「本物を安心して食べて」 熊本のアサリ漁再開、漁師ら笑顔

輸入アサリが「熊本県産」と偽装されていた問題を受けて出荷を停止していた熊本県の漁業者らが12日、約2カ月ぶりにアサリ漁を再開した。14日にも県内販売が始まる。県はこの間、生産履歴が分かる独自のトレーサビリティー制度を構築。取引記録の保存などを義務づけた県条例も制定する方針で、産地偽装の根絶と天然アサリの資源回復を目指す。
熊本市南区の川口漁協ではこの日朝、17人の組合員が10隻の船に乗り、緑川河口付近から沖合約3キロにある有明海の漁場に到着。腰付近まで水につかりながら、金属製のかごがついた道具で天然アサリを取った。身は大ぶりなものが多かったが、水揚げは想定より少ない264キロだった。
出漁した男性漁師(74)は「この2カ月、漁が止まって大変だった。偽装対策をきっちりしてもらえば張り合いも出る」と笑顔。県漁連の藤森隆美会長(71)は「やっと地場産のアサリを出せてうれしい。漁業者が偽装をしていたわけではないので、本物の熊本県産を安心して食べてほしい」と話した。アサリ漁は同県荒尾市や宇土市の漁協でも順次再開される。
熊本県産のアサリは今後、県漁連が認定した加工場で砂抜きや選別が行われ、産地証明などを記録したQRコードを付けて出荷される。県独自のトレーサビリティー制度は4月中旬~5月に試験導入し、課題を洗い出した上で6月の本格運用を目指す。県条例案は6月議会に提案され、9月の全面施行を目指している。【城島勇人】