在日米軍、基地ごとの感染者公表へ 外務省要請受け、方針転換

新型コロナウイルスの新規感染者数について、在日米軍司令部が基地ごとの公表を中止するといったん表明したものの、外務省側からの要請を受けて方針転換し、公表を決めたことが19日、同省への取材で判明した。近く新規感染者数の公表を始めるという。
在日米軍司令部は、基地ごとに1週間平均の新規感染者数を明らかにしてきたが、8日にホームページ(HP)で「ワクチン接種率が98%に達した」ことなどを理由に公表をやめると発表。さらに、感染者を独自に発表してきた米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)や米陸軍キャンプ座間(相模原市、同県座間市)も新規感染者の公表を停止した。
神奈川県などは感染状況が見えにくくなるとして外務省に懸念を伝えていた。
外務省によると、同省の担当者が在日米軍司令部と協議したところ、司令部から方針を撤回するとの連絡があったという。
19日に記者会見した神奈川県の黒岩祐治知事は「基地周辺の安心のため、基地の感染者数の公表は重要。一方的に公表をやめると決めたことは大変遺憾だ。本来であれば日米で緊密に連携し、事前に協議があってしかるべきだった」と指摘した。
2013年の日米合同委員会の合意事項では特定の感染症が発生した場合、地元自治体に通報する仕組みだが、新型コロナに関しては非公開が前提になっている。米国防総省は20年3月、「運用上の懸念」を理由に基地、部隊ごとの感染者数を公表しない方針を明らかにしたが、情報公開を求める声に応じる形で、在日米軍司令部が同年夏からHP上で基地ごとの感染者を公表していた。【蓬田正志、岡正勝、長真一】