北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」が遭難した事故で、運航会社「知床遊覧船」(北海道斜里町)の桂田精一社長が27日、記者会見する見通しとなった。23日に事故が起きてから社長は公の場で一度も説明しておらず、乗客の家族からも強い要望が出ていた。「真実が分からない」と対応を批判していた家族らからは、「きちんと説明してほしい」などと声が上がった。
現地対策本部長を務める国土交通省の坂巻健太大臣官房審議官によると、家族らの要望を受けて26日午前に同社の事務所を訪問。坂巻氏が「やらないとだめです」と会見を開くよう促すと、桂田社長は「分かりました」と承諾したという。
桂田社長はこれまで24日と25日に1回ずつ、海上保安庁などによる家族への説明に同席した。謝罪の言葉を述べたが、家族からは「息子を帰せ」などと怒号が相次いだ。社長は26日の説明会に姿を見せておらず、「準備をしているので待ってくれ」と話していたという。
最初の説明会に出席した家族は「なぜこういう事故になったかという説明は何も聞かされていない。情報があまりに少な過ぎる」と憤る。
地元の観光ガイドの男性は「二度と起きないために事実は知っておく必要があるし、遺族にも失礼だ」と指摘。斜里町のある町議は「道外から来ている家族もいる。社長自らが謝罪対応すべきだ」と話した。
[時事通信社]