京都新聞社の持ち株会社「京都新聞ホールディングス(HD)」(京都市)は21日、大株主で相談役だった白石浩子氏に対し、34年間にわたり総額19億円に上る違法な利益供与が行われていたとする第三者委員会の調査報告書を公表した。勤務実態がほとんどないのに、社長よりも高額な報酬を支払うなどしていたという。HD側は白石氏や、支出に関与した役員らに返還を求める。
白石氏は80歳代で、京都新聞社の経営に長年関与してきた「白石家」の一人。白石氏が代表の資産管理会社はHDの筆頭株主で、白石氏個人分を含めた株式の保有率は3割近く(昨年6月末時点)に達する。
報告書によると、白石氏は1987~2020年度、多い時で子会社を含む6社の相談役を務めていたが、出社することはなく、年4000万~6000万円、計16億4770万円の報酬を得ていた。また、HD側は1998年度以降、白石氏の私邸の管理費2億5950万円を支払っていた。
報酬については、大阪国税局から過大との指摘を受け、修正申告した後も同じ額を支払い続けていたという。報告書は、管理費も含む一連の支出を、特定の株主への利益供与を禁じた会社法に違反すると判断した。
問題の背景について「白石氏の処遇に触れることをタブー視する組織風土が役員間で醸成され、維持されてきた」と指摘した。
記者会見したHDの山本忠道社長は「事態を長く放置してきたことは、社会的責任に照らして許されない」と謝罪。関与した役員のうち現職の取締役2人は6月の株主総会で再任しないという。返還請求額は民法の時効(10年)も踏まえて決めるとし、白石氏の刑事責任の追及は「考えていない」と述べた。
公表された報告書は白石氏ら関係者全員が匿名で、会見でも氏名を明らかにしなかった。
この問題を巡っては、HDが昨年3月、報酬額が不適切だった可能性があるとして白石氏を相談役から解き、同6月に外部の弁護士3人で構成する第三者委を設置していた。