「トー横」徘徊の少女ら、複数で1部屋に宿泊…歌舞伎町のホテルに立ち入り検査

深夜に出歩く少女らの宿泊先になっているとして、東京都新宿区は21日、繁華街・歌舞伎町にあるホテル4軒に立ち入り検査に入った。「トー横」と呼ばれる一角に集まり、複数人で同じ部屋に泊まっているという。周辺では少女らを狙った犯罪も起きており、区や警察が対策を強化する。(坂本早希、藤原聖大)
「帰る場所がないので、友達と一緒に泊まった」。昨年12月頃、警視庁に補導された少女はそう語ったという。捜査員が確認したところ、インターネットで1部屋を予約の上、深夜に自動チェックイン機で鍵を受け取り、複数人で出入りしている実態が浮かんだ。1人分の料金しか払っておらず、不正宿泊となる。
この日、立ち入り検査したのは少女らが宿泊していたビジネスホテル4軒。区職員らがホテル側に対し、旅館業法に基づいて宿泊者名簿を適切に作成し、少女らを無断宿泊させないよう指導した。警視庁の職員も同行し、年齢確認の徹底や、未成年者を含むグループを見つけた場合は連絡するよう協力を求めた。
警視庁によると、「トー横」周辺では数年前から少女らの姿が目立ち始め、昨年の補導件数は前年の3倍の約180件に上った。
家出した少女らのほか、若い男性らが動画共有アプリ「ティックトック」に投稿した周辺の映像を見て興味本位で訪れる中高生が多いという。動画では、ホテルとみられる客室内で男女らが飲酒や喫煙をする姿も確認されている。
周辺では少女らが性犯罪などの被害に遭うケースも後を絶たない。警視庁は今月11日、ティックトックで知り合った少女(14)に売春をさせたとして、無職の男(18)を児童福祉法違反容疑で逮捕した。
警視庁は補導などの対策を強化しているが、「ほかに居場所がない」などと訴え、トー横に戻ってくる子も少なくないという。
女性や子どもの権利に詳しい伊藤和子弁護士(ジェンダー法学)の話「コロナ下で休校や外出自粛が相次ぐ中、学校や地域社会が、家庭に居場所のない子どもたちの受け皿になれない状況が一層深刻化している。子どもたちが安心して集える安全な居場所作りが求められている」

「家から逃げたかった」。東京近郊に住む高校生の少女(16)は4月中旬、トー横に通い始めた理由を取材にそう明かした。
自宅では父が日常的に酒を飲んで暴力を振るい、父の交際女性から「本当の子どもしか愛せない」と言われた。ピアスを着けているのが目立ったのか、学校ではいじめを受けた。
昨年9月頃、居酒屋のアルバイト仲間に誘われ、トー横を訪れた。家族から暴力を受けるなど似た境遇の子もいて、話していると心が落ち着いた。
動画を撮影してティックトックに投稿したり、友達と話し込んだり。週に1、2度は深夜まで近くの広場で過ごす。大人の男性から「2万円でどう?」などと売春を持ちかけられるが、無視している。
学校に友達はおらず、仲間がいるトー横が自分の居場所だ。「大人は危ないと言うけれど、私にとってはここが一番」と語った。