北九州市小倉北区の旦過(たんが)市場で19日未明に起きた大規模な火災で、市消防局は21日、同日午後7時半に鎮火が確認されたと発表した。火が完全に消えたのは、出火から約65時間後。なぜここまで時間がかかったのか。
火災は19日午前2時40分ごろ、市場一帯の一角から出火し、密集する古い木造建物に次々と燃え広がった。消防車やヘリコプターなど28台が出動し、約9時間後の19日午前11時55分ごろにほぼ消し止められた。市消防局などによると、市場一帯の約2割に当たる約1600平方メートルを焼損し、飲食店など40店超が焼けた。市場の北側入り口近くにある「新旦過横丁」付近が激しく燃えていた。
鎮火が遅れた要因の一つが、延焼範囲の広さだ。焼け落ちた一帯には、各店舗が連なって長屋のようになった構造の建物が並んでいた。実況見分をした市消防局の担当者は「(つながっている)屋根裏を通じて、思った以上に火が回っている」と話す。
市消防局によると、同市八幡東区の商店街で2016年にあった火災を受け、旦過市場ではアーケードのあるメインストリートの市場通りに面した店舗を中心に、住宅用の火災警報器が設置された。火災を感知すると自動で119番する「119番自動火災通報システム」も整備され、今回の火災でも機能していたという。それでも延焼したことに、小倉北消防署の担当者は「火の回りが早かったのでは」とみる。
加えて、火災による多数のがれきが落下していることが消防活動の妨げとなった。発生時間が未明で店の関係者が少なく、シャッターなどで閉められていた店内の確認作業にも手間取ることになった。トタン屋根で覆われていた建物が多いことから、トタンで閉じ込められた状態になっている火が消えているか一枚一枚めくって調べていたことも、鎮火確認に時間を要する一因となっていた。
元東京消防庁麻布消防署長の坂口隆夫・市民防災研究所理事は「棟続きで建物が密集し、消防隊員やホースが入り込むスペースは限られていたはずだ。夜間の発生ならば店舗のシャッターは下りていると想像でき、店の内側へ水が届かず、困難な消火活動を強いられただろう」とみる。多くの店舗がトタン屋根だったことから「瓦屋根は火災と共に所々崩れていき、上からの放水も威力を発揮する。トタンは崩れないため水が届かず、火も行き場を失って横に広がるため、延焼を招きやすい」と分析する。【林大樹、日向米華、中里顕】