などの罪に問われた運転手の男には懲役5年が求刑されたが、判決は「懲役4年」で確定した。
井上さんは「求刑通りの上限刑の判決だったら納得できたかもしれないが、1年短い判決は、裁判所が懲役14年が妥当だと判断したということ。その差はとても大きい」と、被害者家族の胸中を推し量った。