なぜ14歳の次男は学校で命を絶ったのか――。その問いに向き合い続けた遺族が、次男の死からこれまでの18年間を本に残そうと企画している。次男と同様に教師の指導が原因とみられる悲劇が後を絶たない。遺族は、自分たちの記録をまとめた本が子供を失った家族の道しるべになればとも願っている。
2004年3月10日、長崎市の中学2年だった安達雄大さん(当時14歳)は、校内でライターを持っているのが見つかり、生徒指導を受けた。「トイレに行かせてほしい」と席を立った後、校舎の下で倒れているのが見つかった。
母和美さん(60)らは06年8月、長崎市を相手に損害賠償を求める訴訟を起こした。雄大さんが狭い掃除道具入れや、すべての窓に銀紙が張られた多目的室で指導を受けていたことが明らかになっており、和美さんらは「行き過ぎた指導が自殺の原因だった」と訴えた。長崎地裁は08年6月、請求は退けたが、雄大さんの死を自殺とし、生徒指導と自殺との因果関係も認めた。
和美さんは、いじめや体罰などが原因とみられる自殺などで子供を失った遺族らが集まる「全国学校事故・事件を語る会」に顔を出し、同じ立場の人たちと語り合いを重ねた。14年12月には、呼び掛け人となって九州の組織を結成。裁判闘争の経験を踏まえ、失意の中にいる遺族が少しでも前を向けるように精力的な活動を続けてきた。
18年間の書籍化は、安心で安全な学校を願う和美さんの思いを形にすることでもある。雄大さんの死の真相に迫り続け、同じ境遇の遺族に寄り添ってきた母を見てきた長女七海さん(24)は「母の思いをぜひ手助けしたい」と書籍化に賛同。雄大さんの兄で長男の鉄朗さん(33)は「母の地道な活動や努力が報われるといいなと心から願っています」とエールを送っている。
和美さんと七海さん、鉄朗さんは、出版に向けた初期費用と流通に必要な経費をクラウドファンディングで27日まで募っている。和美さんは「同じ悲劇を繰り返さないためにも、不適切な指導で子供が自殺することがあることをすべての教師、保護者に知ってもらいたい」としている。【松本光央】
クラウドファンディングは以下のリンクから。
https://readyfor.jp/projects/85135
相談窓口
・児童相談所虐待対応ダイヤル
189=年中無休、24時間。
・24時間子供SOSダイヤル
0120-0-78310=年中無休、24時間。
・子どもの人権110番
0120-007-110=平日午前8時半~午後5時15分、土曜・日曜・祝日・年末年始は休み。
・チャイルドライン
0120-99-7777=午後4~9時(対象は18歳まで)、12月29日~1月3日は休み。
https://childline.or.jp/