維新・前川衆院議員「投票依頼してない」 初公判で主張 公選法違反

2021年10月の衆院選で公示前に自身への投票を呼び掛ける文書を有権者に送ったとして、公職選挙法違反(法定外文書頒布、事前運動)の罪で在宅起訴された日本維新の会の衆院議員、前川清成被告(59)=比例近畿=の初公判が25日、奈良地裁(澤田正彦裁判長)であった。前川議員は「投票依頼もしていないし、するつもりも全くなかった」と無罪を主張し、全面的に争う姿勢を示した。
起訴内容は、衆院選公示前の21年10月14日、自らが当選する目的で「選挙区は『前川きよしげ』、比例区は『維新』とお書きください」と記した選挙はがきなどが入った封書35通を有権者に発送したとしている。
一般的に、公示前の選挙運動は禁止されているが、公示前でも選挙はがきの宛名書きなどを依頼する文書の送り先が「支持者」であれば、「立候補の準備行為」で合法とされる。今回、問題となった選挙はがきの送付先は前川議員の母校・関西大の卒業生らで、不特定多数への事前の投票呼び掛けか、選挙に向けた支持者への準備依頼だったのかが争点。
弁護側は冒頭陳述で、前川議員が封書を送った卒業生らは選挙での支援が期待できる人たちだったと主張。「(公職選挙法で)許される選挙の準備行為で、前川議員は無罪だ」と訴えた。
一方、検察側は、前川議員が卒業生用と支持者用の名簿を別々に管理していたと指摘。支持者を除いた卒業生用名簿を基に封書を送ったことから、宛名書きは名目で、実際は不特定多数の有権者に選挙前から投票を呼び掛ける意図があったと主張した。
公判は100日以内の判決を目指す「百日裁判」で審理。罰金以上の刑が確定すれば前川議員は失職し、原則5年間公民権停止となる。【吉川雄飛、林みづき】